CABG(冠動脈バイパス術)の手術手順|器械出し・外回り看護ポイント

心臓血管外科・呼吸器
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『冠動脈バイパス術の器械出し看護ができるようになりたい』
『心臓手術の器械出しが苦手で自信がない…』
『CABGの流れや看護ポイントをしっかり理解したい』

そんな不安や悩みを感じていませんか?

冠動脈バイパス術は、工程が多く使用器械も特殊で、
器械出し・外回りともに高いレベルが求められる手術です。

  • なんとなく流れは分かるけど、自信を持って動けない
  • 次に何が来るのか予測できない
  • 緊張して器械出しがうまくいかない

ですが安心してください。
CABGは流れとポイントを体系的に理解すれば、確実に動けるようになる手術です。

この記事では、

  • 手術の全体像
  • 器械出し看護の具体的な動き
  • 外回り看護で押さえるべきポイント

を、現場でそのまま使えるレベルで分かりやすく解説しています。

「ただ知識を知るだけ」ではなく、
“明日から実際に動けるようになる”ことをゴールにした内容です。

CABGに苦手意識がある方も、これから担当する方も、
ぜひ最後まで読んで、自信を持って手術に臨める状態を目指しましょう。

  1. 冠動脈バイパス術(CABG)とは
    1. ■ 手術の目的
    2. ■ イメージ
    3. ■ 背景(虚血性心疾患)
    4. ■ 他の治療との違い
    5. ■ ポイント
  2. 手術開始までの準備
  3. 術野準備の流れ(CABG)
    1. ① 術野の消毒
    2. ② ドレーピング
    3. ③ 機器セッティング
    4. ポイント
  4. 皮膚切開~胸骨正中切開・心膜切開
    1. 胸骨正中アプローチの手術手順
    2. ① 皮膚・筋膜の切開
    3. ② 胸骨正中切開
    4. ③ 胸腺組織の処理
    5. ④ 心膜切開
    6. ポイント
  5. オンポンプとオフポンプ — 同じCABGでも別の手術です
    1. 術前に確認しておきたいこと
  6. 【保存版】CABGで準備する器械・物品一覧
  7. 冠動脈バイパス用の動静脈採取
    1. グラフト採取手順(CABG)
    2. ① 大伏在静脈(静脈グラフト)
    3. ② 橈骨動脈(動脈グラフト)
    4. ③ 胃大網動脈
    5. ④ 内胸動脈(ITA)
    6. まとめ
  8. なぜグラフトの種類を使い分けるのか
    1. 吻合中は「手を止めない」ための段取り
  9. カニュレーション開始【人工心肺下で行う場合】
  10. 冠動脈(末梢側)の吻合準備
    1. 冠動脈吻合(末梢側)の手術手順
    2. ① 冠動脈の剥離
    3. ② グラフト血管の準備
    4. ③ 冠動脈切開・内腔拡張
    5. ④ 内腔保持・シャント挿入
    6. まとめ
  11. バイパス用血管-冠動脈吻合の開始
    1. 冠動脈吻合(末梢側)の手技と看護ポイント
    2. ① 静脈・橈骨動脈グラフト吻合
    3. ② 胃大網動脈グラフト吻合
    4. ③ 内胸動脈グラフト吻合
    5. ④ 器械出し看護ポイント
    6. ⑤ 外回り看護ポイント
    7. ⑥ 吻合終了時の対応
  12. 冠動脈(末梢側)の吻合の終了
  13. 大動脈(中枢側)吻合【大伏在静脈・橈骨動脈をバイパス用血管とした場合】
    1. 大動脈(中枢側)吻合の手順
    2. ① 吻合部位の作成(アオルタパンチ)
    3. ② グラフト血管の準備
    4. ③ 大動脈-グラフト吻合
    5. ④ エア抜き(デエアリング)
    6. まとめ
  14. バイパス用血管-冠動脈吻合の終了
  15. カニュレーション終了【人工心肺下で行う場合】
  16. フローメーターにて冠動脈流量の測定
    1. 冠動脈バイパス術後の血流評価
    2. ① 冠動脈流量の測定
    3. ② 循環動態の確認
    4. ③ 冠動脈流量の目安
    5. まとめ
  17. 吻合部の止血・洗浄・ドレーン挿入
  18. ペースメーカーリードの挿入
  19. 胸骨閉鎖・閉創
  20. 手術終了~患者退室
  21. 【外回り看護】CABGで見ておくこと
    1. ① 抗凝固の管理
    2. ② 体温と循環動態
    3. ③ 記録
  22. CABGのよくある疑問
    1. Q. 詰まった血管そのものは治さないの?
    2. Q. 血管を採ってしまって、その場所は大丈夫なの?
    3. Q. 1年目でも器械出しに入れる?
  23. CABGで注意すべき合併症
  24. 手術終了後の申し送りで伝えること
  25. CABGでよくあるミスと対策
  26. 新人オペ看がつまずきやすい2つのポイント
    1. ① 同時に2か所で手術が進んでいて混乱する
    2. ② 吻合が何本あるのか分からなくなる
  27. CABGの用語集
  28. 冠動脈バイパス術(CABG)手術看護まとめ
    1. ◆ ごあいさつ
    2. ◆ コメントのお願い
    3. ◆ 関連おすすめ記事
    4. ◆ オペ看勉強コンテンツ

冠動脈バイパス術(CABG)とは

■ 手術の目的

狭くなった冠動脈の先に新しい血管(グラフト)をつなぐことで、
血流をバイパスし、心筋への血液供給を保つ手術。

■ イメージ

【狭窄部】→❌血流低下
↓
【バイパス作成】→⭕別ルートで血流確保

■ 背景(虚血性心疾患)

