大動脈弁置換術(AVR)の手術手順 |心臓手術器械出しのコツ(オペ看勉強用)

心臓・形成
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開心術にて行われる大動脈弁置換術(AVR)では、カニュレーションまでの手順や生体弁もしくは機械弁を縫合する手順がポイントとなります。

「手術の流れが早くて器械出し看護に不安がある」、「大動脈弁置換の手順について詳しく知りたい」と思うオペ看護師向けに、この記事ではオペ看勉強用として大動脈弁置換術(AVR)の手術手順を解説します。

また心臓血管外科の研修医の方も参考にしていただける記事内容となっています。

【この記事で分かること】

✅ 大動脈弁置換術(AVR)器械出しのコツ

✅ 大動脈弁置換の手順

✅ 生体弁と機械弁の違い

  1. 大動脈弁の種類【生体弁と機械弁の違い】
    1. 生体弁と機械弁の違いとは?
    2. 生体弁の特徴
    3. 機械弁の特徴
  2. 【大動脈弁置換術(AVR)の手術手順】皮膚切開~心膜切開
    1. 皮膚切開・胸骨正中切開
    2. 胸腺結紮
    3. 心膜切開
  3. カニュレーション用血管準備
    1. SVC(上大静脈)・IVC(下大静脈)の糸かけを行う
    2. AO(アオルタ・大動脈)に針糸をかける
    3. SVC(上大静脈)・IVC(下大静脈)に針糸をかける
  4. 上行大動脈(アオルタ)送血チューブとSVC(上大静脈)・IVC(下大静脈)脱血チューブの挿入
    1. 上行大動脈(アオルタ)へ送血チューブ挿入
    2. 送血チューブ固定
    3. 人工心肺回路エア抜き
    4. SVC(上大静脈)脱血チューブ挿入・脱血チューブ固定
    5. IVC(下大静脈)脱血チューブ挿入・脱血チューブ固定
    6. ベントチューブ挿入
  5. カニュレーション開始・上行大動脈遮断
    1. カニュレーション開始・ドボン挿入
    2. 上行大動脈遮断
  6. 逆行性レトロカテーテルの挿入
    1. 右房切開
    2. レトロカテーテルの挿入
  7. 大動脈切開
  8. 大動脈弁切開・弁尖(右・左・無冠動脈洞)切離
      1. 3つの弁尖(右・左・無冠動脈洞)と大動脈弁疾患(大動脈弁閉鎖不全症・大動脈弁狭窄症)
  9. 弁輪部石灰除去
      1. 【器械出し看護ポイント】弁輪部石灰除去で使用する器械
  10. 大動脈弁置換
    1. 大動脈弁サイズの決定
    2. 【※生体弁の場合】大動脈弁のリンスを行う
      1. 【大動脈弁(生体弁)のリンスとは?】目的は「グルタルアルデヒドの毒性を落とすため」
      2. 生体弁のリンス時間(マグナイーズバルブカーペンティエ・エドワーズ周辺マグナ容易大動脈心臓弁の場合)
    3. 大動脈弁の固定
    4. 大動脈弁(生体弁・人工弁)の弁糸での縫合
      1. 【大動脈弁(生体弁・人工弁)縫合に使う「弁糸(べんし)」とは?「スープラ」と「イントラ」の弁糸について
      2. 【器械出し看護ポイント】大動脈弁(生体弁・人工弁)弁糸縫合のコツは?
    5. 大動脈弁(生体弁・人工弁)の開閉確認
  11. 大動脈縫合・エア抜き
    1. 大動脈縫合
    2. 心筋保護針(順行性・アンテ)でエア抜き
      1. 【器械出し看護ポイント】心筋保護針(アンテ)挿入時の渡す手順
  12. 上行大動脈遮断解除・自己心拍回復
    1. 上行大動脈遮断解除
    2. 自己心拍の回復確認
  13. 体外循環離脱
  14. 止血(フィブリン糊・タコシール・サージセルコットン使用)・ドレーン挿入
  15. ペースメーカーリードの挿入
  16. 胸骨閉鎖・筋層・皮下閉鎖
  17. 大動脈弁置換術(AVR)の手術手順 まとめ

大動脈弁の種類【生体弁と機械弁の違い】

生体弁と機械弁の違いとは?

生体弁と機械弁は素材・耐久年数・ワーファリン服用の有無において異なります。

 生体弁  機械弁 
素材ウシの心膜・ブタの大動脈弁チタン・カーボン素材
耐久年数10~15年程度半永久的に使用可能
ワーファリンの服用不要必要

生体弁の特徴

生体弁とは、主にウシの心膜やブタの大動脈弁で作られた人工弁です。

生体適合性が良いため、血液に触れても血栓ができにくく、抗凝固剤の「ワーファリン」の永久的な使用は必要ありません。

ただし、機械弁に比べると劣化が早いため、生体弁を取り換える再手術が必要になります。平均の耐久年数は10~15年程度です。この期間は若ければ若いほど短くなる傾向にあります。

機械弁の特徴

機械弁とは、特殊なチタンやカーボン素材で作られた人工弁です。

機械弁は、使用による摩耗や劣化がほとんどないため、置換後は半永久的に使用できるのが特徴です。

しかし、血液が機械弁に接触すると血栓ができやすいため、生涯を通じて抗凝固剤のワーファリンを服用しなければいけません

【大動脈弁置換術(AVR)の手術手順】皮膚切開~心膜切開

以下では大動脈弁置換術(AVR)の手術手順を解説します。

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