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・「本当は手術を受けたくない」と言われたら
・どのように言葉をかけたらよいのだろう・・・
・手術前にかけるべき言葉を教えてほしい
「友人や家族が手術を受ける時、どのような言葉をかけるべきだろう」「子どもが手術を受けることになったが、手術までどのように関わると良いのだろうか」
身近な方が手術を受ける時、関わり方に悩む方も多いのではないでしょうか。
そのような方に向けて、この記事では手術前にかける言葉を現役オペ室看護師ひとりごとが紹介します。
オペ室看護師は、患者さんの手術への思いを聞く役割を持っており、毎日多くの患者さんが手術と向き合っています。
手術前の患者さんとの実際の関わりを踏まえながら、関わり方を解説していきます。
【この記事で分かること】
✅ 手術前にかける言葉を選ぶポイント
✅ 子どもが手術を受ける前にかける言葉
✅ 手術前にかける言葉の具体的なフレーズ例文
手術前にかける言葉に限らず、人間関係の中で「思っていることをうまく伝えられない」「使った言葉が原因で相手との関係が悪くなった」
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PR「本当は手術を受けたくない」と言われたら?オペ室看護師が手術前にかける言葉とは
手術室看護師の役割の1つに「術前訪問(じゅつぜんほうもん)」と呼ばれるものがあり、患者さんが手術を受ける日の前日に患者さんの病室を訪ねて、手術に対する思いを聞く、というものがあります。
手術への思いを聞いてみると、「本当は、手術を受けることにまだ迷いがある」といった声が聞かれることがあります。
患者さんは手術を受ける直前までいろいろなことを考え、悩んでいます。
実際に私も手術を控える患者さんと話す中で、「本当は手術を受けたくない」と言われることがあります。
そのような時、まずは時間をかけて相手の言葉に耳を傾けるようにしています。
「なぜ、手術を受けたくないと感じているのか」
必ずしも「緊張しているから」「不安だから」という理由だけではありません。
中には、障害を抱えるお子さんがいて、自分が世話をしないといけないから、万が一自分の身に何かあったら困る、という方もいらっしゃいました。
「手術を受けたくない」の理由は、本当に100人いれば100通りの理由があります。
「本当は手術を受けたくない」と言われたら、相手の話をじっくり聞いた上で、私はもう一度時間をとって執刀医師・看護師・手術を受ける患者さんで手術について質問できる機会を設けるようにしています。
むやみなアドバイスや言葉かけをするよりも、相手の言葉に耳を傾けることで、患者さん本人が自然と解決の糸口に気づけることがあります。
手術前にかける言葉を選ぶポイントとは?3つのポイントを紹介
相手にとって最適な言葉を選ぶためには、相手の心の状態が言葉を受け入れられる状態でなければいけません。
そのため言葉を選ぶためには「相手のことをよく考えること」が必要であり、以下の3つがポイントです。
- 「自分のかける言葉」は相手にとってプラスになっているか?
- 相手の手術への受け入れ度合を考えること
- 「手術経験者からのアドバイス」は不要!
【手術前にかける言葉を選ぶポイント①】「自分のかける言葉」は相手にとってプラスになっているか?
言葉を選ぶ上で、相手の状況を考えることは非常に重要です。
相手の状況を考えるとは、「相手の立場に立って物事を考える」ということです。
もう一歩踏み込んで言うと、「自分のかける言葉」は相手にとってプラスになっていますか?ということです。
「相手に何か声をかけたい」、もしくは「何か声をかけるべきだろう」という自分の気持ちが優先して、相手の状況も考えずに自分の気持ちの押し付けになっていないかを考える必要があります。
【手術前にかける言葉を選ぶポイント②】相手の手術への受け入れ度合を考えること
相手が手術を受けることに対して、どの程度受け入れることができているのか、を考えた上で言葉を選ぶことが重要です。
手術に対して否定的である、
手術を受けることをまだ迷っている、
このように手術への受け入れが十分でない場合は、いくら前向きな言葉をかけても糠に釘状態です。
「手術せざるを得ないが本当は受けたくないと思っている」などという場合は、こちらから言葉をかけるよりも、まずは相手の言葉を聞くことが重要です。
相手が手術に対してどう感じているのか、その答えは相手の言葉の中にあるため、ゆっくり耳を傾けましょう。
【手術前にかける言葉を選ぶポイント③】「手術経験者からのアドバイス」は不要!
