※医療的判断・看護ケアは、必ず各施設のマニュアル・方針に従って実施してください。手術手順や使用器械は施設により異なる場合があります。
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「体位固定って、先輩によってやり方が違って正解がわからない…」
「術中に『この固定で本当に大丈夫かな』と不安になる…」🍈
そんな悩みを持つオペ看さんは多いのではないでしょうか。体位固定は固定方法ひとつで神経障害・褥瘡などの合併症リスクが大きく変わる、まさに「患者さんの安全を守る看護実践」です。
この記事では、現役手術室看護師の視点で体位固定の基本3原則→体位別の固定方法→体位グッズの選び方→術中・術後の観察と記録まで、明日から使える形でまるっと解説します✨
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手術体位固定は「患者安全を守る看護実践」である
体位固定を「手術前のルーチン作業」だと思っていませんか?実は体位固定は、全身麻酔で自分の身体を守れなくなった患者さんの代わりに、看護師が危険を予測して身体を守る看護実践です。
全身麻酔中の患者さんは、痛みやしびれを感じても「腕が痛い」「足の位置を変えたい」と訴えることができません。健常な私たちが寝ている間に無意識に寝返りを打つのは、身体が圧迫や不快感を察知して自分で除圧しているからです。麻酔中はこの防御反応が完全に失われるため、不適切な固定がそのまま数時間続き、合併症につながります。
固定方法ひとつで合併症リスクが大きく変わる
体位固定に関連する代表的な合併症は、次の3つです。
- 末梢神経障害:腕神経叢・尺骨神経・総腓骨神経などの圧迫・伸展による麻痺やしびれ
- 皮膚トラブル(褥瘡・MDRPU):骨突出部への持続圧迫や、固定具・医療機器による圧迫創傷
- 循環・呼吸への影響:腹部圧迫による換気障害や静脈還流の低下、下肢挙上によるコンパートメント症候群
これらはいずれも「手術そのもの」ではなく「体位」が原因で起こる合併症です。つまり、手術がどれだけ成功しても、体位固定が不適切なら患者さんに新たな障害を残してしまう可能性があるということ。逆に言えば、看護師の事前準備と観察で防げる合併症でもあります。
たとえば、砕石位の手術後に「足首が上がらない」と言われれば総腓骨神経麻痺(下垂足)を、側臥位の手術後に「腕がしびれて力が入らない」と言われれば腕神経叢障害を疑います。こうした神経障害は回復に数週間〜数か月かかることもあり、患者さんの退院後の生活や仕事に直接影響します。「たかが体位」では決してないのです。
事例で考える:長時間の砕石位によるコンパートメント症候群
【事例イメージ】
直腸がんの腹腔鏡下低位前方切除術。砕石位+頭低位で手術時間は6時間超。術後、患者さんから「ふくらはぎが張って激しく痛い」との訴え。下腿は緊満・腫脹しており、鎮痛薬でも痛みが改善しない——下腿コンパートメント症候群(well leg compartment syndrome)が疑われる状態です。
砕石位では下肢が心臓より高い位置で保持されるため下肢の血流が低下しやすく、さらに支持具による圧迫が加わることで、筋区画(コンパートメント)内の組織灌流が障害されることがあります。手術時間が長くなるほどリスクは高まり(4時間を超える長時間手術での報告が多くみられます)、頭低位の併用でさらに助長されます。弾性ストッキングの着用もリスク因子のひとつとして報告されています。重症例では筋膜切開が必要となり、下肢機能に後遺症を残すこともある重大な合併症です。
ここで大切なのは、「珍しい合併症の知識」として覚えることではなく、長時間の砕石位手術では『起こりうるもの』として計画段階から対策することです。この記事のゴールも同じで、読み終わったときに「安全に固定し、根拠をもって観察できる状態になる」ことを目指します。
体位固定の基本3原則|圧迫回避・神経保護・安定性確保
どの体位にも共通する基本概念が、①圧迫回避・②神経保護・③安定性確保の3原則です。体位別の細かい手順を覚える前に、まずこの3つを軸として持っておくと、初めての体位でも応用が利きます。
