※医療・看護ケアや手順・器械は施設の方針に従ってください
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ガウンを着たあと、器械台の前で手が止まっていませんか?
- 「コンテナを開けたけれど、何から出せばいいか分からない」
- 「メイヨー台とバックテーブル、どちらに何を置くの?」
- 「手術の後半になると、器械台がぐちゃぐちゃになる」
器械台の展開は、ただ器械を並べる作業ではありません。
手術の流れに合わせて、器械の点検・配置・カウントの土台を、執刀前に作っておく準備です。
この記事では、器械台を展開する手順、メイヨー台とバックテーブルの使い分け、術中に崩さないコツを、日本手術医学会のガイドラインに沿って整理します。
手術室で10年働き、診療科リーダーとして新人指導にもあたってきた私も、初めて1人で器械出しに入った日は、器械台の前で泣きそうになっていました。
あのころの私に渡したかった内容です。
\オペ看1838人のリアルな声/
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カウントしやすい器械台の展開と動線設計、どれだけ頭に入っていますか?
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器械台の展開とは?点検までが準備
結論から言うと、器械台の展開は手術の順番に合わせて器械を並べ、組み立て、壊れていないか確かめるところまでを指します。

日本手術医学会のガイドラインでは、手術前の器械展開を次のように説明しています。
ガイドラインでいう「器械展開」に含まれること
- 手術の進行に合わせて、使う順番に並べる
- 必要な器械を組み立てる
- 形・摩耗・ねじの緩み・かみ合わせ・ラチェットの固さを確かめる
つまり、きれいに並べるだけでは展開は終わりません。壊れた器械を術野に出さないための点検も、器械出し看護師の大事な仕事です。
もうひとつの目的は、カウントの基準を作ることです。手術開始前のカウントは、その後のすべてのカウントの基準(ベースライン)になります。
数えやすく並べておくことが、体内遺残を防ぐ第一歩になります。
展開の4つの基本原則
器械台を展開するときは、次の4つを満たしているかを意識します。
| 原則 | ねらい |
|---|---|
| 清潔を保てる | 腕を大きく伸ばさず、清潔野の中で作業が終わる |
| 一目でわかる | どこに何があるか、探さずに見つかる |
| サッと取れる | 絡まらず、迷わずに手に取れる |
| 数えやすい | 重ならず、種類ごとにまとまっている |
この記事は、この4つを「なぜそう置くのか」という理由と一緒に説明していきます。
メイヨー台とバックテーブルの使い分け
結論として、今すぐ使うものはメイヨー台、あとで使うものはバックテーブルと考えると整理しやすくなります。
施設によって呼び方は違い、「器械台」「後ろ台」「メイヨー」などと呼ばれます。まずは配属先の呼び方を確認しましょう。
| メイヨー台 | バックテーブル | |
|---|---|---|
| 位置 | 術野のすぐ近く | 器械出し看護師の後ろや横 |
| 置くもの | 今の場面で使う器械 | 器械セット全体・予備・あとで使う物品 |
| 入れ替え | 場面が変わるたびに入れ替える | 基本の配置は大きく変えない |
ガイドラインでも、器械台は術野に近く、器械出し看護師の動線の範囲内に置くとされています。
あわせて、電気メスなどのコード類が医師や器械出し看護師の手技の妨げにならないよう配慮することも求められています。
メイヨー台は「次の10分」の台
メイヨー台には、すべての器械を載せる必要はありません。今の場面と次の場面で使うものだけを置きます。
たとえば開腹手術の始まりなら、メス・鑷子・電気メス・ガーゼ・筋鈎あたりです。開腹が終わったら、開創器や長めの鉗子に入れ替えていきます。
場面ごとの器械の流れは、開腹手術の器械出しの流れで詳しく紹介しています。
施設や術式で使い方は変わる
腹腔鏡の手術ではメイヨー台を使わず、バックテーブルだけで進める施設もあります。
台の数や置き場所は、施設と術式によって違います。最初は先輩の配置を写真やメモで残し、それを基本形にするのが近道です。
