そもそも人工肛門とは何か
人工肛門とは、腸の一部で作成された肛門の代わりとなる排泄口のことです
腸の一部をお腹の壁(腹壁)と皮膚を通して体の外へ出し、自分のお腹に固定します
人工肛門は「ストマ」とも呼ばれます
人工肛門の種類
人工肛門はつくられる位置と排泄口の数で種類が異なります
大腸につくられるもの(コロストミー)と、小腸につくられるもの(イレオストミー)、
また排泄口が一つのもの(単孔式)と、排泄口が2つのもの(双孔式)のものがあります
- コロストミー
大腸の一部である「結腸」でつくられるストマです。
上行結腸ではお腹の左側、横行結腸では上側、下行結腸やS状結腸では左側、と大腸の切除する部位によってストマのつくられる場所も変わります。
排泄される便も部位ごとに異なり、上行結腸では水っぽい便ですがS状結腸に近づくにつれ便は硬くなっていきます。
- イレオストミー
小腸の一部である「回腸」でつくられるストマです。
通常はお腹の右側に造られ、排泄される便は水っぽく、下痢のような便です。
- 単孔式ストマ
排泄口が1つのストマです
肛門がん手術などにより、肛門を完全に閉鎖した場合などは、手術時に切除した直腸の断端をそのまま腹部側へ持ち上げストマとすることがあります。
- 双孔式ストマ
便が排泄される排泄口と粘液が排泄される排泄口の2つがあります。造られる場所により縦や横に並んでいます。
人工肛門はどのように作られる?
単孔式ストマを作成する場合
切除した腸の断端をお腹の壁(腹壁)まで持ち上げ、体の外へ腸を出します
腸の内側を外側へ広げるようにしながら、お腹の皮膚に固定していきます
双孔式ストマを作成する場合
腸を切断せずにそのままお腹の壁(腹壁)まで持ち上げ、体の外へ腸を出します
体の外へ出た腸の一部に電気メス等で切り込みを入れ、腸の内側を外側へ広げるようにしながら
お腹の皮膚に固定していきます
ストマ自体は1つですが、ストマの中をよく見ると穴が2つ(口側と肛門側)できている
状態になります
人工肛門は一度作ったらずっと人工肛門なのか
人工肛門には永久の人工肛門(永久ストマ)と一時的な人工肛門(一時的なストマ)があります
永久ストマの場合は一度ストマを作成したら、基本的には排泄はストマでの管理となります
しかし一時的なストマの場合、腸の状態や病気にもよりますが、
基本的にはストマ作成から数か月~数年以内にストマは閉鎖されます
ストマを閉鎖する場合は再び「ストマを閉鎖するための手術」が必要となりますが、
ストマ閉鎖の手術後はこれまでどおり、排泄は自身の肛門からの排泄となります
永久ストマと一時的なストマの違い
- 永久ストマとなる場合
- 大腸がんの中でも「直腸がん」や「肛門がん」など、がんの発生部位が肛門側に近いほど、手術時にがんを含む腸を切除した後に吻合(体の中に残った腸と腸をつなぎ合わせること)が難しくなります。その場合は切除した腸の断端をそのまま腹壁まで持ち上げ、単孔式の永久ストマとなります
- 肛門がんの場合、肛門のがんを含む組織すべてを摘出した後、肛門を閉鎖(肛門を針糸で縫い合わせる)ことがあり、その場合は永久ストマとなります
- 自然肛門の機能不全により排便管理が困難な場合も適応となります
- 一時的なストマとなる場合
- 大腸がんの中でも「上行結腸がん」や「横行結腸がん」など、がんの発生部位が小腸側に近いほど、手術時にがんを含む腸を切除した後に吻合(体の中に残った腸と腸をつなぎ合わせること)が可能となります。その場合は、腸と腸を体の中でつなぎ合わせるために、便の出口となるストマは必要ありません。ただ、手術でつなぎ合わせたばかりの腸に便が通過することは吻合部分の負担を大きくし、縫合不全となる可能性もあるため、切除した腸の手前側でストマをつくり、便が通過することを防ぎます
- 腸閉塞などにより腸内の通過障害がある場合に、腸管内の減圧目的で通過障害をきたしている腸よりも口側(手前側)でストマをつくる場合があります
人工肛門の管理って難しい?
排泄物はパウチの中に溜まります。
普段トイレに行くように、ストマでもパウチに溜まる排泄物を処理する必要があります
パウチの先端は穴が開いていますが、普段は栓やクリップで閉じられています
排泄物を処理するときにはパウチの先端の穴を開放し、パウチに溜まった分をトイレに流します
就寝前や外出前のタイミングでパウチの中身を空にすることがおすすめです
公共施設の中にはオストメイト専用トイレがあり、高さのある便器が置かれていることや、
個室内に水道が設置されているなど、パウチ内の排泄物を処理しやすくなっています
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まとめ
人工肛門には一時的なものと、永久のものがあり、また作られる場所によっても種類が違います
はじめて人工肛門を作成される方は管理の方法など、不安を抱えている方もいらっしゃると思いますが
施設や病院で看護師や介護士によって管理方法についての説明があるので安心してください
また在宅での看護や介護などの選択肢もあるため、ぜひ検討してみてください
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