『下肢遠位バイパス術の手術流れが分からない』
『バイパス術の器械出し看護に不安がある・・・』
このように思う手術室看護師の方も多いのではないでしょうか?
今回は下肢遠位バイパス術についての手術看護手順について解説していきます!
下肢遠位バイパス術 患者入室から麻酔導入・挿管
患者入室時の確認事項や、麻酔導入・挿管手順については以下を確認してください。
手術体位固定【仰臥位】
バイパス術は仰臥位で行います
体位固定のポイントついては以下の記事を参考にしてください
バイパス術 手術準備
術野消毒〜ドレーピング
①手術側の下肢全体(下肢表面と裏面)を消毒します
②消毒後に下肢にストッキネットを被せます
③下肢遠位バイパス用のドレープをかけます
電気メス・バイポーラ・サクションの接続
手術時に使用する電気メスやバイポーラ、サクションを接続します
下肢遠位バイパス術開始【バイパス用血管(大伏在静脈)の採取】
下肢皮膚切開〜大伏在静脈確保
①バイパス用血管の確保のために、下肢皮膚の切開を行います
②バイパス用血管(大伏在静脈)のを露出します
③大伏在静脈の血管テーピングを行います
④大伏在静脈の側枝は結紮、切離します
【reverse法の場合】大伏在静脈の切離
【reverse法とは?】
静脈には「静脈弁」があるため、静脈を体外へ取り出し、血管を反転させて吻合する方法を「reverse法」といいます。
静脈の末梢側をバイパスする血管の中枢側へ吻合し、中枢側はバイパスする血管の末梢側へ吻合します。
①大伏在静脈切離前に、ピオクタニンなどの色素でマーキングを行います
【大伏在静脈のマーキングはなぜ行う?】
⇨血管バイパス時に、バイパス血管である大伏在静脈がねじれてしまうことを防ぐために行います
②切離予定の大伏在静脈中枢側をブルドッグ鉗子もしくはホプキンス鉗子で把持します
③大伏在静脈末梢側を2-0ブレードシルク、もしくは3-0ブレードシルクで結紮し、切離します
④大伏在静脈血管内を末梢側からヘパリン入り生理食塩水で満たします
⑤大伏在静脈血管内を加圧充填した際に、血管内からの漏れの有無を確認し、漏れがある部分を結紮もしくはウエック等で血管クリップを行います
⑥大伏在静脈中枢側を2-0ブレードシルク、もしくは3-0ブレードシルクで結紮し、切離します
⑦大伏在静脈を採取します
【in situ法(Non-reverse法)の場合】大伏在静脈の切離
【in situ法(Non-reverse法)とは?】
「静脈弁カッター」を使用することで、静脈を反転させることなく吻合する方法です。
大伏在静脈を取り出す必要がなく、皮膚切開が小さく済みます。
そのため、創治癒不良の患者に対して適しています。
①エコーで大伏在静脈側枝を確認しながら、側枝の箇所で皮膚切開を追加します
②大伏在静脈側枝をモスキートペアンで把持し、結紮と切離します
③大伏在静脈を大腿静脈流入部で切離し、断端を大腿動脈に吻合します
④末梢側から静脈弁カッターを挿入し弁カットします
下肢バイパス 吻合準備【顕微鏡(マイクロ)セッティング】
術野へ顕微鏡(マイクロ)を挿入し、セッティングします
【reverse法の場合】大伏在静脈-膝窩動脈 吻合
膝窩動脈を遮断し、大伏在静脈の末梢側を膝窩動脈に吻合します
吻合時は5-0・6-0・7-0プローリン・サージプロ・ネスピレンなどの針糸を使用します
吻合【足背動脈(後脛骨動脈)-大伏在静脈 吻合】
①動脈を遮断します
②足背動脈(後脛骨動脈)で末梢側吻合を行います
③吻合後、一度遮断解除し漏れの有無を確認します
バイパス血管 血流量測定
フローメーターを使用し、バイパス血管の血流量を測定します
必要に応じて血管造影を行いながら、血管血流量や血流状態を評価していきます。
下肢遠位バイパス術 終了
止血・洗浄
吻合部の止血と、術野の洗浄を行います
ドレーン挿入・閉創~下肢遠位バイパス手術終了
ドレーンの挿入を行い、閉創します
麻酔覚醒・抜管~退室
手術終了後、麻酔覚醒と抜管を行い、バイタルサインに変動が無ければ退室となります
下肢遠位バイパス術 手術看護手順まとめ
今回は下肢遠位バイパス術の手術手順について解説しました。
✅下肢遠位バイパス術の手術流れについて知りたい方
✅バイパス術の器械出し看護に不安がある方
ぜひ記事を参考にしてください!
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