😔 こんな不安、ありませんか?
- 「体位固定、なんとなくでやってしまっている…本当にこれで大丈夫?」
- 「どこを注意すればいいのか、よく分からない」
- 「術後にしびれが出たと聞いて、急に怖くなった」
👩⚕️ 指導する立場の方も、こんなお悩みはありませんか?
- 「形は教えているけど、”なぜその固定なのか”をうまく説明できていない」
- 「新人が原理を理解しているか、正直分からない」
✅ この記事で得られること
- 手術体位の固定が持つ本質的な意味が理解できる
- 体位別の合併症リスクと具体的な予防法が分かる
- 新人も指導者も、「原理」から説明できるようになる
手術体位の固定は、日々のルーティン業務になりがちです。しかし、その一つひとつの判断が、患者さんの術後の回復に直結しています。この記事では、体位固定の原理・合併症のメカニズム・各体位のリスクと予防策を、現場で即使えるレベルまで丁寧に解説します。
\オペ看1838人のリアルな声/
手術体位の固定とは?基本概念から理解しよう
手術体位の定義と2つの目的
手術体位とは、手術を安全かつ確実に行うために、患者の体を適切な姿勢で保持・固定することをいいます。
体位固定の目的は大きく2つあります。
- 術野の確保:術者が操作しやすい視野・アプローチを提供する
- 患者の安全保持:術中の合併症・損傷を未然に防ぐ
この2つを同時に満たすことが体位固定の本質です。「術野のために無理な姿勢をとらせる」のではなく、術野確保と患者安全の両立を常に意識することが大切です。
体位固定で意識すべき3つの視点
体位を決めるとき・固定するときは、必ず以下の3つの視点でからだへの負担を考えましょう。
| 視点 | 主な確認内容 | 放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 圧迫 | どこに持続的な圧がかかるか | 褥瘡・神経損傷 |
| 牽引 | 神経・血管・靭帯が引き伸ばされていないか | 神経麻痺・血管損傷 |
| 循環 | 呼吸・静脈還流が妨げられていないか | 呼吸障害・血行障害 |
「どこに負担がかかるか」を体全体でスキャンする習慣が、安全な体位固定の第一歩です。
体位固定で起こりうる合併症の種類
体位固定は「単なるポジショニング」ではありません。誤った固定や不十分なパッド使用は、患者さんに重大な後遺症をもたらすことがあります。体位固定=リスク管理という認識を持つことが重要です。
①神経障害
圧迫・過伸展(牽引)・長時間固定によって末梢神経が損傷し、術後にしびれ・麻痺・疼痛が生じる合併症です。術後に患者さんから「手がしびれる」「足が動かしにくい」と訴えがある場合、体位固定に関連した神経障害を疑います。
特に注意すべき神経は以下の通りです:
- 尺骨神経(肘の内側を走行)
- 腓骨神経(膝の外側・腓骨頭付近を走行)
- 腕神経叢(頸部〜肩〜腕にかけて走行)
- 坐骨神経(臀部から下肢にかけて走行)
②褥瘡(術中褥瘡)
術中の長時間にわたる持続的な圧迫により、皮膚や皮下組織が虚血・壊死する状態です。術中に発生したものを「術中褥瘡(急性期褥瘡)」と呼び、術後の体位交換・観察時に初めて気づかれることが多い合併症です。
③その他の合併症
- コンパートメント症候群:下肢や前腕が長時間挙上・圧迫されることで筋区画内の圧力が上昇し、血流障害・壊死が生じる
- 呼吸・循環障害:体位による換気量の低下や静脈還流の妨害により、術中の全身管理に影響する
- 眼球損傷:腹臥位での眼球への直接圧迫による視力障害(最重篤な場合は失明)
神経障害のメカニズムと予防法
なぜ神経が傷つくのか——3つの原因
①圧迫
骨突出部や器具による
直接的な持続圧力
②過伸展(牽引)
生理的可動域を超えた
