シロッカー手術を勧められた方へ|リスクと抜糸の時期・痛み

産婦人科
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※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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「シロッカー手術をしましょう」と言われて、頭が真っ白になった——そんな方に向けて書いています。

お腹の赤ちゃんのための手術だと分かっていても、「赤ちゃんに影響はないの?」「抜糸って痛いの?」「入院中、上の子はどうしよう」と、不安は次々に出てくると思います。

この記事では、手術室で10年働いた看護師として、手術を受ける側が知っておきたいことに絞ってまとめました。手術の細かい手順ではなく、いつ・何をして・何に気をつければいいのかを中心にお伝えします。

【この記事で分かること】

✅ シロッカー手術がどんな人に必要で、どんな時はできないのか

✅ 手術のリスク

✅ 抜糸の時期と痛み

✅ 手術後の過ごし方と、すぐ病院に連絡したいサイン

シロッカー手術とは|子宮の出口を糸で縛って、早産を防ぐ手術

シロッカー手術は「子宮頸管縫縮術(しきゅうけいかんほうしゅくじゅつ)」という手術の方法のひとつです。

赤ちゃんがいる子宮の出口(子宮頸管)は、ふだんは閉じていて、お産が近づくと少しずつ開いていきます。ところが、お腹の張りや痛みがないのに、早い時期から出口が開いてきてしまうことがあります。これを「子宮頸管無力症」と呼びます。

そのままだと、赤ちゃんが予定よりずっと早く生まれてしまう(早産)おそれがあります。そこで子宮の出口をテープ状の糸で縛り、物理的に開かないようにするのがこの手術です。

「マクドナルド法」との違い

同じ目的の手術にマクドナルド法があり、違いは縛る位置です。シロッカー法のほうが奥で縛ります。どちらがよいかは子宮の状態で決まるので、勧められた方法について主治医に理由を聞いてみてください。

どんな人が受ける手術?|できない時もあります

日本産科婦人科学会の産婦人科診療ガイドライン 産科編では、おもに次のような場面で縫縮術が検討されます。

  • 以前の妊娠で「子宮頸管無力症」と診断されたことがある…今回の妊娠では、出口が開く前に予防として行うことがあります(予防的縫縮術)
  • 今回の妊娠中に「子宮頸管無力症」と分かった…出口が短く・開き始めてから行うことがあります(治療的縫縮術)

どちらの場合も、手術をするか、慎重に様子を見るかを主治医と相談して決めます。「この条件なら必ず手術」と決まっているわけではありません。

🔴 こんな時は、手術をしない・延期することがあります

同ガイドラインは、次のような場合について慎重な考え方を示しています。

  • お腹の張り(子宮の収縮)がある…子宮の出口を傷つけるおそれがあるため、縫縮術は禁忌とされています
  • 出血がある、感染の兆候がある…縫縮術は行わないとされています。発熱などの感染の兆候があれば、手術より感染の治療が優先です
  • 膣や子宮の出口に炎症がある…手術そのものが炎症を悪化させる可能性が指摘されています

「切迫早産と言われたから、シロッカー手術が必要なのでは」と心配される方がいますが、お腹の張りがある切迫早産は、むしろ手術ができない状態です。また、双子だから、という理由だけで予防的に行う手術ではありません(同ガイドラインは、症状のない双胎へのルーチンの予防的縫縮術について、早産予防効果は示されていないとしています)。

手術の前日・当日に準備しておくこと

入院の期間や当日の流れは施設によって違うので、入院案内に書かれていることがいちばん正確です。そのうえで、多くの方に共通する準備をまとめておきます。

食事と飲み物の制限

麻酔をかける手術なので、手術前は食べたり飲んだりできない時間があります。「何時から食べてはいけないか」「水やお茶は何時まで飲めるか」は施設ごとに指示があるので、前日のうちに必ず確認しておいてください。つわりや体調の関係で守るのが難しそうなら、それも早めに伝えておくと調整してもらえることがあります。

外していくもの

指輪、ネックレス、ピアス、ネイル、コンタクトレンズなどは、手術の前に外します。妊娠中はむくみやすく、指輪が抜けなくなることがあるので、早めに外しておくと安心です。なぜ外す必要があるのかは 手術前に外すもの一覧 にまとめています。

家族のこと

入院中、上のお子さんを誰に頼むか、仕事の調整をどうするかは、手術より先に決めておきたいことです。パートナーやご家族には、手術の日だけでなく、そのあとの安静の期間も助けが必要になるかもしれないことを伝えておきましょう。

気持ちが追いつかないときは

手術室でたくさんの妊婦さんをお迎えしてきましたが、「自分のせいで赤ちゃんに負担をかけている気がする」と口にされる方が少なくありませんでした。

子宮頸管無力症は、生活の仕方や頑張りが足りなかったせいで起きるものではありません。原因がはっきりしないことも多い状態です。この手術は、赤ちゃんをお腹の中で育てる時間を守るための手段のひとつです。

不安や涙が出てくるのは、それだけ赤ちゃんのことを考えている証拠だと思います。気持ちがつらいときは、主治医や病棟の看護師、助産師にそのまま伝えてください。周りの人にどう声をかけてほしいかを伝えるときは、手術する人にかける言葉 も参考になるかもしれません。

いつ手術をするの?

