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💧「先生、ドレーンってなんでここから出てるんですか?」
手術室に配属されたばかりの新人オペ看が最初に戸惑うことのひとつがドレーンです。術式によって使う種類も留置場所も違い、「なぜここに入れるの?」という疑問が次々と湧いてきます。
✅ でも留置の「目的」と「種類」の理由さえ理解できれば、器械の準備も外回りの観察も格段にスムーズになります。
この記事では手術室で使われるドレーンの全体像を、新人オペ看向けにやさしく解説します。留置目的・術式別の留置位置・ドレーンの種類・器械出しと外回りのポイントまで、現場ですぐ使える内容でお届けします。
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ドレーンとは?手術でなぜ使うのか
ドレーン(drain)とは、体腔や臓器周囲に貯留した液体・気体・血液などを体外に排出するために留置するチューブ・管のことです。手術中・手術後に使用され、主に以下の役割を担います。
- 不要な液体(血液・滲出液・消化液・膿)を体外に排出する
- 術後合併症(縫合不全・感染・血腫)を早期発見する「センサー」として機能する
- 肺や腹腔内の余分な空気を排出する
ドレーンは「入れっぱなし」ではなく、目的が達成されたら早期に抜去するのが原則です。長期留置は感染リスクを高めるため、術後の排液の性状・量を観察しながら抜去タイミングを判断します。
ドレーン留置の3つの目的
ドレーン留置の目的は大きく3つに分類されます。この分類を知っておくと、「なぜこの手術にドレーンが必要なのか」が理解しやすくなります。
① 治療的ドレナージ
すでに貯留している液体・気体を積極的に排出して治療する目的のドレーンです。
- 膿瘍ドレナージ(腹腔内膿瘍・肝膿瘍など)
- 血胸・気胸に対する胸腔ドレナージ
- 胆汁性腹膜炎に対する腹腔ドレナージ
② 予防的ドレナージ
術後に起こりうる合併症(縫合不全・出血・胆汁漏れなど)を予防・早期排出するために留置するドレーンです。消化器外科の術後ドレーンの多くがこれに当たります。
- 胃切除・大腸切除後の吻合部周囲ドレーン
- 肝切除後の肝断面ドレーン
- 膵切除後の膵断端ドレーン
③ 情報的ドレナージ(モニタリング目的)
排液の性状・色・量を観察することで、術後の経過や合併症の発生を早期に察知するための「センサー」として機能するドレーンです。
- 排液が鮮血色→術後出血の疑い
- 排液が胆汁色・混濁→縫合不全・胆汁漏の疑い
- 排液がアミラーゼ高値→膵液漏の疑い
手術室の器械出し・外回り看護師としては、どの目的で・どこに・何本ドレーンが入るかを術前に把握しておくことが重要です。
術式別・主なドレーン留置位置
消化器外科
| 術式 | 主なドレーン留置位置 |
|---|---|
| 胃全摘術・胃切除術 | 吻合部周囲・左横隔膜下・ウィンスロー孔 |
| 膵頭十二指腸切除術(PD) | 膵空腸吻合部・胆管空腸吻合部・肝断面下 |
| 肝切除術 | 肝断面(カットサーフェス)・横隔膜下 |
| 低位前方切除術(LAR) | 直腸吻合部周囲(骨盤底)・ダグラス窩 |
| 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 胆嚢床周囲(症例により省略あり) |
心臓血管外科
| 術式 | 主なドレーン留置位置 |
|---|---|
| 開心術(弁形成・CABG など) | 心嚢腔・縦隔・左右胸腔 |
| 大動脈手術(AAA・胸部大動脈) | 後腹膜腔・縦隔・胸腔 |
胸部外科(肺・食道)
| 術式 | 主なドレーン留置位置 |
|---|---|
| 肺葉切除術・肺部分切除術 | 胸腔(前方・後方) |
| 食道切除再建術 | 胸腔・頸部吻合部・腹腔内 |
脳神経外科
| 術式 | 主なドレーン留置位置 |
|---|---|
| 開頭術(血腫・腫瘍) | 硬膜下・硬膜外(創部ドレーン) |
| 水頭症手術 | 脳室(脳室ドレーン) |