①圧迫回避|除圧が最優先
皮膚の毛細血管は、外から一定以上の圧力(教科書的な目安として約32mmHgとされます)が持続的にかかると血流が途絶え、組織が虚血に陥ります。病棟であれば体位変換で除圧できますが、術中は原則として体位を変えられないため、「圧迫される前に除圧しておく」事前設計がすべてです。
特に注意すべきは骨突出部です。骨の直上は軟部組織が薄く、体重による圧が一点に集中するため、褥瘡の好発部位となります。体圧分散パッドで「圧を面で受ける」状態をつくることが基本です。
また、体重による圧迫だけでなく、医療機器・固定具による圧迫(MDRPU:医療関連機器圧迫創傷)にも注意が必要です。抑制帯、支持器、SpO2プローブ、コード類など「身体に触れているモノすべて」が圧迫源になりえます。「患者さんの身体とモノが接する場所には、必ず圧が生まれている」という視点を持ちましょう。
②神経保護|神経の走行を意識する
末梢神経は「圧迫」と「過度な伸展(引き伸ばし)」の両方で障害されます。代表的な要注意ポイントは次のとおりです。
- 腕神経叢:上肢を90度を超えて外転させると伸展され、麻痺のリスクが上がる。上肢外転は90度以内が原則
- 尺骨神経:肘の内側(肘部管)で皮膚のすぐ下を走行するため、肘がベッド縁や固定具に当たると圧迫されやすい
- 総腓骨神経:膝外側の腓骨頭直下を走行し、砕石位の支持具や側臥位の下側の脚で圧迫されやすい
「この位置に固定すると、どの神経がどうなるか」を意識できるようになると、体位固定は一気に根拠のある看護に変わります。
③安定性確保|術中のズレ・転落を防ぐ
手術中は、頭低位・頭高位・左右へのローテーションなど、術野確保のためにベッドが大きく傾けられることがあります。固定が不十分だと身体がズレて固定時の除圧・保護がすべて崩れるだけでなく、最悪の場合は転落事故につながります。
ポイントは、手術開始前に予定される体位変換(ローテーション)を確認し、実際にベッドを傾けてズレないかテストしておくことです。腹腔鏡手術で頭低位が予定されているなら、麻酔導入後・執刀前にチルトテストを行うのが確実です。
やってはいけないNG固定例
| NG固定例 | 何が起こるか | 対策 |
|---|---|---|
| 抑制帯やベルトの過度な締め付け | 血流障害・神経障害・MDRPU(医療関連機器圧迫創傷) | ベルトと身体の間に手が入る程度のゆとり+パッドで保護 |
| 支持器が皮膚に直接接触している | 金属・硬性部分への持続圧迫で褥瘡発生 | 支持器と皮膚の間に必ずクッション・パッドを挟む |
| 「とりあえず枕を入れただけ」の不安定な支持 | 術中のズレ・局所への圧集中・体位崩れ | 体幹は面で支え、固定後に軽く揺らして安定性を確認 |
| 関節の過度な屈曲・伸展のまま固定 | 神経の伸展障害・関節痛・脱臼リスク | 良肢位(機能的肢位)を基本に固定する |
固定時のチェックポイント3つ
- 骨突出部の保護:体圧分散パッドに加え、必要に応じて皮膚保護クリームやすべり機能付きドレッシング材(ポリウレタンフィルム等)で摩擦・ずれ対策を行う
- 関節位置の確認:過度な屈曲・伸展・外転を避け、良肢位で固定する。特に上肢外転90度以内は毎回声に出して確認したいポイント
- ズレ防止:術中にベッドローテーションがある術式では、手術開始前に実際に傾けて固定状態を確認する
💡 新人がつまずくポイント
固定が終わった「見た目」だけで安心してしまい、パッドの下や身体の下にコード・ライン類が挟まっていないかの確認を忘れがちです。点滴ライン・尿道カテーテル・対極板コードなどが身体の下に入り込むと、そこが局所圧迫の原因になります。固定後は必ず「頭からつま先まで」手で触れて最終確認しましょう。
体位固定は「事前設計」が9割|術前情報収集と準備の流れ
体位固定の成否は、患者さんが入室する前の準備段階でほぼ決まります。入室後に「あれが足りない」「この患者さん、思ったより関節が動かない…」と慌てないために、術前の情報収集→物品準備→固定→最終確認の流れを設計しておきましょう。
術前に集めておきたいリスク情報
