【僧帽弁形成術(MVP)】手術手順と器械出し看護のポイント!心外オペ看向け完全ガイド

心臓血管外科・呼吸器
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心外のオペ…ついていけるか不安ではありませんか?

  • スピードが速すぎて頭が追いつかない…
  • 僧帽弁形成術の糸や器械が多すぎてパニック…
  • 怒られないように事前にしっかり準備したい…

心臓血管外科の手術は、他の外科と比べても 圧倒的にスピードが速く、情報量も多い領域です。

とくに1〜5年目のオペ看にとっては、 「未知の用語と手順の連続」 に感じるのも無理はありません。

結論:理解すれば“先読み”できるようになる

心外オペは暗記ではなく、 「なぜ?」の理解 がすべてです。

理解前 理解後
・ただ覚えるだけ
・展開についていけない
・常に受け身
・理由が分かる
・次が予測できる
・先回りして動ける

あなたがスムーズに器械出しできるようになると…

  • 手術時間の短縮
  • 心筋虚血時間の軽減
  • 患者さんの回復促進

→ つまり「患者の心臓を守る看護」そのものです

この記事で学べること

本記事では、 僧帽弁形成術(MVP) の流れを、

  • 皮膚切開〜閉胸まで
  • 器械出し看護師の視点
  • 「なぜその器械・糸なのか」まで解説

次のオペ、もう怖くない。

「分からない」から「先読みできる」へ。

この記事で、自信を持ってオペに臨めるあなたへ。

    1. 結論:理解すれば“先読み”できるようになる
    2. この記事で学べること
  1. 僧帽弁形成術(MVP)の基礎知識と手術の目的
    1. 僧帽弁閉鎖不全症(MR)とは?
    2. なぜ「置換」ではなく「形成」なのか?
  2. 【第1段階:術前準備と消毒・ドレーピング】
    1. I. 消毒の準備とポイント
    2. II. ドレーピング(清潔野の確立)
  3. 【第2段階:皮膚切開から胸骨正中切開】
    1. III. 皮膚・筋層切開
    2. IV. 胸骨正中切開と止血
  4. 【第3段階:心膜切開から人工心肺(CPB)の準備へ】
    1. V. 心膜切開と吊り上げ(Pericardiotomy)
    2. VI. カニュレーション(送脱血用カテーテル挿入)の準備とテーピング
  5. 【第4段階】カニュレーション(送脱血管の挿入)と人工心肺の開始
    1. VII. カニュレーション(送血・脱血管挿入)の実際
    2. VIII. 左室ベント(Venting)の糸かけと挿入
  6. 【第5段階】心停止の瞬間:大動脈遮断と心筋保護
    1. IX. 大動脈遮断と心筋保護(順行性)
    2. X. 心筋保護(逆行性)カテーテルの挿入
  7. 【第6段階】僧帽弁到達へのアプローチ:経中隔切開
    1. XI. 心房中隔の切開と視野の展開
  8. 【第7段階】いざ、僧帽弁の形成・置換へ!病変の検索と修復
    1. XII. 僧帽弁の検索と切除・サイジング
    2. XIII. 僧帽弁リングの逢着(置換・形成の糸かけ)
  9. 【第8段階】心房の閉鎖から大動脈遮断解除(心拍再開)
    1. XIV. 心房中隔の閉鎖
    2. XV. 上行大動脈遮断解除と心拍再開の確認
  10. 【第9段階】人工心肺離脱から抜管(デカニュレーション)
    1. XVI. 体外循環離脱とカニューラ抜去
  11. 【第10段階】徹底的な止血と閉胸への道のり
    1. XVII. 止血の仕上げ
    2. XVIII. 洗浄と胸腔ドレーン挿入
    3. XIX. ペースメーカーワイヤーの挿入(一時的ペーシング)
    4. XX. 胸骨閉鎖(ワイヤリング)
    5. XXI. 筋層・皮下・皮膚縫合〜XXII. ドレッシング
  12. まとめ:僧帽弁形成術における手術室看護の要点整理
      1. 参考文献
    1. ◆ ごあいさつ
    2. ◆ コメントのお願い
    3. ◆ 関連おすすめ記事
    4. ◆ オペ看勉強コンテンツ

