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手術室のすみにドーンと置いてある、大きなロボットアーム。
術者が手を動かすと、ロボットの鉗子がまるで自分の手みたいにスッと動く――。
もうこの光景、だいぶ当たり前になってきましたよね。
ロボット手術といえば「ダヴィンチ」。
アメリカ生まれの手術支援ロボットで、術者はコンソールからアームとカメラを操作します。画面はめちゃくちゃきれいな3D映像だし、鉗子は手首みたいにくにゃっと曲がる。
だから細かい操作もやりやすいんです。
ロボット手術=ダヴィンチ、ってイメージの人も多いはず。診療科によっては「ロボット手術やってますか?」って患者さんから聞かれることもあるくらい。
昔は“最新機器!”って感じだったけど、今は“あって当たり前”。
その大きな存在「ダヴィンチ」に挑戦する者たちが現れはじめています。
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広がり続ける日本のロボット手術市場
日本の手術支援ロボット市場って、アジアの中でもけっこう大きいって言われてます。導入する病院も、ロボットで行う術式も、年々広がっています。
なんでそんなに伸びてるの?って話ですが、まずはやっぱり高齢化。手術そのものが増えてます。
それに加えて、「できるだけ体に負担が少ない手術を受けたい」というニーズもどんどん高まってる。低侵襲って、もう当たり前のキーワードですよね。
さらに、ロボット手術の保険適用が少しずつ広がっていることや、国としても高度医療を後押ししている流れも大きいです。
しかも最近は、外科医の高齢化や若手不足への対策として「教育ツール」としての役割も期待されています。これ、現場で働く側からすると結構リアルな話ですよね。
ダヴィンチを中心に、ロボット手術の存在感はこれからもどんどん大きくなっていきそうです。
国産ロボットの本格参戦
国産「hinotori(ヒノトリ)」

こうした成長市場に、日本発の手術支援ロボットが本格的に参入してきました。
2020年に発売された、メディカロイド社の「hinotori(ヒノトリ)」は、日本初の本格的なダヴィンチの競合機として注目を集めています。
hinotoriの特徴は、日本の手術室環境を強く意識した設計です。手術室の広さや動線を考慮したアーム構造、術台への取り付けやすさなど、「現場で使いやすい」工夫が随所に見られます。スペースに余裕のない手術室でも運用しやすい点は、オペ看の立場から見ても大きなメリットといえるでしょう。
すでに大学病院やがん専門施設での使用が進み、泌尿器科領域を中心に保険適用も拡大しています。
触覚が伝わる「Saroa(サロア)」

さらに注目されているのが、リバーフィールドテクノロジーズ社の「Saroa(サロア)」です。Saroaは、鉗子操作時の触覚・力覚フィードバックを術者に伝える機能を備えており、組織の“手応え”を感じながら操作できる点が特徴です。血管や神経が密集する場面での安全性向上が期待されています。
国産ロボットは、価格面だけでなく、保守対応の速さや日本語インターフェースなど、現場目線の強みを持っています。「ダヴィンチ一択」だった時代から、選択肢が増えてきたことは大きな変化です。
海外メーカーも続々参入
「Hugo RAS System」

国産勢だけでなく、海外メーカーも日本市場に本格参入しています。
メドトロニック社の「Hugo RAS System」は、必要なアーム数を組み合わせて使えるモジュール型設計が特徴です。初期費用や運用コストを抑えやすく、手術室のレイアウトに柔軟に対応できる点が評価されています。
「Senhance(センハンス)」

また、「Senhance(センハンス)」は、視線でカメラを操作できるアイトラッキング機能や、触覚フィードバックを備えた独自性の高いシステムです。比較的コンパクトで価格帯も抑えめなため、中規模病院での導入が進んでいます。
こうした海外製ロボットの登場により、日本市場は「一社独占」から「複数機種を比較する時代」へと移行しつつあります。
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ダヴィンチは揺らぐのか?

現時点では、導入台数や症例数でダヴィンチが優位である状況は変わっていません。ただし、国産・海外の競合機が増えたことで、病院側は価格、機能、サポート体制、長期的な運用コストを比較するようになっています。
メーカーによるデモや試験導入が行われるケースも増え、ロボット手術市場はまさに過渡期にあります。この競争は、ダヴィンチ側にとっても改良や新モデル開発の原動力となり、市場全体の技術進化を加速させています。
機種が増えると、手術室で何が変わるのか
ここまで市場の話をしてきましたが、手術室看護師にとって本当に大事なのはここからです。「選択肢が増える」は、現場から見ると「覚えることが増える」でもあります。
① ドレープも器械も、機種ごとに別物
アームにかけるドレープ、鉗子の取り付け方、カメラの扱い——基本の考え方は同じでも、手順は機種ごとにまったく違います。ダヴィンチで慣れた手順が、そのまま別の機種で通用するわけではありません。
1つの病院に2機種以上が入ると、「今日の部屋はどっちの機種か」を毎朝確認するところから始まります。準備のチェックリストも、機種ごとに分けておく必要が出てきます。
② 緊急離脱の手順も、機種ごとに違う
ロボット手術でいちばん大事なのは、出血や急変のときにロボットを外して開腹へ移る手順です。この手順はメーカーごとに決められていて、同じではありません。
ふだん使わない機種の緊急離脱手順を、いざという時に思い出せるか。ここが、複数機種の時代にいちばん現場が気をつけるべき点だと思っています。導入時の研修だけで終わらせず、定期的に手順を確認し直す機会を部署で作っておくと安心です。
ダヴィンチでの緊急離脱の考え方とセッティングの全体は ロボット支援手術(ダビンチ)完全講義 にまとめています。
③ 教育の負担は、機種の数だけ増える
新人にロボット手術を教えるとき、1機種なら1つの手順を教えればすみます。2機種あれば、教える側も2つ覚えていなければいけません。
しかも、ロボット手術は件数が限られていることが多く、「前回やったのが何か月前か思い出せない」ということも起きます。メーカーの担当者が立ち会ってくれる期間が終わったあと、部署として誰が手順を持っておくか——導入が決まった時点で、そこまで考えておくことが大切です。
④ でも、看護師の専門性も広がる
ここまで大変な話を書きましたが、裏を返せば、複数の機種を扱える手術室看護師は、それだけで強みになります。ロボット手術の経験そのものが、手術室看護師のキャリアとして評価される場面も増えていくはずです。
「続けられる働き方」から先に決めたほうが、早いこともあります
やりがいで選んで、生活が崩れて辞めてしまうのが一番もったいないと思っています。夜勤なし・オンコールなし・通勤◯分以内——先に外せない条件で絞ってから求人を見ると、手術室を続けられる職場が実際にいくつあるのかが数で見えます。
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手術室看護師として考えたい未来
今後の鍵となるのは、適応術式の拡大、AI技術の導入、そして価格戦略です。ロボット手術がさらに広がれば、私たち手術室看護師にも、機種ごとの特徴理解やセッティング、トラブル対応など、より高い専門性が求められるようになります。
競争が進むことは、患者さんにとっても、医療者にとっても決して悪いことではありません。選択肢が増え、より安全で質の高い手術が実現する可能性が広がるからです。
ダヴィンチが切り開いたロボット手術の時代は、今、新たなフェーズに入りました。その変化の最前線に立つ手術室で、私たち看護師が果たす役割も、これからますます重要になっていくでしょう。






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