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※本記事の手術看護手順は、多くの施設で共通する内容をもとに一般化して作成しています。使用器械・名称・手術手順などは施設ごとに異なる場合がありますので、ご了承ください。
「ロボットの手術って難しそう…」「RAPNの器械出しに入るけど、手順が覚えられない…」
そんな不安を抱えていませんか?
ロボット支援手術(ダビンチ手術)は、従来の開腹手術や腹腔鏡手術とは異なるセッティングや器械の準備が必要で、新人看護師や経験の浅い方にとってはハードルが高く感じられますよね。
特に腎部分切除術(RAPN)は、「阻血時間の管理」や「緊急時の対応」など、緊迫する場面が多く、先輩に聞きづらい環境だとプレッシャーも大きいと思います。
この記事では、手術室看護師の皆さんが自信を持って器械出しに入れるよう、RAPN(ロボット支援腎部分切除術)の手術手順と看護のポイントを、現場のリアルな流れに沿って分かりやすく徹底解説します!
この記事を読んで、手術の流れを1から理解し、ドクターの次のアクションを予測できる「デキるオペ看」を目指しましょう!
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ロボット支援腎部分切除術(RAPN)の基本と解剖
まずは、手術の手順に入る前に、RAPN(Robotic-Assisted Partial Nephrectomy)がどのような手術なのか、そして対象となる腎臓の解剖学的知識を整理しておきましょう。ここを理解しておくことで、術中の医師の動きや、なぜその器械が必要なのかがスッと腑に落ちるようになります。
RAPNの目的と適応
腎臓にできた腫瘍(おもに腎細胞がん)に対して行われる手術です。以前は腎臓をまるごと摘出する「腎全摘除術」が主流でしたが、現在は腎機能を可能な限り温存するため、腫瘍とその周囲の正常組織の一部のみを切除する「腎部分切除術」が推奨されています。
その中でもロボット支援(ダビンチ)を用いるRAPNは、腹腔鏡下手術の利点(低侵襲、傷が小さい)に加えて、3Dによる精緻な視野と多関節鉗子による緻密な縫合操作が可能となり、出血量の軽減や虚血時間(血流を止める時間)の短縮に大きく貢献しています。
なぜ「阻血時間」が重要なの?
腎部分切除を行う際、出血を抑えるために一時的に腎動脈の血流を遮断(阻血)します。しかし、腎臓は虚血に非常に弱い臓器です。
一般的に「温虚血時間は25分以内(長くても30分以内)」が目標とされます。これを超えると腎機能障害のリスクが高まるため、阻血中は執刀医もピリピリします。
器械出し看護師は、阻血が始まったら素早く縫合糸やタコシールを渡せるよう、万全の準備をしておく必要があります。
解剖の理解(腎臓・腎動静脈・尿管)
腎臓は後腹膜臓器(お腹の背中側にある)であり、右腎は肝臓の下、左腎は脾臓の下に位置します。
手術の展開において、まず腸管をよけて(脱転)、後腹膜腔を開き、腎臓へとアプローチします。
重要なランドマークは以下の通りです。
- 腎動脈・腎静脈: 腎門部(腎臓の内側)に出入りする太い血管です。ここを確実に剥離・テーピング(ベッセルループ等で確保)することが手術前半の最大の山場です。
- 尿管: 腎盂から膀胱へ尿を運ぶ管です。腫瘍切除時に尿路が開放された場合、確実に縫合閉鎖する必要があります。
- 性腺静脈(精巣静脈/卵巣静脈): 腎静脈に合流するため、周囲の剥離の際の目印になります。
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腎部分切除と腎摘除、どう違う?
