※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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「帝王切開では、手術室に入ってから赤ちゃんが生まれるまで何をするの?」「意識があるのに、お腹を切って痛くない?」と不安になっていませんか。
予定帝王切開では、背中から行う下半身麻酔を使い、麻酔の効きを確かめてから手術を始めることが一般的です。お腹の前には清潔な布がかかるため、手術の様子が直接見えるわけではありません。赤ちゃんを取り出したあとも、胎盤を出し、出血を確認して子宮とお腹を閉じる処置が続きます。
この記事では、帝王切開の手術の流れを、患者さんとご家族がイメージしやすい順番で解説します。手術中の感覚、手術時間、痛いときの伝え方も、日本産科麻酔学会などの資料と手術室看護師としての経験をもとに整理しました。
帝王切開の手術の流れを動画で見る
動画では、模型を使って、皮膚と腹壁を開く場面から赤ちゃんの誕生、胎盤を出して傷を閉じるまでを再現しています。実際の手術映像ではないため、血液や臓器の映像が苦手な方も流れをつかみやすい内容です。
ただし、動画は一つの再現例です。切開方法、麻酔、縫い方、赤ちゃんとの対面方法などは、お母さんと赤ちゃんの状態、緊急度、過去の手術歴、施設の方針で変わります。
帝王切開の手術当日は7つの流れで進む
予定帝王切開の手術室での流れは、大きく7段階に分けられます。緊急帝王切開では、安全のために準備を同時進行したり、順番を短縮したりすることがあります。
- 手術室へ入り、本人確認とモニター装着を行う
- 点滴や麻酔など、手術前の準備を行う
- 麻酔の効きを確認し、お腹を消毒する
- 皮膚・腹壁・子宮を開く
- 赤ちゃんを取り出し、へその緒を処置する
- 胎盤を出し、子宮の中と出血を確認する
- 子宮とお腹の傷を閉じ、術後の観察へ移る
1.本人確認とモニター装着
手術室では、氏名、手術内容、アレルギーなどを複数のスタッフで確認します。心電図、血圧計、血液中の酸素を測るセンサーなどを装着し、お母さんの状態を続けて見られるようにします。
手術台へ移ると、多くの人や機器が目に入り、緊張が強くなるかもしれません。寒い、吐き気がする、息苦しい、怖いと感じたときは、この時点から遠慮なく伝えてください。
2.点滴・麻酔・尿の管などの準備
点滴を確認し、必要に応じて血栓を予防する機器を脚につけます。予定帝王切開では、横向きまたは座った姿勢で背中を丸め、脊髄くも膜下麻酔などを行うことがあります。
尿道カテーテル、いわゆる「尿の管」を入れる時期は施設で異なります。下半身麻酔が効いたあとに行う施設もあれば、病棟で先に行う場合もあります。心配な方は、術前説明で「いつ入れる予定ですか」と確認して構いません。
尿の管の痛みや抜く時期は、手術の尿道カテーテルはいつ入れる?で詳しく解説しています。
3.麻酔の効きを確認してから消毒する
背中からの麻酔では、足が温かい、重い、動かしにくいなどの感覚が出てきます。医療者は冷たさや皮膚の感覚などを左右で確かめ、手術に必要な範囲まで麻酔が効いているかを判断します。
麻酔の確認後、お腹を消毒し、手術する場所以外を清潔な布で覆います。顔と手術部位の間にも仕切りができるため、通常は自分のお腹の操作を直接見ることはありません。
4.皮膚・腹壁・子宮を順番に開く
麻酔が十分に効いていることを確認してから、下腹部の皮膚を切開します。その下にある組織を順に進み、お腹の中へ到達したあと、子宮を開いて赤ちゃんへ近づきます。
