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🚨 「緊急オペです!すぐ入ってください!」——あなたは動けますか?
夜勤中、突然かかってくるその一言。通常手術と違って術前準備の時間もなく、患者さんの情報も限られた中で、即座に動き出さなければならないのが緊急手術です。
新人のうちは「何から手をつければいいかわからない」「焦って大事なことを忘れてしまう」という経験を必ずします。でも、優先順位の考え方と最低限の動きのパターンさえ頭に入っていれば、緊急手術でも落ち着いて動けるようになります。
この記事では、緊急手術の種類・外回り&器械出し別の動きの優先順位・よくある術式別の準備ポイント・新人がやりがちなミスまで、実践的な知識を丁寧に解説します。
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緊急手術とは?通常手術との違いと緊急度の分類
緊急手術とは、生命・臓器・機能を守るために予定外に行われる手術のことです。通常の予定手術とは異なり、術前評価や説明・準備に使える時間が極めて限られます。
緊急度による分類:どれくらい急ぐか
緊急手術は「どれだけ急ぐか」によって対応が変わります。一般的に以下の3段階で分類されることが多く、この区分によって看護師の準備・動きの速さも変わります。
| 緊急度 | 目安 | 代表的な疾患・状況 |
|---|---|---|
| Immediate(即時) 分単位 |
ただちに手術室入室・手術開始 | 大量出血・心停止・大動脈破裂・緊急帝王切開(胎児徐脈) |
| Urgent(緊急) 数時間以内 |
1〜2時間以内に手術開始 | 腸管穿孔・腹膜炎・腸閉塞・外傷(コントロール可能な出血) |
| Expedited(準緊急) 当日〜翌朝 |
数時間〜翌日以内に手術 | 骨折(開放骨折・大腿骨頸部)・虫垂炎・胆嚢炎 |
「緊急オペ入ります」という連絡を受けたら、まず「何分後に手術室に入るか」を確認することが最初のステップです。この時間の長さで、準備できる内容が変わります。
通常手術との決定的な違い
| 比較項目 | 通常(予定)手術 | 緊急手術 |
|---|---|---|
| 準備時間 | 前日〜当日十分に確保 | 数分〜数十分 |
| 患者情報 | カルテ・術前指示で十分把握 | 断片的・不完全なことが多い |
| 術式の確定度 | 事前に確定済み | 開腹してみないとわからないことも |
| 患者の全身状態 | 安定していることが多い | 不安定・ショック状態の場合あり |
| スタッフ構成 | 担当者が事前に決まっている | 夜間・休日は最小限人数で対応 |
| 物品・器械の準備 | セット化・確認済み | 時間内に最大限揃えるしかない |
緊急手術が決まったら最初にやること|外回り看護師編
緊急手術で外回り看護師が担う役割は多岐にわたります。限られた時間の中で何を先にやり、何を後回しにできるかの判断力が、緊急時の看護師としての真価を問われるポイントです。
最初の5分で確認すること(情報収集)
- 術式・手術部位:何をする手術か(腹腔内臓器か・血管か・整形か)
- 緊急度・手術開始予定時刻:あと何分で入るのか
- 患者の状態:ショック状態か・輸血の可能性はあるか・アレルギーはあるか
- 執刀医・麻酔科医の確認:誰が来るか・今どこにいるか
- 器械出し看護師へのリレー:決まった情報を素早く共有する
外回り看護師の優先順位(行動リスト)
🚨 最優先(命に直結)
- 手術室の準備:手術台・体位固定器具・使用デバイス本体・温風式加温装置のセットなど
- 麻酔器・麻酔薬・挿管・吸引の準備確認(麻酔科医と連携)
- 大量輸血の可能性確認→輸血台帳・加温装置の準備
- 除細動器・緊急薬剤の場所確認
⚡ 次の優先(手術進行に必要)
- 電気メス・バイポーラ・エネルギーデバイスのセット
- 患者搬入前の体位確認(仰臥位か・砕石位か・側臥位か)
- IV確保の状況確認(ラインが足りているか・太さは十分か)
- 尿道カテーテル・膀胱留置カテーテルの準備
- ドレーン類・吸引ボトルの準備
✅ 時間があれば(手術開始前までに)
- 術前同意書・血液型・感染症検査結果の確認
- アレルギー・禁忌事項の確認
- X線・CT画像の手術室モニターへの表示
- 追加で必要な特殊器械の確認(IVCフィルター・腸管ステープラーなど)
- 術後搬送先(ICU・HCU)への連絡
緊急手術が決まったら最初にやること|器械出し看護師編
器械出し看護師は、術野での直接介助を担う役割です。緊急時は「完璧な準備」ではなく「最初に絶対必要なものを揃えてから術野に入る」という発想が重要です。
