手術室のME機器(電気メス・吸引器・内視鏡)の安全使用とトラブル対策

麻酔・オペ看の基本
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「電気メス、とりあえず言われた通りに渡しているだけ…」

新人オペ室看護師の皆さん、手術室にあふれる無数の「ME機器(医用工学機器)」に苦手意識を持っていませんか?
「吸引器のトラブル対応に自信がない」「エラー音が鳴るたびにビクビクしている」という経験は、多くの新人が通る道です。

一方、指導者の皆さんも、「機器の『操作手順』は教えているけれど、それに潜む『危険性や仕組み』までは新人に伝えきれていない」と悩むことが多い分野でもあります。

この記事では、手術室で最も頻繁に使用される電気メス・吸引器・内視鏡外科手術機器を中心に、ME機器の安全使用の本質と事故を防ぐための具体行動を徹底解説します。

この記事を読めば、ただの「機械操作」が「根拠を持った安全管理」へと変わり、明日から自信を持って器械出しや外回りにつけるようになります!新人指導にもすぐ使える知識が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

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ME機器の基本概念(最重要)

個別の機器の使い方を覚える前に、まずは「ME機器とは何か」「なぜ危険なのか」という本質を理解しましょう。

ME機器とは

ME機器(Medical Engineering機器)とは、医学と工学の知識を応用し、患者さんに電気や物理的なエネルギーを与える、あるいは患者さんから生体情報を受け取るための医療機器のことです。
👉代表例:電気メス、吸引器、人工呼吸器、生体情報モニター、輸液ポンプ、内視鏡システムなど。

ME機器に潜むリスク

非常に便利な反面、ME機器は扱いを間違えると重大な事故に直結します。

  • 感電・熱傷(やけど): 意図しない電流の漏れ(漏れ電流)や接触不良によるもの。
  • 火災: 手術室特有の「酸素(支燃性)× 電気火花(点火源)× ドレープや消毒薬(可燃物)」が揃うと、一瞬で発火するリスクがあります。
  • 電磁干渉(EMI): 電気メスの高周波などがペースメーカーやモニターを誤作動させるリスク。

安全使用の基本原則

JIS(日本産業規格)や各種ガイドラインでも定められている通り、ME機器の安全使用の鉄則は以下の3つです。

  1. 必ず「使用前点検」を行う(電源、コードの断線、アラーム確認)
  2. 適切な接続を行う(アース線の確認など)
  3. 「あれ?」と思う異常があったら、即座に使用を中止する

電気メスの基礎と安全使用

手術室で最も使用頻度が高く、かつ事故報告も多いのが電気メスです。

電気メスとは

電気メス(高周波電気手術器)は、高周波電流を患者の組織に流すことで発生する「ジュール熱」を利用し、組織の切開や血液の凝固(止血)を瞬時に行う装置です。

種類(モノポーラとバイポーラの違い)

種類特徴対極板の有無
モノポーラペンシルから電流が出て、患者の体を通り、対極板へ抜ける。広範囲の切開・凝固に使用。必須
バイポーラピンセットの先端と先端の間だけで電流が流れる。精密な止血(脳外科など)に使用。不要

安全使用ポイント(実務)

  • 対極板の適切貼付: モノポーラを使用する際、電流の出口となる対極板が剥がれていると、そこに電流が集中し重度の「熱傷(やけど)」を起こします。血流が良く、毛が少なく、手術部位に近い筋肉の上に隙間なく密着させます。
  • アルコール消毒薬の乾燥: 可燃性の消毒薬(アルコール等)が完全に乾く前に電気メスを使うと、引火して火災になります。ドレープの隙間に液だまりがないか必ず確認します。
  • 酸素濃度の管理: 気道確保前や抜管時など、顔周りに高濃度酸素がある状態での電気メス使用は厳禁です。

❌ 新人がやりがちなミス

  • 対極板の位置を適当に決めてしまう(骨突出部や金属インプラントの上に貼るのはNG)。
  • コードを鉗子で強く挟んだり、ベッドのキャスターで踏んだりして断線させる。
  • 濡れたガーゼの上に電気メスの先端を置いてしまう(漏電・熱傷のリスク)。

吸引器の基礎と安全使用

吸引器とは

術野の血液、体液、洗浄液、また電気メスによる煙(サージカルスモーク)を除去し、安全な手術視野を確保するための必須装置です。

使用前チェックと使用中のポイント

  • 陰圧の確認: 手術開始前に必ずチューブの先端を折り曲げ、規定の陰圧(吸い込む力)まで上がるか確認します。
  • 適切な吸引圧: 組織を傷つけないよう、対象(脳神経なのか、腹腔内なのか)に合わせた適切な圧に設定します。過剰な圧は組織損傷の原因になります。
  • 接続と容量の管理: ボトルがいっぱいになる前に交換・廃棄します。フィルターが濡れると吸引できなくなるため注意が必要です。

