【分離肺換気の完全ガイド】ダブルルーメンチューブの仕組みと挿管介助の手順|なぜ左用が使われるのかを10年目オペ看が解説

心臓血管外科・呼吸器
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🫁 この記事でわかること

  • 分離肺換気(OLV)の仕組みと3つの目的
  • どんな手術で分離肺換気が必要になるのか
  • ダブルルーメンチューブの構造(2本の管・2つのカフ)
  • なぜ左用が9割以上を占めるのかという解剖学的な理由
  • それでも右用を使わざるを得ないケース
  • 喉頭鏡を渡す→チューブを渡す→回旋…挿管介助の全手順
  • 側臥位変換時のトラブルと外回りの観察ポイント

「今日は肺葉切除だから、ダブルルーメンね」

そう言われて準備を任されたとき、いつもの気管チューブとまったく違う形をした太いチューブを前に、手が止まった経験はありませんか。カフが2つある、管が2本ある、しかも「左用」と書いてある——。

分離肺換気は、呼吸器外科・食道外科・心臓血管外科に入るなら避けて通れない知識です。そして仕組みさえ理解すれば、介助の手順も「なぜそうするのか」まで含めてスッと入ってきます。

この記事では、10年間手術室に立ってきたわたし(オペ看めろん)が、分離肺換気の仕組みからダブルルーメンチューブの挿管介助まで、手術室看護師の目線で徹底解説します。

📘 通常の気管挿管の介助から確認したい方はこちら
▶ 【気管挿管の介助と抜管の流れ】準備物品と観察ポイントも解説

  1. 【まずは理解度チェック!】この記事の内容をテスト
  2. 分離肺換気とは|片方の肺だけを換気するという発想
  3. なぜ分離肺換気が必要なのか|3つの目的
    1. ① 術野を確保する(最も多い目的)
    2. ② 健側の肺を汚染から守る
    3. ③ 換気そのものを分けなければ成立しない病態
  4. どんな手術で使うのか|適応となる術式
  5. ダブルルーメンチューブの構造|2本の管と2つのカフ
    1. サイズの目安
  6. なぜ「左用」が9割以上を占めるのか|右主気管支の解剖学的事情
    1. 右主気管支は「短すぎる」
  7. それでも「右用」を使わなければならないとき
    1. 右用DLTの構造的な工夫
  8. 挿管介助の実際|物品準備から固定まで
    1. STEP 0|物品準備
    2. STEP 1|喉頭鏡を渡す
    3. STEP 2|ダブルルーメンチューブを渡す
    4. STEP 3|スタイレット抜去と「90度回旋」
    5. STEP 4|カフの膨らませ方(順番がある)
    6. STEP 5|固定
  9. 位置確認|聴診と気管支ファイバー
    1. ① 聴診による確認
    2. ② 気管支ファイバースコープによる確認(確実な方法)
  10. 側臥位への体位変換|チューブが動く最大の山場
  11. 分離肺換気中のトラブルと外回りの観察ポイント
    1. 低酸素血症(SpO₂低下)
    2. 気道内圧の上昇
    3. 術側の肺が虚脱しない
    4. 外回り看護師が見るべきモニター
  12. まとめ
    1. 参考文献
    2. ◆ ごあいさつ
    3. ◆ コメントのお願い
    4. ◆ 関連おすすめ記事
    5. ◆ オペ看勉強コンテンツ

【まずは理解度チェック!】この記事の内容をテスト

🫁 分離肺換気とダブルルーメンチューブクイズ 全8問

なぜ左用?解剖学的理由・挿管介助・側臥位変換の注意点を総まとめ!
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分離肺換気とは|片方の肺だけを換気するという発想

分離肺換気(One-Lung Ventilation:OLV)とは、その名のとおり左右の肺を切り離して管理し、片方の肺だけに換気を行う方法です。

通常の全身麻酔では、1本の気管チューブを気管に入れ、そこから左右両方の肺に空気を送ります。ところが分離肺換気では、気管と「片側の気管支」の2か所にそれぞれ管の出口を持つ特殊なチューブを使い、右肺と左肺を独立した2つの部屋のように扱います。

