「手洗いの手順が曖昧で、いつも不安…」「ガウンを着る時に不潔になりそうで怖い」
新人オペ室看護師の皆さん、手術時手洗い(サージカルスクラブ)やガウンテクニックに苦手意識を持っていませんか?
「スクラブ法とラビング法って結局どう違うの?」「先輩によって手洗いのやり方が微妙に違う気がする…」と混乱している人も多いはずです。
一方、指導者の皆さんも、「手順は教えているけれど、なぜその順番なのかという『根拠』まではうまく説明できていない」「新人が自己流の手洗いになってしまっている」と悩まれることが多いテーマです。
この記事では、手術時手洗いの目的から、スクラブ法・ラビング法の違いと正しい手順、そしてガウンテクニックのコツとNG行動までを徹底的に解説します。
この記事を読めば、曖昧だった手順の「理由」がハッキリと分かり、明日から自信を持って術野に入ることができるようになります!現場の指導にもそのまま使える内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
\オペ看1838人のリアルな声/
手術時手洗いの目的とは?
手順を覚える前に、まずは「なぜこれほど厳密に手を洗うのか」という目的(本質)を理解しましょう。
手術時手洗い(サージカルスクラブ)の定義と目的
手術時手洗いの最大の目的は、「SSI(手術部位感染)の予防」です。
具体的には以下の2つを達成するために行います。
- ① 一過性菌の除去: 日常生活で手指に付着した細菌や汚れを完全に洗い流す。
- ② 常在菌の減少: 皮膚の深部(毛穴など)に潜む常在菌の数を可能な限り減らし、手術中に菌が増殖するのを抑え込む。
⚠️ 新人が誤解しやすい重要ポイント
手洗いの目的は「手を完全に無菌にする」ことではありません。人間の皮膚を無菌にすることは不可能です。
目的は「菌数を減らし、手術が終わるまでその状態をキープすること」です。
「ゴシゴシ強くこすれば綺麗になる」「決められた時間だけ洗えばOK」という考えは間違いです。皮膚を傷つけるとそこから菌が増殖するため、優しく・確実に・漏れなく洗うことが本質なのです。
スクラブ法とは?特徴と手順
スクラブ法の概要
スクラブ法とは、抗菌薬含有の石鹸(スクラブ剤)と流水、そして専用のスポンジやブラシを使って、物理的に汚れと菌をこすり落とす古典的かつ確実な手洗い方法です。
スクラブ法の正しい手順
施設によって細かな秒数の規定はありますが、大まかな流れと原則は共通しています。
- 予備手洗い: 流水と石鹸で、目に見える汚れをしっかり落とします。
- 爪の洗浄: 最も菌が溜まりやすい爪の間を、クリーナーやブラシを使って念入りに洗浄します。(※ブラシは爪と指先のみに使用し、皮膚は擦りません。またブラシ等を使用しない施設もあります)
- スポンジでの洗浄(指先→手→前腕): 薬液を含ませたスポンジで、指先 → 手のひら・甲 → 手首 → 前腕 → 肘上(約5cm)の順に洗います。
※必ず「片手ずつ」、そして「一方向(指先から肘へ)」に洗うのが鉄則です。戻ってはいけません。 - 流水でのすすぎ: 洗った順と同じく、指先から肘に向かって一方向に水を流します。
- 上記を決められた回数(通常は2〜3回)繰り返します。
スクラブ法の最重要ポイント
すすぎの際は、「常に指先(肘より先)を一番高く保つ」ことが絶対条件です。水は清潔な指先から、相対的に不潔な肘へと流さなければなりません。少しでも手が下がると、肘の汚染水が指先に逆流してしまい、全てやり直しになります。
ラビング法とは?特徴と手順
ラビング法の概要
ラビング法とは、速乾性擦式消毒薬(アルコールベース)を手に擦り込むことで殺菌を行う、現代の主流となっている手洗い方法です。皮膚へのダメージが少なく、時間も短縮できるのが特徴です。
ラビング法の基本手順
- 石鹸での手洗い(予備洗浄): まずは石鹸と流水で、手から肘までを目に見える汚れがない状態に洗います。
- 十分な乾燥: ペーパータオルで水分を完全に拭き取ります。
- 消毒薬の擦り込み: 規定量の消毒薬を手に取り、指先・爪の間 → 手のひら・甲 → 手首 → 前腕 → 肘へと、アルコールが完全に乾燥するまでしっかり擦り込みます。(通常はこれを規定回数繰り返します)
ラビング法の最重要ポイント
「水分が残っているとアルコール濃度が下がり、殺菌効果が激減する」ということを絶対に忘れないでください。ペーパータオルでの完全な乾燥が、ラビング法の命です。
また、規定量(ワンプッシュの量)を遵守し、手全体がしっかり濡れる量を使用し、塗り残しを防ぎます。
スクラブ法とラビング法の違い【比較】
それぞれの違いを整理して比較表にまとめました。
| 項目 | スクラブ法 | ラビング法 |
|---|---|---|
| 主な作用機序 | 物理的な洗浄・摩擦 + 抗菌薬 | アルコールによる化学的な殺菌 |
| 所要時間 | 3〜5分程度 | 3分程度 |
| 大きな違い | ・スクラブ剤での手洗い ・アルコール消毒薬は基本的に使用しない | ・石鹸での手洗い ・アルコール消毒薬の使用 |
| 適した場面 | 目に見える汚れがある時、一日の最初 | 連続して手術に入る時、通常の術前 |
| 最大の注意点 | すすぎ時の水流の逆流防止 | 使用前の「完全な水分の拭き取り」 |
よくある汚染ポイントとNG行動
実践の場で、新人が無意識にやってしまう手洗い時のNG行動(汚染ポイント)を挙げます。
❌ スクラブ法でのNG:手が下がって水が逆流する
蛇口を止める時や、タオルを取ろうとした瞬間に気が緩んで肘が下がり、肘から手首へ水が逆流してしまうミスです。常に「指先が天井」を意識しましょう。
❌ スクラブ法でのNG:洗い残し(特に指の間・親指の付け根)
手のひらや甲は洗いやすいですが、指の股(水かきの部分)や、親指の付け根は洗い残しが非常に多いポイントです。意識してスポンジを当てましょう。
❌ ラビング法でのNG:濡れた手での擦り込み
前述の通り、水分が残ったままアルコールを擦り込むのは絶対NGです。また、アルコールが完全に乾ききる前にガウンを着ようとするのも効果を半減させます。
ガウンテクニックとは?基本概念
手洗いが完璧にできたら、次はその清潔な手を守りながら手術衣(滅菌ガウン)と滅菌手袋を装着する「ガウンテクニック」です。
目的は極めてシンプル、「手洗いをした手と、患者さんに触れるガウン前面の無菌状態を維持すること」です。
💡 空間認識:どこが清潔で、どこが不潔か?
