ラパロアッペ(腹腔鏡下虫垂切除術)の手術手順と器械出し完全マニュアル

消化器外科
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※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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😰「虫垂切除、明日入るんだけど…何を渡せばいいの?」

急性虫垂炎は夜間・休日を問わず緊急で入ってくることが多く、新人のうちは「準備する時間もない、手順もあいまい…」と焦ってしまいますよね。

この記事では、腹腔鏡下虫垂切除術の手術手順・使用器械・外回り看護のポイントを術式の流れにそって丁寧に解説します。読み終わる頃には、次の虫垂切除が少し楽しみになっているはずです🍈

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  1. 腹腔鏡下虫垂切除術とは?新人オペ看が知っておく基礎知識
    1. 急性虫垂炎とはどんな病態?
    2. 開腹手術と腹腔鏡手術の違いを理解しよう
  2. 虫垂炎は「進行度」で手術がまるごと変わります
  3. 緊急手術としてのラパロアッペ
  4. 若い患者さんが多いからこそ
  5. 手術前の準備|体位・ポート配置・器械台セッティング
    1. 基本体位と手術室のレイアウト
    2. 標準的なポート配置(3ポート法)
    3. 器械台で手元に揃えておきたい主な器械
  6. 【STEP1】術野消毒からドレーピング
    1. 手術の具体的な手順
    2. この場面で使用する器械の例
    3. オペ看のポイント
  7. 【STEP2】臍の消毒・皮膚切開・ポート挿入
    1. 手術の具体的な手順
    2. この場面で使用する器械の例
    3. オペ看のポイント
  8. 【STEP3】虫垂動脈を含む虫垂間膜の切離
    1. 手術の具体的な手順
    2. 使用器械と役割分担の一例
    3. オペ看のポイント
  9. 【STEP4】虫垂根部の処理|結紮用ループ糸と自動縫合器の使い分け
    1. ① 炎症がない・軽度の場合:結紮用ループ糸による二重結紮
    2. ② 炎症が強い場合:自動縫合器(リニアステープラー)による切離
  10. 「汚染手術」としての感染対策
  11. 摘出した虫垂の取り扱い
  12. 【STEP5】虫垂の摘出
    1. 手術の具体的な手順
    2. オペ看のポイント
  13. 【STEP6〜9】腹腔内洗浄・ドレーン・創縫合・被覆
    1. STEP6:腹腔内洗浄
    2. STEP7:ドレーン挿入(必要時)
    3. STEP8:ポートの抜去・創縫合
    4. STEP9:創の被覆
  14. 新人がよくやるミスと対策|腹腔鏡下虫垂切除術
  15. 緊急時・イレギュラー対応|開腹移行と気腹トラブル
    1. 開腹移行(コンバージョン)になる場合
    2. 気腹圧異常・皮下気腫への対応
  16. 転職・キャリアを考えているオペ看へ
  17. 手術終了後の申し送りで伝えること
  18. ラパロアッペの用語集
  19. まとめ|腹腔鏡下虫垂切除術で新人オペ看が押さえるべきポイント
    1. ◆ ごあいさつ
    2. ◆ コメントのお願い
    3. ◆ 関連おすすめ記事
    4. ◆ オペ看勉強コンテンツ

腹腔鏡下虫垂切除術とは?新人オペ看が知っておく基礎知識

急性虫垂炎とはどんな病態?

虫垂炎は、盲腸の先端に付属する虫垂(長さ6〜9cm程度の細い管状器官)に炎症が起きる疾患です。糞石・リンパ組織の腫大・異物などによって内腔が閉塞すると、内圧が上昇して細菌感染が生じます。進行すると壊死・穿孔となり汎発性腹膜炎に移行するため、多くの場合は外科的切除が選択されます。

発症は若年層(10〜30代)に多く見られますが、全年齢層で起こりえます。手術室看護師にとっては緊急入室の代表的な術式のひとつです。「急患の虫垂です」と呼ばれたとき、すぐに動けるよう準備しておきましょう。

開腹手術と腹腔鏡手術の違いを理解しよう

虫垂切除術には開腹手術(マクバーニー切開など)腹腔鏡下手術(ラパロ)があります。現在は多くの施設で腹腔鏡下手術が標準術式となっています。

比較項目開腹手術腹腔鏡下手術
切開創の大きさ5〜10cm程度5mm〜12mm×3〜4か所
術後疼痛比較的強い軽度
入院期間の目安7〜10日程度2〜4日程度
術野の視野直接視野カメラ拡大映像(モニター)
穿孔・腹膜炎時対応可能状況によっては開腹移行(コンバージョン)

腹腔鏡手術の最大のメリットは低侵襲性です。小さな創で手術ができるため患者の回復が早い一方で、高度炎症・強固な癒着のある場合は開腹移行となることもあります。これをコンバージョンと呼び、決して「失敗」ではなく患者安全を優先した判断です。

虫垂炎は「進行度」で手術がまるごと変わります

同じ「虫垂炎の手術」でも、どこまで進行しているかで難度も汚染度もまったく違います。入室前にここを把握しておくと、準備の厚みが変わります。

進行度虫垂の状態手術で変わること
軽い炎症腫れているが形は保たれている短時間で終わることが多い
膿がたまった状態壁が厚く、もろくなっているつまむと崩れる。愛護的な操作が必要
壊疽した状態組織が黒く変色し、崩れやすい洗浄が増える。ドレーンが入ることが多い
穿孔している破れて内容が腹腔内へ漏れている汚染手術。洗浄量が大幅に増え、時間も延びる