婦人科・泌尿器科
| 術式 | 主なドレーン留置位置 |
|---|---|
| 子宮全摘・広汎子宮全摘術 | ダグラス窩・骨盤底リンパ節郭清部 |
| 膀胱全摘・回腸導管造設術 | 骨盤底・回腸吻合部周囲 |
手術室で使用する主なドレーンの種類
① ペンローズドレーン(Penrose drain)— 受動型
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材・形状 | やわらかいゴム・シリコン製の平型チューブ |
| 排液の仕組み | 毛細管現象・重力による受動的排液(吸引なし) |
| 主な使用場面 | 感染創・膿瘍腔・表在性ドレナージ |
| 特徴 | 構造がシンプル・安価。閉塞しにくいが管理が必要 |
ペンローズドレーンは最もシンプルな受動型ドレーンです。吸引装置を使わず、重力と毛細管現象で液体を排出します。感染創や表在部位のドレナージに使われることが多く、術後は定期的に少しずつ引き抜いて(ショートニング)排液路を確保します。
② 閉鎖式ドレーン(Jackson-Pratt / Blake drain)— 能動型
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材・形状 | シリコン・PVC製。丸型(JP)またはフィン型(Blake) |
| 排液の仕組み | バルブ式リザーバー(容器)の陰圧による能動的排液 |
| 主な使用場面 | 腹腔内・乳房切除後・リンパ節郭清部 |
| 特徴 | 閉鎖回路で感染リスクが低い。排液量の計測が容易 |
JP(ジャクソン・プラット)ドレーンに代表される閉鎖式ドレーンは、バルブを潰して陰圧をかけることで積極的に排液を引き出す構造です。消化器外科・乳腺外科・婦人科で広く使われ、排液量の計測がしやすいのが特徴です。器械出しはバルブを開放した状態で渡し、留置後に陰圧をかける手順を覚えておきましょう。
③ 胸腔ドレーン — 低圧持続吸引型
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材・形状 | 硬めのPVC製大口径チューブ(20〜32Fr) |
| 排液の仕組み | 水封式チャンバー+低圧持続吸引(-10〜-20cmH₂O) |
| 主な使用場面 | 肺切除後・開心術後・気胸・血胸・胸水 |
| 特徴 | エアリーク(気泡)の有無で肺瘻を確認できる |
胸腔ドレーンは胸腔内の液体・空気を排出し、肺の再膨張を助ける重要なドレーンです。水封式チャンバー(メラサキューム・アトムなど)に接続し、低圧持続吸引をかけます。外回り看護師としてチャンバーの準備・接続・水封水の注入が術中業務に含まれるため、事前に手順を確認しておきましょう。
④ 脳室ドレーン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材・形状 | 細径シリコン製チューブ |
| 排液の仕組み | 重力による受動的排液(排液高さで圧を調整) |
| 主な使用場面 | 脳室内出血・水頭症・術後頭蓋内圧管理 |
| 特徴 | 排液高さ(基準点=外耳孔)の設定が厳密に必要 |
脳室ドレーンは脳脊髄液(CSF)を排出し頭蓋内圧を調整する目的で使われます。排液チャンバーの高さ設定が頭蓋内圧に直結するため、外耳孔を基準ゼロ点として厳密に高さを合わせる必要があります。脳外科手術に入る際は術前に設定手順を確認しておきましょう。
⑤ Tチューブ(胆道ドレーン)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材・形状 | T字型ラテックス・シリコン製チューブ |
| 排液の仕組み | 胆汁の重力排液(受動型) |
| 主な使用場面 | 胆管切開後・胆管結石除去後・PD後の胆管吻合部 |
| 特徴 | T字部分を総胆管内に留置し胆汁を外部に誘導 |
Tチューブは胆管内に留置して胆汁を体外に誘導するドレーンです。器械出しはTチューブのサイズ(Fr数)を術者に確認してから清潔野へ渡します。術後は胆汁の色・量・混濁の有無が重要な観察項目になります。