関節・神経の引き伸ばし
③長時間固定
同一姿勢による
虚血性変化の蓄積
神経損傷は「骨が出っ張っている部分(骨突出部)」と「神経が表面近くを走っている部分」が重なる箇所で特に起こりやすくなります。この2つを組み合わせて覚えることが、予防の近道です。
代表的な神経障害と発生体位
| 神経名 | リスクが高い体位 | 損傷部位・原因 | 主な症状 |
|---|---|---|---|
| 尺骨神経 | 仰臥位 | 肘内側の直接圧迫・過屈曲 | 小指・環指のしびれ・麻痺 |
| 腓骨神経 | 砕石位・側臥位 | 腓骨頭への脚台・支持具の圧迫 | 足背のしびれ・下垂足 |
| 腕神経叢 | 側臥位・仰臥位(上肢外転) | 過度の肩外転・頸部側屈 | 腕・手の感覚障害・筋力低下 |
| 坐骨神経 | 砕石位 | 股関節の過屈曲・外旋 | 下肢後面のしびれ・疼痛 |
神経障害予防の具体策
- 肘部・腓骨頭などの骨突出部にクッション性のあるパッドを使用し、直接圧を避ける
- 関節は生理的な位置(自然な肢位)で保持し、過度な外転・伸展を避ける
- 上肢外転は90度以内を厳守する
- 術中・手術開始後も定期的に体位のズレがないか確認する
褥瘡のメカニズムと予防法
術中褥瘡が起こる仕組み
術中褥瘡の主な原因は「持続的な圧迫による局所の血流低下」です。
普段の生活では、私たちは無意識に体位変換をして圧を分散しています。しかし術中は:
- 全身麻酔により体動が消失しているため、自力での体圧分散ができない
- 同一体位が長時間固定されている
- 術中低体温・低血圧・貧血などが重なり、皮膚の抵抗力が低下している
これらが組み合わさることで、わずか2〜3時間でも褥瘡が発生し得ます。特に骨突出部(仙骨・踵・後頭部・肩甲骨など)は要注意です。
術中褥瘡のリスク因子
⚠️ 術中褥瘡リスクが高くなる条件
- 手術時間が3時間以上
- 低栄養状態(血清アルブミン値の低下)
- 高齢・るいそう(やせ型体型)
- 糖尿病・末梢血管疾患
- 術中低体温・低血圧の持続
- 皮膚の脆弱性(ステロイド長期使用など)
リスク因子が重複するほど、褥瘡発生リスクは高まります。特に「長時間手術+骨突出部への圧迫」の組み合わせは最も注意が必要です。
褥瘡予防の具体策
- 術前:ブレーデンスケールやOHスケールなど標準的なリスクアセスメントツールで評価する
- 器材選択:ゲル素材や粘弾性フォーム素材の体圧分散マットを使用する
- 骨突出部への重点保護:仙骨・踵・後頭部・肩甲骨・腸骨稜などにパッドを当てる
- 術中確認:長時間手術では適宜(目安1〜2時間ごと)皮膚状態を確認・記録する
- 術後申し送り:使用パッドの種類・位置・術中の変更点を次の担当者へ確実に伝える
体位固定の基本3原則
どの体位においても共通する、安全な体位固定の基本原則は以下の3つです。
原則①:圧を分散する
一点に荷重が集中しないよう、骨突出部には必ずパッドを使用します。クッション性の高い素材(ゲル・粘弾性フォームなど)を適切な位置に当てましょう。
原則②:無理な牽引を避ける
関節は生理的な可動域(自然な位置)で保持します。「少し強引に引っ張ればいいか」という感覚は禁物。神経・血管・靭帯への牽引ストレスが蓄積します。
原則③:安定性を確保する(締め付けすぎない)
術中にずれないよう固定しますが、過度な締め付けは血行障害を引き起こします。固定バンドや支持具は「支える」ためのもの。「縛る」感覚では使いません。
主要な手術体位のリスクと予防策
手術体位は術式によって異なります。各体位の特徴・リスク・予防策を理解し、「この体位ではここに気をつける」という思考を身につけましょう。
① 仰臥位(Supine position)
📌 特徴
