※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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▶ 今すぐおすすめ転職記事を読む「手術前の準備で、どこまで患者さんに装着物の説明をすればいいのか…」
「外し忘れを術直前に気づいて、バタついてしまった…」
こうした経験をした手術室看護師は多いのではないでしょうか。
装着物の指導理由を曖昧なまま受け継いでしまい、
「なぜダメなのか」を自分の言葉で説明できない不安を感じる場面も少なくありません。
この記事では、手術前に外すべき装着物とその理由を体系的に整理し、 患者さんへの説明が正確かつ自信を持ってできるようになるための知識をまとめています。
こんな人におすすめ
- ✅ 手術前の装着物説明に自信がない手術室看護師
- ✅ 外し忘れをなくすための体系的な知識を身につけたい方
- ✅ 患者説明で「なんとなく」と答えてしまうことがある方
この記事で得られること
✔ 手術前の確認業務がスムーズになる
✔ 外し忘れによるトラブルを防げる
✔ 患者さんから信頼される説明ができるようになる
【動画でも解説】この記事の内容を動画で
この記事の内容は動画でも解説しています。通勤中や休憩中の予習・復習にどうぞ。
手術前に外すべき装着物一覧(まずは全体像)

| 装着物 | 外す理由 |
|---|---|
| 指輪・ネックレス・ピアス・ヘアピン 腕時計など金属全般 | 電気メス使用時の熱傷リスク むくみによる血流障害 |
| 化粧(ファンデーション・口紅) | 皮膚色の観察ができない |
| ジェルネイル・マニキュア | パルスオキシメーターの測定阻害 |
| コンタクトレンズ | 乾燥・角膜傷害・術中の脱落 |
| 義歯(入れ歯) | 気道管理の妨げ |
| 湿布・絆創膏 | 手術部位確認の支障・皮膚トラブル要因 ・熱傷リスク |
| ウィッグ | 金属による熱傷・皮膚トラブル要因 ⦅状況に応じて手術室内でウィッグを 外すなどの配慮も視野に入れる⦆ |
| まつエク(まつ毛エクステ) | 角膜保護テープの密着不良 |
| 眼鏡・補聴器 | 歩行・会話に必要なら直前まで可 |
手術前になぜ装着物を外す必要があるのか?

多くの新人が最初に抱える疑問は、
「どこまで外してもらう必要があるのか?」です。
「熱傷のリスクがあるから」「パルスオキシメーターが…」と
表面的に覚えてしまいがちですが、
① 身体的危害の予防
熱傷など患者へのダメージを防ぐため
② モニタリング精度の確保
正確なバイタル測定を行うため
③ 手術・麻酔の妨げ防止
操作の邪魔を防ぎ安全に進めるため
⚠ 特に重要
電気メスによる熱傷は実際に報告されている重大事故です。
金属類の取り扱いは安全管理上の重要ポイントになります。
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▶ 今すぐおすすめ転職記事を読む「なぜダメなのか」を、ガイドラインの言葉で言えるようにする
ここからは、患者さんに聞かれたときに自分の言葉で答えられるようにするための根拠を置いておきます。出典は日本手術医学会の手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)と、日本呼吸器学会の『パルスオキシメータハンドブック』です。
指輪:怖いのは「金属があること」ではなく「わずかな隙間」
同ガイドラインは、患者の熱傷について「高周波電流の電流密度が30mA/cm²以上になった場合に生じる」として、原因を10項目挙げています。
そのうちのひとつが、「金属の指輪と身体の接触面にわずかな隙間ができた場合」です。
つまり危ないのは「金属がそこにあること」そのものではなく、電流が狭い面積に集中すること。同じリストには「手術台の金属部に患者の体が触れている場合」も並んでいます。
ここを押さえておくと、説明が変わります。「金属だからダメなんです」ではなく、「電気メスの電流が指輪のすき間に集中して、そこだけ熱くなることがあるんです」。
後者のほうが、患者さんは納得してくださいます。
外せない金属があるときは、外さないことをチームで共有する
矯正器具やインプラントのように、そもそも外せない金属もあります。同ガイドラインはこう書いています。
「歯列矯正などの矯正具を含めたインプラントは、全体が生体組織で覆われていれば熱傷の危険性は少なくなる。しかし、ピンポイントでの接触部位がある場合には、その部位に電流が集中し熱傷を起こす可能性が高くなる」。
そのうえで、対極板は「インプラントが高周波電流の経路にならない、術野に一番近い場所」への装着が望ましい、とされています。
外せない金属がある=手術できない、ではありません。外せないなら、どこに何があるかを麻酔科医・執刀医と共有して、対極板の位置で対応する。
これが正解です。「外してもらえませんでした」で終わらせないことが、外回りの仕事になります。
ネイル:色によって、出てくる数字が変わります
同ガイドラインには「マニキュア、青系統のマニキュアは660nm周辺の光を吸収するのでSpO₂が低く表示される」と記載があります。
日本呼吸器学会の『パルスオキシメータハンドブック』はもう少し具体的で、「特に緑色、青色、茶色などのマニキュアは光量を減少させる率も高く、SpO₂を低下させる可能性があるため、除光液でマニキュアを落としてプローブを装着します」「黒色のマニキュアや皮膚の色素沈着は透過光強度を低下させ」としています。
