円錐切除術後に起こることとは?現役オペ室看護師がよくある体験談と対応方法を解説

産婦人科・乳腺外科
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※この記事はPRを含みます。

「円錐切除術後はどんなことが起こる?」「実際の体験談を知りたい」など円錐切除術後に起こる症状や苦痛について様々な不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

このブログ記事では、現役オペ室看護師がよくある体験談を医学的根拠から解説し、対応方法も紹介します。

円錐切除術を受けることに不安のある方や、手術後について知りたい方はぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

✅ 円錐切除術後に起こること

✅ 円錐切除術後のよくある体験談

✅ 起きた症状への具体的な対応方法

円錐切除術後に寝たきりでも楽しめる過ごし方を知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。

円錐切除術とは?

円錐切除術とは、子宮頸がんに対する手術の1つです。

「円錐切除」という名の通り、がんを含む組織を「円錐状に」くりぬくようにして切除するもので、おすそ側から手術器具を使用して手術するため、お腹を大きく切る必要がありません。

そのため手術後の痛みの比較的少なく、2泊3日程度の短期入院で済むケースが多いです。

円錐切除術後によくある体験談

【体験談①】胸がムカムカして気持ち悪い

体験談の実例

  • 「吐きそう」とまではいかないけど、胸がムカムカするような気持ち悪い感じがあった
  • 気持ち悪くて、吐いてしまった
  • 胸が悪くて、しばらく食欲が湧かなかった

手術を終えて麻酔から目が覚めた直後は、「胸がムカムカして気持ち悪い」「スッキリしない」といった感覚を訴える方が多いです。

吐き気や嘔吐は麻酔の影響によっておこる合併症の1つです。

円錐切除術では「痛み止め(鎮痛)のため」に麻酔をかけますが、痛みを減らすことができると同時に、胸のむかつき・吐き気・嘔吐も引き起こすことがあります。

特に麻酔による吐き気は、以下の項目で3つ以上当てはまる方に発生しやすいと言われています。

  • 乗り物酔いしやすい
  • 50歳以下の成人女性
  • 非喫煙者
  • 過去の手術でも吐き気や嘔吐の経験がある

大体は円錐切除術後、1日程度で収まることが多いものの、2~3日続く場合もあります。

手術後の吐き気は麻酔方法や吐き気止めの使用によって、100%ではないものの少し和らげることが可能なため、不安な方は麻酔科医や看護師に相談すると良いでしょう。

対応方法➤

麻酔方法や制吐剤の使用で、術後の吐き気を和らげることができるため、事前に麻酔科医に相談しよう💡

【体験談②】1人での退院が大変だった

体験談の実例

  • 退院日が平日の昼間だったため、夫がお迎えに来れず1人での退院だった
  • 退院時は1人だったため、入院の荷物を抱えて退院するのが大変だった

基本的に退院する時間帯は午前中(11時台)であることが多く、平日の場合は家族によるお迎えなどの都合がつきにくいケースが多いでしょう。

そのため1人きりで退院するケースも多くみられます。さらに短期入院であるがゆえに、手術してから日が浅いうちに退院することとなります。

その際に大変になるのが、自宅までの移動手段と荷物が重いことです。

円錐切除術後ということもあり、しばらくは安静も必要となるため、思い切ってタクシーを使用するのも1つです。

また初めての入院だと多くの入院グッズを準備したくなると思いますが、多く持ちすぎてしまうと持ち帰ることが大変なため、最小限とすることも重要です。

基本的に病院では「入院に必要な最低限のもの」は、入院後に病院で購入できるケースが多いです。

病院や施設ごとに異なるかと思いますが、私の病院では、「入院セット」というものがあり、コップ・歯ブラシ・タオルなど必要なもの一式セットになって入院した日に患者さんへ渡しています。さらに病院内の売店やコンビニに必要なものは大体揃っているため、あまり考えすぎなくても大丈夫です。

むしろ2泊3日の入院の場合は、「体がラクなのにベッドで暇をつぶさなければならない」ため、ストレスなく過ごせるものを持っていくと良いでしょう。

以下の記事では「入院中に寝たきりで暇をつぶすための必須アイテム」について紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