❌ 新人の注意点

ただ「音が出ているから吸えているだろう」と思い込むのは危険です。
血液の凝血塊(コアグラ)や骨片でチューブの途中が詰まることは頻繁にあります。「適切に吸えているか(チューブ内を液体が流れているか)」を常に目視で確認してください。

内視鏡外科手術機器の基礎と安全使用

内視鏡外科手術機器とは

腹腔鏡や胸腔鏡など、小さな創からカメラと長い鉗子を入れて行う手術システムです。
カメラ本体、光源装置、気腹装置(二酸化炭素を送る機械)、モニターなど、複数の機器が連動して動きます。

使用中のポイントと注意点

  • 光源の熱傷リスク: 光源ケーブルの先端は非常に高温(火傷するレベル)になります。ドレープの上に放置すると発火・熱傷の原因になるため、必ずカメラに接続するか、待機モードにします。
  • 気腹圧の管理: お腹を膨らませる気腹装置の圧(設定圧と実測圧)を常にモニタリングします。圧が高すぎると患者の換気障害や静脈還流低下を引き起こします。
  • コード類の整理: カメラケーブル、光ケーブル、電気メスコードなどが絡まると断線や不潔の原因になります。術野に出す前にキレイに束ねる(ルーティング)技術が求められます。

ME機器共通の安全管理とリスク行動

保守点検の重要性

日常的な使用前点検に加え、臨床工学技士(CE)による定期点検が不可欠です。外回り看護師は、機器に貼られた「点検済シール(次回点検日)」を確認し、期限切れの機器は使用しないようにします。

新人が陥るリスク行動(事故の原因)

一番危険なのは「異常(エラー音や焦げ臭い匂いなど)に気づいているのに、手術を止めるのが怖くて報告しないこと」です。
また、機器の構造をブラックボックスのまま(よく分からないまま)使用し、「電源を入れれば動く魔法の箱」として扱っていると、トラブル発生時に全く対応できません。

指導者向け:教育のポイント

❌ NGな指導

「ここのボタンを押してね」「対極板は太ももに貼ってね」と、操作手順だけを教えること。これでは応用が効かず、異常のサインを見逃します。

OK指導と効果的な教育

必ず「原理」と「リスク(過去の事故例)」をセットで教えます。
「対極板が浮いていると、どうして熱傷になると思う?電流が狭い面積に集中するからだよ」と理屈を説明し、考えさせます。
また、手術の空き時間を使って「もし今、電気メスのエラー音が鳴ったらどこを確認する?」といったシミュレーショントレーニングを行うのが非常に効果的です。

現場で使える判断フレーム(迷ったらコレ!)

現場でME機器を操作する際、頭の中にこの3つのフレームを持っておきましょう。

  1. ① 今私が触っているこの機器は、患者さんにどんなエネルギー(影響)を与えているか?
  2. ② もし今この機器が故障したら、患者さんにどんな危険が及ぶか?
  3. ③ 今、エラー音や接触不良のサインはないか?確実に安全と言い切れるか?

👉 少しでも「おかしい」と感じたら、直ちに機器のスイッチを切り、医師とCEに報告してください。

まとめ:機器理解=患者の安全

いかがでしたでしょうか。手術室のME機器(電気メス・吸引器・内視鏡)の安全使用について解説しました。

✅ 本記事のおさらい

  • ME機器は手術に不可欠だが、熱傷・火災・感電などの重大リスクと隣り合わせ。
  • 電気メスの「対極板の密着」と「アルコールの乾燥」は絶対確認。
  • 吸引器は「音」ではなく「実際に液体が引けているか」を目視確認。
  • 内視鏡の光源ケーブルは超高温になるため放置厳禁。
  • 異常を感じたら、迷わず「使用中止と報告」を徹底する。

手術室のME機器は、正しく使えば患者さんの命を救う最高のツールですが、知識なく使えば凶器にもなり得ます。「使えること」と「安全に使えること」は全く別物です。

新人の皆さんは、機器の構造を少しずつ理解し、「なぜこのアラームが鳴っているのか」を考えられるオペ看護師を目指してください。あなたのその気づきが、未然に事故を防ぐ最大のバリアになります!

【参考文献・参考資料】

  • 日本手術医学会(2019). 『手術医療の実践ガイドライン 改訂第三版』
  • 五十嵐寛 他(2021). 『手術室のME機器 : 最新情報、機器ごとの注意点、術中アセスメントにつながるQ&Aつき!』, オペナーシング
  • 日本内視鏡外科学会. 『内視鏡外科手術機器の安全な取り扱いについて』
  • 電気メス(電気手術器)の安全な使い方 (臨床外科 54巻4号)

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