※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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腹腔鏡下での左半結腸・下行結腸切除術は消化器外科手術でもメジャーな手術です。
一方で、『左半結腸切除術って、どのような手術なの?』『ラパロ結腸手術って、なに?』『消化器外科手術の器械出し看護のポイントを知りたい』など、様々な疑問を持つ手術室看護師の方や、研修医の方は多いのではないでしょうか?
そのような方に向けて、今回は腹腔鏡下での左側結腸部分切除術・左半結腸切除術の手術の流れについて解説していきます。とくにこの術式は、右側と違って「砕石位」「神経温存」「DST吻合」という3つの独自ポイントがあります。そこを押さえられるかどうかで、器械出しの動きやすさが大きく変わります。
【左結腸切除術とは?】
左側結腸部分切除術・左半結腸切除術は、横行結腸から下行結腸・直腸にかけて腫瘍などができた場合、その切除に対して行われます。
腫瘍の大きさや、患者の既往歴にもよりますが、多くは腹腔鏡下で手術されます。
大腸がんに対して行う場合は、腫瘍だけを切るのではなく、その腸管を栄養している血管と、血管に沿って並ぶリンパ節をまとめて切除(リンパ節郭清)します。左側結腸では、この栄養血管が下腸間膜動脈(かちょうかんまくどうみゃく)という一本の幹から枝分かれしているのが特徴です。
手術時間
左側結腸部分切除術の場合⇨3〜4時間程度
左半結腸切除術の場合⇨4~5時間程度
器械出し看護難易度
左側結腸部分切除術の場合⇨✩✩
左半結腸切除術の場合⇨✩✩✩
※手術時間はあくまで目安です。腫瘍の位置や大きさ、癒着の程度、脾弯曲(ひわんきょく)まで授動が必要かどうかによって、大きく前後します。
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- 【下行結腸切除術の手術手順】砕石位での体位固定
- 消毒〜ドレーピング
- エネルギーデバイスのセッティング〜手術開始
- 腹腔鏡用ポートの挿入~腹腔内観察
- 左側結腸・左半結腸の術野展開
- 腹膜の切開&直腸周囲の層の確認
- 結腸間膜&下腸間膜動脈血管周囲の剥離
- 血管処理とS状結腸の受動
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手術前に押さえたい|左側結腸の血管と「守るべき神経」
手順に入る前に、左側結腸まわりの「地図」を確認しておきましょう。ここを知っておくと、術者が何を探し、何を避けているのかが分かるようになります。
左側結腸を栄養する血管
左側結腸は、腹部大動脈から分かれる下腸間膜動脈(IMA)という一本の幹から枝分かれした血管で栄養されています。
| 血管 | 栄養している範囲 |
|---|---|
| 左結腸動脈 | 下行結腸 |
| S状結腸動脈 | S状結腸 |
| 上直腸動脈 | 直腸の上部 |
どこで血管を切るかは、腫瘍の位置とリンパ節郭清の範囲によって決まります。下腸間膜動脈の根元で切る場合と、左結腸動脈を残して枝だけを切る場合があり、術者が「根部で切る」「LCAは温存する」などと話しているのは、この判断のことです。
左側結腸手術ならではの「神経温存」
左側結腸〜直腸の手術で、右側にはない大きなテーマが「自律神経の温存」です。下腸間膜動脈の根元のまわりや、直腸の背側には、上下腹神経叢(じょうかふくしんけいそう)・腰内臓神経・下腹神経といった細い神経が網の目のように走っています。
💡 神経を守ることが、術後の生活を守る
これらの神経は、排尿と性機能をコントロールしています。剥離のときに傷つけてしまうと、術後に尿が出にくくなる(排尿障害)、性機能障害が残るといった、生活の質に直結する後遺症につながります。
術者が神経の層を慎重にたどっているのは、がんを確実に取ることと、患者さんの術後の生活を守ることを両立させるため。器械出しは、この場面で術野が見えづらくならないよう、吸引やレンズ清拭でしっかり支えましょう。
近くにある「傷つけてはいけないもの」
- 左尿管・生殖腺動静脈:後腹膜を走ります。剥離の層を外すと巻き込む危険があります
- 脾臓(ひぞう):脾弯曲を授動する際、引っ張りすぎると被膜が裂けて出血することがあります
- 自律神経(上記):温存できるかどうかが術後のQOLを左右します
【下行結腸切除術の手術手順】砕石位での体位固定
腹腔鏡下大腸切除術は砕石位で行います
砕石位をとる際は、患者さんの体格に合わせて支脚器を装着し、体位固定を行います
左側結腸の手術で砕石位をとるのは、①術者・助手が患者さんの脚の間に立てる ②必要に応じて肛門側から器械(自動吻合器や内視鏡)を入れられる ③直腸洗浄が行えるためです。右側結腸の手術(多くは仰臥位)との大きな違いがここにあります。
【砕石位で注意すべき2大合併症は「腓骨神経麻痺」と「コンパートメント症候群」】
この2つは似た場面で語られますが、起こるしくみがまったく違う別々の合併症です。混同しやすいので、分けて理解しておきましょう。
①腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)=「直接の圧迫」で起こる
膝の外側にある『腓骨頭部(ひこつとうぶ)』では、神経が骨のすぐ上を浅く走っています。ここが支脚器に押しつけられると神経が傷み、術後に足首が上がらなくなる(下垂足)・足背のしびれが生じます。
そのため支脚器に下脚を乗せる際には、『腓骨頭部』が支脚器に圧迫されていないことを必ず確認します。
②コンパートメント症候群=「血流不足と内圧上昇」で起こる
こちらは神経の圧迫が原因ではありません。下肢を長時間高く挙上したままにすると、脚の血流が悪くなります。すると筋肉がむくみ、骨と筋膜で囲まれた区画(コンパートメント)の内圧が上がって、筋肉や神経がさらに血流不足に陥る——という悪循環が起こります。重症化すると筋肉が壊死し、腎障害に至ることもある重篤な合併症です。
リスクが高まるのは手術時間が長い場合や下肢を高く挙げすぎている場合。長時間手術では、可能な範囲で下肢の位置を下げる・一時的に体位を調整するといった対応がとられることがあります。
砕石位の固定では、以下をチェックしましょう。
・腓骨頭部が支脚器に当たっていないか(除圧の確認)
・下肢を挙上しすぎていないか(高すぎると血流が低下します)
・股関節・膝関節が無理な角度になっていないか(開排しすぎは神経障害の原因になります)
・腕の固定・体幹のずれ止め(頭低位にすると身体がずれやすくなります)
また、深部静脈血栓症の予防として、弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置が正しく装着・作動しているかも確認します。手術が長引く場合は、経過時間をチームに共有することも大切な役割です。
消毒〜ドレーピング
🍈 いちばん多い相談は、手当の話です
SNSで受ける相談で、いちばん多いのがこれです。
・オペ室手当がつかない。この先も上がる見込みがない
・オンコールに入っても、手当がほとんど出ない
・あと5万円くらい上げたいけれど、どこを見れば分かるのか知りたい
ここまで読んで勉強しているあなたは、確実に伸びているオペ看です。ただ、その頑張りに手当がついてくるかどうかは、正直なところ病院しだい。オペ室手当もオンコール手当も0円という職場は実在しますし、逆にどちらもきちんと出る病院もあります。
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