以前の妊娠で頸管無力症と診断されていて予防として行う場合、同ガイドラインは「妊娠12週以降のなるべく早期に行う」としています。妊娠初期の流産の時期を過ぎてから、できるだけ早く、という考え方です。

今回の妊娠で出口が短くなってきて治療として行う場合は、見つかった時期によって手術の時期も変わります。

手術の日、手術室の中でのこと

ここは私が10年いた場所なので、少し具体的にお伝えします。

  • 手術室に入ると、お名前・生年月日・受ける手術をご本人に確認します。何度も聞かれますが、取り違えを防ぐための大切な確認です
  • 心電図や血圧計をつけて、麻酔をします。下半身だけの麻酔か全身麻酔かは、施設や状態によって違います。どちらの麻酔になるかは、事前の説明で確認しておくと安心です
  • 足を開いた姿勢で、膣の側から手術をします。お腹を切ることはありません
  • 手術が終わったら、病棟に戻ります

手術室の中では、お腹の赤ちゃんのことをいちばんに考えて動いています。不安なことや気になることがあれば、その場で遠慮なく声に出してください。それを聞くのも私たちの仕事です。

シロッカー手術のリスク

どんな手術にもリスクはあります。主治医から説明があると思いますが、知っておきたい代表的なものを挙げておきます。

  • 出血…膣の壁を切開するため、手術後しばらく少量の出血が続くことがあります
  • 感染…膣は細菌がいる場所なので、感染が起きることがあります。先ほど触れたとおり、もともと炎症がある場合は悪化させる可能性も指摘されています
  • 破水(前期破水)…手術の刺激で、まれに破水することがあります
  • お腹の張り…手術のあと、子宮が収縮しやすくなることがあります

ただ、これらは「起きたら必ず大変なことになる」ものではありません。大事なのは、起きたときに早く気づいて、すぐ病院に連絡することです。どんなサインで連絡すればいいかは、このあとまとめています。

抜糸はいつ?痛い?

抜糸の時期は「37週前後」が目安

縛った糸は、赤ちゃんが十分に育った妊娠37週前後に抜いて、そのあと自然なお産を待つのが一般的です。ただし、陣痛が始まったり、破水したりしたときは、予定より早く抜糸します。糸が残ったまま出口が開こうとすると、子宮の出口を傷つけてしまうからです。

「お腹が張る」「水っぽいものが出た」と感じたら、自分で判断せずにすぐ病院へ連絡してください。シロッカー手術を受けていることも必ず伝えてください。

抜糸の痛みは「人による」——だからこそ事前に聞いておく

抜糸は、麻酔をするかどうか、どこで行うかが施設によって違います。体験談を見ても、「思っていたより短時間で終わった」という声もあれば、「器具を入れる内診がつらかった」という声もあります。

不安なら、健診のときに「抜糸は麻酔をしますか」「どこで、どのくらいの時間かかりますか」と聞いておいてください。分からないまま当日を迎えるのが、いちばん怖く感じるものです。聞いてはいけない質問ではありません。

手術のあとの過ごし方

医療機関によっては、医師から安静の指示がなければ、通常どおりの生活が送れると説明しているところもあります。ただ、安静の程度は人によって大きく違います。仕事・家事・上のお子さんの抱っこ・夫婦生活など、気になることは具体的に主治医に確認しておきましょう。

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入院中の過ごし方は 入院中の暇つぶし|寝たきりでも、無料でできることがあります にもまとめています。

🔴 すぐ病院に連絡したいサイン

次のようなことがあったら、次の健診を待たずに、すぐ病院へ連絡してください。

  • 出血が増える、または鮮やかな赤い出血がある
  • 水っぽいものが出てくる(破水の可能性)
  • お腹の張りや痛みが、規則的にくる・おさまらない
  • 38℃以上の発熱、においの強いおりもの(感染の可能性)
  • 赤ちゃんの動きがいつもより少ないと感じる

「こんなことで電話していいのかな」と迷う方ほど、我慢してしまいがちです。迷ったら電話で大丈夫です。病院側も、早めに連絡をもらえるほうが助かります。

看護師の方へ

この記事は手術を受ける方向けにまとめています。手術室での器械出し・外回りの手順やポイントは、看護師向けの シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の手術手順|器械出し・外回り看護のポイント で詳しく解説しています。

参考文献

※手術の適応・時期・麻酔・抜糸の方法は、施設と一人ひとりの状態によって異なります。必ず主治医の説明に従ってください。

🍈 麻酔のこと、手術室の中から解説しています

手術そのものより、麻酔のほうが不安という声をよく聞きます。眠っている間に何が起きて、目が覚めるときはどうなるのか——手術室で10年働いた看護師が話しました。

シロッカー手術のリスクと抜糸の痛みはの解説動画サムネイル▶ 全身麻酔から目覚める瞬間、何が起こる?

麻酔がかかっていく側も解説しています。

▶ 麻酔で意識なくなった後、どうなる?

手術のこと・麻酔のこと・手術室のリアルを、手術室で10年働いた看護師が動画で解説しています。

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