※医療的判断・看護ケアは、必ず各施設のマニュアル・方針に従って実施してください。手術手順や使用器械は施設により異なる場合があります。
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😰「頚部郭清術、神経や血管が多すぎて何を渡せばいいか分からない…」
頚部(けいぶ)には副神経・迷走神経・舌下神経・横隔神経・内頚静脈・総頚動脈など、温存すべき重要な神経・血管が密集しています。器械出しに入ると「今どこを操作していて、何を温存しているのか」を見失いがちですよね。
この記事では、頚部郭清術の基礎知識から、手術の流れ・使用器械・温存すべき神経まで、新人オペ看にも分かりやすく徹底解説します。読み終わる頃には、頚部郭清術の器械出しに自信を持って臨めるはずです🍈
頚部郭清術は耳鼻咽喉科・頭頸部外科で行われる代表的な手術のひとつですが、解剖が複雑で温存すべき構造が多く、新人オペ看が苦手意識を持ちやすい術式です。しかし、「どの場面で、何を温存しながら、どの器械を使うのか」という流れさえ押さえれば、器械出しは驚くほどスムーズになります。まずは基礎から整理していきましょう。
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頚部郭清術とは?新人オペ看が知っておく基礎知識
頚部郭清術(けいぶかくせいじゅつ/ネックディセクション)とは、頭頸部がん(口腔がん・咽頭がん・喉頭がん・甲状腺がんなど)の頚部リンパ節への転移を取り除く(郭清する)ための手術です。がんが原発巣からリンパの流れに沿って頚部リンパ節へ広がるため、リンパ節と周囲の脂肪組織を一塊(いっかい)にして摘出します。
「一塊にして摘出する」というのが頚部郭清術の大きな特徴です。リンパ節を一つひとつ取るのではなく、転移している可能性のあるリンパ節と脂肪組織をまとめて切除することで、がんを取り残さないようにします。しかし頚部には温存すべき神経・血管が密集しているため、「温存する構造は傷つけず、郭清物だけをきれいに剥がす」という繊細な操作が必要になります。これが、頚部郭清術が「難しい」と言われる理由です。
頚部郭清術の種類
頚部郭清術は、どこまで温存し、どこまで切除するかによって大きく分類されます。とくに副神経・内頚静脈・胸鎖乳突筋の3つを残すかどうかが、術式を分けるポイントになります。
| 種類 | 副神経・内頚静脈・胸鎖乳突筋 |
|---|---|
| 根治的(全)頚部郭清術 | 3つとも切除する |
| 保存的頚部郭清術 | 1つ以上を温存する |
| 選択的頚部郭清術 | 転移しやすい特定領域(レベル)のみ郭清・温存 |
頚部リンパ節は、解剖学的な位置によってレベルⅠ〜Ⅵに分類されます。どのレベルを郭清するかは、原発巣の部位やがんの進行度によって決まります。担当する手術が「全郭清なのか/保存的なのか」「どのレベルまでか」を事前に確認しておくと、温存すべき構造をイメージしながら器械出しができます。
頚部リンパ節のレベル分類(Ⅰ〜Ⅵ)
レベル分類は、術者が「どこを郭清しているか」を表す共通言語です。ざっくりとした位置関係を知っておくと、術野の理解が一気に深まります。
| レベル | おおよその位置 |
|---|---|
| レベルⅠ | オトガイ下・顎下(あごの下) |
| レベルⅡ | 上内深頚(首の上部・内頚静脈に沿う) |
| レベルⅢ | 中内深頚(首の中央) |
| レベルⅣ | 下内深頚(首の下部) |
| レベルⅤ | 後頚三角(首の後ろ側) |
| レベルⅥ | 前頚部・気管周囲(甲状腺の周囲) |
どんながんで行われる?
