※医療・看護ケアは各施設の方針に従ってください。手順・使用器械は施設により異なります。
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『冠動脈バイパス術の器械出し看護ができるようになりたい』
『心臓手術の器械出しが苦手で自信がない…』
『CABGの流れや看護ポイントをしっかり理解したい』
そんな不安や悩みを感じていませんか?
冠動脈バイパス術は、工程が多く使用器械も特殊で、
器械出し・外回りともに高いレベルが求められる手術です。
- なんとなく流れは分かるけど、自信を持って動けない
- 次に何が来るのか予測できない
- 緊張して器械出しがうまくいかない
ですが安心してください。
CABGは流れとポイントを体系的に理解すれば、確実に動けるようになる手術です。
この記事では、
- 手術の全体像
- 器械出し看護の具体的な動き
- 外回り看護で押さえるべきポイント
を、現場でそのまま使えるレベルで分かりやすく解説しています。
「ただ知識を知るだけ」ではなく、
“明日から実際に動けるようになる”ことをゴールにした内容です。
CABGに苦手意識がある方も、これから担当する方も、
ぜひ最後まで読んで、自信を持って手術に臨める状態を目指しましょう。
- 冠動脈バイパス術(CABG)とは
- 手術開始までの準備
- 術野準備の流れ(CABG)
- 皮膚切開~胸骨正中切開・心膜切開
- オンポンプとオフポンプ — 同じCABGでも別の手術です
- 【保存版】CABGで準備する器械・物品一覧
- 冠動脈バイパス用の動静脈採取
- なぜグラフトの種類を使い分けるのか
- カニュレーション開始【人工心肺下で行う場合】
- 冠動脈(末梢側)の吻合準備
- バイパス用血管-冠動脈吻合の開始
- 冠動脈(末梢側)の吻合の終了
- 大動脈(中枢側)吻合【大伏在静脈・橈骨動脈をバイパス用血管とした場合】
- バイパス用血管-冠動脈吻合の終了
- カニュレーション終了【人工心肺下で行う場合】
- フローメーターにて冠動脈流量の測定
- 吻合部の止血・洗浄・ドレーン挿入
- ペースメーカーリードの挿入
- 胸骨閉鎖・閉創
- 手術終了~患者退室
- 【外回り看護】CABGで見ておくこと
- CABGのよくある疑問
- CABGで注意すべき合併症
- 手術終了後の申し送りで伝えること
- CABGでよくあるミスと対策
- 新人オペ看がつまずきやすい2つのポイント
- CABGの用語集
- 冠動脈バイパス術(CABG)手術看護まとめ
冠動脈バイパス術(CABG)とは
■ 手術の目的
狭くなった冠動脈の先に新しい血管(グラフト)をつなぐことで、
血流をバイパスし、心筋への血液供給を保つ手術。
■ イメージ
【狭窄部】→❌血流低下
↓
【バイパス作成】→⭕別ルートで血流確保
■ 背景(虚血性心疾患)
冠動脈が狭くなることで血流が低下し、
心筋に十分な酸素が届かなくなる状態。
重症例では血管が完全に閉塞していることもある。
■ 他の治療との違い
- バイパス術:新しい血管をつなぐ(迂回路を作る)
- カテーテル治療:血管を内側から広げる・削る
- ステント治療:金属の筒で血管を広げた状態に保つ
■ ポイント
「詰まったところを治す」のではなく、
「新しい道を作る」のがCABGの最大の特徴。
手術開始までの準備
術野準備の流れ(CABG)
① 術野の消毒
前胸部から膝下までを広範囲に消毒する。
CABGではグラフト採取も考慮し、下肢まで含めて準備するのが特徴。
② ドレーピング
冠動脈バイパス手術用ドレープを使用し、術野を確保する。
- ドレーピングを実施
- イソジンドレープなどを貼付し、清潔野を保持
③ 機器セッティング
手術開始に備え、各種デバイスを準備する。
- 電気メスの接続・動作確認
- サクションチューブの準備
- その他デバイス類のセッティング
ポイント
CABGでは「胸部+下肢」を同時に扱うため、
消毒範囲・ドレーピング範囲が広い点に注意。
皮膚切開~胸骨正中切開・心膜切開
胸骨正中アプローチの手術手順
① 皮膚・筋膜の切開
胸骨正中をランドマークに、胸骨上窩から剣状突起下まで皮膚切開を行う。