💧 「穿孔している」と聞いたら、洗浄の準備を厚く

虫垂が破れていれば、腸の内容が腹腔内に広がっています。これは無菌の空間に便が漏れている状態です。

徹底的に洗い流さなければ、術後に腹腔内で膿がたまります。生理食塩水の準備量が、通常の何倍にもなると考えてください。

「洗浄液が足りない」で手術を止めるわけにはいきません。穿孔と聞いた時点で、追加を手配しておくのが外回りの仕事です。

また、虫垂の壁がもろくなっているほどつまんだ瞬間に崩れます。術者が慎重に扱うのはこのためです。崩れれば内容が漏れ、汚染が広がります。器械出しとしては、把持力の強すぎる鉗子を安易に渡さない意識を持ってください。

緊急手術としてのラパロアッペ

虫垂炎の手術は、その多くが緊急手術です。夜間や休日、人手の少ない時間帯に入ることも珍しくありません。予定手術とは前提が違います。

予定手術緊急のラパロアッペ
情報術前訪問で把握済み情報が不足したまま入室する
絶食確実に守られている直前に食事をしている可能性がある
人員予定どおり少ない。1人で多くを担う
患者さんの状態落ち着いている痛みが強く、不安も強い
準備時間十分にある短い。優先順位が問われる

🍽 「最後に食べたのはいつですか」を必ず聞く

緊急手術では、胃の中に食べ物が残っている可能性があります。この状態で麻酔をかけると、逆流した胃の内容が気管へ流れ込む危険があります。

だから麻酔導入の方法が変わります。「最終の食事時刻」は、麻酔科医が方法を決めるための重要な情報です。

痛みで苦しんでいる患者さんに聞きづらいかもしれません。それでも、この一問は必ず。吸引の作動確認とセットで、緊急手術の基本動作にしてください。

そして緊急でも、患者確認・部位確認・アレルギー確認、そしてカウントだけは省略できません。急いでいるときこそ間違いは起こります。削っていいのは段取りの丁寧さであって、安全の確認ではありません。

若い患者さんが多いからこそ

虫垂炎は10代から30代の患者さんが多い病気です。多くの方にとって、これが人生で初めての手術になります。

患者さんの状況手術室でできること
初めての手術で怖いこれから何をするか、短い言葉で伝える
強い腹痛が続いている移動や体位変換をゆっくり。声をかけながら
急な入院で心の準備がない「急でしたね」と一言。事実を受け止める
学校や仕事のことが気がかり不安を否定せず聞く。答えは医師に委ねる
傷跡を気にするドレーピングと固定を丁寧に

🍈 「手術室の第一印象」を作る手術です

若い患者さんにとって、この日の経験が「手術室とはこういう場所だ」という記憶になります。将来また手術を受けることがあれば、そのときの心構えにも影響します。

痛くて、怖くて、突然のことで頭が追いつかない。そんな状態で入ってくる患者さんに、名前を呼んで、目を見て、一言かける

数時間で終わる手術ですが、その人の中には長く残ります。

なお、妊娠中の方が虫垂炎になることもあります。この場合は守るべき対象が2人になり、体位・薬剤・気腹圧のすべてに配慮が必要です。「妊娠の可能性」は、緊急時こそ確認を飛ばさないでください。

手術前の準備|体位・ポート配置・器械台セッティング

基本体位と手術室のレイアウト

腹腔鏡下虫垂切除術の基本体位は仰臥位(背臥位)です。術中はトレンデレンブルグ体位(頭低位)や左側臥位傾斜をとることで、腸管を重力により頭側・左側へ移動させ、右下腹部の術野を確保します。

📋 術前セッティングチェックリスト

  • 気腹装置のCO₂ガス残量・回路接続確認
  • 腹腔鏡カメラ・光源装置・モニターの起動確認
  • 超音波切開凝固装置のセッティング・動作確認
  • 電気メスの接続・アースパッド装着確認
  • 吸引・洗浄装置の接続確認
  • 手術台の傾斜・フットレストの確認
  • 尿道カテーテル挿入(施設ルールに従う)

標準的なポート配置(3ポート法)

腹腔鏡下虫垂切除術は一般的に3ポートで行われます。ポート(trocar)とは腹壁に刺入するスリーブ状の筒で、カメラや術野器械はここから腹腔内に挿入します。

刺入部位ポートサイズ用途
臍部12mmカメラ(腹腔鏡)挿入用メインポート
恥骨上部5mm鉗子操作・牽引用
左下腹部5mm(炎症強時は12mmに変更)鉗子操作・自動縫合器挿入用

器械台で手元に揃えておきたい主な器械

  • カメラポート(12mm)×1、5mmポート×2(追加12mmポートも手元に準備)
  • ラパロ用腸鉗子(ラチェットなし):虫垂の把持・牽引用(術者が使用)
  • 剥離鉗子・有窓把持鉗子:虫垂間膜の展開・把持
  • 超音波切開凝固装置ハンドピース:虫垂間膜・虫垂動脈の切離
  • エンドループ(体内結紮ループ糸):虫垂根部の二重結紮
  • 自動縫合器(リニアステープラー):炎症強い場合の根部切離
  • 検体回収袋:摘出虫垂の袋詰め取り出し

【STEP1】術野消毒からドレーピング

手術の具体的な手順

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