冠動脈が狭くなることで血流が低下し、
心筋に十分な酸素が届かなくなる状態。

重症例では血管が完全に閉塞していることもある。

■ 他の治療との違い

  • バイパス術:新しい血管をつなぐ(迂回路を作る)
  • カテーテル治療:血管を内側から広げる・削る
  • ステント治療:金属の筒で血管を広げた状態に保つ

■ ポイント

「詰まったところを治す」のではなく、
「新しい道を作る」のがCABGの最大の特徴。

手術開始までの準備

術野準備の流れ(CABG)

① 術野の消毒

前胸部から膝下までを広範囲に消毒する。
CABGではグラフト採取も考慮し、下肢まで含めて準備するのが特徴。

② ドレーピング

冠動脈バイパス手術用ドレープを使用し、術野を確保する。

  • ドレーピングを実施
  • イソジンドレープなどを貼付し、清潔野を保持

③ 機器セッティング

手術開始に備え、各種デバイスを準備する。

  • 電気メスの接続・動作確認
  • サクションチューブの準備
  • その他デバイス類のセッティング

ポイント

CABGでは「胸部+下肢」を同時に扱うため、
消毒範囲・ドレーピング範囲が広い点に注意。

皮膚切開~胸骨正中切開・心膜切開

胸骨正中アプローチの手術手順

① 皮膚・筋膜の切開

胸骨正中をランドマークに、胸骨上窩から剣状突起下まで皮膚切開を行う。
その後、胸骨が露出するまで筋膜・皮下組織を順次切開する。

② 胸骨正中切開

  • 電動骨切開器を使用し、胸骨上縁から下縁へ縦切開
  • 骨髄出血は骨止血材や電気メスで止血
  • 胸骨開創器や開胸器で胸骨を左右に開く
器械出し看護ポイント
・電動器械は使用前に必ず作動確認
・未使用時は誤作動防止(電源オフ・バッテリー管理)
・安全管理を徹底する

③ 胸腺組織の処理

前縦隔の胸腺組織を確認し、吸収糸で結紮・処理を行う。

④ 心膜切開

  • 吸引や鉗子で視野を確保しながら心膜を切開
  • 心膜に牽引用の糸をかけ、開創器に固定

ポイント

胸骨正中アプローチでは、
「安全な視野確保」と「出血コントロール」が重要。
特に電動器械の取り扱いは安全管理が最優先となる。

オンポンプとオフポンプ — 同じCABGでも別の手術です

オンポンプとオフポンプの比較図。オンポンプは人工心肺で心臓を止めて吻合、オフポンプは心臓を動かしたままスタビライザーで固定して吻合する

CABGには、大きく分けて2つのやり方があります。前日の情報収集で、まずここを確認してください。

準備するものが根本的に変わります。

オンポンプ(人工心肺を使う)オフポンプ(人工心肺を使わない)
心臓の状態心停止させ、動かない状態で吻合する心臓が動いたまま吻合する
必要な器械カニューレ、心筋保護、ベント一式スタビライザー、ハートポジショナー、シャント
吻合の難度視野が安定していて縫いやすい動いている血管を縫うため難度が高い
体への負担人工心肺による全身への影響がある人工心肺の影響を避けられる
器械出しの山場カニュレーションと心筋保護の管理吻合中の連続介助。手を止められない

🫀 オフポンプは「途中で人工心肺に切り替わる」ことがあります

心臓を動かしたまま操作するため、血圧が下がったり、不整脈が出たりして続けられなくなることがあります。その場合、緊急で人工心肺へ移行します。

だからオフポンプの日でも、人工心肺の準備は部屋の中にあります。「使わない予定だから」と片付けてはいけません。切り替えが必要になったとき、数分の遅れが患者さんの状態を左右します。

術前に確認しておきたいこと

  • オンポンプかオフポンプか — 準備が根本的に変わります
  • バイパスの予定本数 — 手術時間と糸の必要量に直結します
  • 使用するグラフトの種類と採取部位 — 消毒・ドレーピングの範囲が変わります
  • グラフトの採取方法(直視下か内視鏡的か)— 専用の器械が必要になります
  • 再手術かどうか — 癒着があり、剥離に時間がかかります
  • 他の手術を併施するか(弁の手術など)— 大きく段取りが変わります

特にグラフトの採取部位は消毒範囲に直結します。脚から採るなら下肢まで、腕から採るなら上肢まで。

ドレーピングを始めてから「そこも消毒が必要だった」となれば、やり直しです。

【保存版】CABGで準備する器械・物品一覧

グループ主な内容押さえるポイント
①開胸胸骨鋸、開胸器、骨髄止血剤、胸骨ワイヤー胸骨鋸は作動確認とバッテリー管理
②グラフト採取採取用の器械(内視鏡的採取を含む)、クリップ、保存液採取後はすぐ保存液へ
③人工心肺送脱血カニューレ、ターニケット、心筋保護カニューレ、ベントオフポンプでも室内に用意
④吻合7-0・8-0モノフィラメント糸、微細持針器、微細鑷子、冠動脈用剪刀、シャント、ブロワー糸が非常に細い。本数管理を徹底
⑤オフポンプ用スタビライザー、ハートポジショナー使用する日は装着方法を事前確認
⑥仕上げフローメーター、止血材、ドレーン、ペースメーカーリード血流測定は吻合の合否判定

🧵 CABGは「細い糸との戦い」です

冠動脈は太いものでも数ミリしかありません。そこに髪の毛より細い糸で血管を縫いつけます。

この細さでは、1本紛失しただけで見つけるのが極めて困難です。吻合ごとに使用本数を区切り、その都度回収して数える。CABGの器械出しで最も神経を使う部分です。

冠動脈バイパス用の動静脈採取

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