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初めて「弓部大動脈置換」に入ったとき、
何から準備して、どのタイミングで器械を出せばいいのか――
正直、頭が真っ白になりませんでしたか?
人工血管、体外循環、脳灌流、低体温…
聞き慣れない言葉とスピード感のある手技の中で、
何を見て動けばいいのか分からず戸惑う手術室看護師は少なくありません。
この記事では、弓部大動脈置換の器械出し経験を持つ手術室看護師が、
「手順の全体像」「再建順序」「器械出しのポイント」を
一連の流れに沿ってわかりやすく整理しました。
“見て覚えるしかない”と思っていた心外の世界を、
言葉で理解できるようにまとめています。
「先生の動きが読めるようになりたい」
「自信をもって器械を出せるようになりたい」
そんな方にこそ、ぜひ読んでほしい内容です。
【この記事で分かること】
✅ トータルアーチの器械出し看護ポイント
✅ 弓部大動脈置換術の手術手順
★トータルアーチ(弓部大動脈置換術)の手術手順を書籍で学びたい方は以下がおすすめです

この本に全部書いてるよ☺️👆
- まずはイメージ!動画でかんたん解説
- 【トータルアーチ(弓部大動脈置換術)】手術前の準備
- 皮膚切開・胸骨正中切開・心膜切開
- 【アキシラ送血が必要な場合】腋窩動脈にて送血用動脈の作成
- カニュレーション操作準備
- カニュレーション
- 三分枝テーピング(腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈)
- クーリングの開始・循環停止・レトロカテーテルの挿入
- 逆行性脳灌流の開始
- 上行大動脈遮断・切開
- 脳分離カニュレーション(選択的脳灌流確立)
- 人工血管(4分枝)吻合
- 吻合手順(ステップワイズ法)
- 人工血管末梢側の吻合
- 人工血管遮断・末梢側から送血再開
まずはイメージ!動画でかんたん解説
【トータルアーチ(弓部大動脈置換術)】手術前の準備
手術前の準備
術野準備
前胸部〜膝下までを広範囲に消毒し、手術部位周囲の清潔を保ちます。
ドレーピング
滅菌ドレープで覆い、必要部位のみ露出します。
胸骨正中切開予定部位の上からイソジンドレープを貼付します。(※ドレーピング方法は施設によって異なります)
器械・装置類のセッティング
電気メス、サクションチューブ、開胸鋸、体外循環関連機器、デバイス類をセッティング。
特に体外循環使用予定時は、回路のリークチェック・カニューレ径の確認を必ず行います。
皮膚切開・胸骨正中切開・心膜切開
皮膚・筋膜の切開
- 胸骨の正中を確認し、胸骨上窩から胸骨剣状突起の約3横指下まで皮膚切開を行う
- 電気メスを用い、皮下組織・筋膜を順次切開し、胸骨を露出
胸骨正中切開(きょうこつせいちゅうせっかい)
- 胸骨鋸(開胸鋸・スターナムソー)を使用し、上縁から下縁に向かって胸骨切開
- 切開後、ランゲンベック扁平鉤や三爪・四爪鈍鉤で胸骨を展開
- 開胸器を装着し、視野を確保
- 骨髄止血剤(ボーンワックス)や電気メスを使用し、骨髄を止血
胸骨鋸は使用前に作動確認を行う。作動しない場合はバッテリーを交換。
安全対策として、使用直前までバッテリーを外す、または「作動オフ」にしておく。
胸骨切開後はボーンワックスや電気メスで骨髄止血を補助。
胸腺組織の処理
胸腺組織を吸収糸(例:3-0バイクリル)で結紮・切離。
胸腺周囲の脂肪組織も必要に応じて除去し、心膜が十分露出するよう整えます。
心膜切開(しんまくせっかい)
- コッヘル鉗子やサクションを用い、視野を確保しながら心膜を切開。
- 開いた心膜に針糸をかけて開胸器ホルダーで把持し、心臓全体を露出。



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