【筋鉤(扁平鉤・フリッチ腹壁鉤)】器械出しのポイントと渡し方を新人オペ看向けに解説

麻酔・オペ看の基本
この記事は約6分で読めます。

「筋鉤のサイズ選びが分からず、術野が見えないと怒られた…」
「背後からヒョイっと渡したら、危ない!と注意された…」

毎日覚えることが山積みの新人オペ看の皆様、本当にお疲れ様です。

手術において外科医が最もストレスを感じる瞬間のひとつが、「術野(手術する場所)が見えない時」です。その術野を広げて視界を確保するための最重要アイテムが「筋鉤(きんこう・レトラクター)」です。
一見ただの金属の板に見えるかもしれませんが、深さや目的に応じた「サイズ選択」と「渡し方」には、明確なルールが存在します。

この記事では、扁平鉤やフリッチなどの代表的な筋鉤の役割から、ドクターが「おっ、分かってるな」と思うようなスムーズな器械出しのコツ・注意点までをわかりやすく解説します!

1. 筋鉤(レトラクター)とは?基本の役割

筋鉤の主な目的は、「切開した創部(傷口)を開き、中の組織や臓器をよけて、手術するスペースを確保すること」です。
術者が直接持って引っ張る場合もあれば、助手(第1助手、第2助手など)が長時間引き続ける場合もあります。

代表的な筋鉤の種類:扁平鉤とフリッチ腹壁鉤

  • 扁平鉤(へんぺいこう):いわゆる「板状の鉤」です。両端が直角(L字)に曲がっており、長さや曲がりの深さが異なります。皮下組織や浅い筋肉、小さな創部を牽引するのによく使われます。
  • フリッチ腹壁鉤(フリッチ):持ち手部分がリング状(または幅広)になっており、引っ張る部分がえぐれたスプーンのようにややカーブしています。お腹の壁(腹壁)のような「厚くて硬い組織」を、強い力でガッチリと引っ張り上げるのに適しています。

2. 筋鉤の器械出し・3つの鉄則

筋鉤の手渡しは、他の細かい器械とは少し違う気配りが必要です。以下のポイントをしっかり押さえましょう。

鉄則1:通常は「1対(2本セット)」で使用する

傷口は上下(または左右)に同時に広げることで初めて視界が開けます。そのため、術前に器械台に準備する際も、渡す際も、基本的には「同じサイズ・形状のものを2本1対」として考えます。
(※もちろん、傷の形状によっては左右で違う深さの鉤を使うこともありますが、基本はペアで用意します。)術前のカウントでも、2本ペアになっているか、曲がり具合に左右差がないかを確認します。

鉄則2:創の「深さ」に合わせてサイズを選択する

ドクターから「鉤(コウ)ちょうだい」とだけ言われたとき、どのサイズの鉤を渡すか迷いますよね。
ポイントは「いま、ドクターがどの深さを手術しているか(術野を観察する)」ことです。
切開したばかりの皮膚・皮下脂肪であれば浅い(短い)鉤を。皮下脂肪を抜けて筋膜や腹腔内に入ったなら、深い(長い)鉤を選択します。鉤の深さが浅すぎると組織がこぼれ落ちてしまい、深すぎると奥の血管や臓器を突き刺して傷つけてしまいます。

鉄則3:術者の「手掌」に柄をピタリと収める

鉤を渡すときは、組織に引っ掛ける側の先端(L字に曲がっている先)が、術者の手掌側(内側)あるいは引っぱる方向に向くように渡します。
術者が鉤を握ったまま、すぐに傷口に引っかけられるような向きを先読みして、リズミカルに受け渡しを行いましょう。

3. 新人がつまずく!よくあるミスと注意点

⚠️ ミス1:術者の「背後」から手渡ししてしまう

【対策】筋鉤は金属の塊であり、重量があります。術者の死角(背後や肩越し)から手渡ししようとすると、術者が予期せぬ動きをした際に鉤が顔や目にぶつかる事故になり大変危険です。
必ず術者の視界に入る横のスペースから、確実に手掌へ手渡ししてください。

⚠️ ミス2:術中に鉤の角度が曲がっていることに気づいた

【対策】骨太の患者さんなどを強い力で引っ張った後、扁平鉤などの直角部分が「鈍角(90度以上に開いてしまう)」に変形していることがあります。
これに気づかず次の手術で使うと、引っ掛けた組織がツルッと滑り落ちて手術になりません。術後洗浄の際や術前の器械展開の際に、「直角(90度)を保っているか」を必ず目で見てチェックしましょう。

4. まとめ:筋鉤出しのマスターチェック!


💡 マスターチェックリスト



  • □ 術前に鉤が「直角」を保っているか、2本セットで形状に差がないか確認している。

  • □ 術野の深さ(皮下なのか筋肉なのか)を観察し、適切な深さ・長さの鉤を選べる。

  • □ 引っ掛ける先端の向きが、術者の手掌側に向くように渡せる。

  • □ 絶対に術者の死角(後方)から渡さず、安全な位置から手掌へ確実に渡せる。

  • □ 扁平鉤(浅い組織)とフリッチ腹壁鉤(硬い腹壁)の違いを理解している。



いかがでしたでしょうか。ただの板に見える筋鉤にも、実はこんなに大切なルールがあります。

器械出し中に「次はこの深さだから、このサイズの鉤だな」と先読みして準備できるようになれば、ドクターからの信頼は一気に上がります。術野をモニター越しではなく「直接」見る癖をつけて、手術の流れを掴んでいきましょう!

【参考文献】
・日本手術看護学会(編). 『実践 手術看護マニュアル』.
・日本手術医学会. 『手術器械の正しい取り扱い・滅菌・保管マニュアル』

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