動画では、筋肉を指で分けて広げる場面も再現しています。実際にどの層をどのように開くかは、横切開か縦切開か、緊急度、癒着の有無、追加手術の必要性などで変わります。動画と同じ操作が全員に行われるわけではありません。
5.赤ちゃんが生まれ、新生児の確認へ移る
子宮を開いたら、赤ちゃんの位置に合わせて慎重に取り出します。赤ちゃんが生まれる場面では、お腹を強く押されるように感じることがあります。へその緒を処置したあとは、赤ちゃんの呼吸や全身状態などを確認します。
お母さんと赤ちゃんが安定していれば、産声を聞いたり、顔を見たり、触れ合えたりする施設もあります。対面の時期と方法は、赤ちゃんの処置、お母さんの体調、施設の体制で異なります。
6.胎盤を出し、子宮と出血を確認する
赤ちゃんが生まれたあとに胎盤を出し、子宮の中に残っているものがないか、出血が落ち着いているかを確認します。必要に応じて子宮の収縮を促す薬を使うこともあります。
赤ちゃんの誕生で手術が終わったように感じますが、お母さんの安全を確認する大切な工程が続きます。急いで閉じるのではなく、出血や周囲の状態を確かめながら進みます。
7.子宮とお腹を閉じ、術後の観察へ移る
子宮の切開部を縫い、出血がないかを再度確認します。その後、お腹の組織と皮膚を順に閉じます。縫合糸、医療用のホチキス、皮膚用接着剤など、皮膚を閉じる方法には施設差があります。
傷を覆ったら手術は終了です。血圧、出血、痛み、吐き気、子宮の収縮などを確認しながら、病棟や回復を観察する場所へ移ります。
帝王切開の麻酔中は触られる感覚が残ることがある
帝王切開でよく使われる背中からの麻酔では、痛みの感覚をなくしても、触られる感覚や押される感覚まで完全に消えるとは限りません。日本産科麻酔学会も、脊髄くも膜下麻酔では、押されたり引っ張られたりする感覚が残ると説明しています。
「触られている」「お腹が揺れる」「強く押される感じ」と、切られるような痛みは別です。手術前には麻酔の効きを確認しますが、鋭い痛み、熱い痛み、耐えにくい苦痛があるときは我慢せず、すぐ麻酔を担当する医師や近くの看護師へ伝えてください。
痛みの場所、強さ、いつからかを短く伝えるだけで十分です。手術室では、お母さんの表情、血圧、脈拍、訴えを合わせて確認し、薬の追加や麻酔方法の変更などを検討します。
全身麻酔になる場合もある
お母さんや赤ちゃんの状態がとても急いでいるとき、出血が多いとき、血液が固まりにくいとき、背中からの麻酔が難しいときなどは、全身麻酔が選ばれる場合があります。全身麻酔では眠っているため、手術中の意識はありません。
全身麻酔から目覚めるときの呼吸の管や、回復室までの流れが気になる方は、全身麻酔から目覚める瞬間はどんな感じ?も参考にしてください。
緊急帝王切開で準備が速く進むのは、説明を省きたいからではなく、母児の安全を守るためです。落ち着いたあとに経過を聞きたい場合は、担当医や看護師へ「何が起き、どのような判断だったか説明を聞きたい」と伝えて構いません。
帝王切開の手術時間は約1時間が一つの目安
国立成育医療研究センターは、帝王切開の手術時間を約1時間と案内しています。ただし、これは一つの目安です。緊急度、癒着、出血、胎盤の位置、過去の帝王切開回数、追加の処置などで長くなることがあります。
赤ちゃんは手術の前半に生まれることが多く、その後に胎盤を出し、止血を確認して傷を閉じます。そのため「赤ちゃんの産声が聞こえたのに、まだ終わらない」と感じても、それだけで異常とは限りません。
家族へ伝えられる終了時刻も、当日の状況で前後します。手術室へ入る時刻、赤ちゃんが生まれる時刻、お母さんが病棟へ戻る時刻は同じではない、と考えておくと待ち時間を理解しやすくなります。
帝王切開の傷は横切開が多いが縦切開もある
