オペ看の人間関係が疲れる本当の理由|10年続けてわかった「世代の壁」の正体

オペ看の働き方
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「業務は好きなのに、人間関係だけがしんどい」「ベテランばかりの中で、自分の意見なんて言えない」。オペ看として働いていると、そんな苦しさを抱える瞬間がありませんか。器械の名前も術式の流れも必死に覚えたのに、いちばん消耗するのは技術面ではなく人との関わりだった——そう感じている方は、決して少なくありません。

それは、あなたのコミュニケーション能力が低いからでも、打たれ弱いからでもありません。手術室には、他の部署にはない「人間関係が特殊になりやすい構造」があります。この記事では、手術室で10年働き、診療科リーダーとして新人指導にもあたってきた私が、自分自身が悩んだ経験と、リーダーになって見えてきた景色の両方から、オペ看の人間関係がなぜ疲れるのか、そしてどう向き合っていけばいいのかをお伝えします。

🍈 読む前に、ひとつだけ。
私は3〜5年目に、3社の転職サイトに登録して、応募しませんでした。

他院のオンコール手当を調べたら、結果は「同じくらい」
拍子抜けしましたが、比べるまで、自分の職場が良いのか悪いのかも分かっていなかったんです。

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なぜ、業務は好きなのに人といる時間だけが苦しいのか

まず知ってほしいのは、手術室は病棟と比べて「経験年数の壁」が消えにくい部署だということです。病棟であれば、1年目後半で夜勤に入り、2年目でプリセプターを任され、3年目にはチームリーダーとして主体的に動く場面が増えていきます。年次が上がるほど裁量が広がっていく構造です。

ところが手術室は、中堅からベテランのスタッフが厚い部署です。3年目になっても、まだ「新人枠」として扱われることが珍しくありません。私自身、3年目で初めてプリセプターを任されたとき、指導経験がないまま新人指導にあたり、伝えたつもりが伝わらず、新人のミスにつながってしまったことがありました。そのとき先輩から「その教え方はよくない」と否定され、振り返りの時間を持ちたいと申し出たら「忙しいのに、よくそんなことが言えるね」と言われたこともあります。

今振り返ると、あれは私が無能だったからでも、先輩が意地悪だったからでもありません。世代の違う者同士が、お互いを理解しようとする想像力を、どちらも持てていなかっただけなのだと思います。「いつになったら自分の看護を主体的に発揮できるんだろう」というモヤモヤは、あなたの能力の問題ではなく、オペ看という部署の構造が生みやすい悩みなのです。

もうひとつの正体は、閉ざされた空間で長時間、同じメンバーと過ごすという環境そのものです。手術中は数時間、同じ執刀医・麻酔科医・スタッフと同じ部屋に居続けます。異動でしか環境が変わらないため、「合わない人がいる部署」に配属されると、他部署のように自然に距離を置くという逃げ場がほとんどありません。この「逃げ場のなさ」が、人間関係の悩みを実際以上に重く感じさせている面があります。

手術室で医師と看護師が手術をしているイラスト

まず今日を乗り切るために、できること

根本的な解決の前に、まず今のしんどさを少しでも軽くする方法から紹介します。すぐに環境を変えられない以上、当面をどう乗り切るかも大切だからです。

  • マイナス感情を溜め込まず、言葉にして誰かに出す。同僚に話すだけで解決には至らなくても、心が軽くなることは確かにあります。私自身も、当時の同僚に「今日こんなことがあってしんどかった」と話すだけで、翌日また現場に立てたことが何度もありました。
  • 「一時的な忙しさ」と「常態化した忙しさ」を分けて考える。緊急手術や追加症例が続く日はどの部署でもあります。それが「たまたま」なのか「いつもこの状態」なのかを見分けるだけで、しんどさの意味づけが変わります。
  • 記録は具体的に残す。理不尽な言われ方をしたときは、いつ・どこで・誰に・何を言われたか、その結果どうなったかをメモしておきましょう。感情的な記憶だけでは「自分が過剰に受け止めているだけかも」と自分を疑ってしまいがちですが、事実を書き出すと状況を客観視しやすくなります。
  • 相談先を院内だけにしない。院内で相談しても「あなたにも原因があるのでは」と返され、かえって立場が悪くなることもあります。労働組合や都道府県の労働相談窓口など、院外の相談先も知っておくと安心材料になります。