手術を受けるのはあくまでも「相手」であり、自分ではないことをわきまえることが重要です。
よくありがちなのは、「手術を受けたことのある経験者」がついマウントをとってしまうケースです。
マウントをとるつもりがなくても、「経験者からのアドバイス」は、これから手術を受ける人にとって「マウントをとられた」と感じとられてしまうケースがあります。
手術を控える人は、不安感からナーバスな心理状態となっています。
そのため普段は通じる冗談なども、過度に受け取ってしまうこともあるのです。
「経験者からのアドバイス」も求められていない限り、言わない方が無難でしょう。
手術前にかける言葉に迷ったら❝NGワード❞を言わないことが大事!
手術前にかける言葉のポイントを読んで、「自分には相手に言葉をかける資格がない」「余計なことを言うくらいなら言葉をかけない方が良いのだろうか」などと自信を失ってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし大前提として、手術を受ける患者さんは「気にかけて声をかけてほしい」と感じています。
気丈にふるまっていても、心の中では「誰かにすがりたい気持ち」でいっぱいなのです。
では「何か言葉をかけたいけれど、どう声かけしたらよいかが分からない」という方はどうすればよいのでしょうか。
そのような方におすすめなのは、「NGワード」を言わないことです。
以下で具体的なNGワードについて紹介します。
手術前にかける言葉のNG例「あの時○○したから手術することになったんじゃないか?」
生活習慣病の場合は、本人の食生活や運動習慣などが関係していることがあります。
妻・夫・母親・父親・兄弟など生活を共にする時間が長い家族ほど、本人の生活を見てきている分、つい「あの時○○したから手術することになったんじゃないか?」と言いそうになることもあるでしょう。
しかし、それを手術前の本人に言っても逆効果です。
むしろ「あの時○○したから手術することになったんじゃないか?」と口にしてしまったことに対して、後になってから大きく後悔するケースがあります。
手術前にかける言葉のNG例「もっと早く手術しておけばよかったのに」
手術の難易度は、ある程度病状の進行度に比例します。
それは事実ですが、「もっと早く手術しておけばよかったのに」などと他人が言うのは控えましょう。
手術前にかける言葉のNG例「その手術で失敗した例もあるらしいよ」
手術の難易度が上がるにつれて、手術後の合併症を伴うケースがあります。
また今はWeb上で調べると「○○手術の成功率は△%」、「○○手術の失敗例」など、煽るような記事も見受けられます。
本人に直接「その手術で失敗した例もある」などと言う人はいないと思いますが、お見舞いの場面で本人に聞こえていないと思って家族同士や友人同士で喋っていたことが聞こえていた、ということもあるので注意が必要です。
子どもが手術を受ける前にかける言葉とは?
お子さんが手術を受ける時、親としてはこれ以上、心が休まらないことはないでしょう。
特に全身麻酔で手術を受ける場合は、麻酔そのものにもある程度のリスクがあるため、手術が決まってからは無事に終えるまで落ち着ける間も無いことと思います。
また、その「緊張感」はすでにお子さんも十分に感じています。
そして手術を受けるのは「子ども自身」です。
賛否両論はありますが、私は子どもの月齢に関わらず、お子さんが手術を受ける際には誤魔化さずに、まずは手術を受けることについてを分かりやすく説明するべきだと感じています。
さらに「手術を受けたくない」と泣きぐずることを恐れて、嘘を言ってしまうと、手術後にかえってトラウマを受けてしまうこともあります。
そのため「手術の間ずっと待っているよ。終わったら会えるよ。」、「一緒に頑張ろう!」など、お子さんが孤独を感じず、かつ前向きに手術を捉えられるような言葉を選ぶのが良いでしょう。
手術を受ける子どもへの関わり方や、小児麻酔については以下の記事で解説しているため、ご興味のある方はぜひ参考にしてください。
手術前にかける言葉の具体的なフレーズ例文
【手術前にかける言葉】友達の場合のフレーズ例文
- 退院したら、またみんなで遊びに行こう
- 何かできることがあったら言ってね
- 手術が終わったら○○へ行こう