その後、胸骨が露出するまで筋膜・皮下組織を順次切開する。
② 胸骨正中切開
- 電動骨切開器を使用し、胸骨上縁から下縁へ縦切開
- 骨髄出血は骨止血材や電気メスで止血
- 胸骨開創器や開胸器で胸骨を左右に開く
・電動器械は使用前に必ず作動確認
・未使用時は誤作動防止(電源オフ・バッテリー管理)
・安全管理を徹底する
③ 胸腺組織の処理
前縦隔の胸腺組織を確認し、吸収糸で結紮・処理を行う。
④ 心膜切開
- 吸引や鉗子で視野を確保しながら心膜を切開
- 心膜に牽引用の糸をかけ、開創器に固定
ポイント
胸骨正中アプローチでは、
「安全な視野確保」と「出血コントロール」が重要。
特に電動器械の取り扱いは安全管理が最優先となる。
オンポンプとオフポンプ — 同じCABGでも別の手術です

CABGには、大きく分けて2つのやり方があります。前日の情報収集で、まずここを確認してください。準備するものが根本的に変わります。
| オンポンプ(人工心肺を使う) | オフポンプ(人工心肺を使わない) | |
|---|---|---|
| 心臓の状態 | 心停止させ、動かない状態で吻合する | 心臓が動いたまま吻合する |
| 必要な器械 | カニューレ、心筋保護、ベント一式 | スタビライザー、ハートポジショナー、シャント |
| 吻合の難度 | 視野が安定していて縫いやすい | 動いている血管を縫うため難度が高い |
| 体への負担 | 人工心肺による全身への影響がある | 人工心肺の影響を避けられる |
| 器械出しの山場 | カニュレーションと心筋保護の管理 | 吻合中の連続介助。手を止められない |
🫀 オフポンプは「途中で人工心肺に切り替わる」ことがあります
心臓を動かしたまま操作するため、血圧が下がったり、不整脈が出たりして続けられなくなることがあります。その場合、緊急で人工心肺へ移行します。
だからオフポンプの日でも、人工心肺の準備は部屋の中にあります。「使わない予定だから」と片付けてはいけません。切り替えが必要になったとき、数分の遅れが患者さんの状態を左右します。
術前に確認しておきたいこと
- オンポンプかオフポンプか — 準備が根本的に変わります
- バイパスの予定本数 — 手術時間と糸の必要量に直結します
- 使用するグラフトの種類と採取部位 — 消毒・ドレーピングの範囲が変わります
- グラフトの採取方法(直視下か内視鏡的か)— 専用の器械が必要になります
- 再手術かどうか — 癒着があり、剥離に時間がかかります
- 他の手術を併施するか(弁の手術など)— 大きく段取りが変わります
特にグラフトの採取部位は消毒範囲に直結します。脚から採るなら下肢まで、腕から採るなら上肢まで。ドレーピングを始めてから「そこも消毒が必要だった」となれば、やり直しです。
【保存版】CABGで準備する器械・物品一覧
| グループ | 主な内容 | 押さえるポイント |
|---|---|---|
| ①開胸 | 胸骨鋸、開胸器、骨髄止血剤、胸骨ワイヤー | 胸骨鋸は作動確認とバッテリー管理 |
| ②グラフト採取 | 採取用の器械(内視鏡的採取を含む)、クリップ、保存液 | 採取後はすぐ保存液へ |
| ③人工心肺 | 送脱血カニューレ、ターニケット、心筋保護カニューレ、ベント | オフポンプでも室内に用意 |
| ④吻合 | 7-0・8-0モノフィラメント糸、微細持針器、微細鑷子、冠動脈用剪刀、シャント、ブロワー | 糸が非常に細い。本数管理を徹底 |
| ⑤オフポンプ用 | スタビライザー、ハートポジショナー | 使用する日は装着方法を事前確認 |
| ⑥仕上げ | フローメーター、止血材、ドレーン、ペースメーカーリード | 血流測定は吻合の合否判定 |
🧵 CABGは「細い糸との戦い」です
冠動脈は太いものでも数ミリしかありません。そこに髪の毛より細い糸で血管を縫いつけます。
この細さでは、1本紛失しただけで見つけるのが極めて困難です。吻合ごとに使用本数を区切り、その都度回収して数える。CABGの器械出しで最も神経を使う部分です。
冠動脈バイパス用の動静脈採取
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