器械台を展開する手順と、展開時の点検
結論として、展開は「滅菌の確認 → 配置 → 点検 → カウント」の順で進めると抜けが減ります。

- 滅菌状態を確かめる:包装の破れ・つぶれ、インジケーターの変色、期限を見る
- コンテナと台の位置を決める:術野・術者・自分の立ち位置から逆算する
- 使う順番に並べる:最初に使うものほど手前、あとで使うものは奥へ
- 組み立てて点検する:ねじの緩み・かみ合わせ・ラチェットを確かめる
- カウントする:外回り看護師とダブルカウントし、基準を作る
1.滅菌物は「開ける前」に確かめる
ガイドラインは、滅菌物を清潔野に出すときに、包装の破損・つぶれ・折れ曲がり、インジケーターの変色、保管期間を確認するよう求めています。
一つでも気になる点があれば、その器械は使いません。外回り看護師に伝えて、別のセットを出してもらいます。
また、器械台の上に一度出した単回使用の器材は、使わなくても廃棄が必要です。「念のため」で開けすぎないことも大切です。
2.点検は「動かして」確かめる
見た目がきれいでも、動かすと不具合に気づくことがあります。展開のときに、次の点を手で確かめます。
- 鉗子は先端がずれずにかみ合うか、ラチェットが固すぎ・緩すぎないか
- 剪刀は刃こぼれがなく、最後まで切れるか
- 開創器や組み立て式の器械は、ねじが緩んでいないか
- 部品が足りない器械はないか
不具合を見つけたら、その器械は術野に出さずに外回り看護師に伝え、替えを出してもらいます。
3.カウントは外回り看護師と一緒に
ガイドラインでは、手術開始前のカウントを外回り看護師などとダブルカウントすることが望ましいとしています。
カウントの対象はガーゼだけではありません。針などの鋭利物、手術器械、小物品も含まれます。
数え方やタイミングは、施設の手順に従います。
配置の考え方① 動線を短くする
結論として、よく使う器械ほど手前、同時に使う器械は隣同士に置きます。
器械出しの動線とは、「目で探す → 手を伸ばして取る → 術者に渡す」までの動きです。この動きが短いほど、迷いもミスも減ります。
| 置き方 | 具体例 |
|---|---|
| よく使う → 手前 | 鑷子・剪刀・ガーゼ |
| あとで使う → 奥 | 開創器・特殊な器械 |
| 一緒に使う → 隣 | 持針器と糸と糸切り剪刀 |
| 使う順 → 一方向 | メス → 電気メス → 剪刀 → 筋鈎 |
使う順番に並べるには、手術の流れが頭に入っている必要があります。
私は1年目のころ、前日に「ガウンを着たら、まず何から器械台を整えるか」「最初に何を渡すか」を紙に書き出していました。
器械出しは、清潔野に立つとメモを見られません。だから本番前に、頭の中で一度その手術を担当しておくことが大切でした。
清潔を保つための動き方
動線が長いと、清潔の面でも危険が増えます。たとえば、こんな動きです。
- 奥の器械を取るために、手前の器械の上を腕が横切る
- 器械台の端から端まで、体ごと大きく手を伸ばす
- 下の器械を取るために、上の器械をかき分ける
清潔とみなすのは、基本的に器械台の上面です。台の縁から垂れた覆布や、台より低い位置は清潔とみなしません。
ガウンも、背中や脇の下は清潔とみなさないのが基本です。範囲の決まりは施設の手順を確認してください。
「無理に動かなくても取れる配置」にしておけば、こうした動きはしなくて済みます。
配置の考え方② 数えやすく置く
結論として、重ねない・まとめる・向きを揃えるの3つで、カウントの間違いは起きにくくなります。

ガーゼや針、器械が体内に残ることは、絶対に防がなければならない事故です。
「数えようとしたら数えられる」では足りません。見た瞬間に、足りない・多いに気づける配置を目指します。
ガーゼの置き方
- 束のまま重ねず、少しずつずらして1枚ずつつまめるようにする
- X線造影糸の入った側の向きを揃える
- 未使用のガーゼと使用済みのガーゼを同じ場所に置かない
使用済みガーゼの数え方や置き場所は、外回り看護師と施設の手順で決まっています。最初に確認しておきましょう。
針・小物は「定位置」を決める
縫合針やメスの刃などの小物は、針カウンターや専用のトレーなど、決まった場所で管理します。「ちょっとそこに置く」が紛失のもとです。