その結果できるのが、次の状態です。

状態役割
術側の肺換気を止めて虚脱(しぼませる)動かないので手術ができる
非術側の肺1つで全身分の換気を担当酸素化・換気を維持する

つまり分離肺換気とは、「片方の肺に休んでもらい、その間もう片方に全部を任せる」という状態を人工的に作り出す技術なのです。

なぜ分離肺換気が必要なのか|3つの目的

① 術野を確保する(最も多い目的)

肺は呼吸のたびに膨らんだりしぼんだりを繰り返します。その動く肺のすぐ横で、繊細な血管処理や吻合をするのは極めて困難です。

術側の肺を虚脱させれば、肺が動かなくなるだけでなく、小さくしぼむことで胸腔内にスペースが生まれます。胸腔鏡下手術(VATS)やロボット支援手術(RATS)では、このスペースがそのままカメラと鉗子の作業領域になるため、確実な虚脱は手術成立の前提条件です。

② 健側の肺を汚染から守る

左右の肺は気管分岐部でつながっているため、片方の肺にある血液・膿・分泌物は、体位や重力によってもう片方へ流れ込む可能性があります。

膿胸・肺膿瘍・大量喀血・気管支拡張症などでは、健康な側の肺に汚染物が入れば一気に呼吸状態が悪化します。分離肺換気で左右を物理的に隔離することは、健側肺を守るバリアとしての意味を持ちます。

③ 換気そのものを分けなければ成立しない病態

気管支胸膜瘻(気管支に穴が開き胸腔と交通している状態)や片側の気道損傷では、両肺換気をすると送った空気が穴から漏れてしまい、healthy側にも十分な換気が届きません。こうしたケースでは、左右を分けて換気すること自体が治療の一部になります。

どんな手術で使うのか|適応となる術式

診療科代表的な術式
呼吸器外科肺葉切除術・肺区域切除術・肺部分切除術(VATS/RATS含む)、肺全摘術、気胸に対するブラ切除術、膿胸手術
食道外科胸腔鏡下食道切除術(右開胸アプローチ)
心臓血管外科下行大動脈瘤・胸腹部大動脈瘤の人工血管置換術
縦隔・その他縦隔腫瘍摘出術、胸腺摘出術、交感神経切除術

ポイントは「胸腔内を操作する手術かどうか」。お腹の手術には基本的に使いませんが、食道がんのように胸を経由するルートを取る術式では消化器外科でも登場します。「消化器だから関係ない」と思い込まないことが大切です。

ダブルルーメンチューブの構造|2本の管と2つのカフ

分離肺換気を実現する道具がダブルルーメンチューブ(Double Lumen Tube:DLT)。「ダブルルーメン」とは「2つの管腔」という意味です。

🔵 気管管腔(tracheal lumen)

先端が気管の中(分岐部の手前)で開口。ここから送った空気は、チューブが入っていない側の肺へ届きます。

🟣 気管支管腔(bronchial lumen)

長く伸びて片側の主気管支の中で開口。ここから送った空気は、その側の肺だけに届きます。

そして、この2つの管腔をそれぞれ独立させるためにカフも2つ付いています。

  • 気管カフ(透明):気管の内側を密閉し、外へ空気が漏れないようにする
  • 気管支カフ(青色):主気管支の内側を密閉し、左右の肺を切り離す。分離肺換気の要

気管支カフが青いのは、気管支ファイバーで観察したときに見分けやすくするため。位置確認のとき「青いカフが分岐部のすぐ下に見えるか」が判断基準になります。

サイズの目安

成人では35Fr・37Fr・39Fr・41Frが一般的で、体格(特に身長)を目安に選択されます。おおまかには女性で35〜37Fr、男性で39〜41Frが使われることが多いですが、最終判断は麻酔科医が行います。

🔵 看護のポイント予定サイズと、その前後1サイズを準備しておきましょう。「入らなかったので1つ細いものを」は珍しくありません。太すぎれば気道損傷、細すぎればカフの密閉が不十分になり分離が破綻します。

なぜ「左用」が9割以上を占めるのか|右主気管支の解剖学的事情

ここが本記事で最も理解してほしいところです。

ダブルルーメンチューブには「左用」と「右用」があり、気管支管腔をどちらの主気管支に入れるかで使い分けます。そして日本で使用されるDLTのおよそ90〜95%が左用。右肺の手術であっても、左用を使うのが標準です。

