『先天性腸閉鎖症の手術方法が分からない・・・』
『先天性腸閉鎖症の器械出し看護に不安がある・・・』
『新生児の腸閉鎖症について学びたい』
このように思う手術室看護師に向けて
今回は先天性腸閉鎖症の手術手順について解説していきます!
先天性腸閉鎖症とは?
生まれつき十二指腸や空腸、回腸などの腸の一部が途切れている疾患を腸閉鎖症といいます
腸閉鎖症は新生児外科で比較的多い疾患であり、
そのうち十二指腸閉鎖の割合は過半数を占めます
先天性腸閉鎖症は閉鎖の形状によって
☆膜様型閉鎖
☆索状型閉鎖
☆離断型閉鎖
☆結腸閉鎖
の4つに分けられます
手術方法は「膜様型閉鎖」の場合歯膜様物を切除した後、縫合を行います
その他の病型では閉鎖部位によって手術方法が選択され、
必要に応じて腸管吻合を行います
先天性腸閉鎖症患児の入室〜麻酔導入・挿管【新生児麻酔導入・挿管】
新生児の麻酔導入と挿管についてのポイントは以下の記事を参考にしてください
先天性腸閉鎖症 手術準備
体位固定【仰臥位】
手術患児はベッド上で仰臥位とします
術野消毒〜電気メスセッティング
①術野の消毒を行います
②新生児手術用の開腹ドレープをかけます
③電気メスなど、使用するエネルギーデバイスをセッティングします
先天性腸閉鎖症 手術開始〜開腹
①臍の1〜2cm上の上腹部を横切開します
②両側の腹直筋を電気メスで切断します
③腹膜を開き、開腹します
腸閉鎖部位 観察
※十二指腸閉鎖の場合
①十二指腸閉鎖の場合は、右結腸曲を後腹膜から剥離します
②十二指腸下行脚を露出します
③下行脚外側の後腹膜を切離し、十二指腸を授動します
(Kocher コッヘルの授動)
腸管壁が連続していれば膜様閉鎖であり、
通常拡張部の末端に膜様物を確認できます
※空腸閉鎖&回腸閉鎖の場合
空腸閉鎖や回腸閉鎖の場合は拡張腸管を創外へ引き出し、
閉鎖部位の観察を行います
膜様物の切除
膜様物付近組織 切開
①膜様物の付着付近に位置する腸管に支持糸を2本かけます
②その間を通り、膜様物の上下にかかる約1.5cmのあたりを縦切開します
総胆管 開口【※十二指腸閉鎖の場合】
十二指腸閉鎖の場合は総胆管の開口異常がみられます
そのため、十二指腸前壁をやや外側へ切開し、胆嚢を圧迫して
胆汁を流出させます
膜様物 切除
①膜様物を鑷子で把持します
②ファーター乳頭を損傷しないように注意しながら、
膜様物を切除します
膜様閉鎖の有無確認
①肛門側腸管にネラトンカテーテルを挿入します
②空気もしくは生理食塩水を注入し、他部位に膜様閉鎖がないことを確認します
腸管吻合
十二指腸ー十二指腸吻合【※十二指腸の離断型閉鎖の場合】
①閉鎖部から7〜8cm口側の十二指腸前壁に約1.5cmの横切開を加えます
②肛門側十二指腸前壁も同じ長さの縦切開を加えます
③口側横切開下縁中央と肛門側縦切開の上端を全層縫合し、腸管吻合を行います
④口側横切開の両側が肛門側縦切開の中央と一致するように、後壁の全層縫合を行います
⑤前壁の漿膜筋縫合を加えて2層に閉じます
小腸ー小腸端々吻合【※小腸の離断型閉鎖&索状型閉鎖の場合】
①口側腸管の拡張した部分の切除を行います
②肛門側腸管の盲端部を切開します
③腸間膜対側の背面に切開を伸ばし、口径を口側腸管径にそろえます
④針つき絹糸等を使用し、腸管膜側の腸管両断端を縫合します
⑤粘膜が内翻するように後壁から縫合を開始します
⑥後壁縫合後、前壁の縫合を行い、全層縫合を行います
⑦漿膜筋層縫合を行い、腸間膜を修復して吻合します
栄養チューブ 留置
十二指腸閉鎖や高位空腸閉鎖の場合は、腸管閉鎖前に吻合口をこえて栄養チューブを留置します
栄養チューブの留置により、
術後早期からチューブ栄養が可能となります
閉腹~手術終了
止血確認と洗浄を行い、閉腹します
先天性腸閉鎖症 手術手順まとめ
今回は先天性腸閉鎖症の手術手順について解説しました
✅ 先天性腸閉鎖症の器械出し看護に不安がある方
✅ 先天性腸閉鎖症の手術手順を勉強したい方
✅ 新生児の腸閉鎖症について学びたい
このように思う手術室看護師や小児科看護師の方はぜひ記事を参考にしてください!
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