脳外科手術に挑むあなたへ
多くの手術室看護師(オペ看)が一度は高い壁を感じる「脳神経外科手術」、その中でも基本中の基本であり、かつ最も重要な「開頭から閉頭までの基本の手術手順」について徹底的かつ詳細に解説していきます。
脳外科の手術と聞くと、「器械出しが難しそう」「手順が細かくて覚えるのが大変」「マイクロスコープ(顕微鏡)下の操作になると何をしているのか見えにくい」といった不安や緊張を抱える方が多いのではないでしょうか。特に経験年数が1〜3年目のオペ看にとっては、急変時の対応や独特の器械の多さに圧倒されてしまうことも少なくありません。
しかし、安心してください。脳外科手術にも「共通する確立された基本の手順」が存在します。この「基本の型」さえしっかりと頭に叩き込んでおけば、腫瘍摘出術であっても、動脈瘤クリッピング術であっても、血腫除去術であっても、ベースとなる動きは同じです。応用はすべて基本の上に成り立っています。この記事では、各ステップにおいて「医師が今何をしているのか」「次に何を求めているのか」「看護師としてどこに注意すべきか」を分かりやすく丁寧に解説します。
明日からの脳外科手術で、少しでも「次に来る器械が予測できた!」「落ち着いて介助できた!」という成功体験を積めるよう、一緒に学んでいきましょう!
- 第1章:手術開始前の準備(体位固定、ピン固定、ナビゲーション設定、消毒・ドレーピング)
- 第2章:皮膚切開から骨露出まで(皮弁作成、クリップ止血、筋層・骨膜の剥離)
- 第3章:開頭術(穿頭〜骨弁作成)(ドリル操作、ルーター、硬膜外出血のコントロール等)
- 第4章:硬膜切開から顕微鏡下操作へ(硬膜の吊り上げ、マイクロインスツルメントへの移行、術野管理)
- 第5章:閉頭作法(硬膜縫合〜皮膚縫合)と術後管理(硬膜の確実な閉鎖、骨復位、頭皮縫合、抜管準備)
第1章:手術開始前の準備プロセス(術前セットアップ)
脳外科の手術は、メスが入る前の「準備段階」が非常に重要です。正確な手術を行うためのポジショニングや機器のセッティングに時間がかかります。この時間を「単なる待ち時間」としず、先を見据えた器械出しの準備や外回りとしての安全確認を行うことが、一流のオペ看への第一歩です。
1. 体位固定と頭部固定(メイフィールド固定)
全身麻酔が導入され、気管挿管、動脈ラインや中心静脈カテーテルなどのライン確保が完了したのち、患者さんの体位変換が行われます。開頭部位に応じて、仰臥位、側臥位、腹臥位、パークベンチ位などが選択されます。
脳外科特有のステップとして「頭部の剛性固定(スカルクランプ、メイフィールドピン固定等)」があります。これは、頭蓋骨に直接金属製のピンを刺入し、手術台に頭部を完全に固定する手技です。顕微鏡下の精密な操作において、患者さんの頭部がミリ単位でも動いてしまうことは致命的な事故につながるため、非常に重要な工程です。
| ポイント | 看護師の観察・対応事項 |
|---|---|
| ピン刺入時の痛みのコントロール | ピンを刺す瞬間は非常に強烈な痛み刺激が走るため、血圧と心拍数が急上昇します。麻酔科医へ「頭部固定入ります」と声かけをし、昇圧を予測した対応(鎮痛薬や降圧薬の準備)を共有します。また、刺入部への局所麻酔薬(エピネフリン入りキシロカインなど)を術者に渡す準備をします。 |
| 眼球・耳介の圧迫保護 | 頭部が固定された後、眼球が圧迫されていないか、耳介(耳たぶ)が折れ曲がっていないかを入念に確認します。クッション材や保護テープを使用して皮膚障害を防ぎます。 |



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