「右肺の手術なのに、なぜ左に管を入れるの?」——答えは気管支の解剖にあります。

右主気管支は「短すぎる」

右主気管支左主気管支
長さ短い(約2cm前後)長い(約4〜5cm)
分岐角度約25度と急峻(垂直に近い)なだらか
上葉支の位置分岐部から1〜2cmで分岐十分に奥で分岐
安全域極めて狭い広い

右は気管分岐部からわずか1〜2cmのところで右上葉支が枝分かれします。つまり右用DLTを入れると、気管支カフが右上葉支の入り口を塞いでしまう危険が常にあるのです。

右上葉が換気されなくなれば、非術側の肺のうち3つの葉のひとつが機能を失います。ただでさえ片肺で全身を支えている状況で、これは致命的です。

加えて右主気管支は角度が急で垂直に近いため、体位変換や手術操作でチューブが深く入りやすく、逆に抜けやすい。位置がシビアで、しかもズレやすいという二重の難しさがあります。

💡 結論
左主気管支は長くて余裕があるため、右肺の手術であっても左用DLTを左主気管支に入れて右肺を虚脱させるのが最も安全。だから左用が標準になっています。

それでも「右用」を使わなければならないとき

では右用はどんなときに登場するのか。ひとことで言えば、「左主気管支に管を入れられない、または入れると手術の邪魔になるとき」です。

  • 左主気管支そのものを切る手術——左肺全摘術、左主気管支の形成術・スリーブ切除術。切る場所に管があっては手術になりません
  • 左主気管支に病変がある——腫瘍による狭窄・閉塞で物理的に入らない、あるいは押し込めば病変を傷つける
  • 左主気管支の解剖学的異常・変形——外部からの圧排や術後変化で走行が変わっている
  • 左肺移植——移植する側に管を留置できない

右用DLTの構造的な工夫

右上葉支を塞いでしまう問題に対応するため、右用DLTには気管支管腔の側面に「開窓(スリット)」が設けられています。この窓を右上葉支の入り口にぴったり合わせることで、上葉にも換気が届く設計です。

ただし、この位置合わせが非常にシビア。数ミリずれれば上葉は換気されません。だからこそ右用では気管支ファイバーでの確認がほぼ必須となり、体位変換後の再確認もより厳重に行われます。

🔵 看護のポイント:右用が指定された手術では、「なぜ右用なのか」を術前に把握しておくと動きが変わります。左主気管支を切除する術式なら、術中にチューブの位置調整や引き抜きの指示が出る可能性が高く、ファイバーや吸引をすぐ出せる体制が必要になります。

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挿管介助の実際|物品準備から固定まで

STEP 0|物品準備

📦 準備物品チェックリスト

  • ダブルルーメンチューブ(左右・サイズを確認/前後1サイズも用意)
  • 専用スタイレット(DLT付属のもの)
  • 喉頭鏡(マッキントッシュ/ビデオ喉頭鏡。ブレードサイズを確認)
  • 潤滑剤(太いチューブなので必須)
  • シリンジ2本(気管カフ用10mL/気管支カフ用は少量用の小さいシリンジ
  • 気管支ファイバースコープ+光源(位置確認の必須アイテム)
  • 聴診器
  • 吸引セット(DLT用の細い吸引カテーテル)
  • 固定テープ・バイトブロック
  • 接続用のY字コネクタ(分離用アダプタ)・クランプ

💡 気管支カフ用シリンジは必ず小さいものを。気管支カフに入れる空気は数mL程度とごくわずかで、10mLシリンジでは微調整ができません。太いシリンジで一気に入れると気管支の粘膜を傷つけたり、カフが偏位したりします。

💡 使用前のカフリークテストも忘れずに。2つのカフそれぞれに空気を入れて漏れがないか確認し、確認後は完全に空気を抜いておきます。挿管直前にカフが膨らんでいると、声門を通過できません。

STEP 1|喉頭鏡を渡す

麻酔導入・筋弛緩の効果発現を確認したら、麻酔科医に喉頭鏡を渡します。渡し方は通常の挿管介助と同じで、麻酔科医が受け取ってそのまま握れる向き(ハンドルを手元に)で手渡します。