器械出し看護師の優先順位(行動リスト)
🚨 最優先(まず手術を始められる状態にする)
- 基本開腹・開胸セットの展開(術式に合わせた基本器械トレイを開ける)
- 電気メス・吸引ハンドピースのテーブルへのセット
- 消毒・ドレーピングに必要な物品の準備(消毒薬・ドレープ)
- 縫合糸の必要種類をあらかじめ外回りに依頼して渡してもらう
- 止血に必要なガーゼ・スポンジの数量確認(カウント開始)
⚡ 次の優先(手術進行に応じて追加)
- 術式が確定したら必要な追加器械を外回りに依頼(腸管ステープラー・血管器械など)
- ドレーン類の準備(術式・部位に応じた種類を確認)
- 術野の展開に必要な自動開創器・ラップなどの補助具
- 生体組織の採取・病理提出の可能性を念頭に、検体容器を手元に準備
器械出しで重要な心構えは「先読み」です。術者が今何をしているかを見ながら、「次にどの器械が必要か」を常に1〜2ステップ先で考えることが、緊急時のスムーズな手術進行を支えます。緊急手術で「何が起こるかわからない」状況だからこそ、基本器械を手元に整理しておき、すぐ渡せる状態を維持することが大切です。
術式別の準備ポイント|よく来る緊急手術はこれ
緊急手術には「よく来る術式」があります。パターンを覚えておくと、情報収集の段階で準備のイメージが素早く立てられます。
① 消化管穿孔・汎発性腹膜炎(緊急開腹)
胃・十二指腸潰瘍穿孔・大腸穿孔などが原因の腹膜炎は、夜間の緊急開腹として最も多い術式のひとつです。
- 体位:仰臥位(臍から恥骨上にかけての正中切開が多い)
- 特徴:腹腔内の汚染が強い→大量洗浄が必要。生食・温生食の準備を多めに
- 器械のポイント:腸管ステープラー・吻合器の可能性を念頭に。ドレーン留置は必須
- 看護のポイント:腸管内容・腹水の臭い・色・量を観察・記録。感染性廃棄物の処理に注意
② 外傷に伴う開腹・開胸手術
交通事故・転落・刺傷などによる外傷は、複数部位の損傷を伴うことがあります。外傷状態によっては、短時間で一時閉腹し、全身状態を安定させてから二期的に再手術を行います。
- 大量輸血の準備:RBC・FFP・血小板の同時準備、輸血加温装置のセット
- 術式が変わる可能性がある:開腹→開胸になることも。両方のセットを意識
- 自己血回収装置(セルセーバー):出血量が多い場合に使用。準備確認
- 体温管理:大量輸血・長時間手術で低体温になりやすい。温風式加温+輸液加温を徹底
③ 緊急帝王切開
胎児仮死・常位胎盤早期剥離・子宮破裂など、母子の生命に関わる緊急事態では、「決定から30分以内の分娩」が目標とされることがあります(施設によるが国際的な基準として存在)。
- 新生児蘇生チームとの連携:小児科・新生児科への連絡を外回りが速やかに行う
- 温かい処置台・保温具の準備:新生児は低体温になりやすい
- 麻酔方法の確認:脊椎麻酔か全身麻酔か(全身麻酔の場合は誤嚥リスクに注意)
- 双合子・三つ子の可能性確認:複数胎児の場合は人員・物品を追加
- 子宮収縮薬の準備:オキシトシン・メチルエルゴメトリンなど分娩後に使用
④ 急性大動脈解離・大血管手術
StanfordA型解離(上行大動脈を含む)は最も緊急度が高い大血管疾患のひとつで、発症から数時間以内の手術が必要です。
- 人工心肺装置(CPB)の準備:灌流士との連携。心臓外科手術に特化した器械セット
- 大量輸血・止血薬の準備:プロタミン・トラネキサム酸・フィブリノゲン製剤など
- 体温管理(低体温循環停止):脳保護のために体温を15〜20℃まで下げる手技が行われることがある
- 高度な技術が必要:新人は先輩と組んで動く。「自分で全部やろうとしない」ことが重要
緊急手術での優先順位の考え方|基本原則
緊急時は「何もかも完璧にやろう」とすると逆に動けなくなります。優先順位をつける判断軸を持っておくことが、焦らず動くための基盤です。
優先順位の3つの判断軸
| 判断軸 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| ① 患者の生命維持 | やらないと命に直結することを最優先 | 気道確保・出血コントロール・大量輸血準備 |
| ② 手術を始められる状態にする | メスを入れられる最低限の準備を先に完了させる | 消毒・ドレープ・電気メス・基本器械 |
| ③ 手術の進行を支える | 術式が進む中で必要になるものを先読みして準備 | 追加器械・ドレーン・縫合糸・検体容器 |
「完璧な準備」より「手術が始められる状態」を先に作ることが鉄則です。足りないものは後から外回りが追加で渡せばよい——この認識を持つことで、器械出し・外回り双方の焦りが格段に減ります。
「わからない」は声に出す。それが最大の優先事項
