※医療・看護ケアや手順・器械は施設の方針に従ってください
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アセスメントが書けない本当の理由
記録を前にして手が止まるとき、たいてい観察はできています。足りないのは「見えた事実」と「やった対応」のあいだです。
❌ 「側臥位にて体位固定を実施した」
これは実施記録であって、アセスメントではありません。読んだ人に、なぜそれをしたのかが伝わらないからです。
⭕ 「左片麻痺があり、麻痺側は圧迫の訴えが出にくい。側臥位で4時間の予定のため腓骨神経麻痺のリスクが高いと判断し、腋窩枕と下肢の除圧を行い、30分ごとに接触部を確認した」
違いは長さではありません。「なぜ危ないと思ったのか」が1文入っているかどうかです。
手術室のアセスメントは3つで形になる
毎回この順番で埋めてください。慣れると、術中でも頭の中でこの形になります。
- ① 見えた事実…体位、既往、年齢、出血量、モニターの数値、患者さんの言葉。解釈を混ぜずに書く
- ② それが何を招くか…①から予測されるリスク。ここが抜けると「ただの記録」になります
- ③ だからどうしたか…行った対応と、その後どう確認したか
②が書けないときは、①がまだ足りていません。「体位」だけでなく「何時間の予定か」、「出血」だけでなく「どのくらいの速さか」——①に数字と時間が入ると、②は自然に出てきます。
手術室のアセスメントが病棟と違う点
手術室では、患者さんは自分で訴えられません。麻酔がかかっていれば「痛い」「しびれる」は返ってきません。訴えの代わりになる情報を、こちらが先に集めておく必要があります。
だから術前訪問で聞いたこと(既往、可動域の制限、いつもの寝る姿勢、不安に思っていること)が、そのまま術中のアセスメントの材料になります。「術前訪問で聞くことがない」と感じる方は、この3つの枠に当てはまる情報を取りに行くと考えると、聞くことが見つかります。
ここからは、実際の7事例で①②③がどう入るかを見ていきます。
特殊体位・麻痺と皮膚のアセスメント


ピュアフィックスやソフトナースなどを使ったり、術中の一時的な体位変換も検討して除圧を行うことが重要。
術中の皮膚トラブル予防を行うことがポイント。
ここでの①は「麻痺がある」ではなく「麻痺側は圧迫されても訴えが出ない」です。感覚が鈍い側は、本人も気づけません。そこに特殊体位の時間が重なると、皮膚トラブルと神経障害の両方のリスクが上がります。
②に書くこと:予定時間、接触部位、麻痺側と体位の向きの関係。③に書くこと:除圧の方法と、何分ごとに何を確認したか。
「除圧した」で止めないでください。「何分ごとに、どこを、どう確認したか」まで書くと、次に入る人がそのまま引き継げます。
大量出血時の器械出し中アセスメント


どこから出血してるか。
それを確認するためにも、まず術野から溢れる出血を止血する必要があります。
ガーゼ・サクション・血管クランプのためのサテンスキーやブルドッグ鉗子などがまず必要になりそうと予測。
出血の場面では、「量」より先に「速さ」を見ます。同じ500mLでも、30分かけて出たのか2分で出たのかで、次に起きることがまったく違います。
①に入れる情報:吸引ボトルの増え方、ガーゼの重さ、血圧と脈拍の推移、尿量。②:このペースが続くと何分後に何が起きるか。③:輸血の準備状況、細胞外液の追加、術者への報告内容。
器械出しとしては、止血デバイスと血管クランプを「言われる前に手元へ」。前に出したものを戻さず、台の手前に置いたままにしておくだけでも変わります。
挿管に変わったときの呼吸アセスメント

共有事例のように急変による呼吸状態悪化で、術中にラリンゲルマスクから挿管になるケースもあれば、抜管後に咽頭浮腫による上気道閉塞が起こり、再挿管が必要になるケースなども・・・
術前後での呼吸状態も併せたアセスメントが大事
気道の変更があった場面では、「なぜ変わったのか」を先に書くのがコツです。急変によるものか、体位変換後の換気不良か、術式の都合かで、その後に注意する点が変わります。
②で必ず触れたいのは抜管後です。挿管操作が複数回に及んだ場合や、長時間の手術では咽頭浮腫による上気道閉塞が起こることがあります。術中のことだけ書いて終わらせず、退室後に何を見てほしいかを病棟へ渡す——ここまで書けると、記録が申し送りとして機能します。
小児手術のアセスメント