ライトが点灯しているかを、渡す直前に必ず確認しましょう。

STEP 2|ダブルルーメンチューブを渡す

喉頭展開が得られたタイミングでチューブを渡します。ここが通常の挿管介助と最も違うポイントです。

  • スタイレットを入れ、潤滑剤を塗った状態で渡す
  • 先端の湾曲が前方(腹側)を向く向きで渡す——声門を通過しやすい形にするため
  • チューブが長いので、手元側を軽く支えて渡す——先端が周囲に触れて汚染しないよう注意

STEP 3|スタイレット抜去と「90度回旋」

ダブルルーメンチューブ特有の手技がここです。

  1. チューブの先端(気管支カフ)が声門を通過する
  2. ここでスタイレットを抜去する(麻酔科医の合図で介助者が引き抜くこともある)
  3. 左用の場合、チューブを約90度反時計回り(患者から見て左方向)に回旋させる
  4. そのまま進めると、先端が自然に左主気管支へ誘導される

右用の場合は逆に、時計回りに回旋させて右主気管支へ向けます。

🔵 看護のポイントスタイレットを抜くタイミングは非常に重要です。硬いスタイレットを入れたまま気管支まで進めると、気管支穿孔という重大な合併症につながります。「抜いてください」の声にすぐ応じられるよう、手元に注目しておきましょう。

STEP 4|カフの膨らませ方(順番がある)

カフは気管カフ→気管支カフの順で膨らませるのが基本です。

  • 気管カフ(透明):通常の気管チューブと同様、漏れがなくなる量を注入
  • 気管支カフ(青)数mL程度をごく慎重に。「分離できる最小量」が原則で、入れすぎは気管支粘膜の虚血・損傷やカフの逸脱を招く

STEP 5|固定

位置確認(次章)が済んだら固定します。DLTは太くて重く、しかも位置がずれれば分離が破綻するため、通常の気管チューブ以上に確実な固定が必要です。

固定時にはチューブの深さ(cm表示)を必ず記録しておきましょう。体位変換後に位置がずれた際、「元は何cmだったか」がわかることが復旧の手がかりになります。

位置確認|聴診と気管支ファイバー

入れただけでは終わりません。「本当に左右が分離できているか」の確認が必須です。

① 聴診による確認

操作正しく入っていれば
両方の管腔で換気左右とも呼吸音あり・左右差なし
気管支管腔のみ換気
(気管側をクランプ)
左肺のみ呼吸音あり(左用の場合)
気管管腔のみ換気
(気管支側をクランプ)
右肺のみ呼吸音あり(左用の場合)

② 気管支ファイバースコープによる確認(確実な方法)

聴診だけでは、上葉の閉塞など微妙な位置異常を見逃すことがあります。そのため気管支ファイバーで直接見て確認するのが確実な方法とされています。

気管管腔からファイバーを入れると、気管分岐部と、そのすぐ下に見える青い気管支カフが確認できます。カフが分岐部から適切な深さにあり、反対側の主気管支をふさいでいなければ正しい位置です。

🔵 看護のポイント:ファイバーはすぐ使える状態でスタンバイし、光源の点灯確認・曇り止め・潤滑剤まで準備しておきます。特に右用DLTのときは位置合わせがシビアなので、ファイバー使用はほぼ前提と考えてください。

側臥位への体位変換|チューブが動く最大の山場

胸部の手術は側臥位で行われることがほとんど。そしてチューブ位置がずれる最大の原因が、この体位変換です。

仰臥位から側臥位へ体を回すとき、頸部の角度や気管の走行が変化し、数センチ単位でチューブが移動します。せっかく合わせた気管支カフの位置が、一瞬でずれてしまうのです。

✅ 体位変換時の鉄則

  • 号令は麻酔科医(頭側)がかける——チューブと頸部を守る人が主導する
  • 麻酔科医がチューブと頭頸部を保持し、体幹と同時にゆっくり回す
  • 回旋中に回路が引っ張られないよう、外回りが回路の余裕を確保する
  • 体位変換後は必ず再確認(聴診+必要に応じてファイバー)
  • 再確認が済むまで体位固定を完了させない

