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「術前訪問って、結局何を話せばいいの?」
新人オペ室看護師の皆さん、初めての術前訪問や術後訪問で、患者さんを前に頭が真っ白になった経験はありませんか?
「とりあえず挨拶して、パンフレットを読んで終わってしまった」「術後訪問で何を見ればいいのか分からない…」と、ただの「顔見せ」になってしまっている新人は少なくありません。
指導者の方も、「やり方は教えているけれど、それが『なぜ必要なのか』という本質的な意味を新人に伝えきれていない」と悩むことが多いのではないでしょうか。
この記事では、手術室看護師の核となる「周術期看護」における術前訪問・術後訪問の目的と具体的な流れを徹底解説します。
この記事を読めば、訪問の本質が理解でき、明日から自信を持って病棟へ足を運べるようになります!指導にそのまま使える知識も満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
\オペ看1838人のリアルな声/
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周術期看護における位置づけ


まず、「なぜ手術室の看護師がわざわざ病棟に行くのか?」という前提を理解しましょう。
周術期看護とは?
周術期(しゅうじゅつき)とは、手術が決定した時から、手術を終えて回復するまでの一連の期間を指します。
手術室看護師の仕事は「手術中」だけではありません。患者さんが安全に手術を受け、順調に回復できるよう、術前・術中・術後を一貫して支える「継続看護」こそが周術期看護の本質です。
なぜ訪問が必要なのか
患者さんにとって、手術室は未知で恐怖の空間です。手術当日に初めて会う看護師よりも、前日に顔を合わせて不安を聞いてくれた看護師の方が、圧倒的に安心感を与えられます。
術前・術後訪問は、この「継続看護」を形にし、患者さんの心と身体を守るための中心的役割を果たします。
術前訪問の目的

術前訪問には、ただパンフレットを読むだけではない、明確な5つの目的があります。
① 患者情報の収集とアセスメント
カルテだけでは分からないリアルな情報を集めます。
- 既往歴・アレルギー: テープかぶれやラテックスアレルギーの有無。
- 身体状況: 肩がどこまで上がるか(体位固定に影響)、義歯やグラグラの歯がないか(気管挿管時のリスク)。
👉 ここで得た情報が、翌日の術中看護の質(安全な体位固定やトラブル回避)に直結します。
② 不安・恐怖の軽減
「途中で目が覚めないか」「術後は痛いのか」など、患者さんが抱える不安や恐怖に寄り添い、正しい情報を提供して心理的安定を図ります。
③ 信頼関係の構築
「明日は私が担当します」と伝えることで、「この人がいてくれる」という安心感につながります。術室での極度の緊張状態において、この信頼関係は大きな効果を発揮します。
④ 看護計画の立案
情報収集をもとに、体位固定の方法、褥瘡(皮膚障害)予防のパッドの配置、保温計画など、その患者さん専用の術中看護計画を立てます。
⑤ チーム連携の強化
病棟看護師から最近の様子を聞き取ったり、逆に手術室での予定を病棟へ共有したりすることで、スムーズな申し送りと連携が可能になります。
術前訪問の基本的な流れ


ステップ① 事前準備
病棟に行く前に、必ずカルテで「手術内容」「既往歴」「感染症」「現在の全身状態」を読み込み、想定されるリスクを書き出しておきます。
ステップ② 病棟での患者訪問
- 自己紹介と患者確認: フルネームと手術部位(左右など)を患者さん自身の口から答えてもらい、確認します。
- 体調と身体機能の確認: 関節の可動域や、痛む部位がないかを実際に動かしてもらいながら確認します。
ステップ③ 説明と不安への対応
手術室への入室から麻酔導入までの流れを説明します。
【重要ポイント】 一方的に説明するのではなく、「今、一番気になっていることはありますか?」と「聞く」姿勢を持ち、安心させることが大切です。
ステップ④ 情報整理・共有
持ち帰った情報をチーム(執刀医、麻酔科医、他の看護師)に共有し、看護計画に反映させます。
術後訪問の目的
「手術が終わったから仕事も終わり」ではありません。術後訪問には以下の重要な目的があります。
- ① 術後状態の評価: 疼痛コントロールはできているか、創部の状態、出血などの合併症の兆候はないかを確認します。
- ② 術中看護の振り返り(評価): 術中に設定した体位によって神経障害が起きていないか、電気メスの対極板を貼った場所に熱傷(皮膚トラブル)がないかを確認し、自分の看護を評価します。
- ③ 患者の心理的ケア: 「無事に終わってよかったですね」と声をかけ、手術体験を振り返ることで安心感を提供します。
- ④ 継続看護へのつなぎ: 術中の様子と術後の状態をリンクさせ、病棟看護師へフィードバックし、回復支援につなげます。
術後訪問の基本的な流れ