僧帽弁形成術(MVP)の基礎知識と手術の目的

手術の具体的な手順に入る前に、まずは「僧帽弁形成術」とはどんな手術なのか、基礎となる病態や目的を整理しましょう。心臓の構造をイメージできると、術中の医師の動きが手にとるようにわかるようになります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)とは?

僧帽弁閉鎖不全症(MR)とは、 僧帽弁が閉じず、血液が逆流してしまう病気 です。

正常 MR(異常)
弁がしっかり閉じる
→ 一方向に血流
弁が閉じない
→ 左心房へ逆流

心臓の弁は 「逆流防止弁」 の役割を持っています。

しかし、

  • 加齢による変性
  • 感染性心内膜炎
  • 心筋梗塞後の影響

などにより、 弁や腱索が障害される と、正常に閉じなくなります。

MRの進行イメージ

左心室 →(逆流)→ 左心房 →(うっ血)→ 肺 →(水が溜まる)→ 心不全

逆流を放置すると、 心臓に大きな負担 がかかります。

「もっと血液を送り出さなきゃ」と無理を続けた結果、 最終的には 心不全 に至ります。

主な治療法

  • 僧帽弁形成術(弁を修復)
  • 僧帽弁置換術(人工弁へ交換)

なぜ「置換」ではなく「形成」なのか?

形成術 置換術
自己弁を温存
抗凝固リスク低い
心機能が保たれやすい
人工弁へ交換
ワーファリン必要
合併症リスクあり

近年では、 「可能な限り自己弁を残す」 ことが重視されています。

これは、 長期的な予後や生活の質を高めるため です。

ただし、形成術には高度な技術が必要

・術中の判断が多い
・特殊な器械・縫合糸を使用

そのため、 器械出し看護師のサポートが手術成功の鍵 となります。

【第1段階:術前準備と消毒・ドレーピング】

患者さんが入室し、麻酔導入・体位固定(仰臥位)が終わると、いよいよ準備が始まります。
心臓血管外科では、術野を展開する前の「準備」が手術の成否を分けると言っても過言ではありません。

I. 消毒の準備とポイント

手術展開・手技使用器械・物品器械出しのポイント
1. 前胸部から膝下にかけてエタノール含有消毒剤等で消毒。
2. 同部位をポビドンヨード(イソジン等のヨウ素系消毒液)で重ねて消毒。
・消毒カップ、膿盆
・アルコール綿球
・ヨウ素系消毒液と綿球
※アルコール綿球は直前に出す!
・電気メスの設定を行っておく(外回りと声出し確認)。
・止血用具やヘパリン入り生食(200ml程度)を器械台に準備。

💡器械出しの心得:先回りのセットアップ
大がかりな手術であるため、消毒の前から「止血材(酸化再生セルロース等)」を切り分けておく、ヘパリン入り生食をシリンジに用意しておく、などの作業を並行して完了させておきます。

II. ドレーピング(清潔野の確立)

手術展開・手技使用器械・物品器械出しのポイント
1. メーヨ台にスタンドカバー・準備用ドレープをかける。
2. 心臓用の大ドレープをかけ、切開部位に透明のインサイズドレープを貼付する。
・ドレープ類一式
・透明のインサイズドレープ(切開部用)
・各種チューブやコード類の固定テープ
コード類の落下方向に注意!
電気メス、サクション(吸引)、除細動用コード(DCコード)は、後で操作しやすいように執刀医側へ下ろします。
自己血回収装置(セルセーバー)のラインや、心筋保護回路などの太いルートは人工心肺(MEさん)側へ下ろします。

【第2段階:皮膚切開から胸骨正中切開】

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