※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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シロッカー法(子宮頸管縫縮術)は、
手術時間約30分と比較的短時間でありながら、
流早産率・周産期死亡率の低下につながる重要な手術 です。
「シロッカー法の具体的な手術手順が分からない…」
「器械出しの流れを整理したい…」
この記事では、オペ看勉強用マニュアルとして
シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の
手術手順をわかりやすく解説しています。
📌 この記事で分かること
- ✅ シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の手術手順
- ✅ シロッカー法の適応疾患
- ✅ シロッカー法での器械出し看護ポイント
手術室看護師だけでなく、
産婦人科に携わる方にも
ぜひ参考にしていただきたい内容です。
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- シロッカー法(子宮頸管縫縮術)とは?
- 「なぜ縛るのか」——頸管無力症という病態を理解する
- シロッカー法とマクドナルド法——2つの術式の違い
- シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の適応
- 妊婦さんに麻酔をかけるということ——この手術の最大の特殊性
- 【シロッカー法(子宮頸管縫縮術)】手術開始までのセッティング
- 子宮膣部の前唇と後唇を固定
- 膣外壁の消毒
- 膀胱・直腸剥離~子宮腟部前壁・後壁の切開
- 子宮頸管縫縮
- 膣壁切開創の縫合・膣内ガーゼ挿入・手術終了
- 器械台のつくり方——「長い」と「鋭くない」で選ぶ
- 術前・術中・術後——外回り看護師のチェックリスト
- 「いつ抜くか」まで決めておくのが、この手術の完成形
- 【資料】シロッカー法の用語集
- この手術台に上がるまでに、患者さんが背負ってきたもの
- まとめ
シロッカー法(子宮頸管縫縮術)とは?
🌸 子宮頸管縫縮術とは?
子宮頸管を糸で結ぶことによって、
物理的に早産の危険を減らす手術 のことをいいます。
| 目的 | 方法 |
|---|---|
| 早産予防 | 子宮頸管を縫合糸で縛り、内子宮口を補強する |
代表的な術式には
『シロッカー法』と
『マクドナルド法』があります。
🩺 シロッカー法とは?
膣粘膜に切開を加え、縫合糸を通し、
できるだけ内子宮口に近い位置で
子宮頸管を縫縮する術式です。
| 比較項目 | シロッカー法 | マクドナルド法 |
|---|---|---|
| 縫縮位置 | より内子宮口に近い | 比較的外側 |
| 膣粘膜切開 | あり | 基本的になし |
「なぜ縛るのか」——頸管無力症という病態を理解する
手順を追う前に、この手術が何を解決しようとしているのかを押さえておきましょう。ここが分かると、術中に術者が慎重になる場面の意味が見えてきます。
子宮頸管は、妊娠中は閉じた「栓」として働いています。赤ちゃんと羊水の重さを支え、外からの細菌の侵入を防ぐ役割です。ところが、この栓が陣痛もないのにゆるんで開いてしまうことがあります。これが子宮頸管無力症です。
頸管が開くと、何が起こるか。順番はこうです。
- 頸管が短くなり、開き始める
- 卵膜(赤ちゃんを包む膜)が押し出されてくる
- 膣内の細菌が上がってきて、感染を起こす
- 破水する、あるいは陣痛が始まる
- まだ育っていない週数で生まれてしまう(早産・流産)
この連鎖を、一番はじめの段階で物理的に食い止めるのが子宮頸管縫縮術です。「栓がゆるむなら、外から縛って閉じておこう」——考え方としては、とてもシンプルです。
だから、術中に「絶対にやってはいけないこと」が決まる
この病態を理解すると、器械出しの禁忌が腑に落ちます。
| やってはいけないこと | なぜダメか |
|---|---|
| 鉤(かぎ)のついた器械を、指示なく出す | 先端が卵膜に触れれば、そこで破水します。手術の目的そのものが失われます |
| 子宮を強く牽引する操作を急がせる | 刺激で子宮が収縮し、陣痛につながることがあります |
| 清潔操作を曖昧にする | 感染は早産の直接の引き金です。膣内という常在菌のある場所を扱う手術だからこそ、より厳密に |
| 視野の悪いまま器械を渡し続ける | 深部で視認性が低い手術です。見えていない操作は、そのまま事故の確率になります |
とくに「破水させない」——これがこの手術のすべてに優先する原則です。記事の中でコッヘルなどの鉤付き器械が禁止されているのは、この一点に尽きます。「いつもの手術なら出す器械」が、この手術では出してはいけない器械になる。手術ごとにルールが変わることを、身をもって知る症例です。
シロッカー法とマクドナルド法——2つの術式の違い
子宮頸管縫縮術には、大きく分けてシロッカー法とマクドナルド法の2つがあります。同じ「頸管を縛る」手術でも、器械も時間も難易度もかなり違うので、まずここを整理しておきましょう。
| シロッカー法 | マクドナルド法 | |
|---|---|---|
| やり方 | 膣壁を切開し、膀胱と直腸を剥離してから、頸管のより根元(内子宮口に近い高さ)で縛る | 膣壁を切らず、頸部の周囲を巾着状に数か所刺して縛る |
| 手術時間 | 長い | 短い |
| 侵襲 | 大きい。出血も多くなりやすい | 小さい |
