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「手術前の準備で、どこまで患者さんに装着物の説明をすればいいのか…」
「外し忘れを術直前に気づいて、バタついてしまった…」
こうした経験をした手術室看護師は多いのではないでしょうか。
装着物の指導理由を曖昧なまま受け継いでしまい、「なぜダメなのか」を自分の言葉で説明できず不安を感じる場面も少なくありません。
この記事では、手術前に外すべき装着物とその理由を体系的に整理し、患者さんへの説明が正確かつ自信を持ってできるようになるための知識をまとめています。
以下に当てはまる人に特に役立つ内容です。
✅ 手術前の装着物説明に自信がないと感じている手術室看護師
✅ 外し忘れをなくすための体系的な知識を身につけたい看護師
✅ 患者さんに理由を説明するとき「なんとなく」で答えてしまうことがある看護師
このブログを読み進めることで、手術前の確認業務がよりスムーズになり、患者さんからの信頼を高める説明ができるようになります。
手術前に外すべき装着物一覧(まずは全体像)
| 装着物 | 外す理由 |
|---|---|
| 指輪・ネックレス・ピアス・ヘアピン 腕時計など金属全般 | 電気メス使用時の熱傷リスク むくみによる血流障害 |
| 化粧(ファンデーション・口紅) | 皮膚色の観察ができない |
| ジェルネイル・マニキュア | パルスオキシメーターの測定阻害 |
| コンタクトレンズ | 乾燥・角膜傷害・術中の脱落 |
| 義歯(入れ歯) | 気道管理の妨げ |
| 湿布・絆創膏 | 手術部位確認の支障・皮膚トラブル要因 ・熱傷リスク |
| ウィッグ | 金属による熱傷・皮膚トラブル要因 ⦅状況に応じて手術室内でウィッグを 外すなどの配慮も視野に入れる⦆ |
| まつエク(まつ毛エクステ) | 角膜保護テープの密着不良 |
| 眼鏡・補聴器 | 歩行・会話に必要なら直前まで可 |
手術前になぜ装着物を外す必要があるのか?
多くの新人が最初に抱える疑問が「どこまで外してもらう必要があるのか」です。
表面的に「熱傷のリスクがあるから」「パルスオキシメーターが…」と覚えてしまいがちですが、本質は以下の3つに集約されます。
- 熱傷など患者の身体的な危害を避けるため
- モニタリング精度を確保するため
- 麻酔や手術操作の妨げを防ぐため
特に電気メスの熱傷は、実際に患者トラブルとして報告されている重大事故のひとつであり、金属類の取り扱いは安全管理上のポイントになります。
装着物ごとに詳しく解説
貴金属類(指輪・ネックレス・ピアス・腕時計・ヘアピン)
手術中に使用する電気メスは人体を通って電極へ電流が流れます。金属は電気が集中しやすく、
皮膚との接触部位に熱が集まることで火傷を引き起こす危険があるため外します。
また火傷以外のリスクにも、
- 手術中は輸液量・体位・麻酔の影響で手指が浮腫みやすい
- 指輪が血流障害を引き起こしたり、外れなくなるリスクがある
などがあります。
化粧
ファンデーションは皮膚色の変化を隠し、口紅はチアノーゼの観察を妨げます。
そのため手術前はスッピンが原則です。
ネイル・ジェルネイル
パルスオキシメーターが光を爪床に通すことで血中酸素飽和度を測定します。
ネイルは光の透過を阻害し、正確な測定ができません。
手術室では測定が正確にできず、誤った判断につながる危険があります。
コンタクトレンズ
角膜に傷がつくリスクがあるため、
手術中に装着したままだと目の乾燥や細菌感染のリスクも高くなり、
手術を安全に進める妨げとなるため。
このような理由により手術前に必ず外してもらいます。
義歯(総入れ歯・部分入れ歯)