- 【清潔とみなす範囲】 胸から腰(手術台の高さ)までの前面、肘から手先までの袖。
- 【不潔とみなす範囲】 ガウンの背中側すべて、首周り・肩、脇の下、腰より下の部分。
ガウンテクニックの手順(クローズド法・オープン法)
まずはクローズド法(Closed Gloving Technique)の手順を解説します。
- ガウンの展開: 滅菌タオルの上でガウンの首元(内側)をつまみ、周囲に触れないように真っ直ぐ上に持ち上げて展開します。
- 腕を通す(手は出さない): 両腕を袖に通しますが、指先は袖口のゴムの手前(ガウンの内側)に留めておき、絶対に外に出しません。(これがクローズド=閉鎖の理由です)
- 介助者による固定: 外回り看護師(介助者)が後ろからガウンの首元と内紐を結びます。
- グローブの装着: 袖口の中に隠れた手のまま、滅菌グローブを掴みます。グローブの手首部分を裏返し、自分のガウンの袖口に被せるようにして装着します。
- 仕上げ: ガウンの袖口ごとグローブを引っ張り上げ、指を所定の位置に収めます。
滅菌グローブを2枚着用する「ダブルグローブ」の場合は、上記の方法ではなく「オープン法」と呼ばれる方法でガウンテクニックを行います。
オープン法の場合は、先に1枚目のグローブ(アンダーグローブ)を着用した後に、ガウンを着用し、2枚目のグローブの着用を行います。
ガウン・手袋装着時のミスと対策
❌ よくあるミス
- ガウンを着る時に勢い余って手が袖から出てしまう
- グローブを被せる際に、不潔な素手がグローブの外側に触れてしまう
- 周囲の壁や器械台にガウンの裾が触れてしまう
🟢 解決策・対策
- 手の位置を胸の前に固定し、袖口をギュッと握って手を止める意識を持つ
- 視線は常に「自分の手元とグローブの境界線」に集中させる
- 焦らず、一連の動作を「ゆっくり確実なスローモーション」で行う
指導者向け:手洗い・ガウンテクニックをどう教えるか
手洗いやガウンの指導は、感覚的になりがちです。
❌ NGな指導
「とりあえず私のやり方を見て覚えて」「順番が違う!もう一回やり直し!」と、手順の丸暗記だけを強要すること。
効果的な指導フレーズと教育のコツ
必ず「なぜこの順番なのか」「どこが汚染リスクなのか」をセットで教えましょう。
- 「今の腕の角度だと、肘の水が指先に逆流して菌が戻っちゃうよ。指先は常に天井を向けよう」
- 「ラビングの前に水滴が残っていると、アルコールが薄まって殺菌効果がゼロになるんだよ」
- 「手が袖から出ちゃったね。素手が出た状態で手袋の外側を触ると不潔になるから、袖の中で手をパーにする練習をしよう」
まとめ:手洗いとガウンテクニックの本質
手術時手洗いとガウンテクニックについて解説しました。
✅ 現場で使える思考のおさらい
- 手洗いの目的は「菌をゼロにする」ことではなく「SSIを防ぐために菌数を減らし続ける」こと。
- スクラブ法は「逆流防止」、ラビング法は「完全乾燥」が命。
- ガウンテクニック(クローズド法)は「絶対に素手を外に出さない」ことが成功の秘訣。
新人看護師の皆さん、最初は手洗いもガウンを着るのもガチガチに緊張すると思います。しかし、手順を完璧にこなすこと以上に「ここは汚染リスクがある」と意識して動けることの方が何倍も重要です。万が一不潔になってしまったら、隠さずにすぐやり直す勇気を持ちましょう。
指導者の皆さんは、「なぜそうするのか」という理由の言語化を続けることで、必ず新人の教育の質は上がります。安全な手術は、正しい手洗いから始まります!
【参考文献・参考資料】
- 日本手術医学会(2019). 『手術医療の実践ガイドライン 改訂版』
- CDC(米国疾病予防管理センター). 『手術部位感染防止ガイドライン』
- WHO(世界保健機関). 『安全な手術のためのガイドライン(手指衛生)』
- メディカ出版. 『オペナーシング』各号(サージカルスクラブ・ガウンテクニック特集)
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