通常の帝王切開では、下腹部を横方向に切る方法が多く使われます。一方で、一刻を争う緊急時や、帝王切開と同時に別の手術が必要な場合などは、縦方向に切ることがあります。
皮膚の傷の向きと、子宮の切り方は必ずしも同じとは限りません。また、以前の傷があっても、今回どの方法になるかは状態によって変わります。傷の位置や閉じ方が気になる方は、術前に主治医へ確認してください。
手術後の痛みや気分不良は早めに伝えてよい
手術後は麻酔が少しずつ弱まり、傷の痛みや子宮が収縮する痛みを感じやすくなります。痛み止めの方法は、背中からの薬、点滴、内服薬、坐薬、神経ブロックなどがあり、麻酔方法と施設方針で異なります。
「まだ我慢できるから」と限界まで耐える必要はありません。痛みで深呼吸や体動が難しい、吐き気が強い、息苦しい、急に気分が悪くなったなどの症状があれば、早めにスタッフへ伝えてください。
病棟へ戻ったあとも、出血、血圧、傷、尿量、足の状態などを確認します。飲水、食事、歩行、尿の管を抜く時期、赤ちゃんとの過ごし方は、回復と施設のスケジュールに合わせて進みます。
帝王切開の手術前に確認してよい5つのこと
施設差が大きい部分は、検索だけでは自分の予定が分かりません。次の5つを術前説明で確認しておくと、当日の見通しを持ちやすくなります。
- 予定している麻酔方法と、全身麻酔へ変わる可能性
- 尿道カテーテルを入れる時期と、抜く目安
- 家族の立ち会い、写真撮影、待機場所のルール
- 赤ちゃんとの対面や触れ合いができる条件
- 手術後の痛み止めを、どのように頼めばよいか
不安が強いこと自体も、伝えてよい大切な情報です。「説明は理解できたけれど、手術室に入るのが怖い」と話せば、当日の声かけや環境調整を考える手がかりになります。
よくある質問
手術中に会話はできますか?
背中からの麻酔で意識がある場合は、医師や看護師と会話できます。緊張、痛み、吐き気、寒さ、息苦しさなど、気になる変化を伝えてください。全身麻酔の場合は眠っているため会話はできません。
手術の音や医療者の会話は聞こえますか?
意識がある麻酔では、機器の音や医療者の声が聞こえます。安全確認のための声かけや、赤ちゃんの状態を共有する会話もあります。音が不安を強めるときは、近くの看護師へ伝えてください。
赤ちゃんにはすぐ会えますか?
母児ともに安定し、施設の体制が整っていれば、手術室内で顔を見たり触れ合ったりできる場合があります。赤ちゃんに呼吸の補助や詳しい観察が必要なときは、処置を優先します。事前に自施設の方針を確認してください。
まとめ|帝王切開は赤ちゃん誕生後も安全確認が続く
- 予定帝王切開では、麻酔の効きを確認してから手術を始める
- 皮膚と腹壁を開き、子宮から赤ちゃんを取り出す
- 赤ちゃんの誕生後に、胎盤、出血、子宮を確認して傷を閉じる
- 背中からの麻酔では、触られる・押される感覚が残ることがある
- 鋭い痛みや強い苦痛は我慢せず、その場で伝えてよい
- 手術時間は約1時間が一つの目安だが、状態や術式で変わる
帝王切開の流れを知る目的は、細かな手術手技を覚えることではありません。「次に何が起こるか」「どの感覚なら伝えるべきか」を知り、自分の希望や不安を医療者と共有しやすくすることです。
実際の予定は施設と一人ひとりの状態で変わります。この記事で気になった点をメモし、妊婦健診や術前説明で確認してみてください。
参考文献
一般の方向けの関連動画
手術前の不安を、動画でも少しずつ整理できます
オペ看めろんYouTubeでは、患者さんから見えにくい手術室の流れを、模型やイラストを使って解説しています。今後の動画も確認したい方は、チャンネルを開いて登録していただけるとうれしいです。



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