カルテと術前訪問から、次の情報を確認しておくと固定計画の精度が上がります。
- 体格:るい痩(骨突出が顕著→除圧強化)、肥満(体重による圧増大・支持器の耐荷重確認)
- 皮膚の状態:脆弱な皮膚・浮腫・既存の発赤や創傷の有無と部位
- 栄養状態・基礎疾患:低栄養や糖尿病、末梢血管疾患は皮膚トラブル・神経障害のリスクを高める
- 関節可動域の制限:人工関節の既往、拘縮、頚椎の可動域。麻酔がかかる前に本人の「無理のない範囲」を確認しておくと安全
- 予定術式と手術時間:体位・ローテーションの有無・長時間になる可能性(長時間ならワンランク上の除圧を計画)
固定完了までの基本ステップ
- 計画:術式・患者情報から体位とグッズを選定し、必要物品をベッド周囲に準備
- 入室時の皮膚確認:固定前の皮膚状態(発赤・創傷の有無)を確認・記録。「もともとあった発赤」か「術中にできた発赤」かを区別する基準になる
- 体位変換・固定:麻酔科医の気道管理を軸に、役割分担と掛け声を決めて実施
- 3原則チェック:骨突出部の除圧・神経保護(関節角度)・安定性を頭側から足側へ順に確認
- ライン・コード確認:身体の下への挟み込みがないか全身を手で触れて確認
- チルトテスト:ローテーション予定があれば実際に傾けてズレがないか確認し、固定内容を記録
この流れをチームで共有しておくと、誰が固定しても抜けのない「再現性のある体位固定」になります。チェックリスト化して手術室の壁に貼っておくのもおすすめです。
【体位別】固定方法と注意点|仰臥位・側臥位・砕石位・腹臥位
ここからは、手術室で頻度の高い4つの体位について、固定方法と注意点を解説します。どの体位でも「圧迫回避・神経保護・安定性確保」の3原則がベースになっていることを意識しながら読んでみてください。
仰臥位|最も基本、でも油断できない
仰臥位は最も生理的で安定した体位ですが、接触面が広いぶん「どこに圧がかかっているか」を意識しにくい体位でもあります。褥瘡好発部位は次のとおりです。
- 仙骨部:仰臥位で最も圧が集中する部位。体圧分散マットレス・パッドで面として受ける
- 踵部(かかと):皮下組織が薄く血流も乏しいため、褥瘡が深達しやすい。下腿にクッションを入れて踵を浮かせる(フローティング)のが基本
- 後頭部・肩甲骨部・肘頭部:長時間手術では見逃せない部位。特に肘頭は尺骨神経保護も兼ねてパッドで保護
上肢を体側に沿わせる場合は、手掌を身体側に向ける(回内を避ける)ことで尺骨神経への圧迫を減らせます。上肢を外転して手台に置く場合は、外転90度以内・軽度屈曲位で、肘の下にパッドを入れましょう。
側臥位|腕神経叢と下側の身体を守る
側臥位は肺や腎臓、股関節の手術などで用いられ、支持器なしでは保持できない不安定な体位です。注意点は大きく3つあります。
1つ目は腋窩部の圧迫リスクです。下側になった肩・腋窩には体重が集中し、腋窩を走行する腕神経叢や血管が圧迫されるおそれがあります。対策として、腋窩そのものではなく、腋窩から2〜3横指尾側の胸郭外側に腋窩枕(胸枕)を挿入し、腋窩に空間をつくって圧迫を逃がします。橈骨動脈の触知やSpO2モニターの装着部位を下側上肢にしておくと、術中も血流を確認できます。
2つ目は上肢の神経障害リスクです。上側・下側とも上肢の外転は90度以内とし、過度な伸展や身体からの落ち込みがないよう、上肢台や抱き枕型のクッションで支えます。
3つ目は体幹の支持方法です。前後の体幹支持器(恥骨上・仙骨部など)で身体を挟んで安定させますが、支持器が直接皮膚に当たらないよう必ずパッドを挟みます。下側の脚は軽く屈曲、上側の脚は伸展気味にして間にクッションを挟むと、骨突出部同士の接触と腓骨頭の圧迫を防げます。耳介の折れ込み・眼の圧迫がないかも忘れずに確認しましょう。
砕石位|総腓骨神経とコンパートメント症候群に注意
砕石位(截石位)は婦人科・泌尿器科・大腸肛門外科などで用いられる体位です。最大の注意点は下肢の神経障害と血流障害です。
- 総腓骨神経の圧迫:膝外側の腓骨頭部が支持具に当たると、腓骨神経麻痺(下垂足=足首が上がらなくなる)の原因に。腓骨頭部が支持具に接触していないかを固定時に必ず確認
