『腹腔鏡下右葉切除術の器械出し看護に緊張する・・・』
『肝臓手術の外回り看護ポイントを知りたい!』
このように思う手術室看護師に向けて
腹腔鏡下右葉切除術の手術手順をもとに
器械出し看護と外回り看護のポイントを解説します!
腹腔鏡下右葉切除術とは?
肝切除術には
☆肝部分切除
⇨腫瘍の大きさに応じて部分的に肝切除を行う方法
☆肝亜区域切除
⇨腫瘍の存在する亜区域(S1~8)を切除する方法
☆肝区域切除
⇨腫瘍の存在する区域(外側区域、内側区域、前区域、後区域)を切除する方法
☆肝葉切除
⇨肝臓の右葉または左葉を切除する方法
があります
腹腔鏡手術と開腹手術の違いについては以下の記事を参考にしてください!
患者入室〜麻酔導入・挿管
手術患者の入室時に必要な確認事項についてや
麻酔導入〜挿管までの手順は以下の記事を参考にしてください
手術体位固定【左下側臥位】
腹腔鏡下右葉切除術は左下側臥位で手術を行います。
手術体位固定時の外回り看護のポイントや気を付けるべき注意事項については以下を参考にしてください。
術野消毒〜電気メス・CUSAセッティング
皮膚消毒〜ドレーピング
①乳頭下から恥骨上縁までを消毒します
②小綿球などを使用し、臍部の消毒を行います
③腹腔鏡下右葉切除術用のドレープをかけます
電気メスやCUSA(キューサー)セッティング
①電気メス・エネルギーデバイス(ハーモニック・リガシュアー・エンシールなど)・イリゲーション&サクションなどをセッティングします
②CUSA(キューサー)のセッティングを行います
CUSA(キューサー)とは、『超音波破砕吸引装置』です。
肝臓を砕きながら吸引し、肝切除を進めていくことのできるエネルギーデバイスです。
③腹腔鏡用エコーをセッティングします
腹腔鏡下右葉切除術用ポート挿入
腹腔鏡カメラ用ポートの挿入
①No.10メスで腹腔鏡カメラ用ポートの挿入予定部位に皮膚切開をします
②カメラ用のポートを挿入します
気腹開始
①カメラ用ポートから気腹を開始します
②ポートからカメラを挿入し、腹腔内観察を行います
腹腔鏡下右葉切除術用ポートの挿入
右季肋下、左上腹部、肋間などに必要に応じてその他のポートを挿入します。
特に肋間にポート挿入する際はバルーンポートを使用することが多いです。
肝動静脈確認&肝右葉切離ラインの決定
肝動静脈・門脈・胆管の走行確認
①腹腔鏡用エコーを使用し、肝全体を検索します
②右肝腫瘍の位置や大きさの確認を行います
③肝動脈・肝静脈・門脈・胆管の走行確認を行います
肝右葉切離ラインの決定
①肝右葉の切離ラインを決定します
②電気メスを使用し、肝被膜部に切離ラインのマーキングを行います
プリングル法(Pringle法)の準備
肝十二指腸間膜の阻血準備を行います
☆腹腔鏡用ブルドッククリップを用いて肝十二指腸間膜の血流遮断する方法
☆体腔外から軸の長いサテンスキーなどの血管鉗子を使用し、肝十二指腸間膜の血流遮断する方法
☆肝十二指腸間膜を一括テーピングし、ターニケット法にて血流遮断する方法
などを使用して、プリングル法を行います
【プリングル法(Pringle法)とは?】
肝切除における出血量減少を目的に
肝門脈を処理せずに肝切除を行う方法です
肝右葉の切除
①CUSA(キューサー)や電気メス、エネルギーデバイスを使用しながら
肝右葉の切離ラインに沿って切除を開始します
【肝切除時は出血に注意!!】
肝臓には豊富に血管を含んでいるため
肝切除時は出血のリスクがとても高くなります
そのため肝切除時は出血量カウントを行い
血圧変動に注意して観察しましょう
②肝切除が完了したら、取れた検体(肝臓右葉)を適切に管理します
③肝切離部の止血を行います
肝切離部の止血確認&ドレーン挿入
①肝切離部の止血を確認し、洗浄します
②必要に応じて、止血材を使用します
③肝切離部や肝下面へドレーンを挿入します
閉創〜手術終了
腹腔鏡用ポートを抜去し、閉創します
閉創前までにガーゼカウントと器械カウントを行い
体内遺残が無いことを確認します
麻酔覚醒・抜管〜退室
皮膚の消毒を拭き取り、体位を仰臥位へと戻します
その後、麻酔覚醒・抜管を行い
バイタルサインの変動が無ければ患者退室となります
腹腔鏡下右葉切除術まとめ
今回は腹腔鏡下右葉切除術の手術看護について解説しました
✅ 腹腔鏡下右葉切除術の器械出し看護に緊張する・・・
✅ 肝臓手術の外回り看護ポイントを知りたい!
このように感じる手術室看護師の方はぜひ参考にしてください
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