【手術後の痛みランキングトップ3】現役オペ室看護師が徹底解説!

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  • 手術後の痛みランキング第1位は?
  • 自分が受ける手術は術後どのくらい痛いの?
  • 手術後に痛い時はどうすれば良いのか教えて!

「手術後はどのくらい痛いのだろう?」「自分が受ける手術よりも痛い手術はあるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

一生の中で何度も経験することは少ないため、比較できる痛みがなく、ぼんやりと不安を抱えている方も多いかと思います。

また「手術」といっても、30分~1時間程度で終わるような短時間手術から、1日がかりの大手術まで、手術内容は様々です。

このブログ記事では、これまで約100,000件以上の全科手術を担当してきた現役オペ室看護師が、手術後の痛みレベルをランキング形式で紹介します。

手術後の痛みランキング第1位~第3位は、手術する患者さんが少なくないものから選んでいます。また患者さんの声などから個人的にランキングとしたもののため、あくまでも参考程度に見ていただけると幸いです。

☆入院を控えている方は以下の記事も参考にしてみてください。

【手術後の痛みランキング第3位】広汎子宮全摘術(子宮の手術)

手術後の痛みランキング第3位は、産婦人科の長時間手術である広汎(こうはん)子宮全摘術です。

広汎(こうはん)子宮全摘術とは?

広汎(こうはん)子宮全摘術とは、子宮の切除に加えて卵巣・膣の一部・子宮周囲のリンパ節など、かなり広い範囲で組織を摘出する手術です。

子宮がんや卵巣がんに対して行われます。

以下のブログ記事は手術室看護師用のため、かなり専門的ですが、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

広汎子宮全摘術が手術後の痛みランキング3位の理由とは?

広範囲で組織を切除するため、大きく開腹(お腹をメスで開くこと)しなければならず、手術後はキズの痛みがあります。

さらに子宮周囲をはじめとするお腹のリンパ節(骨盤内リンパ節)も切除するため、「痛み」に加えて「足のだるさ・むくみ」などの辛さを訴える方が多いです。

このような理由から手術後の痛みランキング第3位は広汎子宮全摘術としています。

術後はもちろん痛み止めとして麻酔薬などを使用しますが、痛みの感じ方や鎮痛薬の効きやすさは人それぞれであるため、万が一痛みが強い場合は我慢せずに看護師へ伝えることが大切です。

「看護師が忙しそうだから…」と遠慮してしまう方が多いですが、慣れない入院や手術というだけでもすでに苦痛なのに、そこに「手術後の痛み」がかかることは強いストレスとなります。

痛み止めの使用以外にも、冷やす・温める・クッションを使用するなど、入院中でも痛みを緩和する方法があり、看護師は患者さんに合った様々な方法を提案するため、遠慮せずに伝えることが大切です。

【手術後の痛みランキング第2位】膵頭十二指腸切除術(すい臓の手術)

手術後の痛みランキング第2位は、消化器外科手術の膵頭十二指腸切除術です。

膵頭十二指腸切除術とは?

膵頭十二指腸(すいとうじゅうにしちょう)切除術とは、すい臓の手術です。

すい臓の手術は2つの方法があり、「すい臓の頭側(体の中心部に近い側)の手術」と「すい臓の尾部側(体の中心部から遠い側)の手術」に分けられます。

例えばがんの例だと、がんがすい臓の頭側にある場合は前者の「すい臓の頭側の手術」を行い、がんがすい臓のおしり側にある場合は後者の「すい臓の尾部側の手術」を行います。

同じすい臓の手術でもこの2つは、難易度も術後の痛みも差があります。

すい臓は、十二指腸と呼ばれる小腸と隣り合わせであり、さらに胆汁が流れる胆管にもつながっています。

「すい臓の尾部側の手術」の場合は必要ないことが多いのですが、「すい臓の頭側の手術」の場合、小腸や胆管がつながっているため、「すい臓を切った後に、これらもつなぎ合わせる手術操作」が必要となります。

そのため、すい臓の頭側の手術は時間がかかり、難易度も上がるのです。

このすい臓の頭側の手術のことを、膵頭十二指腸(すいとうじゅうにしちょう)切除術と呼びます。

以下のブログ記事は手術室看護師用のためかなり専門的ですが、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

膵頭十二指腸切除術が手術後の痛みランキング2位の理由とは?