同じ腎臓の手術でも、「残すか、全部取るか」で手術の性格がまったく変わります。この違いを押さえると、なぜRAPNが難度の高い手術と言われるのかが分かります。
| 腎部分切除(RAPN) | 腎摘除術 | |
|---|---|---|
| 切除範囲 | 腫瘍と周囲だけ。腎臓を残す | 腎臓を丸ごと摘出する |
| 腎動脈の扱い | 一時的に遮断し、あとで解除する | 切離してしまう |
| 時間の勝負 | 阻血時間をいかに短くするか | 血管処理の確実さ |
| 術後の腎機能 | 残した腎臓が働き続ける | 反対側の腎臓だけになる |
| 器械出しの山場 | 切除〜縫合の連続介助 | クリップ・自動縫合器の受け渡し |
腎臓は取り替えのきかない臓器です。将来もう一方の腎臓に問題が起きたとき、片方しかない状態と両方ある状態では、患者さんの選択肢がまったく違ってきます。だからこそ、可能な限り残す方向で検討されます。
💡 「速さ」の意味が手術によって違う
器械出しの「速さ」は、いつでも同じ価値を持つわけではありません。腎摘では確実さが優先され、RAPNの阻血中は速さそのものが患者さんの利益になります。
同じ腎臓の手術でも求められるものが違う。この使い分けができる人が、本当に「デキる器械出し」です。
RAPNにおける器械出し看護師の役割と心構え
ロボット手術における器械出し看護師は、単に「器械を渡す」だけではありません。術野から離れたコンソールで操作する執刀医の「目」となり「手」となる、非常に重要な役割を担います。
不安をなくすための術前準備
初めてRAPNに入る方や経験が浅い方は、以下の点を術前に確認しておくと安心です。
- アプローチ法の確認: 「経腹膜到達法(イントラ)」か「後腹膜到達法(レトロ)」か。これによって体位や初期のポート挿入の手順が変わります。
- 腫瘍の位置とサイズ: 腫瘍が腎臓の前・後・上極・下極のどこにあるかによって、使用するダビンチ鉗子のアーム配置が変わることがあります。
- 使用物品のチェック: ダビンチ専用鉗子(プログラスプ、フェネストレイテッドバイポーラ、モノポーラカーブドシザーズなど)の種類と回数制限、破損の有無を必ず確認します。
タイムアウトと安全確認の重要性
手術開始前には必ず「タイムアウト」を行います。患者氏名、術式、左右の確認だけでなく、ロボット手術特有の機器トラブル時の対応策(開腹移行への準備など)もチームで共有します。外回り看護師がチェックリストを読み上げますが、器械出し看護師も一緒に心の中で確認し、不足している器械がないか最終チェックを行いましょう。
【保存版】RAPNで準備する器械・物品一覧
| グループ | 主な内容 | 押さえるポイント |
|---|---|---|
| ①ロボット | ロボット用ポート、各種鉗子、カメラ、ドレープ一式 | 鉗子は使用回数の残りを事前に確認 |
| ②到達・剥離 | メス、通常のトロッカー、気腹チューブ、超音波凝固切開装置、吸引管 | 助手用ポートからの操作も想定して準備 |
| ③血管処理 | 血管遮断用クランプ(テンポラリークリップ)、ベッセルループ、クリップとアプライヤ | 遮断解除まで確実に管理する |
| ④切除・縫合 | 剪刀、縫合用針糸(複数本)、縫合を留めるクリップ、止血材 | 阻血前にすべてそろえる |
| ⑤回収・閉創 | 回収袋、筋膜縫合用の糸、ドレーン | 回収袋は腫瘍のサイズに合わせて選ぶ |
| ⑥緊急用 | 開腹セット、太い吸引管、大判ガーゼ | 開けなくても部屋の中に |
体位固定 — ロボットだからこその注意点
体位は患側を上にした側臥位です。腎摘除術と同じ体位ですが、ロボット手術では注意点が加わります。
- 固定は徹底的に:ロボットが装着されたあとは、原則として手術台を動かせません。ドッキング前の固定がすべてです
- アームと体の接触を確認:アームが患者さんの体や顔に当たっていないかを、ドッキング後に必ず目視します
- 腋窩枕と腓骨神経の保護:長時間の側臥位です。下側の腋窩と膝外側の除圧を確実に
- 顔の保護:術者がコンソールにいるため、患者さんの頭部を直接見ている人がいなくなりがちです。外回りが定期的に確認します
👁 「誰も患者さんを見ていない時間」を作らない
ロボット手術では、術者はコンソールに座り、器械出しは術野の一部を見ています。患者さんの全身を見ているのは外回り看護師だけという時間が生まれます。
これはロボット手術特有の構造的なリスクです。定期的に患者さんのそばへ行き、顔色・体位・固定・装置の作動を自分の目で確認してください。この役割は、誰も代わってくれません。
【詳細解説】RAPN(ロボット支援腎部分切除術)の手術手順と器械出しのポイント
それでは、いよいよ実際の手術手順に沿って、進行のポイントと器械出しの注意点を解説していきます。