義歯(総義歯・部分義歯)を装着したまま気管挿管を行うと、義歯が外れて気道内へ迷入し、誤嚥や窒息を起こす危険性があります。 とくに部分義歯は小さく外れやすいため、喉頭部や気管に入り込むと、気道閉塞から低酸素血症や心停止へ進行し得る、生命に直結するリスクとなります。
そのため少なくとも麻酔導入前までには必ず義歯が外されていることを確認します。
また挿管時に義歯が口腔内や気管チューブに損傷を与えたり、義歯自体が破損して紛失する可能性もあります。義歯は気道確保の妨げになるリスクがあるため外してもらいます。
湿布・絆創膏
- 発赤や皮膚炎の有無を確認できない
- 体位で剥がれて異物となる
湿布に金属成分が含まれている場合、電気メスなどの電気機器使用時に火傷の危険が生じることがあります。
最後に、磁気治療器(例:ピップエレキバンなど)の湿布は電気機器と干渉しやすく、やけどのリスクを高めるため手術室入室前に除去が必要です。
ウィッグ
金属が含まれている場合は熱傷リスクがあります。
また、ウィッグの固定具等が皮膚トラブルの要因となるリスクもあるため、手術中はウィッグは外し、手術室用キャップを使用します。
⦅抗がん剤治療中の患者さんなど、状況に応じて手術室内でウィッグ等を外すなどの配慮も視野に入れることが大切です。⦆
まつエク(まつ毛エクステ)
手術時には眼球乾燥を防ぐ目的で眼瞼を閉じ、医療用テープで固定しますが、エクステが付着しているとテープが密着しにくく、剥離時にまつげの抜去や皮膚損傷を引き起こす恐れがあります。
また、エクステには雑菌や汚れが付着している場合があり、目元から感染症を引き起こすリスクが高まります。
そのため原則、まつ毛エクステは外します。
眼鏡・補聴器
歩行やコミュニケーションが必要な場合、手術直前まで使用可能です。
ただし必ずケースへ保管します。
よくあるトラブルとその対策
装着物関連のトラブルで多いのは以下のパターンです。
「外し忘れ」が術直前に発覚する
特に指輪、ジェルネイル、コンタクトは発見が遅れやすいです。
対策
- 術前訪問時に全身を観察
- チェックリストを活用
- 病棟看護師との連携
外れない貴金属
浮腫で指輪が抜けず、時間を要することがあります。
対策
- 糸などを使用して抜去
- 事前に患者へ「外れにくい場合は相談を」と伝える
- 貴金属がどうしても外れず、モノポーラの使用が不可欠な手術の場合は、本人の同意の下で指輪などの貴金属を切断し抜去することも・・・
ネイルがどうしても外せない
まれに特殊なジェルネイルなどで外せない患者がいます。
対応は・・・?
- 足趾などジェルネイルが使用されていない部位でのパルスオキシメーター装着
- 予備の測定部位を想定し多職種で共有
ヒゲ(髭)がある患者さんの場合
男性患者に説明が必要な項目です。麻酔中に挿管後、テープで気管チューブを顔に固定しますが、ヒゲがあるとテープ接着が弱く、固定不良や抜けのリスクが高まります。
そのため、担当麻酔科医師と情報共有し、必要に応じてヒゲを剃るなどの対応が必要です。
まとめ|装着物の理解は患者安全を守る重要なスキル
手術前に外していただく装着物って、一見シンプルなルールのようで、実は“患者さんの安全を守るための大事なケア”がギュッと詰まっています。
たとえば、
・患者さんの安全を確保する
・モニターの情報を正確に読み取る
・麻酔や手術をスムーズに進める
どれも術中管理に直結する、とても重要なポイントばかり。
だからこそ、オペナースとして「なぜ外す必要があるのか」を理解して、自分の言葉で丁寧に説明できることが大切です。
装着物の説明は、ただの“チェック項目”ではなく、
患者さんに「安心して手術に臨んでいただくためのコミュニケーション」。
今日の記事が、あなたの説明に少しでも自信をプラスできて、
患者さんに寄り添うあたたかい看護につながれば嬉しいです🍈✨




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