これらはあくまで対症療法です。根っこにある「構造」が変わらない限り、同じしんどさは形を変えて繰り返されます。次の章では、その構造そのものに目を向けてみます。

オペ看めろんが本棚の前で勉強しているイラスト

手術室という部屋が、関係をこじらせてしまう理由

手術室の人間関係が難しくなる背景には、いくつかの構造的な要因が重なっています。

1つ目は、先ほど触れた「経験年数がそのまま発言権になりやすい」文化です。手術の安全のために経験知が重視されるのは当然ですが、それが行き過ぎると、新人やまだ経験の浅いスタッフの意見が通りにくくなります。新人がインシデントを起こしたとき、ベテラン側の見方が優先され、「なぜ起きたのか」という背景が十分に理解されないまま一方的に非難される場面を、私も見てきました。

2つ目は、「誰がやってもいい仕事」が特定の人に集中する構造です。器械台の補充、次の症例の準備、片付け忘れたワゴンの整理、新人のフォロー。こうした仕事は、守備範囲が広く、恩着せがましくない人が自然と拾ってしまいます。本人は「見過ごすほうがストレス」だからやり続けますが、その分の負担は誰にも見えづらく、周囲は「あの人はいつも大丈夫そうだから」と受け取り続けてしまう。気づいたときには、その人の限界が近づいている——これも、オペ看の現場でよく起きることです。

3つ目は、比較のきっかけが日常的に発生することです。術前訪問で病棟へ行くと、同期が先輩と対等に意見を交わしている場面に出くわします。転職した友人から「前より人間関係に恵まれている」と聞くこともあります。「いいな、私も楽しく働けるようになりたいな」と感じるのは自然なことですが、この比較が積み重なると、今の職場そのものへの不信感にすり替わってしまうことがあります。

大切なのは、これらを「自分の性格の問題」に矮小化しないことです。良い出来事と悪い出来事が同じ数だけ起きても、マイナスの感情のほうが強く長く残ります。給料が上がった嬉しさは3日で当たり前になるのに、理不尽な言われ方は半年経っても覚えている——これは誰にでも起きる自然な心理です。前触れのない退職の多くは、こうして溜まりきったマイナス感情が引き金になっています。

手袋をしてガーゼ様のものを切る練習

言い返せなかった日のことを、いまも覚えています

さきほど「忙しいのに、よくそんなことが言えるね」と言われた話を書きました。もうひとつ、同じ時期の話をさせてください。

入職して2か月ほどの1年目スタッフに、ベテランのスタッフが「手術看護学会に入って、土日もセミナーに参加しないとダメだよ」と半ば強制のように勧めていたことがありました。その子は明らかに困っていました。日々の業務を覚えるだけで精一杯の時期です。だから私は代わりに、「まだ今は業務を覚えることでいっぱいいっぱいで、土日にセミナーへ参加するのは難しい様子です」と伝えました。

返ってきたのは、「プリセプターまでヤル気が無い」という言葉でした。

そのとき私は、黙ってしまいました。言い返したいことはありました。でも、先輩に対して言えなかった。今でもあの場面を思い出すことがあります。

ここで「でも、勇気を出して伝えたら分かってもらえました」と書けたらきれいなのですが、事実は違います。言えないまま終わった経験があるからこそ、いま同じ立場にいる人に「言い返せなくても、あなたが悪いわけじゃない」と伝えたいと思っています。