カウントが合わないときの順番
どれだけ整えていても、カウントが合わない場面はあります。そのときに慌てないよう、順番を決めておきます。
- 執刀医と外回り看護師に、合わないという事実をすぐ伝える
- 再カウントする
- 執刀医に術野を確認してもらう
ガイドラインでも、カウントが合わないときは術者へ直ちに報告し、手術メンバーと協力して術野を捜索するとされています。
私も最初は「先生も術野を探してください」と言い出すのに、とても勇気がいりました。でも、カウントは一人で抱えるものではありません。
器械の種類別・配置のコツ
結論として、危ない物は一か所に集め、同じ種類は同じ向きで並べるのが基本です。
メス・針糸は「鋭利ゾーン」にまとめる
私が新人に必ず伝えていたのは、メスや針糸などの鋭利物の置き場所を決めて「鋭利ゾーン」を作ることです。
鋭利物があちこちにあると、別の器械を取るときに手を切る危険があります。置き場所を一つに決めておけば、どこが危ないかが自分にもまわりにも分かります。
メスの刃は自分やまわりの人に向けない向きで置きます。ガイドラインでは、手から手に渡さず、ニュートラルゾーン(受け渡し用の中間地点)を設ける方法も紹介されています。
メスの渡し方はメスの渡し方と電気メスの記事で詳しく解説しています。
剪刀は種類ごとにまとめる
剪刀は、刃先の形や長さで用途が違います。剪刀(ハサミ)の種類や、クーパーとメッツェンバウムの違いを押さえたうえで、種類ごとにまとめて置きます。
鉗子は種類別・長さ順に
ペアン・コッヘル・ケリーなどの鉗子は、数が多い器械です。種類ごと、短いものから長いものへ並べ、指を入れるリングの向きを揃えます。
新人が最初につまずきやすいのは、ペアンとコッヘルの見分けです。先端に鉤があるかどうかの違いなので、展開のときに一本ずつ先端を見て分けておきます。
持針器と糸は「縫合セット」に
持針器・縫合糸・糸切り剪刀は、一か所にまとめておきます。縫合の場面に入ったら、セットごとメイヨー台の手前へ移すとスムーズです。
糸の種類は縫合糸と縫合針の使い分けで確認できます。
コード類は絡ませない
電気メスや吸引のコードが器械台の上でとぐろを巻くと、器械に絡んで落下の原因になります。
コードは術野まで最短で渡し、余った分は施設で決められた方法でドレープに固定します。固定に鉗子を使った場合は、その鉗子もカウントに含めます。
術中に器械台を崩さないコツ
結論として、返ってきた器械はすぐ元の場所に戻す。これだけで、器械台はかなり崩れにくくなります。
使ったら戻す・汚れはその場で拭く
返ってきた器械に血液や組織が付いていたら、湿らせたガーゼでさっと拭き取ってから定位置に戻します。
ガイドラインでも、器械が常によい状態で使えるよう、術中もメンテナンスを行うことが器械出し看護師の役割とされています。
場面ごとにメイヨー台を入れ替える
開腹・剥離・切除・縫合と場面が変わったら、もう使わない器械はバックテーブルへ戻し、次に使う器械を手前に出します。
「次に渡す器械」だけでなく、次に空けておきたい場所も考えておくと、追加の器械が来ても慌てません。
清潔野の薬剤にはラベルを貼る
清潔野に局所麻酔薬や生理食塩液、消毒薬が並ぶと、取り違えの危険があります。
ガイドラインは、清潔野の薬剤にも少なくとも薬剤名と濃度を書いたラベルを付け、消毒薬は使用後すみやかに清潔野から撤去すべきとしています。
日本医療機能評価機構の医療安全情報でも、清潔野に置いたままの消毒剤を誤って投与した事例が報告されています。
不潔になったら、すぐ替える
器械が不潔になった、またはその疑いがあるときは、すみやかに交換します。迷ったときは「清潔だと言い切れるか」で判断し、言い切れなければ替えます。
新人がやりがちな失敗と対策
結論として、失敗の多くは手術の流れを知らないまま並べ始めることから起きます。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| とりあえず全部出して並べる | 使う順と場面を先に決めてから並べる |
| 毎回置き場所が変わる | 基本形を決め、同じ住所に置く |
| 点検せずに並べる | 展開のときに動かして確かめる |
| 足りない器械を言い出せない | すぐ外回り看護師に伝えて出してもらう |