- 股関節の過度な屈曲・外転:坐骨神経・閉鎖神経の伸展障害や股関節痛の原因になるため、術野確保に必要な最小限の角度にとどめる
- コンパートメント症候群:前述のとおり、長時間の下肢挙上+支持具圧迫+頭低位で下腿の組織灌流が低下して発生。長時間手術では術中に一時的に下肢を水平に戻す・挙上角度を下げるなどの対応を術者・麻酔科医とあらかじめ相談しておく
ブーツ型の下肢支持具(レビテーター型)はふくらはぎ全体を面で支えられる一方、装着時のベルトの締めすぎ・左右の高さや角度の非対称が圧迫の原因になります。左右対称に、下腿後面へ均等に圧が分散されているかを、装着後に指を入れて確認しましょう。
腹臥位|顔面・眼球の保護と腹部フリーが鉄則
脊椎手術などで用いられる腹臥位は、4つの体位の中で最も準備が多く、リスクも高い体位です。ポイントは3つです。
1つ目は顔面・眼球の保護です。眼球が圧迫されると眼圧上昇や網膜の血流障害から、最悪の場合視力障害(術後視力喪失)に至るリスクがあります。腹臥位用のヘッドレスト(顔面保護クッション)を使用し、眼球・鼻・口・気管チューブに圧がかかっていないことを固定時と体位変換のたびに確認します。ミラー付きヘッドレストなら術中も顔面の状態を随時確認できます。
2つ目は胸腹部の圧迫回避です。腹部が圧迫されると横隔膜の動きが制限されて換気しづらくなるだけでなく、下大静脈が圧迫されて静脈還流が低下し、脊椎手術では椎骨静脈叢のうっ血により術野の出血が増えることも知られています。胸部と骨盤部を4点支持器などで支え、腹部が支持器に触れず自由に動ける(腹部フリー)状態をつくるのが鉄則です。
3つ目は上肢の位置です。肩関節の外転90度以内・肘は軽度屈曲で上肢台に置き、腕神経叢の伸展と尺骨神経の圧迫を避けます。また、男性では陰茎・陰嚢、女性では乳房の圧迫・巻き込みがないかも確認が必要です。膝・足背にもパッドを入れ、つま先が浮くように下腿にクッションを入れましょう。
💡 よくあるミスと対策
腹臥位への体位変換は複数人で行いますが、「せーの」の掛け声の主導権が曖昧なまま回してしまうのがよくあるミス。気管チューブ・ライン類の事故抜去に直結します。必ず麻酔科医が頭側で気道を保持し、麻酔科医の掛け声で全員が同時に回すルールを徹底しましょう。
体位グッズの選び方|体位別の使い分けポイント
体位固定の質は、グッズ(体位固定用具・体圧分散用具)の選択で大きく変わります。まずは体位別の選択ポイントを整理します。
| 体位 | グッズ選択のポイント |
|---|---|
| 仰臥位 | 仙骨・踵の除圧を重視した体圧分散パッドを選択。踵はフローティングできる下腿用クッションを併用 |
| 側臥位 | 腋窩枕+前後の体幹支持器が基本。支持器が直接皮膚に接触しないよう、体幹を面で支えるクッションを活用 |
| 砕石位 | 下腿全体を面で支えるブーツ型支持具を第一選択に。圧分散と左右バランス(高さ・角度の対称性)を重視 |
| 腹臥位 | 顔面保護用ヘッドレスト+胸部・骨盤支持具を使用し、腹部圧迫を回避。眼の位置が確認できるタイプが望ましい |
素材の特徴を知ると選択に根拠が生まれる
- ウレタンフォーム系:軽く扱いやすく、広い面の除圧に向く。へたり(劣化)があるため定期的な交換確認が必要
- ジェル(ゲル)状パッド:体圧分散性が高く骨突出部の局所除圧に向く。重く冷たいため、低体温対策との兼ね合いに注意
- 陰圧式固定具(ビーンバッグ型):吸引で形が固まるタイプ。側臥位など不安定な体位の安定性確保に強いが、硬化後は局所圧迫がないか必ず確認
グッズ選択に迷ったときの判断基準
「どれを使えばいいか迷う」ときは、次の優先順位で考えると整理できます。
- 神経保護:その体位で障害されやすい神経を保護できるか(最優先)
- 除圧:骨突出部の圧を面で分散できるか
- 安定性:予定されるローテーションに耐えられるか
- 患者要因:体格(やせ型・肥満)、皮膚の脆弱性、関節可動域制限、既往(人工関節など)に対応できるか
特に、るい痩の強い患者さんは骨突出が顕著で標準の固定方法では除圧が不足しがちです。こうした「イレギュラーな患者さんへの体位固定」は、手術看護認定看護師の小澤聡貴氏らが編著した『オペナースのための手術体位 最新Q&A52』(メディカ出版)がQ&A形式で具体的に解説しており、現場の疑問をそのまま調べられるのでおすすめです。院内マニュアルに載っていない個別ケースの判断に強い味方になります。
