『開胸手術の器械出し看護を行うことになったが、不安が大きい・・・』
『肺切除術の手術手順を学びたい!』
『呼吸器外科の外回り看護ポイントについて知りたい!』
このように思う手術室看護師に向けて、今回は開胸下での肺切除術の手術看護手順について解説していきます!
患者入室〜麻酔導入・挿管
手術患者の入室時に必要な確認事項についてや麻酔導入〜挿管までの手順は以下の記事を参考にしてください
手術体位固定【側臥位もしくは仰臥位】
開胸手術下での肺切除術は
術野を上側に向けた側臥位、もしくは仰臥位で手術を行います
手術体位固定時の外回り看護のポイントや気を付けるべき注意事項については以下を参考にしてください
術野消毒・肺切除術セッティング
①頸部から胸腹部の消毒を行います
②開胸手術用のドレープをかけます
③肺切除術で使用するエネルギーデバイスや電気メス、サクションチューブをセッティングします
タイムアウト&肺切除術手術開始
タイムアウトを行い、手術開始となります
皮膚切開・肋骨切離・開胸
皮膚切開・筋肉切開
①乳頭部から腋窩に向かって皮膚切開を行います
②広背筋・大胸筋が露出するまで皮下切開を行い、筋束に沿って切離を行います
③肋骨面を露出します
肋骨切離
①肋骨剪刀や前方用肋骨剪刀を使用し、肋骨と前居筋を切離します
②肋骨切離時、肋骨端はペアン止血鉗子や骨把持鉗子を使用し、把持します
③骨やすりを使用し、肋骨端の骨の角を取ります
開胸【前方開胸】
①胸膜を電気メスを使用し切開します
②開胸します
③開胸器をかけます
胸腔内検索【肺腫瘍部位の確認・肺腫瘍転移の確認など】
開胸後、腫瘍部位の確認や肺腫瘍転移状況の確認を行います
また、必要に応じて胸水を病理検査へ提出します
肺切除の開始
肺切離部位の確認
①肺切離部位の確認を行い、必要に応じてマーキングを行います
②エネルギーデバイスや電気メスを使用し、切除する肺葉を、残す側の肺葉から剥離していきます
肺動脈・肺静脈の血管処理
①肺動脈・肺静脈を結紮します(中枢側と末梢側を絹糸等の糸を使用し、結紮します)
②結紮後、中枢側を刺通縫合します(刺通結紮)
③メッツェンバーム剪刀やエネルギーデバイスを使用し、結紮部位の肺動脈・肺静脈を切離します
気管支切離
①ポリエステルテープや血管テープ使用し、気管支のテーピングを行います
②エシュロンやエンドGIAなどの自動縫合器を使用し、気管支を切離します
肺切除
①気管支切離後、肺切除を行います
②気管支断端を非吸収性縫合糸(プローリンやサージプロなどのモノフィラメントポリプロピレン縫合糸)で縫合閉鎖します
③気管支断端の縫合閉鎖後、結紮を行います
※気管支断端の手縫い結紮を行わない場合は、エネルギーデバイス(エシュロンやエンドGIA)を使用する場合もあります
リンパ節郭清
リンパ節郭清を行います
リークテスト&胸腔内洗浄
肺切除部位のリークテスト
①開胸部位から生理食塩水を入れ、肺切除部位が生理食塩水に浸る程度まで満たします
②麻酔科医師と連携を取りながら、換気を行い肺を拡張させます
③肺切除部位や断端処理部位から空気漏れが無いかを確認します(リークテスト)
④空気漏れがみられる場合は、肺切除部位の刺通結紮もしくは、自動縫合器(エシュロンやエンドGIA)を使用した追加縫合を行います
胸腔内洗浄
①生理食塩水を使用し、胸腔内洗浄を行います
②肺切除部位からの出血がないか、最終確認を行います
胸腔ドレーン挿入&閉胸
胸腔ドレーン挿入
肺尖もしくは胸腔内へドレーン挿入を行います
閉胸
①切離した肋骨を肋骨接合ピンで固定します
②閉胸器を使用し、閉胸用糸を肋骨筋にかけます
③肋骨の閉鎖を行います
皮膚縫合~手術終了
筋層・皮下・皮膚を縫合し、手術終了となります
手術終了後、麻酔覚醒を行い、バイタルサインの変動がなければ退室となります
肺切除術・開胸手術の手術看護まとめ
今回は開胸下での肺切除術の手術手順を解説しました
✅ 開胸手術の器械出し看護に不安がある
✅ 肺切除術の手術手順を学びたい!
✅ 呼吸器外科の外回り看護ポイントを知りたい!
このように思う手術室看護師はぜひ記事を参考にしてください
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