対応方法➤

利用できるものを活用しながら、入院グッズを過剰に準備しすぎないようにしよう💡

【体験談➂】出血が止まらなかった

体験談の実例

  • 退院した当日は特に変化なかったが、翌日から急に出血してきて止まらなくなった
  • 生理みたいな出血だけど、手術による出血なのではないか?と心配になった
  • 出血して不安になりネット検索すると「大量の出血に要注意」と出てきたが、「大量」というほどでもない気がする

手術を終えて無事に退院したものの、「急に出血してきた」「出血が止まらない」などのケースがあります。

これは、手術で切除した子宮頸部の組織が露出している(むき出しの状態となっている)ために起こるものです。

「転んで擦りむいた後のかさぶた」をイメージすると分かりやすいかと思いますが、擦りむいて血が出た部分がかさぶたになるまでには時間がかかるように、切除部分が完全に塞がるためには、ある程度の時間が必要です。

微量の出血は手術後2~3週間くらい続きますが、自然なことのため心配はいりません。

また「手術直後は出血がなかったのに、退院してから急に出血してきた」と感じる方も多いかと思いますが、ある程度までは膣内で溜めることができるため、膣内にすでに溜まっていた出血が出てきている可能性があります。

しかし、生理2日目よりも多い量の出血には注意が必要です。

その場合は円錐切除術後の異常出血に当てはまる可能性があるため、病院受診をおすすめします。

対応方法➤

出血が続き不安な場合は、迷わず病院受診しよう💡

【体験談④】おりもののニオイが気になる

体験談の実例

  • 出血とは違う茶色のおりもののような体液が出ている
  • 生理の時よりも強いニオイがある
  • おりものから魚が腐ったような生臭いニオイがする

退院してしばらくしてから「茶色のおりもののようなものが出ていて、ニオイも強い…」という体験談があります。

切断面が細菌による感染を引き起こして化膿すると、このようなニオイのある体液が滲出することがあります。

なぜ切除した部分が化膿するのかというと、傷が完全に治りきっていないことに加え、子宮頸部が膣と隣り合わせの臓器だからです。

どういう事かというと、膣という臓器は「外とつながっている臓器」のため、そもそも清潔度が高くありません。「常在菌」などと呼ばれる常に存在している細菌もいます。

円錐切除術を行った「子宮頸部」は、膣と隣り合わせに位置しており細菌が入り込みやすいことに加え、手術直後でまだ傷が治っていない状態であり、化膿しやすくなります。

さらに円錐切除により子宮頸部に欠損部が生じ、通常の子宮頸部の形と比べても手術後の感染リスクが高くなってしまうのです。

予防的に手術前後で抗菌薬は使用しますが、化膿してしまうケースもよくあります。

病院で抗菌薬を処方してもらえるため、気になる症状が出ている場合は受診することをおすすめします。

対応方法➤

化膿している場合は、病院で抗菌薬を処方してもらおう💡

【体験談⑤】安静期間が思ったよりも長い

体験談の実例

  • 体はもうラクなのに、じっとしていなければいけない期間が思ったより長かった
  • ベッドで横になってできることがスマホくらいしかなくて暇だった

円錐切除術の入院期間は2泊3日程度の短期入院で済むことが多く、日帰り手術を実施しているところもあるほどです。

そのため体力の衰えや手術後の痛みも比較的軽く済みます。

一方で、円錐切除術後は「安静期間」が設けられており、退院後もしばらくは体を休める必要があります。

それは手術から1~2週間以上経過してからもまだ大出血となる可能性があるためです。

そのため退院してからも、できれば入院中と同じような体を休める生活が大切です。

しかし中には「じっと安静にしているなんて、ストレスが溜まらないだろうか?」と思う方も多いのではないでしょうか。そのような方は以下の記事をご覧ください。

入院中に寝たきりでも楽しめる様々な方法を紹介しているため、ぜひ自分に合った楽しみ方を見つけて、円錐切除術後の自宅での生活に役立てていただけると幸いです。

対応方法➤

安静期間中は自分に合った暇つぶし方法を見つけて、ストレスなく過ごそう💡

円錐切除術後に起こる体験談と対応方法のまとめ

このブログ記事では、円錐切除術後に起こること・よくある体験談・それに対する対応方法について紹介しました。

円錐切除術は大きい手術ではないものの、の安静が非常に重要です。

円錐切除術を受けることに不安のある方や、手術を受けることに迷いがある方はぜひ参考にしていただけると幸いです。

また以下の記事は医療者向け記事ですが、円錐切除術の手術手順について詳しく解説しているため、気になる方はぜひ参考にしてください。

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