「エレバとラスパ、どっちがどっちだっけ…?」
「ドクターが使っている向きじゃない渡し方をして嫌な顔をされた…」
整形外科や脳神経外科などの器械出しに入り始めた新人オペ看の皆様、未知の器械の多さに困惑していませんか?
とくに「骨」を扱う手術において、骨膜を剥がしたり、不要な組織を削り取ったりする「剥離・除去する器具」は手術の要となります。
その代表格である「エレバトリウム(エレバ)」と「ラスパトリウム(ラスパ)」の名前の響きが似ていて、手術中に混乱してしまう新人は非常に多いです。
この記事では、エレバトリウムとラスパトリウムの違い、さらに鋭匙などの除去構造を徹底解剖。「どうしてその向きで渡す必要があるのか?」という理由までセットで分かりやすく解説します!
1. エレバとラスパの決定的な違いと用途
どちらも「骨」やその周囲の膜(骨膜)を扱う器械ですが、先端の形と「何をするか」が全く違います。
エレバトリウム(骨膜起子)
- 形状:先端がやや平べったく、少しカーブ(彎曲)しています。スプーンを浅くしたような形です。
- 用途:エレベーター(持ち上げる)という言葉が語源です。骨膜を持ち上げたり、骨から筋肉を「鈍的(マイルド)」に剥ぎ取るときに使用します。
また、切断器(骨切りなど)から奥の神経や血管を守るための「プロテクター(保護板)」としても使われます。
ラスパトリウム(骨膜剥離子)
- 形状:先端が鋭利なノミ(ヤスリ)のようになっており、やや鋭く尖っている、あるいは細かい溝があります。
- 用途:ラスプ(ヤスリ・削る)という言葉が語源です。骨膜にガリガリっと引っ掛けて「鈍的剥離」を行い、骨折面などの骨を完全に露出させるために使います。エレバよりも強く組織をこそげ落とすイメージです。
2. その他の「剥離・除去」する便利器械たち
エレバ・ラスパの他にも、手術室には「削る・剥がす」ための様々な職人アイテムがあります。
鋭匙(えいひ・ルンゲ)
先端が小さな「先割れスプーン」や丸い「計量スプーン」のような形をしており、縁が鋭利な刃になっています。
骨の表面の不良肉芽(不要な組織)や軟部組織を「掻爬(そうは=こそぎ落とす)」したり、硬膜の外側にある脂肪を除去するのに使用します。サイズ展開が豊富なので、骨の大きさに合わせて術前に確認します。
長谷川式(剥離・結紮鉗子)
鉗子の一種ですが、先端のカーブが絶妙で、組織を傷つけずに「くぐらせる」ことに特化しています。
深部の組織把持や剥離、血管の下をくぐらせて糸を誘導する(結紮処理を行う)などのシーンで活躍する名器械です。
3. 術者の「向き」に合わせる!器械出しのワザ
エレバトリウムやラスパトリウムには「彎曲(カーブ)」があります。
これをドクターに渡す際、「今、患者さんのどの位置(上からか、下からか)にある骨膜を剥がそうとしているか」を術野を見て判断する必要があります。
- 術野を確認し、術者が骨に対して器械を押し当てやすいカーブの向き(主にカーブの内側が骨側を向く等)で柄を手掌に渡します。
- 長谷川式などの鉗子系は、ラチェットを1段だけ掛けて(または閉じて)、先端が手掌側にくるように確実に柄を渡します。
4. 新人がつまずく!よくあるミスと注意点
⚠️ ミス1:先端に組織や血液がこびりついたまま渡してしまった
【対策】ラスパトリウムや鋭匙は「骨や肉芽を削る」器具であるため、一度使用して戻ってきた器械の先端には、削りカス(組織片)がびっしり詰まっています。
そのまま返すと「滑って削れない」「不潔・感染のリスク」になります。使用済みの器械を受け取ったら、必ず濡れガーゼ等で先端の汚れを綺麗に拭き取ってから器械台に置きましょう。
⚠️ ミス2:術前のサイズ選択のミス
【対策】エレバトリウムなどの先端の「幅」はミリ単位で異なります。指の手術に巨大なエレバは使えません。術前にレントゲン等で「どの部位の骨の手術か」を確認し、ドクターにはあらかじめ大きいものと小さいもの(幅やカーブの違うもの)を複数準備してすぐ出せるようにしておきましょう。
5. まとめ:剥離・除去器械のマスターチェック!
💡 マスターチェックリスト
- □ エレバ(持ち上げ・保護)とラスパ(そぎ落とし・露出)の違いを説明できる。
- □ 術前の器械展開時に、破損(刃こぼれや弯曲の異常)がないか確認している。
- □ 術野の骨の大きさに合わせて、適切な幅とカーブのエレバを選択できる。
- □ 術者が使用している彎曲の向き(アプローチの角度)に合わせてスムーズに渡せる。
- □ 使い終わった器械の「先端の組織・血液汚れ」を確実に拭き取ってから渡している。
骨や硬い組織に対する手術は、力を要する作業が多くなります。先端がすり減っていれば安全な手術はできませんし、渡し方が甘ければドクターが器械を落として不潔にしてしまいます。
名前がそっくりなエレバとラスパですが、「エレベーター(上げる)」「ラスプ(削るヤスリ)」という英語の語源で覚えると、絶対に忘れませんよ!自信を持って器械出しに臨んでくださいね!
・日本手術看護学会(編). 『実践 手術看護マニュアル』.
・整形外科手術手技に関する専門書及び器械メーカーカタログ
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