バイクリルとPDSの使い分けは?縫合糸の種類を看護師向けに解説!

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バイクリルとPDSってどう使い分けてるの?

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縫合糸の種類を看護師向けに教えてほしい!

手術中、医師が縫合に使用する「吸収性縫合糸」。見た目は似ていても、糸ごとに吸収期間や強度、扱いやすさが大きく異なります。その代表格が「バイクリル(Vicryl)」と「PDS(Polydioxanone)」です。

この記事では、縫合糸の種類をはじめ、バイクリルとPDSの使い分けについても看護師向けに解説します。

バイクリルとPDSとは?吸収性縫合糸の基本を理解しよう

手術では、体内に残る糸をできるだけ少なくするために「吸収性縫合糸」が多く使用されます。吸収性縫合糸は体内で時間をかけて分解され、最終的には吸収されるため抜糸が不要という利点があります。
その中でも、医療現場で最もよく使用されるのが「バイクリル」と「PDS」

どちらも合成吸収性ですが、構造や吸収期間、張力維持などに明確な違いがあります。

縫合糸にはどんな種類があるの?

【図解】縫合糸の種類

吸収糸と非吸収糸

合成糸と天然糸

ブレイドとモノフィラメント

バイクリルとPDSの分類と主な用途

バイクリルは柔らかく扱いやすい「編み糸」、PDS IIは表面が滑らかで組織反応が少ない「一本糸」です。

バイクリルとPDSの特徴

バイクリル(編み糸吸収糸)の特徴

・PDS IIよりも炎症反応がやや強い傾向がある

・縫合糸膿瘍や糸の露出はPDS IIよりも多い傾向

(参考文献:日本医科大学形成外科 瘢痕・ケロイド治療研究会. 第9回瘢痕・ケロイド治療研究会 参加者へのお知らせとお願い [インターネット]. 2023年8月31日開催; 東京: 日本青年館; 2023)

PDS II(モノフィラメント吸収糸)の特徴

・炎症反応はバイクリルに比べて弱い傾向

・縫合糸膿瘍や糸の露出はバイクリルよりも少ない

・消化管吻合では、4-0 PDSなどの合成モノフィラメント吸収糸が使用されることが多い

・十二指腸乳頭形成術など、胆管開口部や主膵管開口部と十二指腸粘膜の吻合といった繊細な部位には、4-0 PDS IIが推奨されている

(参考文献:中里徹矢. 縫合・縫合止血・吻合のポイント. 臨床外科. 2020;75(11):45-55.)

手術部位ごとの使い分けポイント

縫合糸を選ぶときは、「組織反応の程度」「必要な抗張力」「組織の状態」を考慮します。
現場では次のように使い分けられることが多いです。

バイクリル(編み糸吸収糸)

結紮操作がしやすく、柔軟性があるため、組織が脆弱・浮腫状・裂けやすいときに適しています。

具体例:

  • 腸管損傷時の漿膜筋層縫合では、通常モノフィラメントが使われますが、組織が浮腫状で糸が食い込みやすい場合は、ブレイド(編み糸)を選択します。
  • クローン病などで腸壁が硬く裂けやすい場合も、柔軟なマルチフィラメント吸収糸が用いられることがあります。

PDS II(モノフィラメント吸収糸)

組織反応を抑えたい場合や、整容性を重視する真皮縫合に適しています。また感染リスクを下げたい部位にも使用されます。

具体例:

  • 胃全摘後の空腸断端の埋没には4-0バイクリルを使うことがありますが、吻合部では4-0 PDSが選ばれることがあります。
  • 胆道再建(例:十二指腸乳頭形成術)では、胆石や膵石のリスクを避けるため、吸収性モノフィラメント(4-0 PDS IIなど)が使用されます。

縫合糸の使い分けは?

吸収糸と非吸収糸の使い分け

合成糸と天然糸の使い分け

ブレイドとモノフィラメントの使い分け

縫合糸の種類とバイクリル・PDSの使い分けのまとめ

この記事では縫合糸の種類とバイクリル・PDSの使い分けについて看護師向けに解説しました。

実際の臨床現場では、それぞれの縫合糸の特性を考慮しつつ、手術内容・縫合部位・患者の状態・医師の好みなどを総合的に判断して縫合糸が選択されます。

ぜひ参考にしてください。

※また実際に使用する縫合糸については施設でのルールや医師の指示に従って頂くようお願い致します。

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