⑥ シリコンフラットドレーン(シート状ドレーン)
シリコン製の薄いシート状ドレーンで、広い腔(肝断面・骨盤底など)のドレナージに使われます。複数の小孔から排液を集めるため、単一チューブより広い面積をカバーできます。消化器外科(特に肝胆膵領域)でよく使われます。
器械出し・外回り看護師のドレーン管理ポイント
器械出し看護師のポイント
- 術前に使用するドレーンの種類・本数・サイズを確認しておく
- ドレーンは清潔野に渡す前に接続部・先端の形状を確認する
- 縫合固定用の糸(絹糸など)を準備しておく
- Tチューブはサイズ(Fr数)を術者に必ず確認してから渡す
- 胸腔ドレーンは先端の穴がすべて胸腔内に入るよう術者と確認する
外回り看護師のポイント
- ドレーン挿入部位・本数・種類を術中記録に正確に残す
- 胸腔ドレーン接続時はチャンバーへの水封水注入・吸引圧設定を行う
- 術後の申し送りで「どのドレーンが・どこに・何本」を正確に伝える
- ドレーンが体外で屈曲・閉塞していないかを術中定期確認する
- 抜去時に備え、ドレーンの先端マーキング位置を把握しておく
新人オペ看のドレーン「あるある失敗」と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| ドレーンの種類・サイズを間違えて準備する | 術前カンファで「ドレーンの種類・本数・サイズ」を必ず確認リストに加える |
| 胸腔ドレーンの接続順序がわからず焦る | チャンバーの説明書を事前に読み、手順を紙にメモして持参する |
| ドレーンの留置本数を記録し忘れる | ドレーンが入るたびに声に出して確認・その場で記録する習慣をつける |
| 申し送り時にどこに入ったか伝えられない | 挿入時に「右横隔膜下・1本目」のように都度メモし、術後すぐ整理する |
| 閉鎖式ドレーンの陰圧をかけるタイミングを見逃す | 外回りは「ドレーン留置完了→陰圧確認」をセットで動くルーティンを作る |
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まとめ
- ✅ ドレーン留置の目的は治療的・予防的・情報的の3種類に分類できる
- ✅ 術式によって留置位置が異なる——術前に「どこに・何本」を確認することが基本
- ✅ ペンローズ(受動型)・閉鎖式(能動型)・胸腔・脳室・Tチューブ・シートの6種類の特徴と用途を覚える
- ✅ 胸腔ドレーンはチャンバー接続・水封水・吸引圧設定まで外回りの業務
- ✅ 脳室ドレーンは外耳孔を基準ゼロ点とした高さ設定が厳密に必要
- ✅ 器械出しは種類・サイズ確認→清潔野へ渡す→縫合固定糸の準備がセット
- ✅ 外回りは本数・部位の記録と申し送りが術後ケアへの重要な引き継ぎになる
ドレーンは術後管理の要です。手術室でしっかり種類と目的を覚えておくことで、術後病棟ナースへの申し送りの質も上がります。一つひとつ丁寧に身につけていきましょう。
参考文献
- 日本手術看護学会(2021).『手術看護業務指針 第3版』. 日本手術看護学会.
- 松田暉(監修)(2019).「術後ドレーン管理の実際——目的別・術式別アプローチ」.オペナーシング, 34(6), pp.22–34. メディカ出版. https://store.medica.co.jp/list/?Category=books
- 日本外科学会(2020).『外科診療ガイドライン——ドレーン管理に関する推奨』. 日本外科学会.
- 公益社団法人日本看護協会(2020).『周術期看護実践ガイドライン』. 日本看護協会.
- 窪田敬一(編)(2021).『消化器外科手術後ドレーン管理マニュアル』. へるす出版.
◆ ごあいさつ
初めまして、オペ看めろん🍈です。
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記事は今後も適宜、加筆・改善してまいります。
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