最も基本的・頻度の高い手術体位。腹部・胸部・頭頸部・四肢など幅広い術式で使用します。
⚠️ 主なリスク
- 後頭部・仙骨・踵の褥瘡
- 尺骨神経障害(肘の内側)
- 腕神経叢障害(上肢過外転時)
✅ 予防策
- 踵部にヒールプロテクターや除圧用パッドを使用する
- 肘部にパッドを当て、肘が直接台に当たらないようにする
- 上肢外転は90度以内にとどめる
- 後頭部・仙骨部の皮膚状態を術前後に確認する
② 腹臥位(Prone position)
📌 特徴
脊椎・背部の手術時に使用。体位変換時はスタッフ複数名での協力が必須です。
⚠️ 主なリスク
- 眼球への直接圧迫による視力障害・失明(最重篤)
- 顔面(額部・鼻部)の褥瘡・神経障害
- 腹部圧迫による換気障害・静脈還流低下
- 腕神経叢への牽引(肩の位置)
✅ 予防策
- 専用の顔面固定具(フェイスピロー等)を使用し、眼球・鼻・口への直接圧迫を避ける
- 腹部は圧迫されないよう体幹支持具(胸腹部スタンドなど)で空間を確保する
- 肩・肘は自然な位置に保つ。上肢の外転・挙上が過度にならないよう注意
- 体位変換後、必ず眼球・顔面・腹部の状態を確認する
③ 砕石位(Lithotomy position)
📌 特徴
婦人科・泌尿器科・下部消化管の手術で使用。両脚を専用の脚台(スターラップ)に乗せ、股関節を屈曲・外転させます。
⚠️ 主なリスク
- 腓骨神経障害(腓骨頭への直接圧迫)— 砕石位で最も頻度が高い神経障害
- コンパートメント症候群(長時間の下肢挙上による筋区画内圧の上昇)
- 腰部・股関節への過度な負荷
- 両脚を同時に下ろさないことで起こる急激な循環変動
✅ 予防策
- 脚台(スターラップ)の位置を調整し、腓骨頭が直接当たらないようにする
- 両脚の挙上・下降は必ず同時・左右対称に行う(循環変動防止)
- 脚台の締め付けが強くないか確認する
- 長時間手術の場合は腓骨頭・仙骨部の皮膚確認を定期的に行う
④ 側臥位(Lateral position)
📌 特徴
胸部・肺・腎臓など体の片側にアプローチする手術で使用。下側(台に接する側)への圧迫と、上肢のポジショニングに最大の注意が必要です。
⚠️ 主なリスク
- 下側の腋窩への直接圧迫による腋窩神経・腕神経叢障害
- 下側の耳介・大転子・膝部の褥瘡
- 下側の肺の換気低下
✅ 予防策
- 腋窩ロール(腋窩ドーナツ)を下側の胸部(腋窩の少し末梢)に挿入し、肩への直接圧を逃がす
- 頭部は頸椎が水平になる高さの枕で支持する
- 下側の脚の膝・大転子部にパッドを挟む
- 上側の腕はアームボードなどで自然な位置に支持する
各体位のリスクを一覧で確認できる比較表です。
| 体位 | 主な注意神経 | 主な褥瘡リスク部位 | 特有のリスク |
|---|---|---|---|
| 仰臥位 | 尺骨神経・腕神経叢 | 後頭部・仙骨・踵 | 上肢外転過度 |
| 腹臥位 | 腕神経叢・視神経 | 前額部・膝蓋部・陰部 | 眼球圧迫・呼吸障害 |
| 砕石位 | 腓骨神経・坐骨神経 | 仙骨・踵 | コンパートメント症候群 |
| 側臥位 | 腋窩神経・腕神経叢 | 耳介・大転子・膝部 | 換気低下(下側肺) |
体位固定時の3つのチェックポイント
体位を固定したら、以下の3点を必ずルーティンとして確認してください。手術開始前だけでなく、術中の定期確認にも使える思考ステップです。
📋 体位固定チェックリスト
✅ チェック①:圧迫部位はどこか?
→ 骨突出部に適切なパッドが当たっているか。パッドの位置がずれていないか直接触れて確認する。
✅ チェック②:神経走行に負担はないか?
→ 関節は自然な位置か。過度な外転・伸展・屈曲がないか確認する。
✅ チェック③:長時間でも安全な固定か?
