【オペ看勉強用】BURP(バープ)法とSellick(セリック)法はどう違う?挿管介助での喉の押し方を解説!

麻酔・外回り看護
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※この記事は一部PRを含みます

「挿管介助の際に麻酔科医から‟喉を押して!”と言われて、焦ったことがある」

「喉のどのあたりを、どのように押せば良いか分からなかった」

「押し方が違う、と言われたことがある」

このような経験を持つ手術室看護師は多いのではないでしょうか。

実は挿管介助での頸部圧迫方法には2種類あります。

BURP(バープ)法とSellick(セリック)法と呼ばれるものですが、この2つは喉を押す目的が大きく異なるため、圧迫方法も変わります。

この記事ではBURP(バープ)法とSellick(セリック)法での喉を押す目的や、押し方についてオペ看勉強用として詳しく解説しています。

この記事で分かること

✅ BURP(バープ)法とSellick(セリック)法の違い

✅ 挿管介助での喉の押し方

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BURP(バープ)法とSellick(セリック)法はどう違う?

まずはこれだけ!動画でかんたん解説

BURP(バープ)法とSellick(セリック)法の違いは?

結論から言うと、BURP(バープ)法は「声門を見えやすくすること」を目的としており、Sellick(セリック)法は「誤嚥を予防すること」を目的としています。

そのため目的に合わせて、喉の押し方も異なります。

以下では、それぞれの目的と喉の押し方について詳しく解説していきます。

BURP(バープ)法

声門を見えやすくするためのBURP(バープ)法

BURP(バープ)法は、甲状軟骨を圧迫して声門を見えやすくすることで、挿管しやすくするための頸部圧迫法です。

つまり「声門が見えず挿管しにくい時」に喉を押す介助方法はBURP(バープ)法ということになります。

喉頭展開時に声門が見えにくい際、甲状軟骨を後方・上方・右側へ圧迫することで声門が見え、挿管しやすくなることがあります。

BURP(バープ)法での喉の押し方・タイミング

BURP(バープ)法での喉の押し方とタイミングは次の通りです。

  1. 手術室看護師は麻酔科医へ喉頭鏡を渡し、麻酔科医が喉頭展開を行います
  2. 喉頭展開時に声門が見えにくい場合、麻酔科医は喉頭鏡で喉頭展開を行いながら、挿管チューブを挿入するため、喉を押す介助を行ってほしいことがあります
  3. そのため「喉を押して」と言われたら、甲状軟骨(「のどぼとけ」と呼ばれる部位)を後方・上方・右側へ圧迫します
  4. 麻酔科医より「もっと上側に押して!」「もっと右側の方」などと言われることがあるため、その方向へ向かって喉を押し、麻酔科医が声門が見える位置を探ります
  5. 声門が見えたら挿管チューブを声門に向かって挿入するため、少なくともチューブ先端が声門に入るまでは、喉を押す手を離さないことが大切です(麻酔科医より「手を離して良い」との合図があることが多いため、それまで喉を押す手を離さないようにしましょう)

Sellick(セリック)法

迅速導入で行うSellick(セリック)法

Sellick(セリック)法は、誤嚥の防止を目的とした頸部圧迫方法であり、主に迅速導入での挿管時に行います。

迅速導入とは、イレウス・フルストマック・妊婦など、誤嚥の危険性の高い方に対して、麻酔を導入してから気管挿管までの時間をできるだけ短縮する導入方法です。

迅速導入の適用となる患者さんの場合、麻酔による意識消失に伴い、胃内容物が逆流するリスクが高く、誤嚥の危険性があります。

そのため、そのような患者さんへの挿管時には、輪状軟骨を圧迫することで、食道を間接的に閉塞させることで、胃内容物の逆流を防ぐことが重要です。

逆流による誤嚥を防止するための頸部圧迫方法をSellick(セリック)法と呼び、「輪状軟骨圧迫」や「クリコイドプレッシャー」とも呼ばれます。

Sellick(セリック)法での喉の押し方・タイミング

Sellick(セリック)法での喉の押し方・タイミングは以下のとおりです。

  1. 酸素投与・静脈麻酔薬の投与を行い、迅速導入が開始となります
  2. 筋弛緩薬(ロクロニウム)を投与します
  3. 患者さんの意識消失後に、手術室看護師は輪状軟骨部を約3Kgの力で圧迫します
  4. 筋弛緩薬投与の約1分後に気管挿管を行い、すみやかにカフを膨らませます(カフは10ml程度と通常より多い量の空気を注入します)
  5. チューブが気管に挿入されていることを確認してから輪状軟骨圧迫を解除します(麻酔科医より「圧迫の手を離して良い」など合図があることが多いため、それまで喉を押す手を離さないようにしましょう)

【Sellick(セリック)法での圧迫方法】

  1. 第1指と第3指➡輪状軟骨の両端に置く
  2. 第2指➡軟骨の中央部に置く
  3. 輪状軟骨全体に圧を加える

BURP(バープ)法とSellick(セリック)法に関するよくある疑問

「喉押して」と言われた時、BURP(バープ)法とSellick(セリック)法どちらの方法で押せば良いか分からない!

挿管介助時に頸部圧迫を必要とする場合は、「なぜ必要なのか」を考えることが重要です。

例えば、

  • 急速導入(一般的な導入方法)を行った上で頸部圧迫を必要とした
  • 喉頭鏡にて喉頭展開を行うものの、声門が見えにくそうである
  • 気道確保が難しい患者さんである

このようなケースでは、BURP(バープ)法での頸部圧迫を必要としている場合が多いでしょう。

一方で、

  • 緊急手術である
  • フルストマック・イレウスの患者さん、もしくは妊婦さんである
  • 最終飲食時間が不明である

このようなケースでは、Sellick(セリック)法での頸部圧迫を必要としている場合が多いです。

しかし、これらは「緊急手術だから、必ずSellick(セリック)法を行う」などというものではなく、状況や患者さんによっても変わるため、総合的な判断が必要です。

そのため麻酔科医とよくコミュニケーションをとることが重要です。

いつまで喉を押していれば良いか分からない!

頸部圧迫解除の目安として、BURP(バープ)法では声門が見えたら挿管チューブを声門に向かって挿入するため、少なくともチューブ先端が声門に入るまでは、手を離さないことが多いです。

一方でSellick(セリック)法では、チューブが気管に挿入されていることを確認してから輪状軟骨圧迫を解除します。

基本的には、麻酔科医より「圧迫の手を離して良い」など合図があることが多いため、それまでは喉を押し続けます。

また状況によって、頸部圧迫が不要となるタイミングが異なるため、自己判断せず、麻酔科医とコミュニケーションを取った上で、喉を押す手を離すようにしましょう。

【まとめ】BURP(バープ)法とSellick(セリック)法は喉を押す目的が異なる!

この記事ではBURP(バープ)法とSellick(セリック)法での喉の押し方についてオペ看の勉強用に解説しました。

BURP(バープ)法は、甲状軟骨を圧迫して声門を見えやすくすることで、挿管しやすくするための頸部圧迫法です。

一方で、Sellick(セリック)法は、誤嚥の防止を目的とした頸部圧迫方法であり、主に迅速導入での挿管時に行います。

この2つは頸部圧迫の目的が大きく異なるため、必要な場面では「なぜ喉を押す必要があるのか?」を考えて介助するようにしましょう。

★この記事は周術期管理チームテキスト第4版を参考にしています。

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