緊急時に最も危険なのは、新人が「わからないまま動いてしまうこと」です。「これでいいのかな…」と思いながら間違ったことをするより、「〇〇はどうしましたか?」「次は何をすればいいですか?」と声に出して確認することのほうが、チーム全体を守ります。
💡 緊急時の新人の動き方の鉄則
- 先輩に「何を優先しますか?」と聞く——恥ずかしくない、むしろ正解
- 担当が決まったら、その仕事を集中してやり切る
- 勝手に判断して動かず、確認しながら動く
- 「できません」と言うより「ここまではできます、ここからは教えてください」
- 終わった作業は声に出して報告(「〇〇終わりました!」)
新人オペ看が緊急手術でやりがちなミスと対策
⚠️ よくあるミスと対策
- ミス①「準備が間に合わなくてパニックになる」
対策:まず「最低限これがあれば切れる」セットを先に完成させる。完璧を目指さない - ミス②「患者情報を確認しないまま手術室へ入る」
対策:30秒でもいいから「術式・部位・患者の状態・アレルギー」の4点だけは確認する - ミス③「ガーゼカウントを忘れる・後回しにする」
対策:手術開始前のカウントは緊急手術でも省略しない。混乱しやすいからこそ最初に固定する - ミス④「チームへの報告・連絡を怠る」
対策:準備の進捗・足りない物品・患者の変化はその都度声に出す。報告は業務の一部 - ミス⑤「体位固定を急ぎすぎて不安全な体位になる」
対策:時間がなくても圧迫点・神経損傷リスクの確認は省略しない。体位は患者安全の基本 - ミス⑥「記録が追いつかず術後に埋め合わせる」
対策:重要な時刻(入室・麻酔開始・切皮・出血量など)は最低限リアルタイムで記録する
緊急手術に備えるための日頃の準備
緊急手術で落ち着いて動けるかどうかは、日頃の準備の積み重ねで決まります。「その場でなんとかする」だけでは限界があります。
普段からやっておくべき5つのこと
- 緊急開腹・開胸セットの場所と内容を把握する:「どこに何がある」が体に染みついているかどうかが、緊急時の行動速度を決定する
- 緊急薬剤(アドレナリン・除細動器・輸血セット)の保管場所を確認する:毎勤務ごとに場所を把握する習慣をつける
- シミュレーション訓練に積極的に参加する:頭でわかっていても体が動かないのが緊急時。訓練で体に動きを覚えさせる
- よく来る緊急術式の器械セット・手順を勉強する:「緊急開腹なら基本開腹セット+吸引+ステープラーの可能性」などパターンで覚える
- 先輩の動きを観察する:緊急手術に慣れた先輩が「最初に何をするか」を意識して見ることが最高の教材
💼 緊急手術への対応力がついてきたなら、次はキャリアアップを考えてみませんか?手術室看護師の転職・給与・働き方についてまとめた記事もぜひどうぞ。
▶ 転職サービスを確認するまとめ
緊急手術の対応と優先順位のつけ方について、新人オペ看護師が押さえておくべきポイントを整理します。
- 緊急度の確認:「何分後に入るか」を最初に把握する。時間によって準備できる内容が変わる
- 外回りの最優先:手術台・麻酔準備・大量輸血体制・除細動器確認→次に電気メス・体位・尿カテ準備
- 器械出しの最優先:基本開腹(開胸)セット・電気メス・吸引・消毒ドレープ→術式が確定したら追加器械を依頼
- 優先順位の3軸:①患者の生命維持→②手術を始められる状態→③手術進行の支援
- 術式別の準備知識:消化管穿孔(大量洗浄・ドレーン)・外傷(輸血・DCS)・帝王切開(新生児チーム連携)・大動脈解離(CPB・体温管理)
- 新人の心構え:「わからない」を声に出す・先輩に確認する・担当業務を完遂する・勝手判断しない
- 日頃の準備:器械セットの把握・緊急薬剤の場所確認・シミュレーション参加・パターン学習
緊急手術は「慣れ」がものをいう場面でもありますが、基礎となる優先順位の考え方と行動パターンを持っていれば、新人でも十分に貢献できます。「完璧でなくていい、チームの一員として動ける自分」を目指してください。それが、患者さんの命を守ることに繋がります。
参考文献
- American College of Surgeons. ATLS Student Course Manual. 10th ed. Chicago: American College of Surgeons; 2018.
- 日本外傷学会・日本救急医学会監修.外傷初期診療ガイドラインJATEC 改訂第6版.東京:へるす出版;2021.附属病院 手術部 編.手術室クライシスマニュアル.東京:東京大学出版会,2018年.
◆ ごあいさつ
初めまして、オペ看めろん🍈です。
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