【オペ看勉強用】全身麻酔から挿管までの流れを紹介|手術室看護・外回り看護を解説

麻酔&手術看護
この記事は約17分で読めます。

※この記事はADを含みます

外回り看護で麻酔・挿管介助など、つい焦ってしまうことありませんか?

ですが、勉強して自分のオペ室看護・外回り看護に自信がつくと、緊急時でも落ち着いて対応できるようになります!!

麻酔・挿管について私は以下の本で勉強しました‼よければ参考にしてください。

AD

麻酔とは

麻酔とは、薬物などを使用して意図的に「痛み」や「感覚」を無くすことです。

またそれだけではなく、「筋肉の緊張」を抑える目的でも使用されます。

身体の筋肉が固い状態では、手術操作にも影響がでるため、麻酔を「筋弛緩剤」として使用し、身体の筋肉を緩めた状態で手術を進めていきます。

麻酔の種類

麻酔には大きく分けて「全身麻酔」と「区域麻酔」があり、「区域麻酔」には脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、末梢神経・神経叢ブロックなどの麻酔方法があります。

全身麻酔(ぜんしんますい)

全身麻酔では、吸入麻酔薬(きゅうにゅうますいやく)や静脈麻酔薬(じょうみゃくますいやく)などの、主に脳に作用する麻酔薬を使います

これにより手術中には意識がない状態、つまり「深く眠っている状態」を作り出します

脊髄くも膜下麻酔(せきずいくもまくかますい)

腰からの注射を行い、下半身のみに麻酔を効かせる方法です

横向きの状態で腰から注射を行い、くも膜と呼ばれる脊髄を覆っている膜の中にある脳脊髄液(のうせきずいえき)中に局所麻酔薬を投与することで、下半身の感覚を一時的に無くすことができます

帝王切開手術や、足の手術など手術部位が下半身の場合に適応となります

硬膜外麻酔(こうまくがいますい)

腰からの注射で行う局所麻酔ですが、脊髄くも膜下麻酔とは異なり、脊髄を覆うくも膜と硬膜の外側に局所麻酔薬や鎮痛薬を投与する方法です

基本的には全身麻酔と併用して実施するもので、術後の痛み緩和が目的の場合が多いです

末梢神経(まっしょうしんけい)・神経叢(しんけいそう)ブロック

手術部位の痛みや感覚を局所的に無くす麻酔方法ですが、基本的には全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔と併用します

どんな効果が麻酔にはあるのか?(麻酔の役割)

麻酔には大きく分けて3つの役割(①鎮静、②鎮痛、③筋弛緩)があります

麻酔科医はこれらの3つの役割を、麻酔薬やその他の麻酔方法(硬膜外麻酔などの局所麻酔法)を組み合わせることにで調整していきます(バランス麻酔)

  1. 鎮静(ちんせい)
    • 意識を消失させることで、患者さんの手術中の不快な思いや記憶をなくすことができます。つまり、鎮静によって患者さんは手術中に「眠っている状態」となります
  2. 鎮痛(ちんつう)
    • 痛みをやわらげることで、手術中の麻酔深度(麻酔の深さ)を適切な状態に保つことができます。
    • 手術の痛みを感じてしまうと、患者さんが手術中に起きてしまったり(覚醒)、血圧が急に上がってしまう、などのことが起きてしまいます。それらをふせぐために「鎮痛」の役割があります
  3. 筋弛緩(きんしかん)
    • 骨格筋の筋肉の力をやわらげることで、麻酔・手術中に必要な「呼吸のお手伝いをするための管」をのどに入れること(気管挿管)を簡単にします
    • からだ全体の筋肉の力をやわらげることで、手術の操作も簡単にします
    • 手術中の不随意運動(意図せず勝手に筋肉が動くこと)を抑え、血管や組織を誤って傷つけてしまうことを防ぎます