頚部郭清術は、口腔がん・咽頭がん(中咽頭・下咽頭)・喉頭がん・甲状腺がん・唾液腺がんなど、頚部リンパ節へ転移しやすい頭頸部のがんに対して行われます。原発巣の手術(腫瘍切除)と同時に行われることも多く、その場合は手術が長時間に及びます。担当する際は、「原発巣はどこか」「同時手術か」もあわせて確認しておきましょう。
頚部の層構造をざっくり理解しよう
頚部郭清術を理解するうえで、首の「層(レイヤー)」をイメージできると一気に分かりやすくなります。首は表面から順に、皮膚 → 広頚筋 → 浅頚筋膜 → 胸鎖乳突筋などの筋肉 → 深頚筋膜 → 大血管・神経という層構造になっています。
郭清の操作は、この層をひとつずつ深く下りていくイメージです。浅い層では皮弁を挙上し、深い層では大血管・神経を温存しながら郭清物を剥がす——術者が「今どの層を操作しているか」を意識すると、次に確認・温存する構造が予測でき、器械出しの先読みにつながります。
頚部郭清術で温存すべき神経・血管
頚部郭清術の最大の難所は、温存すべき神経・血管を傷つけずに、リンパ節と脂肪組織だけを取り除くことです。器械出しとして「今、何を温存しているのか」を理解しておくと、術者の操作の意図が読めるようになります。代表的な温存構造を整理しましょう。
これらの神経・血管は、どれも損傷すると患者さんの生活の質(QOL)を大きく左右します。だからこそ術者は、ひとつずつ確認しながら慎重に郭清を進めます。器械出しは、剥離(メッツェンバーム・形成剥離剪刀)と止血(バイポーラ・結紮糸)を細かく繰り返すことを念頭に、器械を切らさず、テンポよく出せるように準備しておくことが大切です。神経を確認する場面では操作がいったんゆっくりになるため、その“間”を読んで次の器械を用意できると、術者から信頼される器械出しになれます。
| 温存する構造 | 損傷するとどうなる? |
|---|---|
| 副神経 | 僧帽筋が麻痺し、肩が上がりにくくなる |
| 迷走神経 | 嗄声(させい)・嚥下障害など |
| 舌下神経 | 舌の運動障害(構音・嚥下に影響) |
| 顔面神経下顎縁枝(レベルⅠb付近) | 口角が下がる(口元のゆがみ) |
| 横隔神経 | 横隔膜が麻痺し、呼吸に影響 |
| 腕神経叢 | 上肢の運動・感覚障害 |
| 交感神経 | ホルネル症候群(眼瞼下垂・縮瞳など) |
| 内頚静脈・総頚動脈 | 大出血のリスク(とくに保存術では温存) |
| 反回神経(甲状腺郭清時) | 嗄声・声帯麻痺 |
| 胸管・リンパ管(左下方) | 乳び漏(リンパ液の漏れ) |
💡 ベッセルループの色分けに注目
術中は、温存する血管・神経にベッセルループ(赤・青・黄)をかけて目印にすることがあります。一般に赤=動脈、青=静脈、黄=神経として使い分けられます。色の意味を知っておくと、術者が今どの構造を確保しているのかが一目で分かり、先読みした器械出しにつながります。
※色の運用は施設・術者によって異なる場合があります。自施設のルールを確認しましょう。
頚部郭清術の器械出しで準備する物品と体位
スムーズな器械出しのためには、事前準備が欠かせません。頚部郭清術では剥離・止血・結紮を繰り返すため、剪刀類・止血鉗子・結紮糸を多めにそろえておくのがコツです。
- 切開・剥離:No.10メス・電気メス・バイポーラ・メッツェンバーム剪刀・形成剥離剪刀
- 把持・牽引:マッカンドー有鉤/無鉤鑷子・アリス鉗子・スキンフック・ランゲンベック扁平鉤・2爪鉤
- 止血・結紮:モスキート・ペアン・コッヘル・各種結紮糸(2-0/3-0絹糸・シルク)
- 神経・血管の確保:ベッセルループ(赤・青・黄)・つり針
- 吸引・閉創:サクションチューブ・吸引管・持針器(マチュウ・ヘガール)・指示のドレーン・縫合糸
体位は基本的に仰臥位で、肩枕を入れて頚部を軽く伸展させ、顔を健側へ向けて術野を確保します。長時間手術になりやすいため、除圧・体温管理・末梢神経障害の予防にも配慮が必要です。神経モニタリング(NIM)を使用する場合は、術者の指示に従って筋弛緩薬の使用を麻酔科医と調整することがあるため、外回りも把握しておきましょう。
また、頚部郭清術は原発巣の手術(腫瘍切除)と同時に行われることが多く、その場合は使用する器械セットや手術時間が大きく変わります。担当する手術が「郭清単独か」「原発巣手術との同時か」を術前に確認し、必要な器械セット・縫合糸・ドレーンを過不足なくそろえておきましょう。事前のカンファレンスや手術申し込み内容をしっかり読み込んでおくことが、当日の落ち着いた器械出しにつながります。
頚部郭清術の手術手順と使用器械
ここからは、頚部郭清術の流れをSTEPごとに、使用する器械とオペ看のポイントを交えて解説します。施設や術者によって細かな違いはありますが、多くの病院で共通する流れに沿ってまとめました。




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