「メスの渡し方に迷い緊張してしまう…」
「電気メスとリガシュア、何が違うのか聞かれて答えられなかった…」
新人オペ室看護師の皆様、毎日覚えることが多くて大変ですよね。
手術に欠かせない「皮膚・組織を切る器具」。その代表格が「メス」ならびに電気メスなどの「エネルギーデバイス」です。
これらは手術を劇的に進める最強の武器である一方、一歩扱いを間違えれば患者さんや医療スタッフの大事故(切創、熱傷など)に直結する最も危険な器具でもあります。
この記事では、メスの基本(円刃・尖刃の違いと安全な渡し方)から、近年欠かせなくなった3大エネルギーデバイス(電気メス、リガシュア、ハーモニック)の仕組みと違いまで、現場で必ず役立つ知識を徹底解説します!
1. 皮膚・組織を切開する基本:メス(替刃メス)
メスは、「メスホルダー(持ち手)」に「替刃(メス刃)」を取り付けて使用します。
切開する場所と深さに応じて、術前に適切なサイズ・形状を選択します。
メス刃の違い(円刃と尖刃)
- 円刃(えんじん / 丸刃):刃先が丸みを帯びています(例:10番、15番、20番など)。主に皮膚や腹膜などの「長い距離をスーッと切開する」ときに使われます。10番や20番は大きな切開に、15番は顔など繊細な切開によく用いられます。
- 尖刃(せんじん):刃先が尖っています(例:11番など)。血管への刺入や、膿瘍の切開など「ピンポイントで突き刺して開く」操作に適しています。
2. 刃物事故ゼロへ!メスの安全な渡し方
メスの受け渡しは、ガイドラインにおいて「直接手渡しを避ける」ことが強く推奨されています。しかし、状況によって手渡しが必要な場合のコツも知っておく必要があります。
原則:中間ゾーン(セーフティーゾーン)の設置
手渡しによる切創事故を防ぐため、器械出し看護師と術者の間に「膿盆(のうぼん)」や「専用の受け渡し用トレイ」を置き、これを【中間ゾーン(セーフティーゾーン)】とします。
看護師がトレイにメスを置き、それを術者が拾い上げ、使い終わったら再びトレイに置く、というルール(ハンズフリー・パシング・テクニック)を徹底しましょう。
手渡しが必要な場合のコツ(ペンホールド式・テーブルナイフ式)
やむを得ず手渡しをする場合は、ドクターの持ち方に合わせて刃の向きを調整します。
受け渡し時、器械出しナースは必ず「メスホルダーの先端寄り(刃のすぐ後ろ)」を安全に持ちます。ドクターが握れる十分なスペース(ホルダーの柄の部分)を空けておくことが重要です。
- ペンホールド式渡し:ドクターがペンのように軽い力で持って切開する場合(細かい切開)。刃の先端を下向きにし、術者の手掌に向けないように渡します。
- テーブルナイフ式渡し:ドクターが上からしっかり握り込んで切開する場合(厚い皮膚など)。柄の部分が上を向くように渡します。
3. 現代の手術に必須!「エネルギーデバイス」の基本
メスの代わりに熱や振動を使って「切開」と「止血」を同時に行う便利な機械をエネルギーデバイスと呼びます。主に以下の3つが頻出します。
1. 電気メス(高周波焼灼電源装置)
- 原理:「高周波電流」を組織に流し、その熱で組織の切開・凝固(止血)を行います。最も一般的なデバイスです。
- 特徴:切るボタン(黄色=Cut)と止血するボタン(青色=Coagulation)が分かれています。
- 注意点:患者さんの体に「対極板」を正しく貼らないと、予期せぬ部位で大ヤケド(熱傷)を起こす危険があるため、外回り看護師と連携したチェックが必須です。
2. 血管シーリングシステム(リガシュア等)
- 原理:電気メスの進化版。組織や太い血管を両側からギュッと挟み込み、コンピューター制御の電気熱と圧力によって「シール(血管などを溶接・封止)」します。
- 特徴:太さ7mmまでの血管なら、糸で縛らなくても確実に止血・封止したうえで、中央を内蔵の刃でカットできます。
- 用途:消化器外科や婦人科など、太い腸間膜や靱帯をスピーディーに処理する手術で強みを発揮します。
3. 超音波凝固切開装置(ハーモニック等)
- 原理:電気ではなく、先端の金属の「超音波振動(摩擦熱)」を利用して組織のタンパク質を凝固させ、同時に切開します。
- 特徴:電気メスよりも周囲の組織への「熱損傷(ヤケド)」の広がりが少なく、煙の発生も少ないため、神経や重要臓器のギリギリを通るような繊細な剥離・切離(甲状腺など)に最適です。
- 注意点:使用直後の先端金属は摩擦で数百度〜の超高温になっています。絶対に周囲の組織やドレープに触れさせてはいけません。
4. 新人がつまずく!よくあるミスと注意点
⚠️ ミス1:メス刃の着脱時に自分の指を切ってしまった…
【対策】メス刃をホルダーに装着・外す際は、絶対に指で刃を持ってはいけません。必ず「持針器」または専用の安全着脱ツールを使用して、刃の根元をしっかり把持して行いましょう。また、使用後の刃は必ず所定の鋭利物回収容器(シャープスコンテナ等)へ即座に破棄してください。
⚠️ ミス2:エネルギーデバイスの先端を掃除し忘れて、ドクターから「切れないよ」と言われる
【対策】電気メスや超音波装置の先端には、焦げた組織(炭化物)がすぐにこびりつきます。これが付着したままだと電流や振動が伝わらず、全く切れなくなります。術者が使用後、一時的に返してきたタイミング等で、こまめに専用のクリーナーや湿らせたガーゼで先端の汚れを丁寧に拭き取る(ブレードの破損に注意しながら)よう心がけましょう。
5. まとめ:切断・デバイスのマスターチェック!
💡 マスターチェックリスト
- □ 切開場所に応じて、適切なサイズ(円刃か尖刃か)のメスを選択できる。
- □ 安全な受け渡しのための中間ゾーン(トレイなど)を設置し、直接の手渡しを避ける工夫ができている。
- □ やむを得ず手渡しする際は、メスホルダーの先端を持ち、刃先を下向きにして安全に渡せる。
- □ 電気メス、血管シーリング、超音波凝固切開装置の「原理の違い(電気か超音波か)」を説明できる。
- □ エネルギーデバイスの先端の汚れを、術中こまめに取り除いている。
刃物と高いエネルギーが発生する機械を扱うこれらのデバイスは、手術室で「最も危険」と言える領域です。
自分の身を守ることと、患者さんの身を守ることは直結しています。正しい受け渡しのルールと、デバイスの持つ特徴をしっかり理解し、安全でスムーズな手術介助を目指しましょう!
・日本手術看護学会(編). 『手術室ナーシングマニュアル』.
・エネルギーデバイス各社(コヴィディエン、ジョンソン・エンド・ジョンソン等)添付文書・取扱いマニュアル
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