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『小児手術の外回りをすることになったが、子どもへの麻酔看護が不安・・・』
『大人と子どもへの麻酔の違いが分からない・・・』
『小児麻酔のポイントを知りたい!』
このように思う手術室看護師や外回り看護師に向けて
今回は『小児麻酔』を中心に麻酔について解説していきます!
★小児麻酔について詳しく学びたい方はこちらがおすすめ
★小児看護の基本を学びたい方にはこちらがおすすめ
「麻酔」とはなにか?
麻酔とは、薬物などを使用して意図的に「痛み」や「感覚」を無くすこと。
またそれだけではなく、「筋肉の緊張」を抑える目的でも使用されます。
身体の筋肉が固い状態では、手術操作にも影響がでるため
麻酔を「筋弛緩剤」として使用し
身体の筋肉を緩めた状態で手術を進めていきます
詳しい麻酔の作用や麻酔の種類については以下の記事を参考にしてください!
そもそも麻酔をかけずに手術をするとどうなるのか・・・?
もしも、麻酔をせずに手術したとすると・・・
まず、メスでからだの皮膚を切ったときに「強い痛み」を感じます
この「強い痛み」は様々な反応を引き起こしますが、
代表的なものとして「血圧の上昇」があります
血圧が急激に上がると各臓器に負担をかけ、手術中の出血を増やすことにつながります
そして、メスで皮膚を切っていき、そのあとで筋肉に到達しますが、その時に筋肉が硬いと手術の操作が進みません・・・
これらの問題を解決するために「麻酔」があります
麻酔のしくみ(麻酔の役割)
麻酔には大きく分けて3つの役割(①鎮静、②鎮痛、③筋弛緩)があります
麻酔科医はこれらの3つの役割を、麻酔薬やその他の麻酔方法(硬膜外麻酔などの局所麻酔法)を組み合わせることにで調整していきます(バランス麻酔)
子どもへの麻酔導入方法
大人と子どもの麻酔導入の違い
大人への全身麻酔 | 子どもへの全身麻酔 | |
麻 酔 の 流 れ | 麻酔薬を投与するための点滴注射 ⇩ 点滴から静脈麻酔薬を投与 ⇩ 鎮静をかける (深く眠っている状態、意識は無くなる) ⇩ 気管挿管 (喉に管を入れて人工呼吸) ⇩ 手術 ⇩ 麻酔から覚ます 喉の管を抜く | マスクから吸入麻酔を吸ってもらう ⇩ 鎮静をかける (深く眠っている状態、意識は無くなる) ⇩ 気管挿管 (喉に管を入れて人工呼吸) ⇩ 点滴注射 (必要な薬剤投与のため) ⇩ 手術 ⇩ 麻酔から覚ます 喉の管を抜く |
局所麻酔を行わない理由とは?
子どもの年齢や理解度にもよりますが、『区域麻酔を行うことへの同意が得られないが可能性』や、『手術の恐怖への心理的ダメージのリスク』などから、全身麻酔を第一選択とする場合が多くあります。
吸入麻酔で導入するのはなぜ?
大人への全身麻酔の場合は点滴から静脈麻酔薬を投与しますが、子どもの場合は香りのする吸入麻酔薬をマスクから吸入することで麻酔をかけることが多いです。
これは、子どもの場合は点滴の注射そのものに恐怖を感じる場合が多いためです。
気管挿管はなぜ必要?
麻酔薬の影響により自力での呼吸ができなくなってしまうため、手術中に呼吸の補助をする必要があります。
最初はマスクを通して口から酸素を送り込みますが、手術中に確実に安定して呼吸を補助するために、口から喉の奥の声帯を通して気管の中にチューブを入れることで、人工呼吸へと切り替えていきます。
これを気管挿管といいます。
麻酔導入後でも点滴ルートを確保する理由とは?
子どもへの麻酔の場合は、吸入麻酔によって麻酔導入されますが
点滴ルートが1本もないと、手術中に必要となる薬剤を投与するときに、投与できなくなってしまいます
たとえば、『急な血圧低下』に対して
昇圧剤を投与したくても
点滴ルートがなければ投与できません
そのため、吸入麻酔で麻酔導入を行った後で、点滴注射を行います
麻酔覚醒方法
手術終了後、麻酔薬の投与を止めます
また、使用した麻酔薬によっては「リバース薬」(麻酔薬を拮抗させるための薬)を使って、麻酔から覚ましていきます
麻酔から覚める時間は個人差が大きいですが、麻酔薬(鎮静薬)の投与を止めてから、概ね2分~20分程度で目が覚めます
名前の呼びかけに対して目を開けたり、指示により手を握ったり離したりできるようになってから気管チューブを抜き、体の状態が安定していることを確認してから、入院病棟へ戻ります
麻酔から覚ます順番は、大人も子どもも同じように覚ましていきます
また体重や年齢、身体機能等を考慮して、麻酔薬の分量や麻酔薬の種類を決めて、使い分けていきます
麻酔の副作用
吐き気・嘔吐
手術の後、気分不快や嘔吐を起こすことがあります
頭痛
全身麻酔の後に『頭が重い感じ』を訴える人もいますが徐々に回復していきます
のどの痛み、声がかすれる
ほとんどの全身麻酔では、眠った後で気管に管を入れ、人工呼吸をします
そのため手術の後で一時的に、のどの痛みを感じたり声がかすれたりすることがありますが、数日のうちにおさまります。
歯の損傷、唇のきず・はれ
人工呼吸のための管を入れるときに、器具を使って口を大きく開けます。
歯が弱っていたりするとこの時にその歯が欠けたり折れたりすることがあります。
またその際に唇が少し傷ついたり、長時間手術などでチューブや固定のテープの刺激で唇が腫れてしまう場合もあります。
寒気・発熱
麻酔の影響で体温の調節能力が一時的に鈍くなるため、寒気やふるえ、発熱が起こることがあります。
のどの渇き
手術の前に、唾液の分泌を少なくするために注射をした場合、のどの渇く感じがします。
手術を受ける日が近づく子どもと、どう接するか?
手術を受ける患児には本当のことを話す方が良いとされています。
「まだ小さい子ども、手術や麻酔などの話をするのはかわいそう」、「本当の話をしてしまうことによって手術を拒否するのではないか?」など、様々なことを考え、悩む看護師も多いかと思います。
しかし、何の説明もなく急に手術室に連れてこられてしまった患児や、嘘の話をされたまま手術を受けることになってしまった患児は、より強い恐怖や不安を感じたり、手術を受けた経験がトラウマとなってしまうこともあります。
患児の年齢や理解度に応じて、簡単な言葉を使いながら、できるだけ本当のことを話してあげるのが良いでしょう。
小児麻酔看護まとめ
今回は小児麻酔について解説しました
✅小児手術の外回りをすることになったが、子どもへの麻酔看護が不安・・・
✅大人と子どもへの麻酔の違いを知りたい
✅小児麻酔のポイントを知りたい
このように思う手術室看護師や外回り看護師はぜひ参考にしてください。
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