早期社会復帰や、傷が少ないなどの理由から最近注目を集める『MICS手術』
今回はMICS手術と、その適応について解説しています
MICS手術についての本はまだまだ少ないですが、
以下の本ではMICS手術について学ぶことができます!
リンク
MICS(ミックス)手術とは?
MICS手術に明確な定義はないですが、「胸骨正中切開で開胸しない手術」、「人工心肺を使用しない手術」などをMICS手術としています
MICS手術では右小開胸での弁膜症手術や、大動脈弁手術を行うことが多くなってきています
MICSで行われる手術例
MICSでは以下の手術を行うことができます
- 僧帽弁形成術
- 三尖弁形成術
- 大動脈弁置換術
MICSでの僧帽弁形成術
僧帽弁形成術はもともと右開胸にて行われることが多かったため、MICSにて右開胸アプローチで行うことは自然な流れとなりました
以下はMICSでの僧帽弁形成術の流れとなります
- 分離肺換気を行い、右肺を虚脱させる
- 右開胸を行う
- 大腿動静脈と右内頸静脈からカニュレーションを行い人工心肺を確立する
- 心膜切開を行う
- 上行大動脈に心筋保護注入針を留置
- 上大動脈遮断し、順行性心筋保護液投与で心停止させる
- 右側左房切開して僧帽弁を展開、心内操作を行う
- 心内操作終了後、大動脈遮断解除し、心筋保護液注入針の抜去
- 心嚢内と胸腔内へドレーン挿入
- 閉胸
MICSによる三尖弁形成術
- 分離肺換気を行い、右肺を虚脱させる
- 右開胸を行う
- 大腿動静脈と右内頸静脈からカニュレーションを行い人工心肺を確立する
- 心膜切開を行う
- 上行大動脈に心筋保護注入針を留置上大動脈遮断し、順行性心筋保護液投与で心停止させる
- 右房切開を行う
- 三尖弁の展開を行う
- 三尖弁輪に人工弁輪縫着用の糸をかけていく
- 心内操作終了後、大動脈遮断解除し、心筋保護液注入針の抜去
- 心嚢内と胸腔内へドレーン挿入
- 閉胸
大動脈弁置換
- 分離肺換気を行い、右肺を虚脱させる
- 右開胸を行う
- 大腿動静脈と右内頸静脈からカニュレーションを行い人工心肺を確立する
- 心膜切開を行う
- 上行大動脈に心筋保護注入針を留置上大動脈遮断し、順行性心筋保護液投与で心停止させる
- 大動脈切開を行う
- 大動脈弁切開を行う
- 大動脈弁置換
- 心内操作終了後、大動脈遮断解除し、心筋保護液注入針の抜去
- 心嚢内と胸腔内へドレーン挿入
- 閉胸
リンク
MICS手術のメリット
傷口が小さく、目立ちにくい
胸骨正中切開の場合は15cmほど大きく切開するのに対し、MICSでは約8cm程度の小さな傷で手術を行うことができます
手術からの回復が早い
MICSの場合は、胸骨正中切開で行う場合よりも1週間ほど早く退院できることがほとんどです
縦隔炎が起こりにくい
胸骨正中切開にて心臓手術を行う場合、胸骨の切開部から細菌などが侵入することによる縦隔炎が手術後に起こりやすくなります
しかし、MICSでは胸骨を切る必要がないため、縦隔炎が起きるリスクが少ないです
MICS手術のデメリット
適応手術が限られる
MICSにはメリットも多いですが、まだまだ適応となる手術数は少ないのが現状です
手術後、脇の下辺りに強い痛みを感じることがある
胸骨正中切開は神経が少ない部分を切開するため、傷の痛みは強くありません
しかし、MICSでは肋間神経のある肋骨の間を切開するため、手術後、脇の下あたりに痛みを感じる方がいます
そのため手術中に「肋間神経ブロック」という麻酔を行い、手術後の肋間神経痛を緩和することがあります
まとめ
今回はMICS手術について解説しました🌟
ぜひ参考にしていただけると幸いです!
リンク
コメント