私が初めて1人で器械出しに入ったのは、婦人科の腹腔鏡手術でした。
ドレーピングのあと、何も言わずに手を差し出す執刀医を前に、何から渡せばいいのか分からず泣きそうになったのを覚えています。
あのとき足りなかったのは、器械の名前ではなく手術の流れの理解でした。流れが分かると、並べる順番も自然に決まります。
器械出し全体の考え方は、上のセミナー動画(メンバー限定)でも解説しています。
指導者向け:置く理由も一緒に教える
結論として、形だけでなく「なぜそこに置くのか」を伝えると、新人は別の術式にも応用できるようになります。

| 伝わりにくい教え方 | 伝わる教え方 |
|---|---|
| 「写真のとおりに並べて」 | 「よく使うから手前に置こう」 |
| 「ダメなものはダメ」 | 「針が引っかかると危ないから奥へ」 |
| 終わってからまとめて指摘 | 展開の途中で一緒に動線を確かめる |
新人指導にあたっていたころは、目標を一つにしぼって伝えるようにしていました。たくさんのアドバイスは、新人にはキャパオーバーになるからです。
「今日は鋭利ゾーンだけ意識しよう」のように、一回の手術で一つ。それを積み重ねるほうが、結果的に早く身につきます。
手術前に器械の受け渡しを一緒に練習したり、手術の終わりに器械台を見ながら振り返ったりするのも効果的です。
置き場所に迷ったときの3つの質問
結論として、迷ったら「見やすい・取りやすい・数えやすい」がそろうかで判断します。
- その器械は、よく使う?(よく使う=手前)
- 手術のどの場面で使う?(使う順に並べる)
- パッと見て数えられる?(重なっていない)
並べ方の手順をもっと細かく知りたい方は、器械出しの並べ方|器械台準備のコツもあわせて読んでみてください。
よくある質問
器械台の展開について、新人からよく聞かれる疑問に短く答えます。
Q. 器械台はいつ展開する?
施設によって違います。展開してから時間がたつほど、汚染の機会は増えます。
展開のタイミングと、展開後に覆うかどうかは、施設の手順を確認してください。
Q. 執刀医の好みに合わせていい?
基本の配置を決めたうえで、好みに合わせて足すのがおすすめです。基本形まで毎回変えると、カウントや交代のときに混乱します。
Q. 器械台がいっぱいになったら?
使い終わった器械をバックテーブルへ戻し、メイヨー台に余白を作ります。足りない器械や台が必要なら、外回り看護師に伝えます。
Q. 器械の不具合を見つけたら?
その器械は術野に出さず、外回り看護師に伝えて替えを出してもらいます。どの器械が、どう不具合だったかも伝えておくと、修理や点検につながります。
まとめ:器械台の展開は、執刀前の安全確認
器械台の展開は、手術の流れを読み、器械を点検し、カウントの土台を作る準備です。
✅ 執刀前にこれできてる?器械台5つのチェック
- 滅菌の包装・インジケーター・期限を確かめた?
- メイヨー台には「今と次の場面」の器械だけを置いた?
- 鉗子のかみ合わせ・ラチェット・ねじを確かめた?
- メス・針糸は鋭利ゾーンにまとめた?
- 外回り看護師とダブルカウントした?
最初から完璧な器械台を作れる新人はいません。私も先輩の器械台をまねするところから始めました。
次の手術では、まず鋭利ゾーンを一か所決めることから試してみてください。それだけで、器械台の見え方が変わります。
参考文献
◆ ごあいさつ
初めまして、オペ看めろん🍈です。
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・オンコールに入っても、手当がほとんど出ない
・あと5万円くらい上げたいけれど、どこを見れば分かるのか知りたい
ここまで読んで勉強しているあなたは、確実に伸びているオペ看です。ただ、その頑張りに手当がついてくるかどうかは、正直なところ病院しだい。オペ室手当もオンコール手当も0円という職場は実在しますし、逆にどちらもきちんと出る病院もあります。
私がいつも見ているのは、求人票の「手当欄」です。転職するかどうかは後で決めればよくて、いまの職場が相場のどのあたりにいるのかを知っておくだけでも、気持ちはずいぶん違いますよ。
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