手術する人にかける言葉は?患者さんの不安を和らげる「声かけ」をシーン別に紹介

オペ看勉強まとめ
この記事は約7分で読めます。

※この記事はPRを含みます

「手術する患者さんに、どんな言葉をかけたらいいのだろう?」

これは、手術室で働く看護師なら誰もが一度は悩むテーマです。手術を控えた患者さんは、不安・恐怖・緊張でいっぱい。そんなとき、私たち看護師のたった一言が、その心を軽くしてあげることができるのです。

この記事では、現役手術室看護師のオペ看めろんが、約10年間の現場経験から見つけた“本当に患者さんの心に届く声かけ”を、具体的なシーンごとにご紹介します。

患者さんの不安に寄り添い、安心を届けられる言葉を一緒に探してみましょう。

手術に向かう患者さんが思うことは?

手術室へ向かう直前、患者さんの顔は強張り、言葉数も少なくなります。その沈黙の裏には、様々な思いが渦巻いています。

・このまま目が覚めなかったらどうしよう…

・手術が失敗するかもしれない…

・痛いのが怖い…

・家族に心配をかけてしまう…

患者さんにとって手術は、人生でも数少ない大きな出来事。

その緊張と不安は、私たちが想像する以上のものかもしれません。

だからこそ、看護師が「寄り添う気持ち」で言葉をかけることがとても大切です。何気ない一言でも、そのタイミングや伝え方によって、患者さんの心を支える力になるのです。

私はこれまで、数百人の患者さんと手術室で向き合ってきましたが、「あのときの看護師さんの言葉に救われました」と後から感謝の言葉をいただくことも少なくありません。

患者さんが安心して手術を受けられるように——。

それを支える“言葉の力”を一緒に見直してみましょう。

⦅前日に⦆手術する人にかける言葉

手術前日に入院するケースも多く、患者さんの不安が強くなる時期です。

手術の流れや注意点を丁寧に説明し、疑問や不安に耳を傾ける姿勢が大切です。「何か気になることはありませんか?」と声をかけ、安心して眠れるよう心理的サポートを行います。

また、術前準備(絶食・清潔保持など)の説明も、患者さんの理解度に応じて丁寧に行いましょう。

手術の前日に手術室看護師が術前訪問を行う場合など、以下のような言葉をかけています。

具体的な言葉の例

・「手術について分からないことや、聞いておきたいことはありますか?」

・「クラシックやJ-POPなど、リラックスしやすい音楽などはありますか?できる限り準備させていただきます」

・「何か不安なことがあれば、いつでも遠慮なく言ってくださいね」

・「今日はゆっくり休んでくださいね」

⦅当時の朝に⦆手術する人にかける言葉

手術当日の朝は、緊張や不安が最高潮に達しやすいタイミングです。

体調確認や最終確認事項の説明を行いながら、穏やかな表情で接することが大切です。患者さんの気持ちを落ち着かせるよう心がけましょう。

また手術当日の朝は、基本的に病棟看護師が手術患者さんと密に接するかと思います。

ここでは、病棟看護師など【患者さんと一緒に手術室へ向かう看護師】の言葉を紹介します。

具体的な言葉の例

・「おはようございます。体調はどうですか?」

・「これから手術前に必要な点滴の準備を進めていきますね」

・「手術は予定通り、○時ごろから始まる予定です。時間になったらお迎えにきますね」

・「何か気になることや、不安があれば遠慮なく言ってくださいね」

⦅入室から麻酔準備中に⦆手術する人にかける言葉

手術室へ入室したタイミングで、病棟看護師から手術室看護師へと引き継ぎが行われます。

それに伴い、患者さんはこれまで一緒にいた病棟看護師から、手術室看護師へと交代されるため、手術室看護師は【患者さんの緊張・不安を増強させない関わり】が重要です。

特に「手術室」という、普段馴染みのない環境の変化に伴い、不安感が強まる方も多いため、患者さんに合わせた声かけやタッチングを行い、不安軽減のための関わりを持ちます。