変えられるものと、変えられないものを分ける

私自身、3年目のプリセプター経験のあと、「このままでいいのか」と本気で悩み、看護roo!・レバウェル看護・ナース専科の3社に登録して転職活動の一環として利用したことがあります。結果的に転職はしませんでしたが、その過程で気づいたことがあります。

それは、「今の職場に残るか、環境を変えるか」を二択で考える必要はないということです。私が実際にやってよかったのは、次の3つでした。

  • 紙に書き出して、悩みの中身を分解する。「今、いちばんつらいのは何か」「それは今の職場でしか起きないことか」を問いの形で書き出すと、「職場が嫌だ」ではなく「なりたい看護師像のために、残るべきか環境を変えるべきか迷っている」だけだと気づけることがあります。
  • 同僚・友人・第三者と、段階を分けて話す。同僚に話すと共感は得られても解決策までは出ません。転職した友人の話は参考になっても曖昧で判断材料にはなりにくい。だからこそ、求人を紹介する前に希望や価値観を整理してくれるプロの視点が役に立ちます。
  • 「未来の自分」から逆算して考える。5年後どんな看護師になっていたいか、それが難しければ「どんなときに自分は幸せか、楽しいか」から逆算してみる。この視点があると、今の悩みが「辞める理由」なのか「乗り越えるべき壁」なのかが見えてきます。

実際にエージェントに相談してみて驚いたのは、いきなり求人を出されるのではなく、「最低限どのくらいの給料が必要か」「どんな生活を送りたいか」という手前の部分から一緒に整理してもらえたことでした。さらに「手術室」という条件だけで求人を絞り込めることも、そのとき初めて知りました。専門を変えずに、環境だけを変えるという選択肢があると分かったのは、大きな安心材料になりました。

結果として私は今の職場に残る決断をしましたが、それは「比較できたからこそ」納得できた選択でした。もし当時、比較する材料を何も持たないまま我慢を続けていたら、今のように新人指導にやりがいを感じることも、リーダーとして自分なりの指導観を持つこともできなかったかもしれません。

おわりに|あなたが弱いのではなく、場所の問題かもしれません

オペ看の人間関係がしんどく感じるのは、あなたの適応力が足りないからではなく、経験年数が発言権に直結しやすく、逃げ場の少ない構造がそうさせている面が大きくあります。まずは今日からできる小さな対処で、しんどさを言葉にして外に出すこと。そのうえで、「今の職場で変えられること」と「環境そのものを変えること」の両方を選択肢として持っておくことが、長い目で見たときの支えになります。

私自身、迷った時期に3社へ登録したことで、初めて「専門を変えずに環境だけ変える」という道があると知りました。転職を決めていなくても、まずは自分の市場価値や選択肢を知るところから始めてみませんか。

🍈 転職しないために、転職サイトを使いました

3〜5年目のころ、病棟の同期と話していて「同期のほうが給料が高い」と知った日がありました。その夜、私は看護roo!・レバウェル看護・ナース専科の3社に登録しています。

他院のオンコール手当を調べた結果は、同じくらいでした。
正直に言うと、比べるまで、自分の職場が良いのか悪いのかも分かっていませんでした。分かったから、私は残ることを選べたんです。応募も面接もしませんでした。

正直に書いておきます。こういう方には向きません。

・いまの職場に不満がない方(転職は目的ではなく、手段です)
・希望がまだ何も決まっていない方。最初に聞かれるのは「今後どんな働き方をしていきたいですか?」です。私はこれに詰まりました

私の使い分け

① まず自分で相場を見たいとき → 看護roo!
 手術室ならではのオンコール手当を病院どうしで比べられました。3年目・5年目のモデルケースも載っているので、自分の数年後をイメージしやすいです。
② 条件を人に伝えて探してほしいとき → レバウェル看護 / ナース専科
 私は電話で希望を伝えて、病院探しの相談に乗ってもらいました。求人票に出てこない話が聞けます。

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