| 器械 | 膀胱剥離・直腸剥離のための長い器械が必要。動脈瘤針を使うことも | 比較的シンプル。持針器と縫縮糸が中心 |
| 抜糸 | 膣壁を切開しているため、抜去がやや難しいことがある | 糸が見えているため、外来でも抜去しやすい |
| 選ばれる場面 | 頸管が短い・過去にマクドナルド法で効果が不十分だった場合など | 標準的に最初に選ばれることが多い |
ざっくり言えば、マクドナルド法が「簡易版」、シロッカー法が「本格版」です。より根元で確実に縛れる分、術者も看護師も負担が大きくなります。だからこそ、シロッカー法が選ばれた症例では「なぜこちらが選ばれたのか」——つまり、それだけ切迫した事情があることを頭に入れて臨みたいところです。
器械出しとしての大原則も、ここから導かれます。シロッカー法では「長い器械」を選ぶ——膀胱と直腸を剥離して深部まで到達するため、通常の長さでは届きません。「指示がなければ長いほうを出す」と覚えておいてください。
シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の適応
📌 シロッカー法(子宮頸管縫縮術)の適応
シロッカー法の主な適応は以下の通りです。
早産リスクを高める病態が対象となります。
| 疾患・状態 | ポイント |
|---|---|
| 子宮頸管無力症 | 内子宮口が自然に開大しやすく、流早産リスクが高い |
| 反復・習慣流早産 | 既往歴から頸管補強が有効と判断される場合 |
| 妊娠中期以降の切迫流早産 | 頸管短縮や開大傾向がみられる場合 |
| 多胎妊娠 | 子宮内圧上昇による頸管負担増大 |
| 子宮奇形合併妊娠 | 構造的問題により流早産リスク上昇 |
| 子宮筋腫合併妊娠 | 子宮変形や圧迫により頸管へ影響 |
| 前置胎盤 | 出血リスクと頸管管理が重要 |
💡 ポイント
シロッカー法は
頸管の物理的補強が必要と判断される症例に対して選択されます。
術前評価と適応判断が極めて重要です。
妊婦さんに麻酔をかけるということ——この手術の最大の特殊性
シロッカー法が他の婦人科手術と決定的に違うのは、手術台の上に「二人」いることです。しかも母体は妊娠していることで、体そのものが平常時とは違う状態になっています。ここは手術室看護師が必ず理解しておくべき部分です。
仰臥位低血圧症候群——仰向けに寝かせるだけで血圧が落ちる
大きくなった子宮が、背骨の右側を走る下大静脈を圧迫します。すると心臓へ戻る血液が減り、血圧が下がります。これが仰臥位低血圧症候群です。母体の血圧が下がれば、そのまま胎盤への血流も減ります。
- 対策は子宮を左へずらすこと。手術台を左に傾ける、あるいは右の腰の下に楔状のクッションを入れます
- 妊娠週数が進んでいるほど影響が大きくなります。体位を作った直後の血圧を必ず確認
- 「気分が悪い」「吐きそう」という訴えは、この症候群のサインかもしれません
気道と胃——妊婦さんは「挿管が難しく、吐きやすい」
妊娠中は気道の粘膜がむくみやすく、挿管が難しくなることが知られています。さらに、胃の内容物が逆流しやすく、酸性度も高い状態です。つまり誤嚥のリスクが高い。
だからこの手術では、可能な限り区域麻酔(脊髄くも膜下麻酔など)が選ばれます。全身麻酔になる場合も、素早く挿管する手順(迅速導入)が取られ、看護師には輪状軟骨圧迫の介助を求められることがあります。
- 導入前に吸引をすぐ使える状態にしておく。これは必須です
- 気道確保が難しかったときのための器材(ビデオ喉頭鏡など)の所在を把握しておく
- 妊婦さんは酸素の予備能が小さく、無呼吸になるとすぐSpO2が下がります。導入時は特に緊張感を持って
- また、妊娠中は血液が固まりやすい状態です。区域麻酔を行う場合、抗凝固薬の使用状況の確認が欠かせません
胎児と子宮収縮を「見る」役割
手術中、赤ちゃんは自分では何も言えません。施設や週数によっては、術前後(場合によっては術中)に胎児心拍を確認します。また、手術の刺激で子宮が収縮しないよう、子宮収縮抑制薬が使われることがあります。
- 子宮収縮抑制薬を使う場合、投与開始時刻・薬剤名・投与経路を記録する。母体の頻脈など副作用の観察も併せて行います
- 局所注射に使うアドレナリン添加の薬液は、血管内に入ると母体のバイタルが大きく振れます。注射のタイミングを麻酔科医へ伝えるのは外回りの仕事です
- 術前・術後の胎児心拍の確認結果を、時刻とともに記録する
「母体の安全がそのまま胎児の安全になる」——妊婦さんの手術は、この一言に尽きます。母体の血圧を保つこと、酸素化を保つこと。私たちがモニターを見ることが、そのまま赤ちゃんを守ることになります。
【シロッカー法(子宮頸管縫縮術)】手術開始までのセッティング
シロッカー法は砕石位で実施されるため、
体位固定時の神経障害予防が非常に重要です。
特に注意すべきなのは「腓骨神経麻痺」です。
■ 砕石位で起こりやすい神経障害
砕石位で最も注意すべき神経障害は
❝腓骨神経麻痺❞
| 原因 | 結果 |
|---|---|
| 膝窩部の圧迫 (特に腓骨頭部) | 腓骨神経麻痺 ↓ コンパートメント症候群 |
■ 外回り看護のチェックポイント
- 支脚器に下脚を乗せる際、腓骨頭部が圧迫されていないか確認
- クッション材の位置が適切か確認
- 左右差がないか観察
- 長時間手術の場合は定期的な再評価
✔ ポイント
腓骨神経は腓骨頭部の皮下を浅く走行しているため、
わずかな圧迫でも障害を起こす可能性があります。
体位固定時は「見た目」だけでなく、
神経走行を意識した固定が重要です。


レバウェル看護



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