→ 予定手術時間を念頭に置き、リスク因子が重なる患者では特に入念に確認する。
新人がやりがちなミスと対策
体位固定の失敗の多くは、悪意からではなく「知識や確認習慣の不足」から生じます。よくあるパターンと対策を確認しましょう。
ミス① 形だけ真似して終わる
「先輩と同じ形にした」という確認止まりになっているケース。見た目の形だけでなく、その患者さんのからだに合った圧の分散ができているかが重要です。
対策:体位固定後に骨突出部を指で触れ、「ここに直接圧がかかっていないか」を自分の手で確かめる習慣をつける。
ミス② パッドの位置がずれている
パッドを当てたつもりでも、体位変換の過程でずれてしまい、骨突出部から外れていることがあります。
対策:体位完成後に「パッドが正しい位置に当たっているか」を必ず視診+触診で確認する。
ミス③ 一度固定したら確認しない
「固定したから大丈夫」と思い込み、術中の確認を怠るパターン。特に長時間手術では体のずれや圧の変化が生じます。
対策:外回り看護師は目安として1〜2時間ごとに体位の確認を行い、実施時刻と皮膚状態を記録する。
ミス④ 術後の申し送りで体位情報が抜ける
「体位は仰臥位でした」だけで終わる申し送り。術後の褥瘡観察・体位関連合併症の早期発見には、詳細な情報伝達が不可欠です。
対策:「体位の種類・使用パッドの種類と位置・術中変化・皮膚状態の確認結果」を含めた申し送りを標準化する。
指導者向け:体位固定教育のポイント
NG指導 vs OK指導
❌ NG指導の例
「この形でやって」
「先輩に見せてもらって」
→ 形を真似るだけで「なぜか」が伝わらない。同じミスを繰り返すリスクが高い。
✅ OK指導の例
「砕石位で腓骨神経障害が起きやすい理由、知ってる?腓骨頭ってここだよね。ここに脚台が当たると神経が圧迫されるから、こうやって位置を調整するんだよ」
→ 圧・神経・循環の3軸で理由を説明することで、原理から理解できる。
教育を深める3つの工夫
- 症例の共有:術後に合併症が起きた事例や、予防がうまくいった事例を具体的に共有する(個人情報に配慮しながら)
- 図解の活用:神経の走行図・解剖図を見ながら体位と照らし合わせ、「この体位ではここが危ない」を視覚的に理解させる
- 振り返りの習慣化:「今日の体位固定でどこが難しかった?」「なぜそのパッドをその位置に当てたの?」と問いかけ、自ら考える習慣をつける
現場で使える「体位固定思考フレーム」
体位固定に迷ったとき、以下の3ステップで考えてみましょう。経験の少ない新人でも、この流れで考えることで判断の精度が上がります。
🧠 体位固定思考フレーム
「どこに圧がかかるか」を特定する
骨突出部を頭〜足まで一通りスキャンする。「後頭部・仙骨・踵・肘・かかと…」と声に出すと効果的。
「神経は守られているか」を確認する
関節角度・パッドの位置が神経走行を保護しているか確認する。特にリスクの高い神経(腓骨神経・尺骨神経・腕神経叢)に注目。
「長時間でも安全か」を評価する
予定手術時間・患者のリスク因子を踏まえ、追加対策(パッド追加・術中確認の頻度アップ)が必要かを判断する。
💡 判断に迷ったら「より圧を減らす方向」で考える
少しパッドを追加する、体位をわずかに調整するだけでも、リスクを大きく下げることができます。「念のため」の一手間を惜しまないことが、安全なオペ看護につながります。
まとめ
📝 この記事のまとめ
- 手術体位の固定は「術野確保」だけでなく、患者安全の管理そのもの
- 合併症(神経障害・褥瘡・コンパートメント症候群)のリスクは体位の種類によって異なる
- 神経損傷は「骨突出部+神経走行」を意識した予防で防げる
- 褥瘡予防には術前リスク評価+適切なパッド使用+術中定期確認が必須
- 体位固定の基本は「圧を分散・牽引を避ける・安定を確保」の3原則
- 新人も指導者も「形の暗記より原理の理解」を目指す
- 迷ったら「より圧を減らす方向」で判断する
体位固定はルーティンになりやすい作業ですが、その一つひとつが患者さんの術後QOLに直結しています。「圧を減らす・神経を守る・循環を維持する」という3つの視点を忘れずに、自信を持って安全な体位管理を実践していきましょう。
参考文献
1. 日本褥瘡学会 編:褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版).照林社,2022年.
2. 日本手術看護学会:手術看護基準・手順(改訂版).日本手術看護学会,2020年.
3. 竹内登美子 編:周術期看護 第4版(系統看護学講座 別巻).医学書院,2019年.
4. 佐藤千史・井上智子 編:手術看護テキスト 改訂第3版.南江堂,2019年.
5. 飯田宏樹 監修:術中・術後合併症とその対策.克誠堂出版,2017年.
6. メディカ出版 編集部:オペナーシング 2022年 Vol.37 増刊号「手術体位の理論と実践」.メディカ出版,2022年.https://store.medica.co.jp/list/?Category=books
7. 熊谷英子 他:「術中体位管理に関連した末梢神経障害の実態調査」.日本手術看護学会誌,Vol.17,No.2,2021年.
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