「体位を作ってから位置がおかしいと気づく」と、固定具を外してやり直しになります。確認→固定の順番を守ることが、結果的にいちばん早いのです。

分離肺換気中のトラブルと外回りの観察ポイント

低酸素血症(SpO₂低下)

分離肺換気中に最も起こりやすい問題です。虚脱した肺にも血液は流れ続けているため、そこを通った血液は酸素を受け取れないまま全身へ戻ります(シャント)。その結果、SpO₂が低下します。

対応としては、酸素濃度を上げる、換気側にPEEPをかける、虚脱側にCPAPをかける、一時的に両肺換気に戻す、術者に肺動脈の遮断を依頼する——などが段階的に行われます。

🔵 外回りのポイントSpO₂低下は「チューブ位置異常」のサインでもあります。単なる酸素化不良と決めつけず、麻酔科医が位置確認をしたいと言った時点でファイバーと吸引をすぐ出せるようにします。

気道内圧の上昇

片肺だけで換気するため、両肺換気より気道内圧は高くなるのが通常です。しかし急な上昇は異常のサイン。

  • チューブが深く入りすぎた(体位変換後に多い)
  • 分泌物・血液による閉塞→吸引が必要
  • 気管支カフの過膨張
  • チューブの屈曲・回路の圧迫

術側の肺が虚脱しない

「肺がしぼまないから手術ができない」と術者から声が上がることがあります。原因は気管支カフの密閉不足(分離できていない)チューブ位置の不良が多く、位置確認のやり直しが必要になります。

外回り看護師が見るべきモニター

  • SpO₂——分離開始直後は特に注意して推移を追う
  • 気道内圧——急上昇は位置異常・閉塞のサイン
  • EtCO₂・カプノグラム波形——換気状態の変化を早期に捉える
  • 一回換気量——リークが起きていないか

加えて側臥位特有の観察も必要です。腋窩枕の位置(腋窩神経・血管の圧迫回避)、下側の上肢の血流、上側上肢の過伸展、下肢の腓骨神経圧迫——分離肺換気の管理と並行して、体位による合併症予防も外回りの重要な仕事になります。

まとめ

  • 分離肺換気=左右の肺を切り離し、片肺だけを換気する方法。術野確保・健側肺の保護・病態上の必要性が3つの目的
  • 適応は呼吸器外科が中心だが、食道がん(胸腔鏡下食道切除)や下行大動脈手術でも使う
  • ダブルルーメンチューブは2つの管腔(気管・気管支)+2つのカフ(透明・青)。青カフは位置確認の目印
  • 左用が9割以上。右主気管支は短く(約2cm)・急角度で・上葉支が1〜2cmで分岐するため安全域が狭い。だから右肺の手術でも左用を使う
  • 右用が必要なのは「左主気管支に入れられない/入れると邪魔なとき」——左肺全摘、左主気管支の形成・スリーブ切除、左気管支病変、左肺移植など
  • 介助の流れ:喉頭鏡 → DLT(湾曲を前方に)→ 声門通過後スタイレット抜去 → 90度回旋 → 気管カフ→気管支カフの順で膨張 → 位置確認 → 固定
  • 気管支カフは数mL程度・小さいシリンジで慎重に
  • 位置確認は聴診+気管支ファイバー体位変換後は必ず再確認してから体位固定
  • 術中はSpO₂・気道内圧・EtCO₂・一回換気量を監視。SpO₂低下は位置異常のサインでもある

分離肺換気は「難しそう」と身構えてしまいがちですが、「なぜ左用なのか」という解剖の理由がわかると、介助の一つひとつに納得がいきます。仕組みから理解して、自信を持って呼吸器外科の麻酔導入に入れるようになりましょう。

参考文献

  1. 日本麻酔科学会. 気道管理ガイドライン2014(日本語訳)—より安全な麻酔導入のために—. 2015.
  2. 日本麻酔科学会. 抜管から術後早期までの安全な気道管理のための臨床ガイドライン. 2026.
  3. 小西敏郎 監. オペナースのための予習用術式マニュアル(オペナーシング2023年秋季増刊). メディカ出版, 2023.

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