グッズの点検・管理も看護の一部
意外と見落とされがちですが、グッズそのものの状態管理も体位固定の質を左右します。ウレタン系パッドの「へたり」(復元力の低下)、ジェルパッドの破損や硬化、陰圧式固定具のエア漏れは、いずれも除圧性能の低下=合併症リスクの上昇に直結します。使用前に「復元するか・破損がないか」をワンアクション確認する習慣をつけ、劣化したグッズは部署で共有して交換につなげましょう。
術中・術後の観察ポイントと記録の書き方
「固定して終わり」ではなく、固定した状態が手術終了まで保たれているかを観察し続けることが外回り看護師の重要な役割です。
術中観察|「固定時の状態とズレていないか」が軸
術中観察の軸は、「体位固定時の状態と比べてズレ・変化がないか」です。固定時の状態を自分の目で確認しておくからこそ、術中の変化に気づけます。
- ベッドローテーション・頭低位への変更後は、身体のズレ・支持器への当たり方の変化を必ず確認
- 確認できる範囲の四肢の色調・冷感・腫脹(特に砕石位の下腿、側臥位の下側上肢)
- 顔面・眼球の圧迫(腹臥位ではミラーや手指で定期確認)
- ライン類・コード類の身体への挟み込み
- 長時間手術では、術野の妨げにならない範囲で可能な部位の除圧・マイクロシフトを術者・麻酔科医と相談して実施
術後観察|退室前の数分が患者さんを守る
手術終了後、体位を戻したタイミングは皮膚と神経の異常を発見できる最初のチャンスです。次の項目を確認しましょう。
- 皮膚色・圧迫部位の状態:骨突出部・支持器が当たっていた部位の発赤・圧痕・水疱の有無。発赤は指で押して消退するか(反応性充血か褥瘡初期か)まで確認
- 体位ズレ・固定の緩みの痕跡:固定時と比べて身体の位置が変わっていた場合は、圧迫部位も想定と変わっている可能性を考えて全身を確認
- 覚醒後の神経症状:上肢のしびれ・握力低下、足関節の背屈(足首を上げる動き)ができるか——覚醒レベルに応じて可能な範囲で確認し、病棟へ申し送る
記録のポイント|「再現できる記録」を目指す
体位固定の記録で大切なのは、後から読んだ人が同じ固定を再現できること、そして異常の有無が明確にわかることの2点です。
| 記録項目 | 記載例 |
|---|---|
| 実施した固定内容 | 体位・使用した支持器やパッドの種類と位置・上肢の角度(例:右上肢外転80度で手台固定、肘部ジェルパッド使用) |
| 除圧・保護の内容 | 踵部フローティング、仙骨部体圧分散パッド、腓骨頭部の支持具非接触を確認 など |
| 術中の変化と対応 | 頭低位変更後のズレ確認、下肢挙上角度の一時変更 など実施時刻とともに記載 |
| 観察結果 | 退室時、圧迫部位の発赤・圧痕なし/仙骨部に消退する発赤あり→病棟申し送り など異常の有無を明確に |
異常がなかった場合も「異常なし」と根拠をもって書けることが、看護実践の証明になります。逆に発赤などを見つけた場合は、部位・大きさ・消退の有無・申し送り先まで記載しておくと、病棟での継続観察につながります。
📝 病棟への申し送り例
「砕石位・手術時間5時間30分でした。退室時、両下腿の腫脹・緊満なし、右腓骨頭部に指圧で消退する発赤あり。麻酔覚醒後、足関節の背屈は左右とも可能を確認済みです。夜間帯まで下肢の疼痛・しびれ・発赤の継続観察をお願いします」——体位・手術時間・退室時の所見・確認済みの神経症状・観察してほしいことをセットで伝えると、病棟でも異常の早期発見につながります。
ちなみに、体位固定や術中観察への力の入れ方は施設によってかなり差があります。「もっと体系的に手術看護を学びたい」「教育体制やマニュアルが整った手術室で経験を積みたい」と感じたら、環境を変えることも選択肢のひとつ。まずは情報収集からでも、キャリアの視野が広がりますよ。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 体位固定で最も注意すべき部位はどこですか?
