こんな不安ありませんか?
「甲状腺の解剖がいまいち整理できていない…」
「反回神経まわりが怖くて器械出しに自信がない…」
「血管処理や流れが曖昧なままオペに入っている…」
甲状腺手術は、解剖・神経・血管が密集する“難易度の高い術式”です。
しかし、ポイントを押さえれば「流れで理解できるオペ」に変わります。
本記事では、手術の流れをベースに、器械出し・外回りで本当に押さえるべきポイントを
現場目線でわかりやすく解説しています。
読み終わる頃には、「次のオペで動けるイメージ」が明確になります。
ぜひ最後までチェックしてみてください。
甲状腺腫瘍摘出術について簡単解説!

甲状腺腫瘍摘出術とは?
甲状腺腫瘍摘出術とは、頸部前面に位置する甲状腺に発生した腫瘍を外科的に切除する手術です。
対象となるのは主に甲状腺がん(悪性腫瘍)ですが、良性であっても腫瘍が大きくなり、
気管圧迫・嚥下障害・整容面の問題などを引き起こす場合には手術適応となります。
- 悪性腫瘍(乳頭がん・濾胞がんなど)
- 良性腫瘍(腺腫・嚢胞など)でも症状がある場合
- 腫瘍の増大や悪性化が疑われるケース
術式の種類(図表まとめ)
| 術式 | 適応 | 特徴 |
|---|---|---|
| 甲状腺葉切除(片葉切除) | 片側に限局した腫瘍 | 最も一般的/ホルモン機能温存しやすい |
| 甲状腺亜全摘 | 両側病変(軽度) | 一部甲状腺を残す |
| 甲状腺全摘 | 両側多発・浸潤例 | 再発リスク低減/術後ホルモン補充が必要 |
基本的には片側の甲状腺のみを切除する「葉切除」が選択されますが、
腫瘍が両側に存在する場合や周囲組織へ浸潤している場合には、全摘術が選択されることもあります。
手術の基本的な流れ
仰臥位で肩枕を使用し頸部を伸展。頸部前面を中心に広範囲で消毒・ドレーピングを行う。
鎖骨上部の自然なしわに沿って横切開(カラー切開)を行い、整容面にも配慮する。
前頸筋群(胸骨舌骨筋など)を左右に分け、甲状腺を露出する。
血管(上・下甲状腺動静脈)を結紮・切離しながら、反回神経や副甲状腺を温存しつつ慎重に切除する。
出血確認後、必要に応じて吸引ドレーンを留置する。
筋層・皮下・皮膚を層状に縫合し、整容面を意識して皮膚閉鎖を行う。
手術のポイント(看護視点)
- 反回神経損傷 → 嗄声・呼吸障害のリスク
- 副甲状腺温存 → 低カルシウム血症予防
- 術後出血 → 気道圧迫のリスクがあるため要注意
- 頸部手術のため気道管理が最重要
特に甲状腺手術では、気道確保に直結する合併症(出血・神経損傷)が重要となるため、
術中・術後ともに観察ポイントを明確にし、迅速な対応が求められます。
甲状腺腫瘍摘出術の準備

手術体位の設定【仰臥位・頸部伸展位】
全身麻酔導入後、まず行う重要な工程が手術体位の設定です。
甲状腺摘出術では、頸部前面への良好な視野確保と安全な手術操作のために、
仰臥位+頸部伸展位を基本体位として整えます。
- 基本体位:仰臥位(背臥位)
- 頸部:後屈させ伸展位を確保
- 目的:術野展開の向上・操作性の確保
頸部を適切に伸展させることで、甲状腺の露出が容易になり、解剖構造の視認性が向上します。
ただし、過度な伸展は神経・筋への負担となるため、適切なポジショニングが重要です。
肩枕の挿入ポイント(図解イメージ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 挿入位置 | 肩甲骨下を目安に挿入 |
| 目的 | 頸部の自然な伸展を作る |
| 注意点 | 過度な高さに注意/左右差を作らない |
肩枕は「肩の下」ではなく「肩甲骨下」を狙うことが重要です。
適切な位置に挿入することで、頸部のみが自然に伸展し、無理のない体位を保持できます。
外回り看護の重要ポイント
肩枕の挿入により、体位が適切に見えても見落としやすいリスクがあります。
- 肩がベッド面から浮いていないか確認
- 左右差がないかチェック
- 腕の位置・牽引の有無を確認
肩が浮いた状態で手術が開始されると、上肢が牽引され続けることになり、
腕神経叢損傷(しびれ・運動障害)の原因となる可能性があります。
・肩が浮いている場合はクッションやタオルで調整
・両肩がしっかりベッドに接地しているか最終確認
・体位固定後も再チェックを徹底
消毒〜ドレーピングの流れ
前頸部を中心に広範囲で皮膚消毒を実施。顎下〜上胸部までしっかりカバーする。
清潔操作にて術野を確保し、頸部が十分露出されるように調整する。
電気メス、バイポーラ、吸引装置などを接続・作動確認し、すぐ使用できる状態にする。
甲状腺手術では細かい止血操作が求められるため、
エネルギーデバイスや吸引装置の準備・確認は非常に重要です。
局所麻酔の注入
術野確保後、指示に基づき皮下および筋層下へ局所麻酔薬を注入します。
この操作は全身麻酔下でも行われ、以下の目的があります。
- 術後疼痛の軽減
- 出血の抑制(血管収縮作用)
- 組織剥離のしやすさ向上
局所麻酔の注入により、術中・術後の患者負担を軽減し、
より安全でスムーズな手術進行につながります。






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