お腹を大きく開く開腹手術の中でも手術時間が長いケースが多く、臓器をつなぎ合わせる手術操作もあることから、キズの痛みに加え、「鈍痛(どんつう)」と呼ばれる内臓の痛みを伴うことがあります。

そのため、膵頭十二指腸切除術を手術後の痛みランキング2位に挙げました。

術後の痛みを少しでも和らげるために、硬膜外(こうまくがい)麻酔と呼ばれる背中からの麻酔を行うことがあります。

背中に注射をした上で硬膜外に細い管を入れるため、この麻酔も痛みを伴うのですが、これによって術後の痛みはかなり軽減できます。

例外として硬膜外麻酔を実施できないケースもありますが、麻酔科や医師から手術前の硬膜外麻酔を提案された場合は、ぜひ受けることをおすすめします。

【手術後の痛みランキング第1位】弓部大動脈置換術(心臓手術)

手術後の痛みランキング第1位は「トータルアーチ」とも呼ばれる弓部大動脈置換術です。

弓部大動脈置換術(トータルアーチ)はどのような手術?

弓部大動脈置換術(トータルアーチ)とは、心臓(左心室)から出た血液の最初の通り道である弓部大動脈を人工の血管にすべて取り換える手術です。

大動脈解離(だいどうみゃくかいり)や弓部大動脈に瘤(コブ)ができている場合に行います。

心臓血管外科手術の中でも難易度は非常に高く、1日がかりの大手術です。

手術中は常に動き続ける心臓を一時的に止め、人工心肺という装置を使用しながら行います。

弓部大動脈は、さらに脳血流につながる3本の重要な動脈に分岐する部分があり、術中の患者の安全を守るために慎重な手術操作が求められます。

以下は手術室看護師用の記事のためかなり専門的ですが、気になる方は参考にしてみてください。

弓部大動脈置換術(トータルアーチ)が手術後痛みランキング1位の理由とは?

弓部大動脈置換術を手術後の痛みランキング1位とした理由は、胸を大きく切り開いて行う心臓の手術(開心術)であり、長時間手術なためです。

心臓は胸骨(左右の肋骨の中心にある骨部分)に囲まれた中にあるため、手術を行うためには胸骨を切らなければなりません。

そのため開心術では医療用のこぎりを使用して胸骨を縦に切り、さらに術野を保つために胸骨の切り口を左右に大きく開いて行います。

これだけでも辛いのに、さらに手術時間が長時間続くため、手術後の痛みはかなり強いです。

そのため、手術後は痛み止めとしてフェンタニルやモルヒネなどの医療用麻薬や麻酔薬を使用します。

しばらくの間はこれらの痛み止めを使用しますが、それでも痛みを強く感じます。

状況によっては痛み止めを投与する頻度を上げたり、量を増やすことも可能なため、手術後痛みが強い時は、我慢せずに看護師に伝えることが大切です。

【まとめ】ランキング上位に限らず手術後の痛みは我慢しないことが大切

手術後の痛みは、ランキング上位に限らず我慢しないことが大事です。

手術後は痛み止めを使用するものの、痛みの感じ方や、鎮痛薬の効きやすさは人それぞれです。

さらに、慣れない入院や手術というだけでもすでに辛いことで、そこに「手術後の痛み」がかかることは強いストレスとなります。

「看護師が忙しそうだから…」と遠慮してしまう方が多いですが、痛み止めだけでなく、冷やす・温める・クッションを使用するなど、入院中でも痛みを緩和する方法があり、看護師は患者さんに合った様々な方法を提案するため、遠慮せずに伝えることが大切です。

またこれから入院を控えている方は以下の記事も参考にしてみてください。

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