バイクリルとPDSの使い分けは?教科書では教えてくれない吸収性縫合糸を手術室看護師向けに解説!

オペ看勉強まとめ
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「バイクリルとPDSって、結局どう違うの?」

オペ中に何度も目にしているはずなのに、いざ説明しようとするとあいまい……
そんな経験はありませんか?

縫合糸は“ただの糸”ではありません。
吸収までの期間、強度の持続性、構造(編み糸かモノフィラメントか)によって、 適した使用部位は大きく異なります。

代表的な吸収性縫合糸

バイクリル(Vicryl)
PDS II

見た目は似ていても、役割はまったく別物です。

✔ 筋膜を閉じるのか?皮下を寄せるのか?

✔ 長期間の強度が必要なのか?

✔ 早期吸収でよい部位なのか?

その違いを理解できると、
「なぜ今この糸を使うのか」が見えるようになります。

この記事では、次のポイントをわかりやすく解説します。
  • 吸収性縫合糸の基本
  • 縫合糸の種類と分類
  • バイクリルとPDSの大きな違い
  • それぞれの特徴と主な用途
  • 手術部位ごとの具体的な使い分けポイント

縫合糸の理解は、オペ看としての“解像度”を一段引き上げてくれます。

なんとなく出していた糸を、
「意図を持って準備できる糸」へ。

一緒に基礎から整理していきましょう。

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バイクリルとPDSとは?吸収性縫合糸の基本を理解しよう

手術では、体内に残る糸をできるだけ少なくするために 「吸収性縫合糸」 が多く使用されます。

吸収性縫合糸は体内で時間をかけて分解され、最終的には吸収されるため 抜糸が不要 という大きな利点があります。

吸収性縫合糸とは?

体内で分解・吸収される縫合糸

✔ 抜糸が不要
✔ 体内異物を最小限にできる
✔ 組織治癒に合わせて強度が低下する
手術では「必要な期間だけ強度を保ち、その後は吸収される」ことが重要になります。

代表的な吸収性縫合糸

バイクリル(Vicryl)

医療現場で頻用される
編み糸タイプの合成吸収性縫合糸

PDS(PDS II)

強度保持期間が長い
モノフィラメントタイプの合成吸収性縫合糸

バイクリルとPDSの違い

比較項目 バイクリル PDS
構造 編み糸(Braided) モノフィラメント
吸収期間 約2ヶ月 約6ヶ月
張力維持 中期的 長期維持
操作性 柔らかく扱いやすい やや硬いが滑りが良い

どちらも合成吸収性縫合糸ですが、

構造・吸収期間・張力維持に明確な違いがあります。

つまり、「同じ吸収糸」でも用途はまったく異なるのです。

縫合糸にはどんな種類があるの?

バイクリルとPDSの大きな違いは?

バイクリルは柔らかく結びやすい編み糸で、組織反応がやや強い。

一方PDSは、滑らかなモノフィラメントで組織反応が少なく、感染リスクを抑えたい部位に適する。

バイクリルとPDSの分類と主な用途

バイクリルとPDS IIの分類の違い

バイクリル(Vicryl)

編み糸(マルチフィラメント)吸収糸

複数の細い糸を編み込んだ構造

PDS II

モノフィラメント吸収糸

一本構造で表面が滑らか

主な用途の比較

項目 バイクリル PDS II
主な用途 皮下縫合
消化管吻合部の埋没
組織が裂けやすい部位
真皮縫合
消化管吻合(特に繊細な部位)
漿膜筋層縫合など

構造の違いがもたらす特徴

バイクリル(編み糸)

✔ 柔らかく扱いやすい
✔ 結紮しやすい
✔ 組織把持性が高い

PDS II(一本糸)

✔ 表面が滑らか
✔ 組織反応が少ない
✔ 感染リスクが低い

まとめ

バイクリルは 柔らかく扱いやすい「編み糸」

PDS IIは 表面が滑らかで組織反応が少ない「一本糸(モノフィラメント)」

同じ吸収糸でも、
構造の違いが用途を決めるという点が最大のポイントです。

バイクリルとPDSの特徴

バイクリル(編み糸吸収糸)の特徴

  • PDS IIよりも炎症反応がやや強い傾向
  • 縫合糸膿瘍や糸の露出はPDS IIよりも多い傾向
ポイント
編み糸構造のため組織把持性や操作性は高い一方で、 組織反応はモノフィラメントよりやや強いと報告されています。

PDS II(モノフィラメント吸収糸)の特徴

  • 炎症反応はバイクリルより弱い傾向
  • 縫合糸膿瘍や糸の露出はバイクリルより少ない
  • 消化管吻合では4-0 PDSなどの合成モノフィラメント吸収糸が使用されることが多い
  • 十二指腸乳頭形成術など、胆管・主膵管開口部と十二指腸粘膜の吻合といった繊細な部位には4-0 PDS IIが推奨

臨床的な違いの比較

比較項目 バイクリル PDS II
炎症反応 やや強い傾向 比較的弱い
縫合糸膿瘍・露出 やや多い傾向 少ない傾向
繊細部位への適性 状況により使用 推奨されることが多い

まとめ

バイクリルは 操作性に優れる一方で、炎症反応はやや強め。

PDS IIは 組織反応が少なく、特に繊細な吻合部位で選択されることが多い縫合糸です。

参考文献
・日本医科大学形成外科 瘢痕・ケロイド治療研究会. 第9回瘢痕・ケロイド治療研究会 参加者へのお知らせとお願い. 2023.
・中里徹矢. 縫合・縫合止血・吻合のポイント. 臨床外科. 2020;75(11):45-55.

手術部位ごとの使い分けポイント

縫合糸を選ぶときは、「組織反応の程度」「必要な抗張力」「組織の状態」を考慮します。
現場では次のように使い分けられることが多いです。

バイクリル(編み糸吸収糸)

結紮操作がしやすく、柔軟性があるため、組織が脆弱・浮腫状・裂けやすいときに適しています。

具体例:

  • 腸管損傷時の漿膜筋層縫合では、通常モノフィラメントが使われますが、組織が浮腫状で糸が食い込みやすい場合は、ブレイド(編み糸)を選択します。
  • クローン病などで腸壁が硬く裂けやすい場合も、柔軟なマルチフィラメント吸収糸が用いられることがあります。

PDS II(モノフィラメント吸収糸)

組織反応を抑えたい場合や、整容性を重視する真皮縫合に適しています。また感染リスクを下げたい部位にも使用されます。

具体例:

  • 胃全摘後の空腸断端の埋没には4-0バイクリルを使うことがありますが、吻合部では4-0 PDSが選ばれることがあります。
  • 胆道再建(例:十二指腸乳頭形成術)では、胆石や膵石のリスクを避けるため、吸収性モノフィラメント(4-0 PDS IIなど)が使用されます。

縫合糸の種類とバイクリル・PDSの使い分けのまとめ

この記事では縫合糸の種類とバイクリル・PDSの使い分けについて看護師向けに解説しました。

実際の臨床現場では、それぞれの縫合糸の特性を考慮しつつ、手術内容・縫合部位・患者の状態・医師の好みなどを総合的に判断して縫合糸が選択されます。

ぜひ参考にしてください。

※また実際に使用する縫合糸については施設でのルールや医師の指示に従って頂くようお願い致します。

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