友達の場合は「退院したら、また〇〇に行こう!」など、仲が良い友達だからこそ言える言葉をかけるのも良いでしょう。
また「何かできることがあったら言ってね」などの声をかけることで、困っている時に気兼ねなく相談しやすくなるでしょう。
【手術前にかける言葉】家族(夫・妻・父親・母親)の場合のフレーズ例文
- 上手くいくことを信じているよ
- 何か手伝えることがあれば、何でも言ってね
- 家のことは任せてね
- 一緒に乗り越えよう
家族が手術を受ける際は「上手くいくことを信じているよ」「一緒に乗り越えよう」など、相手に寄り添った声かけが良いでしょう。
また、家事や育児を担っている夫や妻が手術を受ける際は、「何か手伝えることがあれば、何でも言ってね」「家のことは任せてね」などと伝えることが大切です。
【手術前にかける言葉】上司の場合のフレーズ例
- ゆっくり休んでくださいね
- 〇〇さんと一緒に働ける日を待っています
上司に声をかける際は、「ゆっくり休んでくださいね」のような声かけが良いでしょう。
また「〇〇さんと一緒に働ける日を待っています」など、手術後の復帰を待っていることも伝えるのも良いでしょう。
手術前にかける言葉に正解はある?相手との距離感も考慮が必要
具体的なフレーズ例やNGワード等を紹介してきましたが、手術前にかける言葉について、究極「正解はない」と感じています。
それは第一に、普段からの相手との関係性や距離感が大きく関係してくるからです。
例えば「頑張ってね」と言われて、素直に「うれしい、頑張ろう」と思える相手もいれば、そうでない相手もいることでしょう。
そのため「この言葉をかけておけば良い」という正解ワードがあるのではなく、「その言葉を言われて、相手がどう受け止めたか」が重要だといえます。
「頑張って」は手術前にかける言葉としてタブー?
「頑張って」という言葉は、日常生活でもよく使われる言葉ですが、医療業界ではタブーとされる場面が多々あります。
少し状況は逸れますが、例えば抗がん剤治療を受けているがん患者さんに対して「頑張って」と言うのは医療の現場ではタブーです。
なぜなら抗がん剤治療を受けているがん患者さんは、もう十分に「頑張って」いるからです。
自分がギリギリまで頑張っている時に、相手から「頑張って」と言われると、「もうこれ以上どう頑張れば良いのだろうか?」と思うのではないでしょうか。
同じように手術前の方に「頑張って」と安易に言うのは危険なのです。
手術前にかける言葉に迷ったら❝言葉にできるは武器になる。❞が参考になる
オペ室看護師として手術患者さんと接する中で、言葉の選び方の重要性は日々実感しています。
しかし相手にとって最適な言葉をかけるためには、自分の中である程度のボキャブラリーと、相手の状況に合った言葉を選ぶセンスが必要です。
ボキャブラリーと言葉選びのセンスを磨くためには、
- 本を読むこと
- 言葉の言い回しを勉強すること
- 学んだ言葉をアウトプットすること
これらが大切だと感じます。
「本を読むことが大切なのは分かるけど、具体的にどのような本を読めば良いか分からない」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が看護師として働く上で、日々参考にしている著書は【「言葉にできる」は武器になる。 [ 著者:梅田 悟司 ]】です。
この本を読むことで、状況に合った言葉を選んで、「相手に最適の言葉」を伝えることができるようになります。
【まとめ】手術前にかける言葉よりも❝大切❞なことは?
冒頭でも何度か触れてきましたが、「何か言葉をかける」よりも、私は「相手の言葉をよく聞く」ことの方が大切だと感じています。
手術を控える患者さんは、手術の必要性を説明された時も、手術の決断をした時も、手術を控える前日も、いろいろなことを考えて、それでも「これで良かったのだろうか」と悩み抜いています。
それ以上に何か言えることがあるのでしょうか。
「手術前にかける言葉とは?」というタイトルにしておきながら、翻すような結論になってしまいますが、手術前の患者さんにとって、実はもう「言葉」は必要ないのです。
手術を受ける方が安心できるような存在になることが、何よりも大切なのです。
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