一律に「ここ」と言うより、「体位ごとに、圧迫されやすい神経+骨突出部」をセットで押さえるのが実践的です。仰臥位なら仙骨・踵と尺骨神経、側臥位なら腋窩(腕神経叢)と大転子、砕石位なら腓骨頭(総腓骨神経)、腹臥位なら眼球・顔面と腸骨部、というイメージです。共通する考え方は「術中に見えなくなる部位・確認しにくい部位ほど、固定時に念入りに確認する」こと。ドレープがかかると多くの部位は術終了まで見えません。
Q2. グッズの選択に迷ったときの判断基準は?
①神経保護→②除圧→③安定性→④患者要因(体格・皮膚状態・可動域)の優先順位で考えましょう。迷ったときに「見た目が安定していそうだから」で選ぶのではなく、「この患者さん・この術式・この手術時間で、一番リスクが高いのは何か」から逆算すると選択に根拠が生まれます。判断に迷うイレギュラーなケースは、先輩や手術看護認定看護師に相談しつつ、『オペナースのための手術体位 最新Q&A52』のような専門書で裏付けを取るのがおすすめです。
Q3. 術中観察はどのくらいの頻度で行えばいいですか?
決まった数字があるわけではなく、手術時間・体位・患者リスクに応じて計画するのが答えになります。最低限、①体位変換・ローテーション直後、②長時間手術では定期的(施設基準に沿って)、③術者交代や術式変更などのタイミングでは必ず確認しましょう。砕石位の長時間手術や腹臥位など高リスク体位では、観察間隔を短くし、「何時に何を確認したか」を記録に残すことが大切です。
まとめ|体位固定は「準備」で決まる
最後に、この記事の重要ポイントを整理します。
- 体位固定は患者安全を守る看護実践。固定方法ひとつで神経障害・褥瘡・コンパートメント症候群などの合併症リスクが大きく変わる
- 基本3原則は圧迫回避・神経保護・安定性確保。骨突出部の除圧、上肢外転90度以内、ローテーション前のズレ確認が柱
- 仰臥位は仙骨・踵、側臥位は腋窩と体幹支持、砕石位は腓骨頭とコンパートメント症候群、腹臥位は眼球保護と腹部フリーが要点
- グッズは神経保護→除圧→安定性→患者要因の優先順位で選ぶ
- 観察は「固定時の状態とズレていないか」が軸。記録は「再現できる固定内容」と「異常の有無」を明確に
- 事前設計(体位は準備で決まる)・観察力(異常の早期発見)・根拠ある固定(説明できる実践)——この3つが揃えば、体位固定は自信を持てる看護になる
明日の1件目の手術から、まずは「この体位で一番リスクの高い神経はどこか?」を考えて固定に臨んでみてください。その積み重ねが、根拠をもって説明できるオペ看への一番の近道です🍈
参考文献
- 小澤聡貴, 村上香織 編著. オペナースのための手術体位 最新Q&A52. メディカ出版, 2022.
- 日本手術医学会. 手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版). 日本手術医学会, 2019.
- 日本褥瘡学会 編. 褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版. 照林社, 2022.
◆ ごあいさつ
初めまして、オペ看めろん🍈です。
この度は、数多くある文献の中から
この記事を選んでくださり、本当にありがとうございます。
🙇
より分かりやすくお届けできるよう、
記事は今後も
適宜、加筆・改善
してまいります。
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皆さまのお声を、 今後の加筆や改善の参考 にさせていただきます。
【恐怖ゼロへ!オペ看護が楽しくなる!】
をモットーに、オペ看勉強まとめを作成しております。
この記事が少しでも
あなたの力になれたら嬉しいです。
オペ看めろん🍈
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