子供本人なりの「手術への受け止め」はどうだろう?という部分を捉えることが大事。
手術室に着いた途端、泣き叫んで拒否をして、手術延期になってしまう子も・・・
年齢に応じて、手術を誤魔化さずに向き合っていくことも大事。
小児で最初に書くべき①は、体温と体格です。体重あたりの体表面積が大きいぶん熱を奪われやすく、低体温になりやすい。入室前の室温、加温装置、輸液の温度まで①に入ります。
もうひとつが「本人なりの受け止め」です。手術室の前まで来て泣いて拒否し、延期になることもあります。年齢に応じてごまかさずに伝えてあるか、保護者とどこで分かれるか、入眠まで誰が付き添うか——ここは術前に決めておかないと、当日は決められません。
絶飲食の時間も①です。時間が長引いているときは、低血糖と脱水を②に書いておくと、麻酔科への確認がスムーズになります。
ストマ造設に抵抗ある方へのアセスメント

直腸切除術、特にマイルズ手術などは、手術を行うことでストマを造設することとなってしまう。
ただ手術室看護師としては、患者さんに「ストマが作られた後」に実際に関わっていくことは難しい。
だからこそ「継続看護の視点」が大事。
術中だけでなく術前後での関わり、そして退院後の生活も見据え手、病棟看護師への継続看護という形で引き継いでいくことが大事。
ストマ造設では、手術室看護師は「造設した後」に関われません。だからこそ、術中に得た情報を残すことに意味があります。
①に書くこと:術前マーキングの位置と、それが術中にどう変わったか。患者さんが術前に口にした言葉。②:ボディイメージの変化にどう影響しそうか。③:病棟へ何を伝えたか。
「継続看護」は言葉としてではなく、渡す情報の中身で示すものだと思っています。「本人が『人に見られるのが怖い』と話していた」の一行が、病棟での関わり方を変えます。
下肢切断手術のアセスメント

若い方の下肢切断手術の事例。
医療者として、1人の人間として、本人の受け入れにどう関わっていけるかが手術看護では大事。
下肢切断では、術後に幻肢痛——すでに無い足が痛む感覚——が出ることがあります。知らずに「気のせいですよ」と返してしまうのが、いちばん避けたい対応です。
若い方の場合は、受け入れそのものが術後の経過を左右します。①には本人の言葉をそのまま残してください。要約すると、いちばん大事なニュアンスが消えます。
切断肢の取り扱いは施設ごとに手順が決まっています。必ず自施設の方針に従ってください。
帝王切開のアセスメント


帝王切開がほかの手術と決定的に違うのは、患者さんが2人いることです。お母さんと赤ちゃん、両方の時間軸で①を取ります。
① 見えること
緊急度(予定か、緊急か、超緊急か)。麻酔の種類。脊椎麻酔なら、お母さんは起きていて、私たちの会話が全部聞こえています。児娩出までの時間。出血量。
② 何が起こりうるか
仰臥位のままだと、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫して血圧が下がることがあります(仰臥位低血圧症候群)。そのため手術台を左に傾ける、あるいは子宮を用手的に左へ寄せる対応が取られます。「なぜ台が傾いているのか」を説明できると、記録の質が変わります。
出血も、通常の開腹手術とは量の出方が違います。児娩出のあとに一気に来ることを前提に、吸引と輸血の準備を①の段階から書いておきます。
③ どうするか(会話は聞こえている)
私がいちばん気をつけているのは会話です。脊椎麻酔で起きているお母さんの前で、出血量や児の状態を数字だけで飛び交わせない。同じ内容でも、伝え方は選べます。
生まれた直後に「赤ちゃん、元気に泣いていますよ」の一言があるかないかで、その後の数分がまったく変わります。これは記録に残らない看護ですが、アセスメントの結果として最も届く対応だと思っています。
手術看護アセスメントまとめ
手術看護における手術事例をもとにアセスメントのポイントを紹介しました。
インスタグラムでも手術看護アセスメントについてまとめているので、ぜひ参考にしてみてください!

この本に全部書いてるよ☺️👆
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