患者さんからよく聞かれるのが「透明なら大丈夫ですか?」です。影響が大きいのは濃い色・青系・緑・茶・黒——そう説明できると、「全部ダメです」と言うより話が早く済みます。
落とせないときの対応(別の指・足趾での測定)は、このあとのトラブル対策にまとめています。
義歯:ここだけは「念のため」ではありません
入れ歯は、外せなかったときのリスクの種類が他と違います。挿管の操作中に外れて気道に入れば、そのまま気道異物です。
装着物の確認のなかで、ここだけは「一応外しておきましょうか」ではなく「必ず外します」と伝えてよいところだと思っています。
部分義歯は本人も忘れがちです。「入れ歯はありますか」ではなく「差し歯やブリッジ、部分的な入れ歯も含めて、口の中に外せるものはありますか」と聞くと、出てくることがあります。
眼鏡・補聴器は「早く外す」ほうが危ないことがあります
眼鏡と補聴器だけは、他の装着物と扱いが逆になります。早く外してしまうと、入室してからの呼びかけが届かなくなるからです。
本人確認もタイムアウトも、患者さんが聞こえていて初めて成立します。とくに高齢の方は、補聴器を外した瞬間に会話が成り立たなくなることがあります。
直前まで使っていただき、入室後にケースで預かる——この順番を病棟とそろえておくと、当日があわてずに済みます。
装着物ごとに詳しく解説|それぞれ、なぜ外すのか
💍 貴金属類(指輪・ネックレス・ピアス等)
電気メスにより電流が集中 → 接触部に熱が発生 → 火傷リスク
- 手指の浮腫 → 指輪が外れなくなる
- 血流障害のリスク
💄 化粧
皮膚色・チアノーゼの観察が困難になるためスッピンが原則
💅 ネイル・ジェルネイル
パルスオキシメーターの光を遮断 → SpO₂が正確に測定できない
👁 コンタクトレンズ
- 角膜損傷・乾燥リスク
- 感染リスク増加
安全な手術の妨げとなるため必ず外す
🦷 義歯(総・部分)⚠重要
挿管時に外れると…
- 気道迷入 → 誤嚥・窒息
- 低酸素血症 → 心停止のリスク
生命に直結するため必ず外す
🩹 湿布・絆創膏
- 皮膚状態の観察ができない
- 剥がれて異物化
- 金属成分 → 火傷リスク
※磁気治療器は電気機器と干渉し危険
👩🦱 ウィッグ
- 金属含有 → 熱傷リスク
- 固定具 → 皮膚トラブル
※状況に応じた配慮が重要
👀 まつエク
- テープ固定不良 → 眼球乾燥リスク
- 抜去・皮膚損傷
- 感染リスク
👓 眼鏡・補聴器
直前まで使用OK(歩行・会話のため)
→ 手術前にケース保管
よくあるトラブルとその対策
手術前の装着物関連で多いトラブルは、
“外し忘れ”や“外せない問題”です。
⚠ 外し忘れ(最も多い)
発生タイミング:術直前に発覚
多い例:指輪・ジェルネイル・コンタクト
✔ 対策
- 術前訪問時に全身観察
- チェックリスト活用
- 病棟看護師との連携
💍 外れない貴金属
浮腫により指輪が抜けないケースあり
✔ 対策
- 糸などを用いて抜去
- 事前に「外れにくい場合は相談」と説明
⚠ 最終手段:
同意の上で切断して除去
💅 ネイルが外せない
特殊ジェルなどで除去困難なケース
✔ 対応
- 足趾など別部位でSpO₂測定
- 予備測定部位を事前共有
🧔 ヒゲ(髭)
テープ固定が弱くなり、気管チューブ固定不良・抜去リスク
✔ 対応
- 麻酔科医と事前共有
- 必要に応じて剃毛
👉 ポイント:
トラブルは事前確認とチーム連携で防げる。
“想定しておくこと”が安全管理のカギ。
まとめ|装着物の理解は患者安全を守る重要なスキル
装着物説明は“ただの確認”ではない
手術前に外していただく装着物は、
一見シンプルなルールに見えて、実は 患者さんの安全を守る大切なケアが詰まっています。
🛡 患者さんの安全を守る
📊 モニターを正確に読み取る
⚙ 手術・麻酔をスムーズに進める
だからこそ、オペナースとして
「なぜ外す必要があるのか」を理解し、自分の言葉で説明できることが重要です。
装着物の説明は、ただのチェック項目ではなく、
患者さんに安心して手術に臨んでいただくためのコミュニケーションです。
今日の記事が、あなたの説明に少しでも自信をプラスし、
患者さんに寄り添うあたたかい看護につながれば嬉しいです🍈✨
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参考文献
- 日本手術医学会.手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版).手術医学 Vol.40, Suppl., 2019(全文PDF)
- 日本呼吸器学会 肺生理専門委員会.パルスオキシメータハンドブック(医療者向け).一般社団法人日本呼吸器学会(全文PDF)
- 日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会編.周術期管理チームテキスト 第4版.神戸:日本麻酔科学会;2020.
- World Health Organization.WHO Surgical Safety Checklist(安全な手術のためのチェックリスト).2009.
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