ステップ① 訪問前準備
術中記録と麻酔記録を確認し、「出血量が多かった」「体位固定の時間が長かった」など、術後の異常に繋がりそうな要因を把握します。
ステップ② 患者訪問と観察
バイタルサイン、痛みの程度(NRSなど)、ドレーンの排液、意識状態を観察します。
あわせて、術後の安静度や創部・ドレーンの状態を確かめたうえで、許される範囲で皮膚の状態や、手足のしびれ・感覚や動きの変化がないかを確認します。術中の体位を無理に再現してもらう必要はありません。新しいしびれや力の入りにくさに気づいたら、すぐに医師・病棟と共有します。
ステップ③ 患者との対話と共有
「手術の後、お辛いところはありませんか?」と声をかけ、困っていることを聴取します。
得られた情報は術中記録と照らし合わせ、「自分の看護計画は適切だったか」を評価し、必要であれば病棟へ連携します。
術前訪問でそのまま使える質問
術前訪問でいちばん多いつまずきが、ベッドサイドに着いてから何を話せばいいか分からないことです。そういうときは、「術中に自分が判断に使う情報かどうか」で選ぶと、聞くことが決まります。
体位と皮膚のために聞くこと
・「いつも、どんな姿勢で寝ていますか。仰向けはつらくないですか」
・「肩や腰で、上げにくい/痛い方向はありますか」
・「しびれているところや、感覚が鈍いところはありますか」
可動域の制限は、麻酔がかかると本人が訴えられません。起きているうちに「どこまでなら平気か」を確かめておくことが、そのまま術中の体位固定の根拠になります。
気道と循環のために聞くこと
・「入れ歯や差し歯、ぐらついている歯はありますか」
・「いびきをかくと言われたことはありますか。睡眠時無呼吸の指摘は?」
・「以前の手術で、麻酔のときに何か言われたことはありますか」
最後の質問は特に有効です。過去の挿管困難は、カルテより本人の記憶に残っていることがあります。
不安そのものを聞くこと
・「いちばん気がかりなのは、どんなことですか」
・「手術のこと以外で、心配なことはありますか」
2つめが意外と大事です。「入院中のペットが心配」「仕事の引き継ぎが終わっていない」——手術と関係ない不安が、入室時の緊張として出てくることがあります。
集めた情報を記録にどう落とすかは、手術看護のアセスメントの書き方|実際の7事例でポイントを解説にまとめています。「聞いたけれど書けない」で止まる方は、あわせて読んでみてください。
「特にありません」と言われたら
これは本当に無いのではなく、何を聞いていいか分からないことがほとんどです。
そういうときは、こちらから場面を出すと出てきます。「手術室って寒いイメージありませんか」「眠るときのこと、気になりませんか」——具体的な場面を出すと、「実はそれが一番怖くて」と返ってくることがよくあります。
訪問できないときは、どうするか
緊急手術や当日入院では、そもそも訪問する時間がありません。「できなかった」で終わらせず、代わりに何で埋めるかを決めておくのが現実的な対応です。
・カルテから最低限を取る:既往、可動域の制限、アレルギー、前回麻酔の記録
・病棟看護師に電話で3つだけ聞く:「歯」「体位でつらい向き」「今いちばん不安そうにしていること」
・入室してからの数十秒を訪問の代わりにする:本人確認のあと、ひとつだけ質問する時間を作る
訪問の価値は「行った事実」ではなく、術中の判断材料が手元にあるかどうかです。形が取れないときほど、何を取りに行くかを絞ってください。
新人がつまずくポイント(なぜ苦手なのか)
❌ 新人の悩みと原因
- 「何を聞けばいいか分からず沈黙してしまう」
- 「業務に追われ、時間がなくて形だけの訪問になっている」
- 「コミュニケーションそのものに自信がない」
新人が術前訪問を苦手とする最大の原因は、コミュニケーション能力の欠如ではなく、「手術そのものの知識不足」と「経験不足」です。何がリスクになるか分からないから、何を聞けばいいか分からないのです。
指導者向け:教育のコツ

❌ NGな指導
「とりあえず時間になったら行ってきて」「このパンフレット読んでくればいいから」と、形式だけを教えること。これでは訪問の質は上がりません。
OK指導と効果的な教育
必ず「訪問の目的(なぜ行くのか)」から教え、その後に「行動(何をするか)」を指導します。
最初は先輩が「同行訪問」し、先輩のコミュニケーションを見せます。その後、カルテを見ながら「この患者さんの場合、明日どんなリスクがあると思う?だから何を聞く?」と事前にディスカッション(ケーススタディ)を行うのが最も効果的です。
迷ったときに使える思考フレーム
病棟に行く前、病室のドアを開ける前に、以下のフレームを頭に浮かべてください。
🟢 【術前訪問】の思考フレーム
- ① 明日の手術で、この患者さん特有の「リスク」は何か?
- ② 今、患者さんは「何に対して一番不安」を感じているか?
- ③ ここで得た情報を、明日の術中看護にどう活かすか?
🟢 【術後訪問】の思考フレーム
- ① 今の痛みや状態は、術中の出来事(体位や出血量)と関連しているか?
- ② 術後の合併症(出血・感染・神経障害)の兆候はないか?
- ③ 私の看護によって、患者さんは安心できているか?
👉 迷ったら、常に「術中とつなげて考える」ことが正解です。
参考文献
- 日本手術看護学会編.手術看護業務基準(改訂第2版).日本手術看護学会;2025.
- 日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会編.周術期管理チームテキスト 第4版.神戸:日本麻酔科学会;2020.
🍈 手術室の手当、ちゃんとついていますか?
同い年・同じ年数なのに、病棟の同期と月8〜10万円の差がついたことがありました。
差の正体は基本給ではなく、夜勤と手当です。自分の手当が相場のどこにあるか、確かめる3ステップをまとめました。
※筆者の実体験です。差は勤務先や夜勤の回数によって変わります





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