具体的な言葉の例

・「◯◯さんを担当させていただく、手術室看護師の△△です。よろしくお願いします」

・(前日に術前訪問に行って直接会った場合は)「◯◯さん、おはようございます。昨日、お伺いした△△です。よろしくお願いします」

・(手術ホールから手術室へ入室したら)「お部屋は寒くないですか?暖かい空気を送ることもできるので、遠慮なく言ってくださいね」

・「心電図や血圧計をつけさせていただきますね」

・「酸素マスクを顔の前に置かせていただきますね。流れているのは酸素なので、まだ眠くならないですからね」

⦅麻酔導入前に⦆手術する人にかける言葉

室内の寒さや機器の音に敏感になるため、「寒くないですか?」「私たちがそばにいますよ」と声をかけ、安心できる環境づくりを行います。

また「これから、眠って、いよいよ手術がはじまるんだな」と思う麻酔導入前には優しく声をかけ、リラックスして眠りに入れるようサポートします。

具体的な言葉の例

・「今から眠くなるお薬を使っていきますね。」

・「(プロポフォール使用時は)腕は痛みますか?しみるお薬をつかっていますが、後には残らないので、心配しないでくださいね」

・「手術(麻酔)終わったら、声かけますからね」

⦅手術後・麻酔覚醒直後から退室時に⦆手術する人にかける言葉

手術後の覚醒時は、意識が混濁して不安を感じやすい状態です。

まずは「無事に終わりましたよ」と穏やかに伝え、安心感を与えます。痛みや吐き気などの訴えにすぐ対応できるよう観察を行い、「痛みがあったらすぐに教えてくださいね」と声をかけながら、回復を見守ります。

具体的な言葉の例

・「◯◯さん、手術終わりましたよ。ゆっくり、深呼吸してくださいね」

・(麻酔覚醒後に抜管する際)「喉の管を抜くので、お口大きく開けてください」

・「お薬がまだ残っているので、少し眠たい感じがあると思います」

・「傷は痛みますか?」

・「どこか辛いところはありますか?」

・「気持ち悪いなどの吐き気はありませんか?」

・「これから病室に戻る準備をしていきますね。つけていた心電図や血圧計など外していきますね」

⦅病室に戻った直後に⦆手術する人にかける言葉

病室に戻った患者さんには、手術が終わった安堵感とともに新たな不安も生まれます。

体勢や痛みの確認を行い、「つらいことがあれば遠慮なく言ってくださいね」と声をかけましょう。手術中の経過や家族への報告内容を簡単に伝え、安心して休めるよう配慮します。

具体的な言葉の例

・「手術お疲れ様でした。お部屋に戻ってきましたよ。体勢など辛くないですか?」

・「傷の痛みなど気になることがあれば、すぐにナースコールしてくださいね。」

「ご家族にも連絡していますからね。今、病室に向かっているとのことですからね。」

手術する人にかける言葉に迷ったら

患者さんに何を言えばいいか迷ったとき、私はまず「共感すること」を意識しています。

▶「怖いですよね。必ず私たちが一緒にいます」

▶「初めての手術、不安ですよね。でも私もずっとそばにいますからね」

「大丈夫です!」とだけ言うよりも、「怖い」という気持ちにまず共感してあげることで、患者さんは安心感を得やすくなります。

患者さんの表情や態度に目を配り、その人が今、どんな気持ちでいるのかを想像しながら、寄り添った言葉を選ぶことが大切です。

「自分が患者さんだったら、どんな言葉をかけてほしいか」を考えながら、言葉を紡いでみましょう。

まとめ

手術を受ける患者さんは、誰もが不安を抱えています。

私たち看護師にできることは、完璧な言葉を探すことではなく、心からの“寄り添い”を伝えること。

その思いがこもった言葉は、患者さんの心に届き、安心と信頼を与えてくれます。

現役オペ室看護師として10年。私はこれまで、たくさんの患者さんと出会い、その声に触れてきました。だからこそ今、声を大にして伝えたいのは——

「あなたの一言が、患者さんの安心に変わる」ということ。

これからも、患者さんと向き合うすべての医療者が、優しい言葉でつながっていけますように。

もっと手術看護のリアルや現場の知恵を知りたい方は、ぜひ私のInstagramも覗いてみてくださいね。

オペ看めろんのInstagramはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました