※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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「オペ看を続けながら子育てなんてできるのだろうか」「手術中に何かあったらどうしよう」。妊娠・出産を考えたとき、あるいはすでに育児をしながら働いているとき、そんな不安が頭をよぎることはありませんか。手術室は病棟以上に「休みにくい」「交代しにくい」というイメージを持たれがちで、両立できる自信が持てない方は少なくありません。
私は手術室看護師として働きながら第一子を育て、育休から復帰したあとに時短勤務のまま診療科リーダーを任されました。
この記事では、両立の何が本当に大変で、何が工夫で乗り越えられるのか、そして職場選びで見落とすと後悔しやすいポイントを、実体験からお伝えします。
🍈 読む前に、ひとつだけ。
私は3〜5年目に、3社に登録して、1件も応募しませんでした。
他院のオンコール手当を調べたら、結果は「同じくらい」。拍子抜けしましたが、比べるまで、自分の職場が良いのか悪いのかも分かっていなかったんです。
いま辞めるつもりがなくても、自分の手当が相場のどこにあるかだけは、知っておいて損がありません。
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\ 登録しても、転職しなくて大丈夫でした /
器械出し中に、保育園から電話が来たときのこと
両立の不安の正体は、漠然とした「大変そう」ではなく、手術室ならではの「途中で抜けられない時間」にあります。私が最も忘れられないのは、器械出し中に「保育園から発熱の連絡です」と伝えられたときのことです。
病棟であれば申し送りをして抜けることもできますが、手術室では清潔野に入っている以上、交代のスタッフが来るまで手術に入り続けるしかありません。交代してもらい、更衣室に駆け込んで震える指で保育園に折り返した心細さは、今でもはっきり覚えています。

復帰直後は、子どもが1歳、ブランクは1年でした。復帰前夜はほとんど眠れなかったことも覚えています。それでも初日、顔なじみのスタッフに囲まれて業務に戻った瞬間、「懐かしい」と同時に「やっぱり楽しい」と感じました。育児だけに全てを注ぐより、仕事と両立するほうが自分には合っている——そう思えたことは、その後の私を支えてくれた実感のひとつです。
ただし、順調だったわけではありません。子どもがイヤイヤ期に入ると生活は一変しました。朝から「ごはんイヤ」「きがえイヤ」、お迎えでは「帰りたくない」、帰宅は20時近く。そこから夕食・お風呂・洗濯・寝かしつけ・翌日の準備で、就寝が日付をまたぐのが当たり前になりました。仕事も育児もどちらも中途半端な気がして、苦しかった時期です。
完璧をあきらめると、回りはじめました
限界を感じていた時期、私が実際にやめたこと・変えたことを紹介します。完璧を目指すのをやめただけで、驚くほど楽になりました。
- 毎日の買い物をやめた。週末にまとめ買い、足りない分はネットスーパー。「野菜炒めの素」を常備し、切って炒めるだけに割り切りました。
- 時短家電を導入した。材料を入れるだけの自動調理鍋は、帰宅後の負担を大きく減らしてくれました。
- なんとなくスマホを見る時間をやめた。寝室に持ち込まず、充電場所をリビングに固定しただけで、睡眠時間が確保しやすくなりました。

大切にしていたのは「子どもと過ごす時間」と「睡眠」だけは削らないこと。掃除や洗濯は完璧を求めないと決めたことで、その2つを守れるようになりました。ただし、こうした工夫はあくまで今の生活を回すための対処です。根本的に負担を左右するのは、次にお話しする職場の仕組みのほうです。
続けられるかどうかは、頑張りではなく仕組みで決まります
復帰後しばらくして、師長から診療科リーダーを打診されたことがありました。最初は「なぜ、私が。絶対に引き受けられない」と思いました。時短で残業ができず、緊急手術にも最後まで残れない自分に務まるはずがないと感じていたからです。正直にそう打ち明けたとき、師長からこう言われました。
「時間の長さじゃなくて、あなたの経験に任せたいの。リーダーだって、育児に合わせて働き方を選んで大丈夫なんだよ」。この言葉で、肩の力がふっと抜けたのを覚えています。
この言葉に背中を押されて、私は勤務の中身そのものを見直すことにしました。どう切り出し、何が変わったのかは次の章で書きます。
ただ、正直に言うとこれは環境に恵まれた結果でもあります。「お互い様」の文化がなく、夜勤・オンコール免除の前例もなく、時短勤務の選択肢そのものが用意されていなかったら、どれだけ時短家電を揃えても続けられなかったはずです。同じ「時短勤務制度あり」という求人票でも、実際に選べる時間・日数の幅は職場によって大きく違います。比較して初めて、自分の職場が恵まれていたことに気づきました。
求人票を何時間見ても、答えが書いていない項目があります
オンコールが月に何回まわってくるか、残業が実際どれくらいか、指導がどんな雰囲気か——ここは求人票に載りません。私は電話で希望を伝えて、病院探しの相談に乗ってもらいました。求人票に出てこない話が聞けます。
「まだ転職するとは決めていないんですが」と最初に言って大丈夫です。私もそう言いました。
こんな人に向いています
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「師長さん、ちょっとお話したいことがあるのですが」
いちばん苦しかった時期に私がしたのは、辞めることでも転職することでもなく、時短勤務の中身を変えることでした。週5日・8時30分〜17時だった勤務を、週4日・8時30分〜15時に変えたんです。
ただ、言い出すまでに時間がかかりました。「ここで一歩引いたら、一人前として見てもらえなくなるんじゃないか」という不安があったからです。
実際にどう切り出したかというと、こうです。ナースステーションで、できるだけ他のスタッフが少ないタイミングを狙って、
「師長さん、ちょっとお話したいことがあるのですが、今大丈夫ですか?」
これだけです。用件は言わず、まず時間をもらうことだけをお願いしました。人が少ない時間を選んだのは、周りに聞かれたくなかったからでもありますし、師長にも落ち着いて聞いてもらいたかったからでもあります。
改まって面談の予約を取ろうとすると、それだけで気が重くなります。ひとことで済む形にしたほうが、言い出しやすいというのが実感です。
変えてみていちばん驚いたのは、夕方の余裕でした。15時に退勤して、夕食とお風呂の支度を済ませてからお迎えに行けるようになると、子どものイヤイヤにも落ち着いて向き合えるようになりました。以前は寝かしつけまでで精一杯でしたが、夜に一緒に遊ぶ時間も持てるようになりました。

「続けられる働き方」から先に決めたほうが、早いこともあります
やりがいで選んで、生活が崩れて辞めてしまうのが一番もったいないと思っています。夜勤なし・オンコールなし・通勤◯分以内——先に外せない条件で絞ってから求人を見ると、手術室を続けられる職場が実際にいくつあるのかが数で見えます。
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求人票では分からない、確認しておきたい4つのこと
リーダーになってからは、属人化を減らす工夫にも取り組みました。「あの先生の好みは○○さんしか知らない」「この器械の組み方は△△さんに聞かないと分からない」という状態だらけだったので、新人の習得状況を見える化し、診療科ごとの一覧表を作り、「手伝って」ではなく「14時に次の器械展開をお願いできる?」と時間とタスクを明確にして依頼するようにしました。結果、15時に退勤したあとも現場が回るようになりました。
こうした経験から、今の職場で働き続けるにしても、将来的に環境を変えるとしても、次の4つは必ず確認してほしいと思っています。
- 時短勤務の「幅」と変えやすさ。求人票の「時短勤務あり」だけでは分かりません。何時間・週何日が選べるか、子どもが何歳まで使えるか、そして見落としがちな「転職後すぐ使えるか」まで確認しましょう。「入職して1年はフルタイム、それを過ぎてから時短可」という職場もあります。
- 夜勤・オンコール免除の前例。「免除可」と書いてあっても、実際に使っている人がいなければ申し出るのは勇気がいります。「小さいお子さんがいる方は、どんな勤務形態で働いていますか」と前例を聞くと、本音が見えてきます。
- 通勤時間。私は片道20分でしたが、片道1時間以上の同僚は就寝が22時にずれ込み、「帰宅後の家事・育児が仕事よりつらい」とこぼしていました。通勤時間は、そのまま子どもと過ごせる時間になります。
- 「お互い様」の空気があるか。熱を出した朝に「大丈夫だよ、子ども優先でね」と言ってもらえるか、「また休み?」という空気になるか。子育て中のスタッフが何人いて、実際に続けられているかを確かめるのが一番確実です。
おわりに|辞めるかどうかの前に、働き方を変える道があります
時短勤務でも経験は積めますし、リーダーを任されることもあります。ただしそれは、環境に恵まれて初めて成り立つ話でもあります。転職は逃げではなく、働き方と生活を整えるための選択のひとつです。私自身、いちばん苦しかった時期に転職サイトで他院の求人を調べたことがあります。結果的には当時の職場で働き方を見直す道を選びましたが、それも比較できたからこそ納得できた結論でした。
今の職場が、上に挙げた4条件をどれだけ満たしているか、一度立ち止まって確認してみてください。もし比較する材料が手元にないなら、まずは求人の実際の中身を知るところから始めてみませんか。




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