下肢動脈内膜除去術+パッチ形成術の手順を完全解説【ASO・手術室看護師向け】

整形・形成外科
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「閉塞性下肢動脈硬化症ってよく聞くけれど、実際にはどんな手術を行うの?」
「パッチ形成術って名前は知っているけれど、手術室ではどのような流れで進んでいくの?」

日常的に血管外科の手術に関わっている方でも、こうした疑問を抱えることは少なくないと思います。術式名だけを聞いてもイメージが湧きにくく、「どこをどう操作しているのか」「どんな器械・物品が必要なのか」「医師は何を考えながら手術を進めているのか」が分からず、不安になりやすい領域ですよね。

特に血管外科領域は、出血リスクや時間との勝負(虚血時間)になる場面が多く、器械出し看護師の「一手先を読む力」が手術の進行を大きく左右します。

今回は、閉塞性下肢動脈硬化症(ASO)に対して行われる代表的な術式である「血管内膜除去術(endarterectomy)」と「パッチ形成術」の手術の大まかな流れを、器械出し・外回りどちらの立場でも役立てられるよう、具体的な看護ポイント(準備する器械、糸、ドレープ、観察項目)を交えながら、従来の2倍のボリュームで徹底解説していきます。

これを読めば、明日からの血管外科の手術に自信を持って臨めるはずです!

血管内膜除去術とは?

血管内膜除去術は、主に閉塞性下肢動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)などの疾患で、下肢の動脈が狭窄・閉塞し、安静時痛・間欠性跛行(少し歩くと足が痛くなり、休むと回復する症状)・潰瘍・壊死といった重度な虚血症状をきたしている患者さんに適応となる手術です。Fontaine(フォンテイン)分類でいうと、第II度(間欠性跛行)から第IV度(潰瘍・壊死)の段階で外科的治療が検討されます。

動脈硬化により長年かけて石灰化し、硬く肥厚した血管内膜(プラーク)を外科的に剥がし取り、血管内腔を再び確保します。バイパス術のように自分の静脈や人工血管を使って新しいルートを作るのではなく、「詰まっている血管そのものの内側を掃除して、本来の通り道を良くする」とイメージすると分かりやすいでしょう。術後は血流改善により、下肢の冷感・疼痛の軽減や歩行距離の劇的な改善が期待され、下肢の切断を回避できる重要な手術です。

パッチ形成術とは?

血管内膜除去術で病変部を縦に切開し、プラークを取り除くと、その部分の血管壁は内膜が失われ、中膜・外膜だけになり薄くなったり、一部が欠損した状態になります。このまま切開部を単純に縫合してしまうと、血管径が細くなる(狭窄する)ため、せっかくプラークを取ったのにすぐに再狭窄・閉塞を起こしやすくなるリスクがあります。

そこで、切開した部分や狭窄部を補うために、人工血管や人工心膜、あるいは自己静脈(大伏在静脈など)の材料を外側から当てて縫いつけ、血管径を適切に保ちながら再建する方法が「パッチ形成術」です。「当て布(パッチ)」をして血管をふっくらと広げてあげるイメージで、十分な血流の通り道を確保しつつ、縫合部が引き連れる負担も軽減できます。

器械出し・外回り看護ポイント(術前準備)

① パッチ材料の確認:人工血管(ダクロン、ePTFEなど)を使用するか、人工心膜を使用するか、あるいは自己静脈を採取するかは、術者の方針・症例の感染リスク・施設ごとに異なります。事前にどの材料を使用するか確認し、未滅菌であれば滅菌出しの準備をしておきましょう。
② 麻酔と体位:腰椎麻酔や全身麻酔が選択されます。体位は通常「仰臥位」ですが、自己静脈を採取する場合などは患肢を外旋(カエル足)にすることがあるため、体位固定具(砂嚢やゲルパッド)の準備を忘れないようにしましょう。保温も非常に重要です。
③ 使用する糸の確認:血管縫合には非吸収性のモノフィラメント糸(プロレンなど)の5-0や6-0を使用するのが一般的です。術者の好みの針のサイズと糸の太さを確認しておきます。

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