全身麻酔の流れ【急速導入(きゅうそくどうにゅう)の場合】:Rapid induction

急速導入(きゅそくどうにゅう)によって行われる全身麻酔の流れについて解説していきます

【急速導入(きゅうそくどうにゅう)とは?】

プロポフォールやイソゾールなどといった静脈麻酔薬によって急速に深い鎮静状態を得ることができる麻酔方法

全身麻酔の中で最も一般的に行われる麻酔方法です

点滴確保を行う

腕(場合によっては足)に1本点滴をとります

この点滴が、麻酔薬を投与するための点滴となります

麻酔開始する前に酸素マスクを使用し、酸素化を行います

麻酔導入後に換気困難な状態に陥ってもすぐに低酸素にならないように全身に酸素を蓄積しておきます

気管挿管の刺激に対する「鎮痛(ちんつう)」のための麻酔薬を投与します

鎮痛薬の代表例には「フェンタニル50‐100㎍」、「レミフェンタニル」などがあります

「鎮静(ちんせい)」のための麻酔薬を投与します

鎮静剤が投与されると意識がなくなり、深い眠りに入ります

鎮静薬の代表例には「プロポフォール50-100㎍」や「ディプリバンキット」などがあります

「筋弛緩(きんしかん)」のための麻酔薬を投与します

筋弛緩薬の代表例には「ロクロニウム0.6-0.9㎎/㎏」などがあります

筋弛緩が効くまでマスク換気を行います

気管挿管(きかんそうかん)もしくは声門上器具挿入

筋弛緩が効いたら気管挿管もしくは声門上器具挿入を行います

全身麻酔がかかると、舌根(ぜっこん)が喉へ落込み、呼吸できなくなるため「挿管」を行うことで

手術中の呼吸の補助を行います

【気管挿管(きかんそうかん)とは?】

気管チューブを気管内に挿入し、手術中の呼吸補助を行う方法

メリット

・確実に気道確保を行うことができる

・長時間手術にも適していいる

・誤嚥(ごえん)を起こしにくい

デメリット

・気管内に留置するため、刺激が強い

・抜管の際に暴れてしまう場合が多い

・声帯圧迫による嗄声が起きやすい

【声門上器具(せいもんじょうきぐ)の挿入とは?】

「ラリンジアルマスク」や「プロシール」、「Igel」などといった器具を声門上に挿入し、

手術中の呼吸補助を行います

メリット

・のどの刺激が弱い

・筋弛緩薬を使用せず自発呼吸で維持することができる

・抜管時もスムーズ

デメリット

・長時間手術には適していない場合が多い

・誤嚥に弱い

・気道確保として不確実

手術中の麻酔持続投与

手術中は麻酔薬を持続的に投与し、覚醒しないように維持します

麻酔の維持にはセボフルランやデスフルランでの吸入麻酔、もしくはプロポフォールの静脈持続投与を行います

手術終了後の麻酔覚醒・抜管

手術が終了したら、麻酔から覚まします【麻酔覚醒】

その後、喉に入れていた管を抜き【抜管(ばっかん)】、麻酔終了となります

全身麻酔の流れ【緩徐導入(かんじょどうにゅう)の場合】:Slow induction

緩徐導入(かんじょどうにゅう)は、酸素・セボフルラン・スープレンなどの吸入麻酔薬を吸入することで入眠する麻酔導入方法です

緩徐導入が適応となる場合

・患者が小児の場合や、強い認知症を持っている場合など、入眠後に点滴確保が必要な場合

・静脈麻酔薬による急速導入が有害と考えられる場合

(プロポフォールアレルギーを持つ患者や低心拍出量の患者の場合)

緩徐導入のメリット

・徐々に眠りにつくため、自発呼吸が維持される

緩徐導入のデメリット

・徐々に眠りにつき抑制がとれた状態のため、「興奮期」を経由する⇒暴れたり、強い体動を引き起こすことがある

・麻酔導入後に点滴確保を行うため、麻酔導入から点滴確保までの間に急変が起きた場合などに、薬剤投与の点滴ルートが無く、危険な場合がある

・吸入麻酔薬の匂いがきつい

全身麻酔の流れ【迅速導入(じんそくどうにゅう)の場合】:Crash induction

迅速導入(じんそくどうにゅう)とは、麻酔導入から気管挿管終了まで換気をせず、「輪状軟骨圧迫」をして挿管をする麻酔導入方法です

1、酸素化を行い全身麻酔を開始する

(鎮静剤投与後から気管挿管終了後まで酸素投与できないため、十分に酸素化を行っておきます)

2、プロポフォール(1.0-2.5mg/kg)を投与後、すぐにロクロニウム(0.6-0.9mg/kg)を投与

☆気管挿管終了まで、胃内に空気を送り込まないために換気はしません

☆輪状軟骨を圧迫し、食道を閉鎖することで胃内容物の逆流を防ぎます

3、気管挿管

迅速導入が適応となる場合

・胃内容が充満していて誤嚥のリスクが高い場合(Full stomachの場合)

(緊急手術となり、絶飲食時間を確保できていない患者の場合・イレウスなど腸管内圧が高い患者の場合など)

全身麻酔の流れ【意識下導入(いしきかどうにゅう)の場合】:Awake induction

患者の意識がある状態で挿管を行い、挿管後に鎮静薬を投与する麻酔導入方法です

1、十分な酸素化を行う

2、口腔内から徐々に喉の奥の方へキシロカインスプレーで表面麻酔を行う

(状況に応じて鎮痛薬や鎮静薬を併用する)

3、喉頭鏡やマックグラス・エアウェイスコープ・気管支ファイバーなどを用いて気管挿管を行う

4、気道確保を確認後に入眠(静脈麻酔薬や吸入麻酔薬を使用)

意識下導入が適応となる場合

・胃内容物が充満している状態(Full stomach)で誤嚥リスクが高い場合

・気道確保困難が予想される場合

・ショック状態の患者の場合

まとめ

「麻酔」は身近にあるものですが、とても奥が深いものです

今回は主に全身麻酔についての概要をまとめていますので

少しでも参考にしていただけると幸いです😊

AD

AD

コメント

タイトルとURLをコピーしました