『指を切断してしまった場合、どのような手順で指の再接着が行われるの?』
『指再接着術の手術看護(外回り看護・器械出し看護)でポイントとなる部分を知りたい』
そのように思う手術室看護師のために、
今回は指再接着術の手術手順と看護ポイントについて解説しています!
指接着術を映像から学びたい方は
以外を参考にしてください!
指再接着術とはどのような手術?
指再接着術は、事故などで指を切断してしまった場合に
切断した指を接着する手術です
指を切断してから、指を再接着するまでには時間制限があり、
ゴールデンタイムは6時間以内とされています
6時間をすぎると、切断した指の組織が死滅し、腱が縮みきってしまいます
また切断部位の感染リスクも高まります
指再接着術の患者入室〜麻酔導入・挿管
①手術当日、患者は病棟看護師とともに手術室へ向かいます
②手術室入室前に患者の本人確認を行います
手術前の患者さんの準備や入室時に必要な確認事項については以外の記事にまとめています
③血圧計や、心電図モニターを装着し、麻酔導入に移ります
④麻酔導入後、挿管(そうかん)を行います
麻酔から挿管までの手順は以外の記事にまとめています
洗浄&デブリードマン
切断指と近位切断部の洗浄とデブリードマンは手術開始前に「準不潔操作」として行います
【デブリードマンとは?】
デブリードマンとは、壊死組織や感染している組織に対して
組織部分を浄化する目的として行う治療行為のことです
具体的には、鋭匙(えいひ)や、剪刀などの器械を使用し、
壊死や感染がみられる組織を除去します
切断指の洗浄&デブリードマン
①生理食塩水で切断指の洗浄を行います
②切断指の皮膚・皮下脂肪・骨・神経・血管の状態を観察します
③鉗子や鑷子を使用し、異物を除去します
④汚染組織のデブリードマンを行います
⑤再度、生理食塩水で切断指を洗浄します
近位切断部の洗浄&デブリードマン
①近位切断部の皮膚・皮下脂肪・骨・神経・血管の状態を観察します
②鉗子やセッシを使用し、異物を除去します
③汚染部のデブリードマンを行います
④再度、切断指を生理食塩水で洗浄します
消毒・顕微鏡&バイポーラのセッティング
①術野となる手指〜上腕を消毒します
②手術用のドレープをかけます
③バイポーラのセッティングを行います
④顕微鏡のセッティングを行います
タイムアウト&手術開始
タイムアウトを行い、手術開始となります
切断指の動脈&指神経の剥離
①顕微鏡を使用し、切断指の皮膚・皮下脂肪・骨・神経・血管の状態を観察します
②指動脈、指神経の剥離を行います
近位切断部の観察と剥離
①顕微鏡を使用し、近位切断部の皮膚・皮下脂肪・骨・神経・血管の状態を観察します
②指神経、指動脈の剥離を行います
③屈筋腱は関節を屈曲させ、近位から絞り出すようにして切断部に引き出します
④指動脈からの出血を確認します
出血しない場合は、血管のミルキングを行うか、外膜切除、もしくは出血する部位までの血管を切除します
タニケットの装着と作動
①タニケットを作動させます
②指動脈の遮断時間を計測します
【タニケットの使用目的&観察ポイント】
タニケットは出血を防ぐ目的で使用します
駆血時間が長くなりすぎたり、駆血圧が高くなりすぎると、神経麻痺の原因となるため、
上肢の許容圧は約300mmHg、
下肢の許容圧は約600mmHgで、
1回の駆血時間は15分~2時間が限度となっています
駆血帯の解除時は、一過性に動脈圧の低下をきたすため、バイタルサインの変動に注意する必要があります
また、阻血解除から組織への血流が回復するまでには5~10分程度要します
切断指と近位切断部指の骨接合
①一度顕微鏡を外し、直視下で手術を行います
②骨膜剥離子で切断指側の骨と切断部側の骨を剥離します
③骨把持鉗子を使用し、接合部を整復します
④ワイヤーを挿入し、切断指側の骨と近位切断部側の骨を固定します
指へワイヤーを挿入した場合は「体内挿入物」となるため、
手術看護記録へ記載し、病棟看護師へのワイヤー名称やワイヤー本数について正確に申し送ります
腱(伸筋腱・深指屈筋腱・浅指屈筋腱)の縫合
腱を縫合する際は、
腱鉗子やアリス鉗子を使用しながら、腱の断端を把持して
ナイロン糸で縫合します
①伸筋腱を縫合します
②深指屈筋腱を縫合します
③浅指屈筋腱を縫合します
動脈血管の吻合
①再び顕微鏡下での手術に戻ります
②軟部組織を剥離し、指動脈を十分に露出させます
③マイクロクランプ鉗子や、マイクロクリップを使用し、指動脈を遮断します
④マイクロメスやマイクロ剪刀を使用し、動脈断端のトリミングを行います
⑤血管内腔を吻合します
吻合時は、マイクロ持針器や、デュモン鑷子などのマイクロ鑷子を使用し
9-0や10-0の針糸で吻合します
顕微鏡下で使用する針糸は非常に小さいため、
針糸の受け渡し時には紛失しないように注意します
動脈血管の遮断解除・吻合確認
①指動脈の遮断を中枢側から順に解除します
②吻合部からの血液流出がみられる場合は、追加で縫合します
神経の縫合
①指神経を保持し、No.11メスでトリミングを行います
②神経外膜を縫合します
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静脈血管の吻合
①顕微鏡下で、末梢からの静脈性出血を確認します
②指静脈を剥離します
③マイクロクランプ鉗子やマイクロクリップを使用し、指静脈を遮断します
④マイクロメスやマイクロ剪刀を使用し、静脈の断端をトリミングします
⑤静脈の血管内腔を吻合します
⑥マイクロクランプ鉗子、もしくはマイクロクリップを末梢側から外し、吻合の確認を行います
⑦吻合部からの血液流出がみられる場合は、追加で縫合します
皮膚の縫合・閉創
①血管・神経・腱の吻合が完了したことを確認します
②タニケットの作動を終了させます
③顕微鏡を外し、直視下での手術へ戻ります
④ナイロン糸を使用し、皮膚を縫合します
閉創前にガーゼ・器械カウントを行い、体内遺残が無いことを確認します
切断指の血行確認
①皮膚からの止血確認を行います
②切断指の皮膚色・温度を確認します
指再接着術の手術終了~麻酔覚醒・抜管、患者退室
①ガーゼの貼付を行い、包帯を巻きます
②手術終了後、麻酔覚醒・抜管を行い、患者帰室となります
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指再接着術のまとめ
今回は
✅指を切断してしまった場合、どのような手順で指の再接着が行われるのか?
✅指再接着術の手術看護(外回り看護・器械出し看護)でポイントとなる部分を知りたい
このように思う手術室看護師を対象に
指再接着術の手術手順と看護ポイントについて解説しました
ぜひ参考にしてください
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