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直腸がんや大腸腫瘍に対する代表的な術式として、マイルズ手術とハルトマン手術があります。
いずれも消化器外科領域でよく行われる手術ですが、切除範囲や肛門の扱い、ストーマの有無などに大きな違いがあり、手術室看護師として術式を正しく理解することは必須です。本記事では両術式の特徴と違いを整理し、手術室での看護師が押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
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マイルズ手術とは?
マイルズ手術(腹会陰式直腸切断術)は、直腸がんが肛門近くにあり肛門温存が困難な場合に選択される術式です。手術室看護師は切除範囲やストーマ造設の有無を理解し、術中準備や術後管理につなげる必要があります。
マイルズ手術の特徴
- 直腸・肛門管・肛門括約筋をすべて切除
- 肛門を閉鎖し永久ストーマを造設(多くはS状結腸)
- 排便はすべてストーマから行われる
- 会陰部に大きな創が残るため感染リスクが高い
マイルズ手術ではなく、肛門側で吻合する場合は以下のような手順になります。ぜひ参考にしてみてください。
手術室看護師の役割
- 腹部操作と会陰操作が並行して行われるため、清潔操作の徹底が重要
- 会陰操作に必要な体位保持やドレープ展開を正確に行う
ハルトマン手術とは
ハルトマン手術は腸切除後に吻合を行わず、ストーマを造設する術式です。吻合のリスクが高い場合や緊急手術で選択されることが多く、術後に再吻合を検討できる点が特徴です。
ハルトマン手術の特徴
- 腫瘍部を切除後、口側断端をストーマとして腹壁に出す
- 肛門は切除せず残すが、便は通過しない
- 一時的ストーマで再吻合可能な場合がある
- 残肛門から粘液が分泌される
手術室看護師の役割
- 緊急対応が多いため、器械展開や物品準備を迅速に行う
- 出血や全身状態の変動が大きいケースが多いため、麻酔科との連携を密にする
腸切除の清潔・不潔や吻合については以下動画を参考にしてください。
マイルズ手術とハルトマン手術の違い
両者の違いを理解することは、手術室看護師にとって術中介助の精度を高めるうえで重要です。
適応・切除範囲の違い
- マイルズ手術:直腸下部がんで肛門温存困難例に適応し、肛門を含め切除
- ハルトマン手術:吻合リスクが高い場合に適応し、肛門は残す
ストーマと術後機能の違い
- マイルズ手術:永久ストーマ必須
- ハルトマン手術:永久ストマとなることが多いが、症例により一時的ストーマで再吻合可能例もある
手術室看護師が押さえる観察点とケア
術式ごとに観察・介助の重点が変わります。看護師は術後管理につながる情報収集を意識しましょう。
マイルズ手術におけるポイント
- 腹部と会陰部の二方向手術のため、清潔・不潔境界の徹底
- 会陰部ドレーン挿入時の固定や皮膚保護への注意
ハルトマン手術におけるポイント
- 緊急手術例では迅速かつ正確な物品準備
- ストーマ造設後の血流確認に関する観察支援
- 残肛門からの粘液排出があることを理解し、術後説明につながる情報整理
マイルズとハルトマン手術違いのまとめ
マイルズ手術とハルトマン手術は、いずれも直腸がんや大腸疾患に行われる術式ですが、切除範囲・肛門の扱い・ストーマの扱いに明確な違いがあります。
手術室看護師は、術式に応じた器械展開・体位保持・創部管理の視点を理解し、術後ケアへとつなげる役割を担います。両術式の特徴を把握することは、手術中のスムーズな介助だけでなく、患者さんの安心につながる看護提供の基盤となります。
本記事を参考に、それぞれの術式の違いを理解し、臨床に活かしていきましょう。

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